魔法先生ネギま~人間をやめた男~   作:EDF

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おはようございます・こんにちわ・こんばんわ。
初めての方は始めまして。
初共闘です。
タイトル通り東方のあのキャラが出ます。
*冒頭から中盤の自己紹介の所までの「彼」とは主人公のことです。仕様です。読みづらかったらすいません。



第一話 華人小娘

彼が故郷を飛び立ち早数時間、彼の眼下には大きな森が広がっていた。

(この森があるという事は、もうフランス国内か。この辺はまだ戦火が届いていないんだな)

頭の中で、記憶した地図を思い出しつつ飛ぶ。

滑空しながら、目的地を考える。

(行くのなら明か日本だな。”仙人の住む桃源郷”と”妖怪と人が共存する集落”……。人を超越した俺にとって、安息の地はそこしかないな)

彼はにやっと笑い、速度を速める。

 

 幾つもの山越え谷越え、二月の歳月をかけて(今の中国)の広州の近くの山野に降り立った。

身体を元に戻し、広州の街へと進む。

「ついたついた! さて観光だ」

まあまあの賑わいを見せる街中を歩く。

露天で売っている怪しげな商品を眺めつつ、大通りを歩いていると人だかりができている。

「なんだろか? 見世物でもあるのか?」

余程人気がある見世物なのか、人だかりは厚くそして大きかった。

興味を引かれた彼は人だかりに近づく。

そして近くの男に聞いた。

「ちょっと失礼。何かあるのか?」

「ん? 兄ちゃん見かけない顔だね? 旅人かい?」

「ああ、見聞を広めるために旅をしている」

当り触りのない返答を返す。

「なら丁度良かったね! 今、役人達が恐ろしい邪龍の門番を捕まえる所なんだ!」

男は興奮気味にそう言った。

「……ふーん。珍しいモノには変わりないか」

対して彼はどうでもよさそうに返事をして、人込みをかき分ける。

(どんな奴かな? やっぱりごつい怪物みたいな妖怪か?)

「ちょっとお兄さん押さないでよ!」

「あ、これは失礼」

もみくちゃにされ、やっとのことで人込みをかき分け終える。

その人だかりの中心には、紅い髪をした渋めの緑色のチャイナドレスを着た女性と、役人らしき男と武装した数人の衛兵が居た。

(うほっ 美 脚 美 人 !! こいつぁ助太刀しないとな!)

眼前の女性は整った精悍な顔立ちに燃える様な紅の髪、スラリとした無駄のない美脚、そして勤労意欲をそそるボインな女性だった。

「ついに見つけたぞ、邪龍の門番め! 大人しく捕まれ!」

衛兵を引き連れた役人が、剣の切っ先を女性へと向けて叫ぶ。

「冗談じゃありません。なぜ捕まらなければならないんです? 私は何の危害も加えてはいない筈ですが?」

女性は落ち着いた声で言い返す。

「黙れぇ! 邪龍と関係を持つ者は皆ひっ捕らえよとのご命令だ! 大人しく捕まれ! 捕らえろ! 包囲陣形!」

役人がそう叫ぶと、衛兵たちがざっと展開し、女性を取り囲んでいく。

 

「やれやれ、女性一人に恥ずかしい限りだな?」

彼はそう言って、眼前の役人に歩み寄った。

「何だ、貴様は! 貴様もこの妖怪の仲間か?」

突然現れた彼を睨みつける役人。

Exactly(その通り)!」

彼はそう言って、役人を蹴り飛ばした。

役人は数人の衛兵を撒きこんで転がった。

「ぐっ、つ……! な、何をしておる!? さっさと捕えろ! 不可能なら殺せ!!」

役人の合図で、衛兵達が武器を構え、二人ににじり寄る。

 

彼は女性の真後ろまで来て、背中を向ける。

「誰か知りませんが、足は引っ張らないで下さいね」

女性は首だけ彼の方を向いてそう言った。

「無論。申し訳ないが背中は任せるよ」

「ええ分かりました。そのかわり私の背中をお願いしますね」

背中合わせで互いの隙を庇うようにしながら、衛兵達を睨む。

 

「死ねぇ!」

目の前に居た衛兵が斬りかかって来る。

「踏み込みが足らんねぇ?」

彼は衛兵の剣の腹を強く打ち払う。

すると甲高い音を立てて、剣は折れてしまった。

「うぇっ!?」

「驚いてる暇があったら逃げた方が良い」

彼は目を丸くして驚いている衛兵の頭をつかんで、力強く他の兵に投げつけた。

「ぐわっ!?」

「かふっ……」

二・三人を巻き込んで、役人と人だかりに突っ込んだ。

「そんな数打ちものの(なまく)らでは俺は切れんぞ? どうした、もっと気合入れてかかってこいよ!」

ニヤニヤしながら挑発する。

 

「ヒュ~ッ♪ やりますねぇ。では私も」

女性も口笛を吹いて、余裕綽々といった感じだった。

そして、やや腰を落とし兵の顎を掠める様に蹴りを放つ。

「ハアッ!」

風切り音と共に、鋭い蹴りが顎を掠めた。

(直接蹴った方が威力が高いと思うんだが……?)

彼の疑問を余所に、まるで舞を舞う様に続けざまに蹴っていく。

蹴られた兵は、白目を剥いて気絶していった。

(う、美しい……)

彼は、その一連の動作の美しさに、つい戦いの手を緩める。

 

「よそ見するとは余裕だな!」

衛兵の声でハッと我に返り、突きだされた槍を交わして、そのまま掴んで引っ手繰る。

(いけねぇいけねぇ。つい見とれてしまった)

感心しつつ、襲い掛かってくる衛兵を奪った槍で次々に打ち伏せていく。

「一群の敵を屠るには一槍あればよいってな。こちらは終わったよ。そっちは?」

あらかたの衛兵を打ちのめした彼は槍を地面に突き刺し、女性の方へ振りかえる。

気絶した衛兵達が彼女の前に横たわっていた。

「こちらも片付きました。助太刀ありがとうございます」

「増援が来られても面倒だ。今のうちにお暇しますかね。……よかったら一緒にどうです?」

「良いですね。特に目的もありませんのでご一緒させていただきます。さぁ! 逃げるならこっちです!」

女性はにこっと笑んで、彼の手を取り走りだした。

(随分と積極的(アグレッシブ)な女性だなぁ)

彼は微笑んで手を強く、だが苦痛を与えない程度に握り返した。

 

 

 二人は広州の街から離れ、近くにあった森で野営をすることにした。

「さてここまで逃げれば大丈夫だろ。自己紹介がまだだったね。俺は東郷村雅(とうごうむらまさ)。気軽に村雅と呼んでくれ。これからよろしく」

村雅は自己紹介をして右手を差し出した。

「私は紅美鈴(ほんめいりん)です。こちらこそよろしくお願いします。気軽に美鈴と呼んでください」

美鈴も自己紹介をし、出された手を握り返す。

「とりあえず二つほど質問です。一つ目はなぜ私を助けたのか、二つ目は貴方の旅の目的はなにかです」

一先ずはといった感じに、腰かけて村雅に問うた。

「二つ目の質問からお答えしよう。”桃源郷”と”妖怪と人が共存している集落”を探している」

「ああ。でしたら無駄足でしたね。もうこの国に桃源郷は存在しませんよ」

美鈴は首を横に振った。

 

「なんと……」

「各地にあった桃源郷は、今となっては人間の住処です。かくいう私も以前は桃源郷で暮らしていたんですがね。なんでも、良い鉱石が採れるとか何とか言って反妖怪意識の高い連中に追いやられてしまいまして」

「抵抗はしなかったのか?」

「勿論その意見も出ました。ですが龍神様はそれを良しとはせず全面降伏です。それで仲間たちとも散りじりに……」

美鈴は目を伏せ俯きがちに言った。

 

「そうだったのか……」

村雅は気まずそうに後頭部を掻いた。

「まあ、今となってはどうでもいい事ですが。では一つ目の質問に答えてください」

「答えは、まあ簡単だ。紳士だからだ。紳士たるもの女性には優しくせよ……ってな」

「は、はぁ……」

美鈴は余りにも拍子抜けする答えが返って来たため、半ばポカーンとしている。

 

「……とんだお人好しさんですね?」

美鈴はやれやれといった感じで、苦笑いを浮かべた。

「それが俺だよ。まぁ、時と場合によりけりだが」

ニッと笑って美鈴を見る。

「あ、そうだ。さっきの時のだけどさ」

村雅は思い出したように美鈴に言う。

「先ほどの体術は見とれるほど素晴らしかった!」

「そう褒められると照れますね。よろしければ教えましょうか?」

美鈴は照れ笑いを浮かべて言う。

「それは是非ともお願いしたい。……明日からは紅師範と呼べばいいか? それとも紅先生か?」

村雅はやや興奮気味に言う。

「分かりました。未熟ながら教授しましょう。う~ん……まぁ、呼びやすい呼び方で呼んで? あまりそう言うの慣れてないので」

「じゃあ普段は美鈴さんで、稽古の時は紅師範と呼ばせてもらうよ」

「じゃあ、それで。では野営の準備、しましょうか」

村雅と美鈴は再度硬く握手をして、野営の準備に取り掛かった。

 




いかがだったでしょうか?
もう一・二話挟んで村雅の設定を投稿しようかなと思っています。

感想・意見・修正・質問等お待ちしております!


*「投稿が遅いのは書き直しているからです」という言い訳を置いておきますね。


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