人類最強の小娘の日常〜この世界の不条理には別世界の不条理で対抗します!〜   作:黒須 英雄

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魔王城の双子姫 4ー3

「ほ、本当に完成したんですか!?」

「う、うん。そんなに驚くことかな?」

 

 うっ、本気で言ってる顔だ。

 確かにあの魔法を完成させているならば天才と呼ばれていてもおかしくはない。それどころか天才の枠さえも超越しているだろう。

 一体何者なんだ?

 

「俺はシャルテアと申します。お名前を教えていただけませんか?」

「こちらこそ、私はカルロです」

 

 カルロか、覚えておこう。何者かは分からないが、天才には違いないのだろうな。

 

【魔法模倣魔法】とは相手の魔法を読み取り、その魔法をコピーする魔法だ。どんな制限があるのかは分からないが、超優秀なのは確実だろう。

 

 あれだけ研究しても生み出せなかったのだから、俺はどうしても適性が無かったのだな……。

 

「これからどーすんですかー?」

 

 本気でやる気ないなゼルドミアは。

 

「そうだな。俺の姿が元に戻るまでは二人ずつに分かれて、この街で情報収集だ。ゼルドミアはそれを頼む」

「りょーかい」

「フェーカスとイアも同じだ。ペア分けは、ゼルドミアとフェーカス、俺とイアだな。俺が倒れた時に横にいてもらいたい」

「分かった」

「了解です!」

 

 めぼしい情報はないだろうが、どうせ俺の体が戻るまでは大きな行動はできない。

 それに……犯人達の目的も気になる。

 

 確かに戦闘力の高い吸血鬼族の頭を潰すことで、多少の戦力は削れたかも知らない。しかし、騎士達の殆どは生きている。

 街に大打撃を与えることが目的とは思えないし、そもそも魔人達が得をすることがない。

 

 ならば、逆に王が亡くなることで利益を得た人物は誰なのか……。まさかな……流石にそれはないだろう。

 

「それでは私はこれで。何かあったら言ってくださいねー」

「カルロ教授、色々お世話になります」

 

 ここを発つまではこの応接室と客人用の部屋を貸してくれることになっている。

 門を開けるにはこの学校の教員の魔力が必要らしい。そのため、壁の横には魔法通信器が取り付けられており、職員室から直接開けられるように設定されているそうだ。

 中々画期的だと思う。

 

 それから俺達は二つに分かれ、情報収集を開始した。

 俺とイアは学園の西側、フェーカスとゼルドミアは東側だ。

 

 しかし、どちらとも大した成果は得られなかった。

 そんな感じで何の成果も上げられず、この学園に来て三日が経った。

 

 その夕飯時

 

「ああ、襲撃ならこの学校にもありましたよ? 魔人のやつですよね」

「そうなんですか!? どうやって対処を?」

 

 そこからはカルロ教授の武勇伝を聞かされている気分だった。

 まず、街に現れた魔人達が奇妙な魔法を使い、吸血鬼が当たるだけで死に至ることが判明した。

 ここでカルロの【魔法模倣魔法】が役立った。

 奴らの魔法を模倣し、その魔法で攻撃した。

 その事で、単なる小さな襲撃くらいにしか感じなかったらしい。

 次の日、この学園に仕掛けられた何かを発見した。これまたカルロ教授が。

 その何かを設置場所から取り外し、破壊したそうだ。

 結局何だったのかは分からなかったらしい。

 

 つまり、殆どカルロ教授一人で対処してしまったのだ。

 

「本当にすごい人なんですね! アルフォード君には及びませんが」

「こらフェーカス! 俺よりもこの人の方がよっぽど凄いぞ! すいません、うちの駄犬が」

「いえいえ、気にしないでください。それに皆さん……僕のことを買いかぶり過ぎなんですよ」

 

 いやいや、それは謙遜って度を超えてるぞ。ここまで自信なさげだとなんかムカついてくるな。

 

「それよりも駄犬ってなんでなんですか? 普通の男の子にしか見えませんけど……」

「フェーカス、やるなよ」

 

 今にも元のフェンリルの姿に戻ろうとしていたので止めた。この部屋を潰す気かお前は。

 

「こいつは幻獣種のフェンリルなんですよ。あの森の主と呼ばれていたそうですが、元々俺のペットだったので連れてきました」

「そ、それは何とも大胆なことをするね。それにフェンリルをペット扱いって何者なんだい?」

「まぁ、そのうち分かりますよ」

 

 ただの十歳すぎの女の子ってことがな。

 明日か明後日には反動が来るだろうな。ある程度の覚悟をしとかなければ。

 

「私は第五研究室にいるので、何かあれば来てください。それではおやすみなさい」

「今日もありがとうございました」

 

 ついでに補足すると影はいない。

 夕食など、普段の生活の時は母の護衛に戻っているらしい。

 あの働かなさそうな男がねぇ……実の所は少し見直した。

 

 翌朝

 

「第一王子が王位を正式に継承したそうだぞー」

「そうか。それがどうかしたのか?」

 

 というかまだしていなかったのか。

 それくらい切羽詰まっていたということか。

 

「その王立継承の時の宣言が少し面倒な内容だったんだよなー」

「もったいぶらずにさっさと話せ」

「奴隷……奴隷制度の拡大を宣言したんだよ」

「本気か!?」

 

 今までの奴隷制度は、召使いという認識が強く、生活なども保証されていた。

 それを拡大した。つまり、奴隷の権利の剥奪を拡大したということだろう。

 

「具体的には?」

「奴隷の全権利の剥奪。それに奴隷の販売、奴隷商人が認められた」

「……はっ!?」

 

 全権利? 流石にやり過ぎじゃないか?

 それに奴隷商人だと!? 今までも非公認、貴族御用達の奴らはいた。それを公認にするということは……奴隷狩りを認めるに等しい。

 

 一体何のつもりでそんなことを? 意図が読めない。

 このままでは国が荒れてしまう。

 

「それとー、第二王子が行方不明だそうだ。王妃には伝えていない」

 

 凶報尽くしの朝だった。

 暗躍する影の一端を垣間見た気がしたが、それを引っ張り出すことは雲を手で掴むようなレベルの話だろう。

 




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