いずく1/2   作:知ったか豆腐

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いずく1/2 その5(雄英体育祭前夜)

 ヴィラン連合によるUSJ襲撃事件から一週間後の1-A教室。

 襲撃の熱も冷めやらぬなか、一週間後に迫った雄英体育祭に向けてやる気を燃やす生徒たちのなかで、出久は一人ガチ泣きしていた。

 

「よかった。男に戻れてよかった!!」

 

 USJで巨大化け狐になった後遺症でずっと女のままだった出久。

 今朝起きた時にようやく男に戻れたのだ。

 

「ちぇ、女のままでよかったのによー、緑谷ぁ」

「峰田くんには僕の気持ちは分からないよ!!」

 

 文句を言う峰田に割と本気のトーンで怒る出久。

 この一週間、女子たちによる女子のための女子力アップ講座を受けていたのだ。

 男に戻れないのなら、男子の制服では逆に目立つと、八百万が制服を作成。

 ついでとばかりに女性用下着まで作られて、女子たちの着せ替え人形にされたのは出久にとって黒歴史だ。

 一週間の女子生活で、男のプライドはすでにボドボドだ!

 

「知りたくなかった、知りたくなかったよ。ブラの正しいつけ方なんて!!」

「何それ! 興奮する!! 興奮するぞ緑谷!! 詳しく! ク・ワ・シ・ク!!」

 

 嘆く出久の言葉にエロを感じ取ったのか峰田が迫る。

 

「ねぇ、峰田くん。デクちゃんになにしとるん? 変なことするようなら飛ばすよ? 成層圏まで」

「ギャー! 全然麗らかじゃねーぞ!?」

 

 まったくもって麗らかではない表情で峰田を脅すお茶子。

 出久のモフモフの魅力に憑りつかれ、出久専属のセコムと化した麗日お茶子である。

 麗日以外にも、A組女子たちは出久の味方だ。モフモフは正義。

 

「残念だったな、爆豪。幼馴染が美少女から男に戻っちゃって」

 

 上鳴が爆豪をからかうように話しかける。

 爆豪の返事はいつものごとく怒鳴り声だった。

 

「ふざけんな、クソが! クソデクが男だろうが女だろうが俺には関係ねえ!」

「えっ、関係ないって、爆豪、おまえ、両刀(バイ)だったのか!?」

「どうしてそうなるんだ! このアホ面が!」

 

 不用意な発言をした上鳴は爆破され、すこし男前な顔になった。

 

「爆豪×緑谷……ゴクリ」

 

 教室の女子の誰かが生唾を呑み込む。

 

「ちょっと待てや! いまの発言誰だ!! この教室に腐女子がいんぞ!!」

 

 耳聡くその発言を聞き取った爆豪は怒声を上げる。

 自分が妄想のネタに使われるのは精神衛生上よくない。

 

「婦女子? 皆、そう呼ばれるには年若い気がするのだが?」

「分からねえな。何か意味があるのか?」

 

 意味が分からず、首を傾げる飯田と轟。

 それを見て蛙吹はつぶやいた。

 

「飯田ちゃん。轟ちゃん。ピュアね。そのままの二人でいてね」

 

 

『雄同士など、非生産的すぎて理解できぬ』

『どうしたの乙音? 何かあったの?』

『……数代前の主が腐りきっておったのじゃ』

『それは……大変だったね』

 

 BL怖い。

 そうつぶやく乙音に出久は涙を隠せなかった。

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