何かすざくが計画倒産の社長役を押し付けられている感じの本家への哀しみを込めて

パズキューレからデルタで

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戦乙女の葬送

此れは、何だろうか。

 

風深き草原に朽ちる、石造りの建造物。

 

千年の年月の果てに、積み重なった献花は土へと還り、

枯れ果てた草花の上には、新たな切り花が置かれていた。

 

墓標。

 

いつの日か、蘇ると謳われた。

 

遥か彼方の時代、伝説と成って久しい、ワルキューレの騎士の墓標。

 

そして、襤褸を纏った人影がひとつ。

 

「おかしな話なのです、駄主人様」

 

灰色の襤褸の下には少女の形をした、白く、無機質な輝きが在る。

 

赤金の髪を切り揃え、冠の如き機械を被せている。

 

武骨としか言えぬ巨大な黒金のガントレットを片腕に嵌め、

それより伸びる四肢には、機械人形独特の継ぎ目が浮いていた。

 

機動少女、デルタ。

 

遥か古代、アルカナの輝きも久しい世界に造られた機械人形。

千年の昔に目覚め、戦乙女としての名を現代に伝える。

 

音を立て、黒金が外れ落ちた。

 

その下に在った腕に、そっと視線を移す。

 

千年前、蚤の市で偶然見かけた盗掘品、ワンオフのハンドパーツ。

 

胡散臭い商人と、大きな背中。

振り返る笑顔は、まるで子供の様に無邪気で。

 

綺麗だと、貴方は言った。

 

嬉しいと言う気持ちを、識った。

 

今も眼を閉じれば、鮮やかにメモリーが再生される。

 

機械だと言った ―― 女の子だと、言われた

 

消耗品だと言った ―― かけがえが無いと、言われた

 

心を持たないと言った ―― 愛情を、教えてくれた

 

「流石、機械に散々18禁な事をした変態は言う事が違うのです」

 

悪態は今も変わらず、千年を経ても色褪せる事は無い。

 

そう、まるで昨日の事の様に。

 

それでも ――

 

「千年間、ずっと待っていたのに」

 

そしてようやく、巡り合えたのに。

 

「なんで」

 

何故、

 

「どうして」

 

何故 ――

 

「私を知らない貴方になって、帰ってきやがりましたです」

 

キシリと、

 

人工知能が軋む音が聞こえる。

 

いっそ心が、

 

貴方の望んだ心などと言う物が無ければ良かったのに。

 

ああ、やはり此れは墓標であったのだろう。

 

遥かな時代の、私と、貴方の

 

数多のワルキューレ達への、想いの。

 

僅かに奔る風が、赤金の髪を揺らす。

流れぬはずの涙が、確かに頬を伝うのを感じた。

 

一頻りの風が吹き、気が付けば影が伸びる。

 

「――」

 

僅かに口元が動き、大切な名前を呼ぶ。

ついぞ呼ぶ事の無かった、かつての貴方の。

 

それは、誰に聴かれる事も無く風の音に消えた。

 

「デルタ ―― ガーディアン」

 

やがて静かに、惜別の言葉が響く。

 

「ワルキューレとしての務めを、果たして参ります」

 

吐息を挟み、プログラムに走った警告を意識に変える。

これを言葉にすれば、優しい貴方はきっと悲しむのでしょうね。

 

でも、良いのです。

 

「―― この身果てるその時まで、貴方のために」

 

悲しめば良いのです。

 

そしていつか、たくさん褒めろ。

 


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