家の中は割と整理されていた。
空き家だと思っていたが、やっぱり誰か住んでいるのかなぁ...。
俺は今サウザーと一緒に家の中に侵入している。
サウザーはもう一人窓から見えたと言っていたから、目的地までは一直線だ。
でけぇ家だなー。一体何千万つぎ込んだらこんなもんができるんだろうな。
2LDK、いやもっとあるんじゃねえか?
「フン、おれが目をつけただけはある!全て整理されておるわ。」
サウザーが満足気に言う。
俺もこんな家にすみてぇなー。
そして、二階に着いた。
ここの何処かだ。そう思ってある扉の前を通りすぎたとき、
「ここだ!」
サウザーが立ち止まった。
そして、扉を
「扉バーン!!」
-バカァン!!-
普通に開けろ!
わざわざ鍵もかかってねえのに扉を壊す必要ねえだろ!
「フハハハ!こちらから出向いてやったぞ!!」
...
中にいたのは、
虹村億泰と同じような服装をした、角刈り風の男だった。
「サウザー、こいつか?」
...しかし、何か違和感がある。
...こいつ、俺たちが入ってきたっていうのに微動だしていないぞ。
「おい?」
「いいや、こやつではないな..。よく見ろ。」
よく見ろ?
俺はその男に近づいてみた。
ちょっと待て!瞼すら動いてねえぞ!
あっ、これ、
人形だ!
「人形じゃねーか!」
「そうだ!」
!?今の声は誰だ?
サウザーではない!
まさか...?
「もう遅い!貴様らは射程距離に入っているぞ!」
-ダダダダ-
「うわっ!」
足元にするどい衝撃が来た。
今のは何だ?怪我してねえだろうか?
そう思って足元を見た。
!!床に穴が?
「何だ!?」
しかも、蜂の巣みたいになってやがる!
これは...。
くそ、間違いねぇ、またあれだ!
だが、肝心の本体はどこに...。
「ちっ、外したか...。」
「!!上か!」
上だと!
恐る恐る見上げると、
天井に大男がぴっとりと張り付いていた!
「気づくのが遅いのだよ。だが、幸運だったな...。」
そう言うと、男はひらりと天井から床に舞い降りた。
図体がでけえのに身軽だな...!
「ぬぅ!?」
サウザーも気づいたようだ。
いきなり現れた男に対して、少し動揺していた。
「ククク...。」
それを見て、目の前の男は不敵に笑う。
すると、サウザーがズビシッと相手を指差した。
「貴様がレジスタンスの残党か!?」
いや、さっきから言ってるけどレジスタンスってなんなんだよ...。
案の定相手も少し呆けた表情をした。
「レジスタンス...?訳の分からんことを言う馬鹿がいたものだな。」
「フハハハ!とぼけるでないわ!」
絶対に違うと思うが...。
「一体なんのことだ?まあいい。私の名前は虹村形兆。貴様が先程倒した億泰の...兄だ。」
結局それの意味はわからずじまいか...。
だが、今聞いた話では、こいつは億泰の兄だと...?
「兄だと?あの訳のわからんことを喚くやつのか?フハハハ!弟があのざまだと、貴様の実力も知れていようぞ!」
あぁ、またあおってやがるよ。
学習しないのかな...。全く、こいつには敵が多そうだぜ...。
「オイコラ、調子に乗るなよ...!あのような愚弟など、倒されて当然。私を奴と一緒にするんじゃあねえ...。」
弟のことを愚弟だと...。あまり仲がよくなかったんだな。
自分自身、矢を持つ男、という情報は聞いていたが、二人組の兄弟だということは知らされてはいなかった。
こいつとあいつ、全く似てねぇようにおもえたんだがな?
じゃなかった!
また戦闘フラグを立てやがったサウザーをどうにかしないといけねえっ!
お前は俺に任せておきゃあいいっつーの!けれど全然うまくいかねーよおああちくしょう!
「いや、サウザー!オメーはやっぱり引っ込んでろ!」
サウザーの肩を握り、強引に前に出ようとした。
すると、反対にガシッと俺の手を握りかえされ、後ろに放り投げられた。
身長180の俺を!?
「ぐはっ!?サウザー!俺の言うことを聞いてくれ!」
「何を言う東方仗助...?」
何を言うって、くそっ、説明できねぇ!
「何って...。もともとそれは俺の案件だ!これ以上首を突っ込まれたら色々困るんだよ...!」
「フッ...。何を言うかと思えば...。こやつはおれをおびやかす存在!害虫は駆除しておかねばならぬわ!」
「ば、馬鹿いうんじゃあねぇ!お前は本来関係のないやつだったんだ!それに、お前じゃぜってー死なねぇだろ!」
「あのなぁ東方仗助よ...。」
すると、ため息をつき、こういった。
「死ぬか死なぬかは問題ではないのだ...。おれは、おれの平穏無事で自由な生活の邪魔をされるのをこの上なく嫌う。
よいか、おれは毎日楽しく面白おかしく暮らすのだ!」
そして、俺にズビシ、と指差した。
な、何だよ。
「その為に、この不届き者は許してはおけん!仗助よ!大船に乗った気持ちで待っているのだな!」
ちっがーう!
体格もなにもかも上だけど違うんだって!
おい、ちょっと待て待て!
外に連れ出すな!この野郎!
「助け合うのが友情というものであろう?」
正論!正論だが!
そんなことを言えるような状況じゃねえんだよ!
サウザーは、扉に鍵をかけて、俺を完全に外につまみ出した。
だが俺にはそんなことは通じない。
ぶち破れこんなもん...!
五秒後。
扉を壊して入ってきたはいいものの、
もう既に決着がついていました。
うっそ...。なにこれ。
「なあ、東方仗助よ...。」
形兆が人形ごと壁にめり込み、サウザーは変わりなくそこにたっていた。
部屋のなかは何一つ荒れていない。
まさかまたパンチング一発?
そして、背を向けたまま俺に話しかける。
「えっと...なんなの?兄弟二人揃って手がどうだの軍隊がどうだの?」
ゆっくりと顔を俺の方に向ける。
...。滅茶苦茶怪訝な顔してるわ...。
「なに?もしかしてこやつら、最近世の中に増えてるっていう...頭の危ない人達...?」
...。
確かに、サウザーから見ればそう思うか...。
「なあ、サウザー。もしかして、パンチング一発?」
「うむ、そうだがな...。」
こいつら相手にそれって...。
一体どうなってんの?
確か、相当な実力者だって聞いていたはずなんだが...?
「こやつらを倒したら家ごと略奪して聖帝軍基地にしてやろうと思っていたのだが...。もうそんな気も失せたわ。」
すると、サウザーは再びくるりと背を向けた。
てか、そんなこと考えてたのかよ...。
まあ、やりそうなことだけど。
「帰るぞ。」
ずんずんと廊下を進んでいく。
...もう知らん。考えるのをやめた。
俺は、弓と残りの矢をちゃっかり見つけ出して、承太郎さんに渡して帰った。
一応、二人は救急車を呼んでおいた。
サウザーさん初っぱなから飛ばしぎみ。