鈍感な提督と戦う艦娘たちの日常   作:ふ爺さん

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昔に書いていた作品なのですが、久々に見たら突っ込みたい部分が山ほどあったので書き直しながら再掲することにしました。駄文ですがお付き合いしていただければ幸いです。


鹿島があざといだなんて僕は知らない。

「おはようございます、提督」

 

その言葉を聞いて目を覚ます。

すると、何故か今日の秘書艦である鹿島が布団の中に入っていた。

鹿島の顔が間近にあり、息がくすぐったい。

ついびっくりしてしまい、鹿島と距離をとると、鹿島はムスッとした顔をした。いきなり距離をとってしまったのだから機嫌を悪くしたのかもしれない。

とはいえ、いつも通り気になることを尋ねることにした。

 

「ねえ、鹿島。………鹿島といい他のみんなもどうして毎日布団の中に入っているんだい?」

 

そういうと、鹿島は目を潤ませながらこちらを向いて、

 

「すいません、提督。 寒かったもので…つい提督の布団に入ってしまいました。

その……迷惑だったでしょうか?」

 

なんだ、そういうことか。待っている間、寒さのあまりつい布団に入ってしまったんだな。なるほど、それでみんなも入ってきてたのか。

 

「あー、そうだったか。寒かったのなら僕に責任があるなぁ……

とはいえ、そんなに寒いんだったら僕のコートを貸してあげようか?

でも、僕の着t「嬉しいです是非とも貸して下さい!!」………」

 

なんか必死な顔で言葉を遮られた。うーん…それだけ寒いのかな?

季節は冬だとはいえ、一応暖房設備はしっかりとしているつもりなんだけどな……

よし、今日はみんなで暖まれる料理を鳳翔さんに頼むとしよう!

うーん…おでんもいいけど鍋もいいな……そうだ、僕だったら決めるのに時間がかかるし、ここは鹿島に決めてもらおう。

 

「ねえ、鹿島。 今日は鳳翔さんにおでんか鍋をお願いしようと思うんだけど、どっちがいいかな?」

 

そう尋ねると鹿島は逡巡することもなくやや食い気味で答えた。

「鍋にしましょう! みんなでつつけるし、楽しいではありませんか!!(だって提督のお箸に触れる機会が……キャッ♡)」

 

流石鹿島だ。優柔不断な僕と違ってすぐに決めてくれる。

鹿島にお礼を言い、そしてコートを被せてあげる。

クローゼットに入れてたものだから少し寒かったのだろうか、震えている。

このままではまだ寒いのかな?

 

「ねえ、鹿島? まだ寒いのかな? 寒いなら正直に言ってくれていいんだよ」

 

そう言うと、鹿島はおずおずとした感じで

 

「その…提督がよければ、抱きしめて暖めて欲しいのですが……ダメ…ですか?」

 

うーん、いくら寒いとはいえ、僕なんかが鹿島にハグするだなんて……。

鹿島もいくら提督だからとはいえ嫌なんじゃないか?

 

「いえ、決してそんなことはありません!! さあ、お願いします!!」

 

あれ?今僕声に出してたかな?

でも……そこまで言われると、提督として艦娘の要望に応えない理由はない。

とはいえ、僕も男だ。女性と抱きしめ合うともなると、少しばかり緊張する。

 

「で…では失礼して……」

 

鹿島の背中に壊れ物を扱うが如く優しく手を回す。なるほど、たしかにクローゼットの中に入っていたからなのだろうか、コートはかなりひんやりとしていた。

鹿島に風邪を引いてもらいたくない一心で彼女を抱く手を少し強くする。

 

「…………むきゅぅ♡………」

 

 

数分が経っただろうか、彼女を抱く手を緩める。

暖まったのだろう、鹿島の顔は真っ赤だった。

よし、これで鹿島も風邪を引かないだろう。

 

「大丈夫っぽいね。 申し訳ないけど、着替えるから席を外してもらってもいいかな? 」

 

「………きゅう………」

 

そう言うと、鹿島は錆びついた機械のような動きをして部屋の外に出ていった。

みんなの中ではロボットダンスが流行っているのかな?

後で教えてもらおう。さて、今日も一日頑張るか!

 

ーーーーーー

 

ザザッ……ザザッ……

 

「見た? 鹿島の奴、提督のコートを着せてもらったばかりか抱きしめてもらってやがりますよ!」

 

 

「まさか布団の中に潜り込むとは………そこの場所は譲れません」

 

「ちょっと加賀! あんたも前に潜り込んで折檻食らったでしょ!?」

 

鎮守府の中にいるほかのメンバーだろうか、暗くなったこの部屋で喧騒が起こり始めていたが、

 

「静かに」

 

その一声で静寂に包まれる。

静まったのを確認した大和が、極めて平穏(大嘘)な解決策を提示した。

 

「ここは会長である、赤城さんに判決を決めてもらいましょう」

 

そう言うと、今まで沈黙を保っていた赤城が初めて口を開く。

 

「ええ、ギルティです。 今日は秘書艦なので手を下せませんが、明日の演習では少し反省していただきましょう」

 

微笑を携えながらえげつないことを言っているが、これも日常茶飯事。事実、ここにいるメンバー全員が同じ目に遭っている。

 

「「「「御意に」」」」

 

ここはとある部屋の一室。この部屋の存在を(鈍感な)提督は知る由もない……

 

 

 

ブルッッ!

 

「どうしたんだい鹿島? 部屋に戻ってくるや否や震えたりして?」

 

「……いえ、少し悪寒がしたもので……」

 

悪寒だって!? 鹿島は風邪を引いちゃってるかもしれないのか!?

そう思った僕は鹿島の頭に右手を当てる。「ふぇ!?」うん、予想通り熱いな……

 

「鹿島。しんどいのなら、休んでもいいよ?」

 

そう言うと、鹿島は慌てた表情で

 

「いえいえ、全然大丈夫です! さあ、行きましょう、提督!」

 

そう言って鹿島は僕の手をとって提督室へと足を進めた。

 

ーーーー

 

 

提督の仕事はこう見えてハードだ。

 

「鹿島! 明石に連絡をとって、資源の残量を確認して!」

 

「提督、備蓄室からボーキサイトをかなり消耗していて、備蓄が心許ないと」

 

いつも通りの業務でも十分に忙しいのだが、ここは鎮守府。想定外の事態が起こるのだってある意味普通のことである。

 

「こちら五十鈴!! 敵潜水艦が遠征先のオリョール海に多数出現!! 救援をお願いします!!」

 

このように想定外の事態が起こるのだって日常茶飯事だ。

しかし提督は焦る様子もなく淡々と、そして的確に指示を出す。

 

「了解、まず第六駆逐艦の全員に遠征先の変更を。 そして浜風、浦風には五十鈴達と合流し、作戦δをもって敵潜水艦を急襲するように電報を」

 

「了解です!」

 

このように日々鎮守府の状況は二転三転することも多い。

しかも、提督には書類面での仕事に加え、本部との連携もしなくてはならない。

前にいた提督は面倒だといって私たちに押し付けていたのだが、今の提督は片手間程度に終わらせてしまう。おかげで私たちの仕事は連絡するだけになった。

私たちですら10人がかりでやっとの仕事を一人で難なくやり遂げるなんて……

提督の気づかないところで好感度がどんどん上がっているのだが、提督はそれに気づかないばかりか、

 

「ごめんな、鹿島。 こうして仕事を押し付けてしまって」

 

とまで言う始末。

提督は基本ハイスペックなのに、致命的なまでに鈍感だ。

普通に考えて、晩までかかる仕事を午前中で終わらせてる提督がおかしいだけなんですけどね……

 

そして一時間後には作戦に参加した艦娘全員が帰港した。

普通に考えて片道二時間はかかるはずなんだけど…………

 

「電、たった今帰投したのです!」

 

「五十鈴、浜風と浦風と合流し、敵潜水艦を全滅させることに成功。

こちらも今帰投しました!」

 

提督に褒めてほしいのか我先にと報告をしていく。

そんな彼女たちの表情を見て、提督もうれしかったのだろう、彼女たちの頭を撫でながら、

 

「お疲れ様。 電、これをあげるからみんなで甘味処で楽しんできなさい。

そして、五十鈴。 浦風が小破したことも、勿論君たちも怪我をしたと言う話は聞いている。とりあえずは休んで、落ち着いたら明石にソナーを点検してもらってくれ。

鳳翔さんの方にお願いしてご飯を豪勢にしてもらっておくよ。」

 

そう言うと、全員が嬉しそうな顔をした。

 

「提督さん、私たちと一緒にパフェを食べに行くのです!」

 

電たち、第六駆逐隊が提督を誘ったかと思えば、

 

「提督ー、私たちで食べきれるか分かんないし……後で一緒に食べよ?」

 

五十鈴や浜風たちも対抗するように提督を誘う。

 

「ああ、わかっ「チッ」 どうしたんだい鹿島? なんか嫌なことでもあったのかい?」

 

「いえ、気のせいです。 お気になさらず」

 

「あ、ああ。 了解した。 じゃあ、五十鈴たちは夜に食堂で。今日は鍋だから楽しみにしておいて。鹿島もお疲れ様。 鹿島もゆっくりとするんだよ?

じゃあ、電。一緒に行こっか」

 

そう言って、提督は執務室を出て行った。それに五十鈴も電も続く。

さて、私も帰ろうと思い、部屋を出たのだが、

 

「鹿島さん、貴方には出頭命令が出ています。 抵抗は無駄なので、速やかに投降することをお勧めしますよ♡」

 

鹿島は榛名に捕まった。(GAME OVER)

 

 

その日、晩になるまで鹿島の姿を見た者はいなかったと聞くが、真実は明らかでない。

提督も、しんどかったんだろうなぁと持ち前の鈍感さを発揮していた。

 

ーーーーー

 

「被告人、前へ」

 

「被告人、鹿島。 貴方は提督の聖域である布団に潜り込むだけでなく、コートを着せてもらい、有ろう事かハグまでしてもらったという罪がありますが、何か申し開きでもありますか?」

 

「………」

 

「無言は肯定と受け取ります。 では陪審員。どのような判決にいたしましょう?」

 

「「「「死刑で」」」」

 

「被告人、鹿島は死刑ということで確定しました。 明日の演習が楽しみです。」

 

「よし、明石に徹甲弾の発注を!」

 

「長門、これまでになく楽しそうな顔をしているよ? じゃあ、私も徹甲弾を頼もっと♪」

 

「待って、長門や大和が撃つ徹甲弾なんて受けたら死んじゃいますって!!」

 

「「「「だって死刑じゃん?」」」」

 

「………」

 

次の日。

 

「うわっ、どうしたんだい鹿島!? 演習とはいえ、大破しちゃってるじゃないか?」

 

「いえ、お気になさらず。 これは私の不注意のせいなので」

 

「そうか、でも演習で良かったよ……本番だったらと思うと心が痛いからね……

入渠して、ゆっくりと休むんだよ? 鳳翔さんに元気が出るものを頼んどくから!」

 

「お気遣い、ありがとうございます」

 

提督は気づかない。彼女の後ろにいる皆が達成感に満ちた顔をしていることを。

提督は気づかない。今日の仕事で鋼材が減っていた理由が徹甲弾の作りすぎであることも……

 




自分は提督であったりと明確な人物像がないキャラほど設定を詰め込むことができるので書いてて楽しいですね。
次回、提督がピンチに陥らないです。
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