鎮守府管理録   作:麻原彰晃

5 / 5
誤字報告ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
それと投稿をサボってしまい、申し訳ありません。いや、センター試験だったんで遅れても良いかなって思った(笑)




5

「……なるほど。こう来たか」

 

 朝食の後のコーヒーを飲みつつ朝刊に目を通していた時のことだ。

 その日ももちろん多忙で、気の休まる暇もない一日の中のほんのわずかな気晴らしのはずだった。

 

『舞鶴鎮守府の提督が事故死』

 

 新聞の一面トップで報じられるのではなく、全国紙でありながらも隅の方にこそっと載る程度の記述。それは何らかの作為を感じさせずにはいられなかった。

 

「……大淀。忙しいところ悪いんだが、この件の調査をお願いできるか?」

 

「……それは急ぎの案件でしょうか?」

 

「残念ながら急ぎだ。今後の計画に支障が出るかもしれんからな」

 

 言外に抗議の色を灯しながらも大淀は不承不承といった体で頷く。申し訳ないが急ぎの用事である。次作戦の策定にあたって、お上に対してもっとも非協力的な提督の一人がこのタイミングで事故死したというのは心当たりのありすぎる事案である。

 

 溜まりに溜まった事務仕事を処理しつつ、大淀の調査を待つ。

 調査と言っても、もちろん正規の手続きを踏んだ調査ではない。情報処理に定評のある大淀のスペックを大いに生かした非合法の調査である。

 

 この国において、一般人ならいざ知らず、そこそこの地位にある人間の突発的な死に、どこかの国の工作員が関わっていないとは思えない。この国は工作員天国である。

 

 例えば、現状で最高の戦力と言える艦娘を多く保有する日本国は、米国にとって仮想敵国となり得る。米国の艦娘保有数は群を抜いているが、日本とイギリス、イタリアなどが手を組んで戦争に至ったとすれば勝利は覚束ない。ましてや艦娘と言う量産はおろか、替えの宛すらもない謎兵器相手である。深海棲艦を撃滅した後の事を見据えて自国以外の艦娘を矢面に立たせようとするのは自然な流れと言える。

 

 艦娘の欧州派遣前に行われた海外での大規模掃討作戦は、米国西海岸の深海棲艦の撃滅だった。

 我が国が米国からの圧力に耐えかねて、ついに憲法九条の改正に至った原因でもある。

 

 当時の米国は、無傷の東海岸周辺を橋頭保にして、自国の西海岸を取り戻すために大規模作戦を行っていた。パナマ運河を確保し、復旧させるまでは順調そのものだったが、東海岸の深海棲艦の能力は一線を画すもので、最大勢力の米国ですら手を焼いたらしい。その精強さは世界の警察というプライドをかなぐり捨てて、実質属国状態の国の戦力を自国の領海内に迎え入れるという手段を取ったことからも分かるだろう。この件で米国初の黒人大統領は選挙で大敗を喫したのだが、それはまた別の話である。

 

 ここまでの経緯から米国の思惑は明白である。深海棲艦との戦争が終わった後に、自国以外で過剰な艦娘の保有を認めたくないということ。かつての強国である中国は今や見る影もない。となれば次の敵はロシアか日本になる。そして欧州救援作戦も、これから行われるであろう中国救援作戦も誰の指示の下、誰が手を汚したのかを世界中に知らしめる必要がある。

 

 世界最強は米国であり、日本はその指示を聞く犬だから、我々こそが世界を統べる資格があると主張したいのだろう。黒人大統領からバトンを受け取った成金大統領の発言からはそれが透けて見える。そしてその恫喝に屈した日本の議員や、金で買収された議員どもが永倉提督を処分したのかもしれない。とにかくこの国の連中は上から下までどうしようもない。周りが無能だから俺みたいな程度の低い人間でも、提督のトップを任されるのかもしれないが、そんな大役は正直な話ご免だった。今さら遅いけどな。

 

「……提督。暫定でよろしければ調査の結果をお耳に入れていただきたいのですが」

 

「いつも余計な仕事を申し付けてすまんな。この件に関しては上も口を開かないのは目に見えているからな。お前くらいに頼れる奴がいないのは理解してくれ」

 

 俺がそう言うと、大淀は顔を少し赤らめて俯いた。

 照れてるなこいつ。

 そう思いながらも口には出さないのが紳士のエチケットである。

 

 女所帯の鎮守府に配属された男性提督は、基本的に非常にモテるのだ。それはケッコン制度を設けたことからも分かる通りである。ケッコン制度は特定の提督と艦娘が強い絆をさらに深める儀式である。その性質上、別の提督とケッコンしてしまった艦娘を自分の指揮下に入れるのはなかなか難しいことだと言える。

 

 だからこそ舞鶴鎮守府の提督の死は痛い。

 

 幸い彼は艦娘とケッコンしてはいなかったのだが、個人的に彼を慕っていた艦娘は居るかもしれない。大雑把だが豪放磊落な男で、俺の先輩にもあたる人だから性格もそれなりに知っている。そういう人物が亡くなったことに対して個人的な感傷を持っているのはもちろんのことだが、未だに実感が沸かないというのもまた事実である。提督の身辺警護や情報管理にしても、永倉提督は若干疎かにしていたのかもしれないが、俺が出しゃばっても今度は提督同士の仲に亀裂が走りかねない。

 

 各鎮守府の総まとめを務めるという立場にはあるが、口を出していい分野と出してはいけない分野がある。実際に俺は職務の関係上、政治家や財界の連中と会う機会も他の提督に比べれば多く、誰の息がかかっているのか分からないという不信感が他の提督にはあるだろう。そして提督同士の不仲が好都合に思える人間が居るというのも事実だ。

 

 例えばこれまでの戦果を盾に政界入りしたりするような提督が居れば、それは現状に満足する議員の方々にとっては邪魔な存在だろう。国が一般国民の意識を変えようという方針に消極的な理由の一つがこれだと思われる。艦娘は姿は人間でも、あの恐ろしい深海棲艦と同じ化け物で、提督はそいつらに欲情する変態ロリコンであるという図式は彼らにとって実に好ましいものだし、心の底からそう思っている議員もいるのかもしれない。

 

 ……潜在的な敵国ではあるが、米国はこの辺りの問題をよく対処できたなと素直に尊敬してしまう。

 

 確かにやることなすこと日本を顎で使い、主に提督連中には余分な過剰労働と、艦娘には余計な損傷を与えるような害悪の見本でしかないが、人が持つ権利という点に関してはさすがに進んでいる。この件に関しては英国も目を見張るものがある。人権問題後進国には頭の痛い問題である。

 

「それとこの件は報告書なんて纏めなくて良い。いつものように極秘だ。口頭で説明を頼む」

 

 余計な考察をしまい込みながら大淀に説明を頼む。大方碌な内容でないのは明らかだが、それでも聞かなければならないのだ。我々が今直面している悪条件は出来るだけ把握しておく必要がある。




恋愛要素入れたいけど書けねえ……
正直、この世界線なら提督が指揮を執るより艦娘が指揮を執った方が良い気がするんだよな(笑)


それにしても、センターは強敵だった……。二次試験の方が自信あるから(震え声)
合計で端数を除いて765。35点のビハインドで済むとは思ってもみなかった。700点を割ると思っていただけに想定外。正直、今年受からないと浪人してもこの点数は取れないと思う。浪人したら働けと言われてますけどねwwww
流石に足きりはないやろ(震え声)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。