えー、無事進級できたのですが、やはり去年とは勝手が違い、課題とか課題とか課題とかに追われておりました。
よく考えたら去年もそうでした。
すまんかった。
轟音。
ビルの一部が跡形も無く吹き飛んだ。
なんなんだアレは?!
おかしい。勝己の個性は確かに爆発系だったが、あんな大規模な爆発は見ていない。出来たとしても恐ろしい程の反動があるはずだ。何か
「授業だぞコレ!」
「緑谷少年!!」
鋭児郎とオールマイトが声を上げる。
「先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ殺しちまうぜ!?」
「オールマイト、ありゃほっといたら出久が死んじまう。俺もそう思います」
鋭児郎と合わせて訴えるも、オールマイトは次同じことをしたら強制終了だと告げる。それを聞いた勝己は両手を爆発させ、出久に接近。タイミングを合わせて反撃を試みる出久だが、勝己は目の前で爆発を起こして目眩しと同時に背後を取り、空中で出久に爆撃を浴びせる。更に、硬直した出久に籠手での打撃。よろめいた出久の腕を掴み、もう片方の手を爆発させて推進力を生み出し、回転しながら地面に叩き付けた。
息もつかせぬ連続攻撃。
あまりの惨さにリンチだ、ヒーローじゃないなどと声が上がる。
出久は勝己から距離を取ろうとするも、壁際に追い詰められてしまう。
はて、妙だな。どうして出久は個性を使わない。何か理由があるのか?
二人は向かい合い、何事か叫んでいる。音声が伝わって来ないので内容までは分からないが、二人共感情を剥き出しにしている。
出久の腕に緑のスパークが走り、勝己の手に紅蓮の爆発が宿る。
互いの拳が交わる、と思ったその瞬間。
出久はその腕を真上に振り抜いた。
その衝撃は四階にまで到達し、床が砕け散る。飛び散った瓦礫を、待ち構えていたお茶子ちゃんが柱を振り回して吹き飛ばした。飛んでいった先には天哉。その隙を突いて、自身を浮かせたお茶子ちゃんが
『ヒーローチーム…WIIIIIN!!』
出久の身体が、ドサリと崩れ落ちた。
『保健室へ』『I know』
気絶した出久は
〜地下モニタールーム〜
「まあつっても…今戦のベストは飯田少年だけどな!!!」
「なな!!?」
「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
「何故だろうなあ〜〜〜? わかる人!!?」
オールマイトが霞むような速度で拳を天に突き上げた。張り切る新米教師といった風情である。
「「ハイオールマイト(先生)」」
おや百ちゃんも手挙げてる。
「どうぞどうぞ」
「あ、いいんですの? コホン。では失礼してーーー」
正に立て板に水。流れるような弁舌はとどまるところを知らない。誠に遺憾ながら、長かったので割愛する。
場所を変えて第二戦。
「お次は…
マジかー。
「アタシ芦戸三奈! 個性は【酸】!体から酸を放出できるよ!」
「俺は赤黒血早。個性は【血】だ。主に血液の硬化とかができるぜ。よろしく、三奈ちゃん」
「入試の時はありがとう!すごいね、あのデカロボ倒しちゃうなんて!」
「あーその、俺が好きでやったことだし、そんな気にしなくてもいいぜ?」
「うん、わかった。それで、作戦どうする?」
「ああ、俺に考えがある。聞いてくれるか?」
「もちろんだよー!」
〜少年説明中〜
「私は御東霞。個性は【瘴気】。粒子を放出して、固めたり動かしたりできるよ」
「俺は常闇踏陰。個性は【
『ヨロシクナ!』
「入試の時は助かった。あの時お前があの傀儡を倒してくれなければ、俺は疾うに冥府の門をくぐっていただろう」
「私が好きでやったことだから、そんなに気にしてくれなくてもいいよ」
「ああ、承知した。それで、何か策などはあるか?」
「うん。私に考えがある」
〜少女説明中〜
「それじゃあ少年少女、スタートだ!」
ザグ、ザグ、ザグ、ザグ。
短めに固めたパタをビルの壁に突き刺し、登る。
「こっち側にはいねえな…」
ザグ、ザグ、ザグ、ザグ。
ーーぴちょん。
「うわっぷ!?」
雫が顔に直撃した。
「なんだ、雨か? いや、今日は一日晴れだったはず…」
ザグ、ザグ、ザグ、ザグ。
「よいしょっと」
ありゃ、貯水タンクが水漏れしてる。オールマイトに報告しとこう。
「こちら血早。屋上に到着。どうぞ」
『こちら三奈!核兵器らしきものと霞ちゃんを発見!どーぞ!」
「ん? らしきもの?」
『なんか大きなのが黒いのに覆われてるよー?』
「成程。多分霞の個性だ。今そっちに向かう」
『イエッサー!』
「この部屋か?」
「うん」
「んじゃ打ち合わせ通り」
「イエッサー!」
屋上の手すりに手を掛け、思いっ切り体を振り上げる。その勢いで今度は体を振り下ろし、メタルブーツで窓ガラスをブチ破る。
ガラスの破片が飛び散る中、前転して着地する。
「こちら霞、血早と遭遇。戦闘を開始する」
「こちら血早、霞と遭遇! 戦闘を開始する!」
全身から血液を迸らせると、白銀の鎧が紅く染まる。俺の個性因子を混ぜてあるため、俺の血液と融合して性能が上がるのだ。両手の籠手から剣を伸ばし、霞に斬り掛かる。
ガキィィィン!!
甲高い音を立てて紅剣が弾かれる。
「まぁ、んな楽に行く訳がねえか!」
霞の背から黒い霧が溢れ出し、蛇のように蠢いている。いっつも思うけど、メデューサみたいだな。いや、どっちかってーと八岐大蛇か?
「りゃああぁぁぁ!!」
斬り上げ。避けられる。
斬り下ろし。弾かれる。
薙ぎ払い。逸らされる。
袈裟斬り。止められる。
全く攻撃が通じないが、通じる必要はない。
「今だ!!」
「とうっ!!」
俺が蹴り破った窓から、三奈が飛び込んで来た。
「核を!」
「ラジャ!」
三奈が黒い壁に手を当てると、そこから壁が溶けていく。
「っ!」
それを見た霞が核の方に近づこうとするが、それを黙って見てる訳がない。全身の力を振り絞って霞を抑え込む。時間を稼げば俺達の勝ちだ!
「うわあぁ!?」
なんだ!?
思わず振り返った俺の目に映ったのは
なんか黒いやつだった。
「まさか…」
「その通りだ、赤黒」
霞は、核兵器じゃなくて、
「くそっ!!」
霞の横をすり抜け、部屋を飛び出す。
どこだ、核兵器はどこだ!?
この残り時間じゃ虱潰しに探しても見つからない!!
いや、まてよ?
窓を開けて剣を外壁に突き刺し、屋上まで登る。右手の剣を長く伸ばし、貯水タンクを切り裂くが、水が出てこない。
やっぱりだ!!
貯水タンクを切り開くと、そこに核兵器が鎮座していた。
「させない!」
「クソ、まぁそう来るよなぁ…」
仕方無い、ここで霞を倒すしかないか。
「行くぜェ!!」
『ヒーローチーム、WIIIIN!!!』
「あらら?」
走り出していた俺の体はいきなりの音声に止まれず、つんのめった。
柔らかい。それが最初に抱いた感想だった。
「ち、血早…それはちょっと、ほら、三奈ちゃんもいるし…」
「ごごごごめん!! その、なんというか全く悪気は無く、あくまで不慮の事故であって」
「ううん、別にいいよ血早なら…」
「なんか言った?」
「な、なんでもない!!」
「え〜っと、アタシはどういう反応すればいいのかな?」
「「見なかったことにしていただけると大変ありがたいです」」
「ん、わかった! それにしても息ぴったりだねぇ」
〜少年少女移動中〜
「よし、それじゃあ今回の総評だ!…と言っても、屋上にはカメラ設置してなかったからね、四人に話を聞こう」
「先ず、我々は屋上の貯水タンクの水を抜き、核兵器を其処に隠した。そして屋内に御東の個性で囲いを作り、俺がその中に潜んでいた、という訳だ」
「んで俺がそれに気づいて貯水タンク開けたら、霞が追っかけて来てなんか終わった」
「アタシ常闇くん倒したから上に登って来たの!そしたら誰も気づいてなかったからさー!裏からこっそりタンク溶かしてタッチしたの!」
「なるほどそれでか。ありがとう三奈ちゃん」
「そう言えば、どうして貯水タンクに気づいたの?」
「壁登ってたらさ、雲一つ無いのに雫が落ちて来たんだ。んで上着いたらタンク水漏れしてたんだけどさ、明らか勢い弱かったんだよ。漏れるっていうより垂れてるって感じ。だから中が空だと思ったんだ」
俺がそう言うと霞と常闇は顔を見合わせた。
「やっぱり全部抜いた方が良かったね」
「いや、あの時間で其処までするのは無理だろう。あれが我々にとっての最善だ」
「成程、それじゃこの話を踏まえて、今戦のベストは誰だ!?」
「はい、オールマイト先生。常闇さんの奇襲をいなし、なおかつ戦いにピリオドを打った芦戸さんですわ。御東さんは見事な作戦を立案されましたがーー」
キング・クリムゾン!!
冗談です、ハイ。
「そんじゃ、次行ってみようか!」