どうぞ。
あれからなんとかかんとか騒ぎをおさめたけど、そのせいで仗助君を見失ってしまった。
ついでにサウザー君も見失ってしまった。
ま、最初からその気がなかったから、別にいいんだけどね...。もうあいつのことほっといて帰ろっか。
あーあ全く、時間としては短かったはずなのにどっぷり疲れたよ。
早くかえって寝ようっと。
そう思って僕は帰路についた。
十分後。
再びエンカウントしました。
誰かって?もちろんあの聖帝様と。
「えーと、サウザー君?」
今度は今度で僕の家の近くの茂みでなんか覗いてた。
僕の存在に気づくと、彼はばっとふりかえって、
「おそいぞ広瀬康一!何をやっていたのだ!」
「うん。人の苦労も知らないでよくそんなことが言えたね。」
「フハハハ!おれは聖帝!あのような有象無象の目など感じぬ!動じぬ!」
「いや少しは感じようよ!僕に迷惑がかかっちゃってるから!」
全く傍若無人というか...。
もう怒りを通り越して尊敬できるよ...。
「まあそんなことよりだ、奴、東方仗助の目的を突き止めたぞ!」
いや、興味ないと何度もいうに...。
ん?でも、こんなところにいるのか?
「こんなところに仗助君がいるっていうの?」
「フハハハ!そうだ!ここを覗いてみるがいい!」
まあ、出くわしてしまった以上、見ないわけにもいかないか。
「...。」
僕は茂みの穴を覗いた。
そこにいたのは、誰かと話をしている仗助君だった。
誰と話をしているんだ?
その人物の方を見た。
!あれは、
「空条承太郎さんじゃないか!」
「ぬ?」
そこにいたのは、白い服装に身を包んだ、空条承太郎さんだった。
彼は仗助君が僕を助けてくれたあと、通学途中に会って知り合いになった人物だ。
サウザーとひけをとらないか、それよりガタイがいいかもしれないくらいかの体型だが、彼はスポーツ選手などではなく、海洋学者さんらしい。
仗助君に用事があって杜王町に来ていたみたいだけど...。まだ滞在していたのかな?
「あれは知り合いか?」
「うん、まあね...。」
「フッフ、なるほどな...」
すると、サウザー君がどこかへ行こうとした。
「ちょっと待って。サウザー君」
僕はなんか嫌な予感がしたので、呼び止めた。
「何だ?」
不思議そうな顔でサウザー君が振り向く。
「一体何をする気なの?」
「フハハハ!ちょっと、な。」
高笑いをすると、シュパッという効果音が似合うポーズで、
消えた!?
「ねえ!?ちょっと、ねえ!?」
どこにもいない...。これはまずい。
頼むからあの承太郎さんには、余計なことしないでくれよー!
サウザーは、後ろから回り込み、
ーボゴアッー
「聖帝ボディプレス!」
なぜかそこにあった巨大岩を粉砕し、インパクトを与えた上での登場を果たした。
「ん?」
「ん?」
フハハハ、下郎共が戸惑っておるわ、とご満悦な彼である。
「「あ」」
だが、何かに気づいたように声を発した二人の違和感には気づくことはなかった。
「サウザー登場!」
「...。」
「...。」
俺と承太郎さんはいきなりの展開に言葉を失った。
「誰だ?この変態野郎は?」
承太郎さんがこう聞く。
「あー、えっと、サウザー、です。一応、俺の友達ってことになってるんすけど...。」
「お前の友人?」
なんだそれは、と眉間にしわをよせた。そりゃそうだ。
「おいそこの巨漢の下郎!」
サウザーが承太郎さんをズビシと指さした。
「下郎って、てめえ俺のことをいってんのか...!」
「フハハハ、その通りだ!」
これを聞いて少し警戒体勢をとる彼。
「一体何の用だ...。」
すると、サウザーはさらに見下したような目で、
「フン、そう構えるでない。」
いや、構えるのは当たり前だ。
すると、次の瞬間、サウザーは衝撃の言葉を口にした。
「友達の知り合いは友達!よって、貴様にご挨拶しに参ったのだ!」
「...は?」
数秒の静寂とともに思わずこう返した。自分の耳がイカれているではないだろうか。
「どうも、元聖帝軍十字陵高校現ぶどうが丘高校生徒、聖帝のサウザーです!」
しかし、相手は勝手に自己紹介をしだした。どう考えても現実だ。あいつの頭がおかしいんだ。
だって承太郎さん、いっちゃあ悪いが見た目巨漢ヤクザにしか見えないぞ?それ相手に初対面で友達になりましょうって...。
そもそも初対面で友達友達言う自体もあれだろうが。
「...」
なんだろう、承太郎さんの表情を見たくない。
「なあ、仗助。こいつ一発殴っていいか?」
やはり案の定だ。
「いや、こういうやつなんすよ!抑えて抑えて!」
「というか、どう見ても高校生じゃねえだろうが...。」
意味のわからないことがあるとすぐに手が出る彼の習性...いや、一般人でもこういうときこんな風に思うのかな?
「気のせいだ!」
サウザーもサウザーでなんか開き直ってやがるが。
「チッ、まあいい。俺達に危害を加えるつもりがないようなら許してやる。俺の名前は空条承太郎だ。」
え!?承太郎さんが名前を教えた??嘘だろ、今の流れで!?
「よろしくゥ!フハハハハ!」
サウザーは無邪気に喜んでいるが、少しこの人にしてはチョロすぎはしないだろうか。
「こいつの言う通り本当にお前の友人だというなら、これから関わることがあるかもしれんからな。」
なるほど。いや、なるほどじゃない!あんたは保護者気取りかよ!
しかし、なんかさっきから違和感があるんだよな?
あ、そうだ!
「あ!というか、テメー!こんなとこにいるってことは、さては俺の後をつけてきやがったな!?」
ギクゥ!!
「い、いやぁー、なんのことかな、かな?」
この期に及んで逃げの言い訳かよ...。
「取り繕わんでもいいわそんなこと。」
「まったく...。この頃の俺ってそんなに怪しく見えたんだろうか...。でも残念だったな、これはテメー達には興味のわかねーようなことだ。しょーもないっつーかなんつーか。」
本当のことを言えばこの逆。こいつにとっちゃあ興味ありありの物件なんだけどな。
ところでもう一人完全に茂みから特徴的なケツが出てるやつが見えるが。
「なあ、康一。」
「えっ!?」
ガサガサと音を立てて出てきたやつがいる。やっぱり康一か。
お前もお前でバレバレすぎんだよ。
「仗助の言う通りだ。」
「もうたった今話は終わった。そろそろ日がくれる...。お袋が心配するぜ?早く帰るんだ。」
ナイスフォロー承太郎さん。
「あ、ああ。分かりました。」
素直に康一は返事してくれた。あ、サウザーがあいつに引かれていく。力とかはどう見てもサウザーの方が上なのにな。頭の上がらない何かがあるんだろうか。
「ま、サウザーは知らんがな。仗助。俺達はとっとと行くぞ。」
すると、承太郎さんはこっそり何かが書かれた小さい紙を俺に見せてきた。なるほど、ここから先の話は承太郎さんの泊まっている杜王町グランドホテルでをするようだ。
「うぃーっす。」
俺は適当に返事をする振りをした。
この案件に関しては、本当にあいつら二人は無関係だ。そして、これからもそうであってもらいたい。
いや、そうでないと困るんだ。腕っぷしの強いサウザーでも、結局はただの一般人だ。
決して一般人が好奇心で首を突っ込んでいいものなんかじゃない。もし俺のせいで巻き込んじまってあいつらの人生を狂わせることになったなら、
俺はどう責任をとればいいのかわからなくなっちまう。
頼む、俺のためにもお前らのためにも、あまり詮索しないでくれ...。
ふう、大事にならなくてよかった。
こいつは体は大人、頭脳は子供的なやつだから何をしでかしてもおかしくなかったんだけど...。いや、すでにやらかしてはいたんだけど。
「ねえサウザー?」
僕はそういってタンクトップのえりを引っ張った。
しかし、妙に軽い。
ん?あれ?
これは!
「等身大のめちゃくちゃ細部にまでこだわった異常な出来の人形だ!!」
要するに、リボルテック等身大サウザー像!いつの間に?
てことは、本物のサウザーは!?
「もうこれ何度目だよ...。」
~50メートル先~
「フハハハ!この聖帝の目はあざむけんぞ!何かを隠していることは分かっておるのだ!このままついていって...」
その瞬間、サウザーに見えない拳がとんだ!!
「へぶしっ!!!」
ードサッー
「...。」
「マジっすか...。承太郎さん。」
「やっぱりな。それにしても、あれどうする?ほら、サウザーが砕いちまったやつだが...。」
「あれは...。いや、俺はもう知りませんよ。」
「そうだな。俺たちはなにも見なかった。知らんふりをしておこう。」
アンジェロ?そんなもん知らない知らない。