続きどうぞ!
気持ちのいい朝だ。
本来ならそのはずなんだけど。
僕は今、めっちゃくちゃ目覚めがわるい。
うーん、なんでだろうな....。
昨日夜更かししたっけ。
いや、そもそも何時に何をしたかすらおぼえてないや。
まあ今日が日曜日だから別にいいんだけど、もう一度寝る気にもならないんだよなぁ....。もう着替えとくか。
そう思ってベッドから起き、僕は衣服棚をあけようとした。
その時、
「ん?」
棚の隙間から小さな何かがはらりと落ちた。
「なんだこれ。」
僕はそれを拾い上げてみたが、完全に「?」、となるようなものだった。
それは、写真だ。
しかも、白黒のである。
そこには部屋がうつっているが、自分には全く見覚えがないところだった。
見た感じ、洋風で、必要最低限のものしかおかれていないような質素な部屋だ。
自分の部屋とタイプは多少似ている。似てはいるが、どう見ても自分の部屋ではない。
そもそもだ。この二十世紀が終わろうとしている時に、白黒写真だって?
逆に昔の写真だとしても綺麗すぎるというか....。
いろいろ考えられて少し気味が悪かったけど、こういうのって無暗に捨てない方がいいのかなあ....。そう思って僕は自分の机の中にしまうことにした。
僕の日曜日の日課として、ランニングがある。
僕はチビだから、体力ぐらいはつけておかなくちゃいけないと思って高校から始めたことだ。
どうせなら背ものびてほしかったが、無いものは無いんだから仕方ない。今でも努力はしてるけどね。
高校生活を満喫するためにはいじめられないようにすることが大事だし、これはそのことに役立つかなあって思ってる。
最初は公園を2周しただけで息が乱れてしまっていたが、最近はそれの2倍くらいの距離を走れるようになった。
我ながら運動不足だったと思う。
そして、今日もいつものルートを走って、日課を終えたが、
帰ってきてみると家の前に、なにやら場違いの服装をした人がいる。
あれは...。サウザー君ではなさそうだな。
同じような格好をしてたから一瞬そうかと思ったけど、よく見たら髭と角ついてるね。ってあれ、サウザー君よりやばい?
明らかに関係者なんだろうけど、どうしよっかな...。無視しようかな?
そう考えていると、向こうが僕に気づいたようだ。
すると、相手は顔を綻ばせて、こちらに近づいてきた。
いや、僕この人しらないんだけど?
「もしかして、貴方はサウザー様のご友人の広瀬康一様でございますか?」
「あー...一応そうですが。」
「そうでしたか、ちょうどいいところに。」
すっごい表情怖い...。でも、こんな人が僕になんのようだろう?
「私はサウザー様の執事のブルと申します。あの方からこれをあなたに渡すように、と。」
すると、相手は懐から箱を取りだし、僕に差し出した。
やっぱりサウザー君がらみか。ていうかあなた執事なのかい!
でもなんだろうこれ?サウザー君の顔柄がついてるけど。もった感じ軽いな。
嫌な予感がするけど、開けてみればいいのかな?
「はあ、わざわざありがとうございます。では。」
「あのー...。」
僕が立ち去ろうとすると、後ろから声がかかった。
「つかぬことをお聞きしますがサウザー様は学校ではどのようなご様子で?」
執事だから、やっぱり見てないところは気になるのかな。
えと、この場合なんて答えたらいいのかな...。
悪いことは言えないよね。差し障りのない答えを返しておくか。
「別になにもしてませんよ?普通です。」
「そうですか?それなら良いのですが、あのお方のことだからところ構わず高笑いしたり、あの豪奢なバイクをぶっぱなしたりしてハッスルしまくっているのではないかと。」
うん。完璧にあたってるね。
「何もないならそれに越したことはないのですが、何しろこういう場は初めてですからな...。いや、元々家でもあんな...ごほんごほん。」
いま、家でもそうだっていいかけたぞ?
この人、なんか色々苦労してそうだな...。
ん?でも今気になることをいったね。こういうのが「初めて」?
「そうなんですか...。あれ?聖帝十字稜高校は?」
「あれは自宅ですぞ?」
今なんていった?自宅?
「じ、自宅?」
「はい。子供達に教育を施すため自宅を学校に改造したものです。サウザー様が冷やかし半分で教育委員会に申請したら、なんと本当にとれてしまいまして...。」
「えー...。」
うそだろ...。
どうなってんだ杜王町...。
「ええ、私としてもそれはさすがに茶を吹きましたがね。」
だろうね。僕もそうなるわ。
「でしょうね、僕もそうなりますよ...。」
「まあ、サウザー様が楽しそうならそれでいいのですがね...。」
すると、ブルさんは少し疲れたような表情でハハハッと笑った。
「しかし友人が出来たことも素晴らしいことですし、そのことで貴方に私共はとても感謝しております。康一殿なら、私共の家にいらしてくださればいつでも歓迎いたしますぞ。」
「えっ」
え、いいよいいよ、というかあの時は僕だって一人でも友達が欲しかったし。
確かにすごい面倒くさい奴ではあるけれど...、そして、まだちょっとしか一緒にいないんだからわからないけど、何か嫌な気分になる奴でもない...かな?
それにしてもどんな家なのか気になるけど、きっと家も普通じゃないんだろうな。
ピラミッドでも上に乗っかってたりして。いやいやそれはさすがにないか。
「感謝なんていいですよそんな...。お互い様ですしね。」
「貴方は優しいのですな...。」
「貴重なお時間をとっていただき、ありがとうございました。」
すると、ブルさんはペコリとお辞儀をした。
なんだこの人。こんななりで普通に常識人じゃないか。
ぼくもいえいえ、とお辞儀を返すと、彼は去っていった。
サウザー君の関係者って全員世も末なんじゃないかと思ったけど意外とちがうんだな。いや、この人だけかもしれないけどね。
今からこの箱を開帳しなければならないわけだけど、
なんか怖いな...。
僕は、深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。
きっと何が入っていても驚きませんように、と。
......よし。
さあ、決心のとき!それ!
僕は一思いに箱を開けた。
すると、なかに入っていたのは、
「...あれ?」
普通のクッキーだった。
あれ?逆に凄い拍子抜けするな。サウザー君がクッキー?
よく見ると横に手紙が入っていた。
どれどれ。
「ひろせこういちへ
前の集会でクッキーをつくったんだけど
余ったのであげます。
サウザーより」
そういうことか。
匂いは....普通だ。
でも、どうかんがえてもこれはやばそうな気がする。
これ、他の人にもふるまったってことだよね?
だってサウザー君がお菓子?絶対すごい化学反応起こしそうだって。
けれど、食べないと後で感想聞いてきそうで怖いんだよな...。
ええい、一口、一口だけ!
ーパリッー
....。
あれ?
普通にうまい。
まさかのギャップエンド。