お正月企画三題噺シリーズ・ネクスト   作:ルシエド

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お題は『ドッペルゲンガー』、『巌窟王』、『カレー』


第二回:華麗なるカルデアの食卓

「カレーって美味しいですよね」

 

 アルトリアのその一言から戦いは始まった。

 日本で愛されているカレーが実はイギリスで生まれた、ということをご存知だろうか?

 イギリス飯は不味いと言われているが、実は新しい料理を生み出そうとする者も定期的におり、イギリス料理が高評価な国も多い。

 中国料理は濃すぎるという国も、日本の料理は塩分が多いと思う国も多いので、大切なのはお国柄に在った料理・その個々人に合う料理なのである。

 

 さて、この地球上でこれが問題となる場所は?

 ……そう、カルデアである。

 

 古今東西の英霊が集まったこの場所は、西洋と東洋の味覚の違い、過去と現在の味覚の違いがモロに出るという現代の魔境!

 現代人向けの味付けが濃すぎるだの脂っこいだの言われることも珍しくはない。

 『美味いもの』なんてものは、時代と場所で変わっていくものなのだ。

 が、共通する『美味さ』も確かに存在する。

 多くのサーヴァントが好みとする味付けは存在し、マスター藤丸が好みとする味付けが存在し、それを追求することには意味があるのだ。

 

 アルトリアの一言は味の好み論争を引き起こし、サーヴァント間の言い争いを誘発し、最終的にこうなった。

 

「第一回! チキチキ『カルデアで最も美味いカレーライス対決』ゥー!」

 

「司会のダ・ヴィンチちゃん! そのチキチキの意味は!」

 

「これはイギリスのチキ・チキ・バン・バンという映画が元だとも言われているね。

 チキチキバンバンは1968の映画だから元ネタ知っている上で使ってるならお爺ちゃんだよ」

 

「あれそれダ・ヴィンチちゃんがお爺ちゃんってことじゃ」

 

「愉快な審査委員を紹介するよ!

 審査員1! 我らがマスター!

 審査員2! カレー臭のアルトリア!

 審査員3! カレー臭の新宿アーチャー!

 審査員4! カレー臭の千子村正!

 審査員5! カレー臭の柳生但馬守宗矩!」

 

「うわあ父上が加齢臭を発してる枠に!

 年齢的にもうアラフォーなのに十代半ばの少年を仕事にかこつけて食うショタコンだから!?

 年甲斐もなくショタ食いに精を出す心を体が反映しちまったのか!? なんてことだ!」

 

 叛逆の騎士の蒸発が、試合開始の合図であった。

 

 Aブロック第一回戦第一試合は巌窟王VS新宿のアサシンの好カード!

 どちらも腐女子の餌食にされやすい容姿と性格をしており、同人誌やファンイラストでは格好の餌にされている!

 普段腐女子の食い物にされている彼らが食い物(カレー)を作るとは何たる皮肉か!

 

「あの調子こいてるアヴェンジャーに吠え面かかせてやるぜ」

 

「ふん、やってみろ。英霊未満とドッペルゲンガーの融合体ごときができるのならな」

 

 ちなみに今日は5/14イエローデー!

 恋人が居ない人がカレーを食う日。

 ついでに言えばローズデー!

 恋人が居るならデートをしなければならない日だ。

 恋人が居ない人間を確実に殺しに来ていると言えよう。

 

「これは……巌窟王選手、ドラゴンだ!

 ドラゴンの肉を入れている!

 ブロック状に切り分けたドラゴンの肉を、一度サイコロステーキ状にして……入れたー!

 これは旨い! 絶対に旨い! ドラゴンの旨味が全てカレーに出ることだろう!」

 

「ダ・ヴィンチちゃん、解説ノリノリだね」

 

「巌窟王選手はドラゴンのサイコロステーキの他、じゃがいもやニンジン等を投入!

 適宜切れ目を入れていたりもするが、全体的にかなり大きい!

 これは具材を大きくしつつも、味をしっかり染みさせる満足タイプカレーだァー!」

 

 正統派な日本風カレーを作る、巌窟王に対し。

 

「新シンくんはベーシックなチキンカレー……い、いや! 違う!

 鍋が五つ有る! それぞれが別の皿を割り当てられてる!

 そしてそれぞれの鍋の前で……五人の審査員それぞれに変身している!」

 

「ダ・ヴィンチちゃん、これは一体!?」

 

「そうか、我々五人の味覚をいちいち再現しているんだ!

 そして味見をし、我々の味覚に最も適した味に調整している!

 それぞれの味覚に合ったカレーを作れば勝利は既に確定事項さ!

 なんてバケモノだ……ここまでカルデア厨房ポテンシャルの高いダークホースが居たとは!」

 

 新宿のアサシンは、美味いカレーを作る巌窟王の対極を行くように、それぞれの審査員に相応しいカレーを作り上げていた。

 配膳係に立候補したスカサハが二人のカレー、合計十皿を審査員の前に運ぶ。

 匂いの時点で美味い。見た目の時点で美味い。

 大きな肉と野菜がゴロゴロと転がる巌窟王カレーも、マスターの舌に合わせたオーダーメイドチキンカレーも、マスターの喉をごくりと鳴らすに相応しい。

 

「では、いただきます」

 

 唾を飲み込み、スプーンで口元に運び、食べる。

 

「……?」

 

 マスターは首を傾げた。美味しそうだったはずなのに、不味い。

 何故か不味い。味が薄い。

 マスターが配膳してくれたスカサハを見ると、スカサハは得意気に笑った。

 

「スカサハ師匠、これは一体!?」

 

「およそ私に殺せぬものなどない」

 

「師匠!」

 

 カレーの旨味が死んでいた。

 

「さあ、これを食うが良い」

 

「これは……師匠のカレー?

 こ、これは! カレーの上に乗っているこの肉の塊は!

 美味い! 旨すぎる! このカレーと最高のハーモニーを奏でるこの肉は……!」

 

 彼女こそは、(カレ)ーの国の女王様。

 

「そう……ハンバァァァァァァグッッ!!!」

 

 優勝―――スカサハ師匠ッ!

 

 ハンバァァァァァァグッッ!!!

 

 

 




ジャック「なぞなぞしよ!」
バニヤン「わーい!」
アビゲイル「それじゃナーサ-、出題をお願いね?」
ナサリ「えっとねえっとね……バーグおじさんを半分に切ったらなるもの、なんだ!」

スカサハ「殺人犯だぞ」

アビゲイル「えっ」

スカサハ「おじさんを半分に切ったら殺人犯になる」
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