例年の一年生とはレベルの違う盛り上がりを見せた雄英体育祭も終わりを迎えた。
下馬評通り、表彰台を独占したのはA組のメンバーばかり。
中でも決勝戦を争った二人には大きな注目が寄せられていた。
……いい意味でも悪い意味でもだが。
多くの能力を見せ、またビジュアルとしてもパフォーマンスとしても観客を魅せてきた出久だったが、個性の副作用に浮かない顔をしていた。
八百万に即席で幼い体に合った体育服を作ってもらったのだが、テンションの上がった女子メンバーにこの後着せ替え人形とされる運命も決まってしまっていたのだ。
正直逃げたいが、幼女化に伴い身体能力が著しく下がっているため、逃げ切れる自信がない。
というか、女子メンバーはA組だけでなくB組の女子も含まれているため、数の暴力でも押し切られそうであった。
結論。諦めたら? 試合終了だよ?
憧れのオールマイトがメダルを渡してくれるとあって、テンションが上がったが、そのオールマイトにナチュラルに幼女扱いされ、深い傷を負ってしまったりする。
思わず泣きそうになってオールマイトを慌てさせたのは快挙といえるだろうか?
「よく頑張ったな! よーしよーし、高い高ーい!」
「オールマイト!? こ、こども扱いは、その……グスッ」
「あ、そうだったね! ごめんね! つい……なかないで!?」
一方、優勝した爆豪はというと、
最初の宣言通り、優勝を見事に勝ち取った爆豪だが、同時についてきた不名誉に複雑そうに顔をしかめていた。
決勝戦の戦いが自分の満足のいくものだっただけに、最後のオチが納得いかない。
『ロリコンってなんだよ。ロリコンって。しかも相手はデクだし……フザけんな!』
栄光あるトップと取ったというのに、なにゆえ性犯罪者扱いなのか!
メダル授与の際もオールマイトの下手くそすぎる慰めをもらい、逆に悲しくなりそうな爆豪だった。
「伏線回収見事だったな。爆豪少年」
「オールマイトォ……俺ァ、完膚なきまでの一位を取ったはずだよなァ? なのになんでこンな扱いされなきゃならねえんだ!?」
何故か出久との間に柵が設けられているのを見てオールマイトの笑みが引きつる。
うん。正直コメントしづらい。
「あー、まぁ、うん。人のうわさも七十五日というからね! なあに、すぐに気にならなくなるさ。胸を張っていればいいさ!」
「慰め、下手か!! ロリコンだって胸を張ったらダメじゃねえか!」
ごもっともなツッコミに会場中が頷く。
オールマイト。いつもの爆笑トークはどこへいったの?
そんなこんなでぐだぐだに終わった雄英体育祭。
ある意味歴史に残るものとなったのだった。
オ・マ・ケ
体育祭の影響
雄英体育祭は全国放送で流されている。
そのため、当然のことながら出場して活躍した生徒はしばらくは注目の的だ。
教室では、登校した生徒たちが通学途中での自分たちの注目度について話が盛り上がっていた。
「超声かけられたよ。来る途中!!」
「私もジロジロ見られて何か恥ずかしかった!」
「俺も!」
どことなく嬉しそうに語る彼らに対して、瀬呂は複雑そうな顔で言う。
「俺なんか小学生にいきなりドンマイコールされたぜ」
ため息を吐く瀬呂の言葉を聞いて爆豪は鼻で笑った。
『ハッ! 俺なんかロリコン扱いだ! ドンマイコールくらいなんだ!』
強く生きて、かっちゃん……
ベストマッチ!
体育祭後、しばらくは幼女の身体のままだろうということで八百万に衣服を何セットか作ってもらった出久。
だが、女子たちによるファッションショーの開催は避けられず、疲労困憊に陥った。
正直言って、体育祭の試合よりも精神的な消耗度は高い気がする。
なんとか時間を過ごし、帰ろうとしたところで八百万から呼び止められた。
「緑谷ちゃん、ちょっとお待ちになってください」
「えっと、どうしたの八百万さん(ちゃん? ナチュラルに幼女扱い……)」
自分の扱いに不安を覚えるのだが、問いただす元気もなく素直に用件を聞く。
いろいろと諦めたのだ。ホント。
「いままで使っていたカバンでは体に合っていませんでしょう? なので代わりに作っておきましたわ!」
「えっと、うん。ありがとう?」
鼻高々に渡されたのは、赤色の革の光沢が美しいランドセルだった。
確かに今の見た目には違和感はないだろうが、高校生になってまたランドセルを担ぐことになるとは思わなかった出久。
雄英高校の制服にランドセルというどこかマニアックな組み合わせの姿は、人々の目に留まり、ネットで話題となった。
こうして出久の黒歴史は拡散していくのである。
おそろいっていいね?
出久のH&Hモードの副作用は幼女化なのだが、もう一つ副作用がある。
それは髪の色がツートンカラーのままなのだ。
日が経つにつれて徐々にもとの緑色に戻ってきているが、今までと見た目が大きく変わり違和感がぬぐえない出久。
ちょっと元気がない出久に、轟が元気づけるために声をかけた。
「緑谷。その髪の色も悪くないと思うぞ」
「そう……かな? でも、違和感がぬぐえないや」
「色は違うけど俺と同じだと思えば(そんなに変に感じなくて)いいんじゃないか? 俺は(お前のおかげで自分の髪の色が)好きになったけどな」
「え、えっと?」
相変わらず言葉が足りない轟。
なんだかペアルックになったのを喜んでいるようなセリフにも思えなくもないような……
こうして誤解は深まっていくのだ。
オ・マ・ケ その2次回予告風なんちゃってアイデアメモ
ステイン「じゃあな。正しき社会への供物」
飯田 「黙れ…………黙れ!! 何を言ったっておまえは兄を傷つけた犯罪者だ!」
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「その命、ちょお~~~っと待った! 暫く、暫くぅ!
少々暴走気味ではござますが、その慟哭、その頑張り。
他のヒーローが聞き逃しても、私の耳にピンときました!
だってこの人、ご主人様のお友達ですから! ちょっと私に下さいな?」
※あくまでネタメモです。ヒーロー殺し編は書くかどうかも未定ですので。ご了承くださいませ。
ここまでが、以前投稿分です。
次回、新作。