お正月企画三題噺シリーズ・ネクスト   作:ルシエド

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お題は『絶対に笑ってはいけない都庁爆破』『檀黎斗』『ポプテピピック』

プロデューサー・檀正宗


第四回:絶対に笑ってはいけないエグゼイド24時

 絶対に笑ってはいけない企画。

 それは、五人くらい人を集めて"笑ったらケツぶっ叩くぞ"というルールで行うお笑い番組にして、年末の皆のお楽しみだ。

 今回の参加者は宝生永夢、鏡飛彩、花家大我、九条貴利矢、パラドと世界に名だたるバグスター医療関係者が揃えられていた。

 

 テレビ局としても視聴率が取れる得難い逸材達で良し、CRのドクターとしてもバグスター医療に関する宣伝時間を設けてもらえるということでよし。

 そして司会はこの男。

 

『アハハハハハァ! 宝生永夢ゥ! 君達はこの

 "絶対に笑ってはいけない都庁爆破"

 テレビ企画を突破しなくてはならない!

 数々の刺客を前にして、君達は笑うことを許されない

 何故なら笑えば……即座にケツを叩かれるからだああああああ! ハハハハハハハハッ!』

 

「うるさいんですけど」

 

「フハハハハハハハハハハハッッッ!!!!」

 

 永夢、飛彩、大我、貴利矢は普通の都庁職員の服が割り当てられていたが、何故かパラドだけは侍のような着物衣装。

 それも、左右で赤と青で色分かれしている侍衣装だった。

 

(侍?)

(侍……)

(何故侍……)

 

 首を傾げる飛彩達をよそに、永夢だけがパラドの苦い顔の意味を理解する。

 

「ああ、『ゴザルアップ!』ってことか」

 

「「「 んんっ 」」」

 

《 デデーン! ヒイロ、タイガ、キリヤ、アウトー 》

 

「こんな笑いはノーセンキューだ!」

「俺が笑うか! 俺のキャラを考慮しろ! 俺は笑ってねえ!」

「これ嘘じゃなくてマジな話なんだが今のアナウンスの声まさかニコちゃんじゃ……」

 

「あがっ!」

「うごっ!」

「痛いっ!」

 

 早くも三人がケツを叩かれてしまった。先行き不安な滑り出しである。

 

『さあ君達、都庁の受付で名簿に名前を書き足したまえ』

 

「黎斗さんのことだから名簿に変な名前書いてあるとかでしょ、分かってるんですよ」

 

『宝生永夢ぅ……私を信じたまえ。君の水晶のような心は、いつから汚れてしまったんだ?』

 

「僕が疑いの目で見るのは黎斗さんだけですよ」

 

『そう聞くとこう、なんだ。

 私が水晶にベタベタ触ったせいで、私に向いている面だけが汚れてしまったようだな』

 

「黎斗さんの手って汚そうですもんね」

 

『九条貴利矢を殺して手を汚してしまったからな……汚れを乗せられてしまった』

 

「悪事に手を染めたのも僕にちょっかいかけたのももっと前の頃からでしょうが!」

 

 声もなく貴利矢が吹き出した。

 

《 デデーン! キリヤ、アウトー 》

 

「これは俺特攻だろ! 檀黎斗絶対許さねえ! ずぁっ!」

 

 貴利矢の尊い犠牲を乗り越え、皆は都庁入り口へ。

 

「世界で一番の都庁職員になって……世界で一番の都庁職員になって……」

 

「さ、サキ……」

 

「「「「 ぶっ 」」」」

 

《 デデーン! エム、タイガ、キリヤ、パラド、アウトー 》

 

 初球から殺しに来るのは卑怯だろ、と飛彩以外の四人のケツがぶっ叩かれた。

 響き渡る四つの悲鳴。

 ケツを抑えて、名簿に名前を書き加えて、五人は都庁の階段を登る。

 階段を登った先には、『鴻上会長(天ヶ崎社長でないとは言ってない)』というプレートを胸に付けた男と、眼鏡をかけて人形を抱えた男が廊下のど真ん中で談笑していた。

 

「素晴らしい! ドクター真木ィ! 新しい欲望の誕生だよっ!」

 

「恐縮です」

 

 鴻上会長(デブ)が眼鏡の男を褒め、眼鏡の男が人形を握り頭を下げている。

 頭を上げると、眼鏡の男は飛彩に歩み寄り、その手の中の人形を渡した。

 

「人形? これは……」

 

 戸惑う飛彩の目の前で、眼鏡の男は眼鏡ごと変装用顔皮をバリバリと剥がす。

 

 サキだった。

 

「世界で一番のドクター真木になって……世界で一番のドクター真木になって……」

 

「サキ……い、いやだ」

 

「「「「 んんんんっ 」」」」

 

《 デデーン! エム、タイガ、キリヤ、パラド、アウトー 》

 

「天丼やめろマジでクソがぁ! 止めろニコぉ!」

 

「スピーカーに向けて叫んでも意味ないです大我さん! あいだっ!」

 

 またしてもヨンレンダァ!

 

「早く先に進みましょう。これ、意外とヤバいです」

 

 永夢の的確な判断で、次々とドクター達がこの場を脱出していく。

 そして、一列となって進む五人の最後尾にサキがこっそり近寄り、最後尾の大我の耳元でそっと囁く。

 

「世界で一番のドクターペッパーを飲んで……世界で一番のドクターペッパーを飲んで……」

 

「うふぅ」

 

《 デデーン! タイガ、アウトー 》

 

 不意打ちを食らった大我のポケットにドクターペッパー(2L2本)をねじ込み、サキはゴキブリのような俊敏さで逃げ出して行った。

 

「クソ、油断した! つかなんで今俺だけ狙った! 言え! いづぅっ!」

 

 尻を抑えた大我の到着を待ち、皆は先に到達した部屋で発見したテレビ――これつけたら絶対ロクなことにならないとは分かってるが――のスイッチを入れた。

 

『ごきげんよう! そして突然だがこれより、神の雷による都庁爆破を開始する!』

 

「!?」

 

『ヴゥァハハハハハハハハ!

 君達は存分に、必死に逃げるといい!

 その必死な顔だけで確実に視聴率は取れるだろうさぁ!』

 

「お前はいい加減その後先考えずとりあえず思いつきで他人の迷惑無視してやる癖を―――」

 

 ポチッ、と黎斗が画面の中でボタンを押す。

 永夢達が身構えるが、都庁が崩壊することはなく、やがて遠くから鈍く響き渡る大きな音が聞こえてきた。

 

『あ……間違えて竹書房本社を爆破してしまった』

 

「何やってんだ檀黎斗ォ!」

 

『いや、待て! なんだあれは!?』

 

 テレビ画面が分割され、右半分に崩壊した竹書房が映し出される。

 おそらくは神の技術力による賜物だろう。

 崩壊した竹書房の爆煙の中に、薄っすらと見える人影がある。

 

 黎斗は本気で焦っていて、これが彼の仕込みでないことは明白だ。

 察しのいい貴利矢が気付く。

 これは、演出:檀黎斗に見せかけた―――檀黎斗さえも出演者に組み込まれている、"絶対に笑ってはいけない"なのだと。

 

『私はあんなものは知らない!

 竹書房にあの爆発を耐えられる者がいるだと!?

 待て、なんだあれは、人影が胸元に文字の書かれたホワイトボードを持っていて―――』

 

 そして、煙の中から。

 

 黎斗のパパが現れて、胸に抱いたホワイトボードの文字を読み上げた。

 

「檀黎斗、タイキック」

 

『檀正宗貴様ぁッ!』

 

 タイキックの例のBGMが流れ、黎斗の背後に瞬時に現れた二人のタイキッカーが、黎斗の左右の尻を蹴り込んだ。

 

『神の尻がぁぁぁぁぁッッ!!』

 

「「「「「 んぐっ 」」」」」

 

『尻が割れてダブルアクションゲーマーになってしまった……』

 

「「「「「 んうっ 」」」」」

 

『くっ、手鏡で怪我の度合いの確認を……

 右が赤く腫れて左に青あざが……なんだ、パラドクス化しただけか』

 

「「「「「 んんんっ 」」」」」

 

《 デデーン! エム、ヒイロ、タイガ、キリヤ、パラド、アウトー 》

 

 普通に喋ってるだけで卑怯な神。

 

「ま……不味い! 何故かなんとなく何見ても笑える空気が出来てしまってる!

 今だと特に面白くなくても笑ってしまいそうな、そんな雰囲気が!

 そこに台本無しの方が面白いことする黎斗さんが混ざって、大変なことに!」

 

「部屋を出るぞ! 永夢に続け!」

 

 永夢が部屋を脱出し、皆もその後に続くが、逃げ出す彼らの前に一人の美女が姿を現した。

 

「竹書房の破壊者、ポプテピピッーピポパポだよ。改名したよ」

 

「んっ(含み笑いの音)」

 

「アスナさん!」

 

「永夢……私なんというか、アスナって呼ばれないよね。

 皆ポッピー呼びだよね。というか永夢も途中からポッピー呼びメインだったよね。

 なんで皆私の人間の時の名前を呼ばなくなっちゃったんだろうね……」

 

「いや知りませんよ」

 

「んんっ(含み笑いの音)」

 

「永夢、チベットスナギツネみたいな目をしてるね……ポッピー、君の瞳に乾杯」

 

「っ(笑いをこらえる音)」

 

「え、ポプテピピッーピポパポに改名したんじゃないんですか?

 それならもうポッピーじゃないですよねあなた。元ポッピーですよね」

 

「「「「 んんっ 」」」」

 

《 デデーン! ヒイロ、タイガ、キリヤ、パラド、アウトー 》

 

「お前も笑いに加担してんじゃねえぞ永夢ゥ!」

 

「あいつら組んでる! 絶対組んでる!」

 

「俺の永夢がそんなことするわけないだろ!」

 

「いや待て、これおそらくポッピーが前日辺りに何か準備と仕込みして……」

 

「うごっ」「あぐぅ」「い゛っ」「んごっ」

 

 彼らの戦いはまだまだ続く。

 年が明け、それでも終わらない。年度が変わってもまだ続く!

 それが『笑ってはいけない』である。

 

 壁の役目を果たせなくなったポッピーの代わりを果たすべく、現れたのはなんとギャグと無縁なグラファイトであった。

 グラファイトはポッピーのカバンの中に手を突っ込み、ブラジャーを剣のように振り回す。

 

「我が敵として申し分無し!」

 

「ああ、ポッピーの着替えが! 下着が!」

 

 そして、ポッピーのブラジャーを胸に装着する。

 

 パラドが思わず、その名を呼んだ。

 

「ぶ……ブラファイト!」

 

 吹き出す音。

 彼らの戦いは、まだまだ続く。

 

《 デデーン! エム、ヒイロ、タイガ、キリヤ、アウトー 》

 

 まだまだ、続くのだ!

 

 

 




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