雄英高校 嘘の災害・事故ルーム(通称USJ)
ヴィラン連合の襲撃により窮地に陥ったA組。
対オールマイト用の改人“脳無”により相澤先生が負傷し、首魁の死柄木によって蛙吹梅雨が殺される寸前となっている。
『ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ』
「へぇ、あの狐のメスガキ脳無相手にやるじゃないか」
出久は化け狐の身体能力と怪力を使って脳無相手に必死に食らいついていた。
対オールマイト用に作られただけあって、打ち込む打撃は吸収され、爪による裂傷も再生されてしまう。
暗示や狐火などの有効に働きそうな能力を使う余裕は、乙音から“羽衣狐”の力を渡されて1年程度の出久にはない。
このままではジリ貧状態になるのは見えている。
焦る出久に乙音が声をかけた。
『このままでは埒が明かん! 妾が体の主導権を奪えば能力はお主より使えるがあまりやりたくないのじゃ。なんとかせい!』
『なんとかって、無茶言わないでよ。てか、乙音がなんとかできるなら交代したほうがいいんじゃ』
『馬鹿者! この体はおぬしのものじゃ! そう簡単にポイッと渡すな阿呆め。
妾はおぬしの同居人ではあるが、おぬしを乗っ取るつもりはないのじゃぞ!!』
出久を叱咤激励する乙音。
どのような状況であろうと、憑依先の人物の人生を塗りつぶすことはしない。
それが“羽衣狐”乙音の信念である。
まぁ、結構な頻度で体の主導権を奪っているのだが、それはそれである。
『でも、このままじゃヴィランに殺されちゃうよ!』
『ええい! 情けない声を出すな! “アレ”を使えばよいであろう。
“アレ”はおぬしの代で発現した力じゃ。妾よりも使いこなせるはずじゃ』
『でも、“アレ”は使ったことは……』
『いいからやれ!』
力を出し渋る出久に乙音が怒鳴り声をあげる。
脳無の攻勢はますます強くなり、もはや一刻の猶予もない。
ほかのヴィランの相手をしてくれている同級生も心配だ。
出久は覚悟を決め、その個性を使う。
GAaaaaaaaaaaa!
「バカな、脳無が一撃で!?」
「聞いてないぞ黒霧ィ! こんな化物が生徒にいるなんて」
黒霧と死柄木が驚愕に顔を歪める。
それもそうだろう。
彼らの切り札である脳無が突如現れた巨大な九尾の狐に叩きのめされたのだから。
体長は10メートル以上、尻尾を含めた全長は30メートルはあろうかという巨大な化け狐が咆哮と共に狐火で脳無を焼きつくし、巨大な爪で切り裂き、尾の一撃で施設からたたき出した。
その威容にヴィランどもが浮足立つ。
もはや形勢は逆転し、ヴィラン連合の敗北が濃厚となったのだ。
「撤退しましょう、死柄木弔。オールマイトもいない今、ここで無茶をする必要はありません」
「クソ! なんだよあのチート。無理ゲーもいいとこだぜ…………出直すぞ、黒霧。ゲームオーバーだ」
黒霧の進言に従い、撤退を決める死柄木。
ワープゲートをくぐりながら化け狐になった出久を睨みつけ告げる。
「おまえのことは覚えたからな、狐女。次会ったときは殺すぞ」
殺意を露わにして立ち去る死柄木。
こうして、ヴィラン連合による襲撃はヒーローたちの救援を待つまでもなく終焉を迎えたのだった。
「もう大丈夫、なぜって? 私が来……た?」
「あ、ヴィランならもう帰りましたよ。オールマイト」
「あ、あれー?」
事件後――
「デクくん。すごかったね」
「あんな能力があるなんてすごいわ、緑谷ちゃん」
「麗日さん、あすっ梅雨ちゃん~ぅ」
出久は涙声で二人に返事をする。
なんだか妙に声が高いような。個性は解除しているはずなのにまるで女の子のような……
「あれ? デクくんもしかして」
「女の子のままなの、緑谷ちゃん?」
「さっきから、男に戻れないんだよぅ。うわーん!」
化け狐化の後遺症で女から戻れなくなった緑谷出久ちゃん。
見た目は涙目の地味系巨乳美少女である。
果たして、緑谷出久は男に戻れるのだろうか?
「救けてよ、かっちゃん!!」
「どうしろってんだ、クソナードがぁ!!」
~オマケ~
「ウチ、元男より小さい。ま、負けた?」
身体の一部分を比べて同級生にダメージを与えた模様。
どこがとは言わんが…