なんてことだ! マクギリスとレッドマンが融合してしまった! いや本当にアカンこれ
マクギリス「力こそ全て。光の巨人もそう言っている」
ある日、オルフェンズ世界にウルトラの星が輝いた。
「レッドファイッ」
空の彼方からやって来た平和を愛する(設定)戦士レッドマンは、愛と人々を守るために(設定)日夜怪獣と戦っていたものの、事故でマクギリスを踏み潰してしまった。
心優しいレッドマン(設定)は、真面目で思慮深い(評判)マクギリスの死を悼み、友達想い(演技)のマクギリスと一体化した。
『私は眠りにつく……私の力を使って、どうか君が平和を守って欲しい』
そうしてここに、レッドマンの肉体を手に入れたマクギリスという、キングの力を得たベリアル以上に最悪な存在が誕生した。
「私は……最強だ! バエルも必要ないかもしれない!」
事実であった。
レッドマンの肉体は最強であり、マクギリスは思考を捨てた状態でもなお最強。
バエルに乗っていてもダインスレイヴを避けられるマクギリスがレッドマンになったのだから、もはやMSで勝てようはずもない。
ダインスレイヴを掴めば、マクギリスが叫ぶ。
「レッドアローッ!」
何かポンポン落ちていくギャラルホルン艦隊。
ダインスレイヴは既にレッドマンへのレッドアロー供給システムへと成り下がっていた。
バエルソードは便利な剣。
「レッドナイフ!(元バエルソード)」
元バエル剣はまあ変な使い方をしなければまず折れないため、本体的には無敵オブ無敵のレッドマンにこそ相応しい。
レッドマンはノリで火星に眠っていたMAを片っ端から串刺しにし、得た七星勲章をゾフィーのように肩に並べていった。
七星勲章はゾフィーになるためにあったのかもしれない。
「もはや私はバエルに、アグニカに等しい存在となったな……」
マクギリスの目的は自身が
既に彼の中でアグニカは元アグニカで、バエルは元バエル、そしてレッドマンこそが真なるバエルと言うべきものになっていた。
MAの駆逐である程度支持率を稼いだレッドマクギリスはとうとう邪魔なギャラルホルン勢力の排除に移る。
だが火星でのMA狩りのせいで鉄華団までもをすっかり敵に回してしまっていた。
「ギャラルホルンの総力を挙げて、父親をレッドフォールしたマクギリスを倒せ!」
ラスタルからガエリオまで多くのギャラルホルンに、鉄華団とそれに協力する木星勢力の一部。
更には――
『俺の名はオーブ! 闇を照らして悪を撃つ!』
――銀河の風来坊までもが参加し、マクギリスのヒットマン暗殺攻撃(地球からレッドアローを投げて火星のオルガを殺す)で死んだオルガに同化したことで、オルガを救ってくれていた。
レッドマクギリスとオルガオリジン、人間と巨人が混ざったものが激突し、ギャラルホルンと鉄華団が全力でオルガを援護する。
「生まれや所属など関係なく、己が力を研ぎ澄ますことで!
この退屈な世界に嵐を起こすことができるのだと知らしめる!
力こそ全て、それを知った獣が世界を変えてゆく、そんな未来が見えるだろうオルガ!」
「レッドマンのツラでその手の台詞を吐くんじゃねえ!
説得力がありすぎて寒気がしてくるんだよ! やめろ!」
そして、普通に負けた。
MS乗り達は死屍累々、オルガはカラータイマーごとレッドナイフ(元バエル)で胸の真ん中をぶち抜かれていた。
「ガイさん……俺から分離して、まだ息のあるやつと同化しろ……
あいつに勝つまで……止まるんじゃねえぞ……分かってるよな……」
『オルガッー!』
そこに颯爽登場、ウルトラマンノア!
ウルトラマンノアは皆を救うべく自分の力の全てを使い果たし(いつもの)、レッドマンに勝つため世界をループさせる奇跡を発動させたのだ。
そしてまた回復するまで寝始めた。
―――Take2
作戦会議の開始である。
皆、前回のループの記憶は保持している。
ラスタル・エリオンは冷静に自前の戦力を計算し、レッドマンの戦力を的確に計算し、"何も案がないなら勝ち目はない"という事実を突きつけてから、会議を開始した。
「何か案はあるか?」
「ラスタル様! ここは総員心を一つにして突撃すべきです!
心一つにし、絆をもって一丸となれば、奴も必ず倒せるでしょう!」
「イオクを退出させろ」
「はっ」
まず、ジュリエッタが手を挙げた。
「マクギリスを地球に誘き寄せるのはどうでしょうか?」
「ほう? 詳しく聞かせてみろ」
「前回私達は、奴と火星で戦いました。
火星は見晴らしがよく、比較的ダインスレイヴが有利です。
ですがそのせいで前回は小細工も出来ず負けてしまったので……」
「地球でゲリラ戦を仕掛けるか。悪くない」
皆で地球に降下して、彼らは地球の森林を中心としたゲリラ作戦を開始した。
強すぎる相手にはゲリラ戦。
王道である。
「……よし、全員いるな」
『団員全員に声をかけてるのか、よくやるな』
団員全員の健在を確認していたオルガの労を、一体化しているガイがねぎらう。
「家族だ。あいつらを一人も死なせたくねえし、全員幸せにしてやりてえ」
『……お前を勝たせてやりたいと、心底思う』
オルガは家族思いだ。
私欲もなく、家族のためなら死すら選べる。
家族への愛が金銭欲や性欲に完全に勝っているその在り方は、ガイの目には外見不相応に幼い子供のように見えた。
なんとか生き残らせてやりたいと、ガイが思っていた、そんな時。
「空が……?」
空から地球に、大気摩擦で真っ赤に燃える何かが無数に降って来た。
「レ……レッドフォール……」
真っ赤なあいつの不法投棄。
火星にあったMAやら何やらを、火星から地球にぶん投げてきているのだ。
デカくて硬そうなものをドンドコドンドコ投げつけてくるもんだから、地球はどこもかしこもドッタンバッタン大騒ぎ。ラスタルは死んだ。
コロニー落としなんて肉体一つでやってみせんかい!
「オルガ・イツカ……見つけたぞ、レッドファイッ」
「なんだこのマクギリスやべえぞ」
『紅に燃えるぜ!』
結果は案の定だった。
―――Take3
「何か案はあるか?」
「ラスタル様! ここはダインスレイヴを前に出して突撃すべきです!
ダインスレイヴを遠くから撃ってダメなら至近距離から一斉射撃するのです!」
「イオクを退出させろ」
「はっ」
次に手を挙げたのは、ガエリオであった。
「ウルトラマンを固定砲台として運用するのはどうだろうか?」
「固定砲台?」
「我々はウルトラマンオーブを最前列に出して来た。
最も頑丈な巨人を前に出し、被害を抑えるためだ。
だがそれで全滅しては本末転倒だろう。
ウルトラマンを全力で光線を撃つ砲台とし、MSと艦隊をその盾とする」
ウルトラマンが人間の盾となるのではなく、人間が盾となるという発想。
悪くはないが、これは相当な犠牲が予想されてしまう。
「兵士が随分と犠牲になるかもしれんな」
「できれば取りたくない手段だ。だが……」
「分かっている」
「提案した手前、俺が最も危険な最前衛を勤めさせてもらう」
またやられても困るので、今後一切戦場は火星だ。
オーブ・イツカがズンズン走ってくる恐怖のレッドマンを見据え、肩の上のキマリスヴィダールに目と耳を向ける。
「ウルトラマンは光線のチャージに一手間かけると威力が上がると聞いた。
それまでの時間は、俺達が……俺が、命を懸けてでも稼いでみせる」
「ああ、期待しないで待ってるぜ」
『オルガ、これから戦う戦友に嫌味はあまり言うな』
「嫌味じゃねえって、軽口だ。口が悪くて悪かったな」
ガエリオは、巨人の肩の上を通り過ぎる時、少し何かを言いかけて。
「俺の部下だったアインは、お前達と同じ火星の……いや」
昔の差別意識のことや、火星への無理解、過去の自分のことを何か謝ろうとして。
「すまない、忘れてくれ。
今のは自分の罪悪感を軽くしたいだけの卑怯な行為だった。
俺に出来ることは、今ここで全力を尽くすこと以外にない」
それを口にすることが最悪の悪であることに気付き、命を懸けてマクギリスに
「……あんな真面目なバカだったのか」
『戦争なんて、敵の顔が見えてたらできないもんだ』
「かもな。戦車もMSも、殺した相手の顔が見えないってのは最高だ」
『人殺しがいいもんじゃないと思ってるやつは、皆そう言う』
頑張った。頑張ったのだ。
ガエリオを始めとするMS部隊は頑張った。
レッドマンを奇跡的に抑え、オーブのたっぷりチャージしたスペリオン光線を当てることには成功したのだ。
「分身! レッドファイッ」
でもなんか分身してきたんだから仕方ない。
「!?!?!!??!?!?!」
分身したレッドマンの片方にダメージは通ったが、もう片方はピンピンしていて飛びかかる。
『光を越えて闇を斬る!』
オーブは槍を奪われ、めった刺しにされて殺されてしまった。
「ミカ……ガエリオ……止まるんじゃねえぞ……」
『止まらなかったとして……勝ち目を、どこに……』
―――だいたいTake12くらい
「何か案はあるか?」
「ラスタル様! ウルトラマンに自爆技がありそれを隠している可能性が!」
「イオクを退出させろ」
「はっ」
ラスタルは今回、良さそうな策が出る前に会議を切り上げていた。
作戦自体はあるが心もとない。
オルガはその辺の文句を言おうと、会議終了後にラスタルに詰め寄っていた。
「休むか、オルガ・イツカ。私の私権でその許可を出してやってもいいが」
「は? 何ボケたこと言ってんだ。俺抜きで何ができるってんだよ」
「お前に甘さを見せているわけではない。
私は休まない人間を信用せず、人を休ませない人間を信用しないだけだ。
お前を働かせるために休ませようとしているのが、そんなにも変なことか?」
ラスタルの見立てでは、ループの試行錯誤で一番動いているオルガはかなり限界に近い。
オルガが折れれば即詰みだ。
そう思い、休みを提案したのだが……反抗期の青年のように休む気配を見せない天邪鬼なオルガに、続けて何か言う気が失せてしまう。
「しくじらなければ、私はそれでいい」
好意もなく、甘さもなく、馴れ合いもなく、ラスタルはオルガに休みを提案した。
ロジカルにオルガの体調を気遣ったのだ。
オルガが
ラスタルに使われる人間になって、オルガは初めてそれを実感した。
「お前は必死過ぎるな」
「火星生まれはそうでもなきゃくたばるんだよ」
「変われないなら結果は見えている。違うか?」
ラスタルは、オルガが嫌うタイプの大人だった。
言葉だけ見れば忠告と助言であるはずなのに、オルガはそれを素直に受け取れず、ラスタルの言動を好意的に捉えられない。
「正義の味方はテロリストに向き、悪党は組織の首魁に向く。
マクギリスを倒した後に安定した基盤が欲しいなら、今の内に悪党になっておけ」
ラスタルにしては珍しい身内以外への忠告だが、オルガはまともに受け取らない。
ラスタルはオルガが早死にするだろうと、現段階の彼を見て推察していた。
戦場に出たオルガがラスタルの言葉を咀嚼しつつ拒絶する、という器用な悩み方をしていると、その大きなこめかみを昭弘のグシオンが拳で叩く。
「オルガ、そこまで難しいことを考えなくてもいい」
「いいわけねえだろ。俺は団長だぞ」
「俺達はお前の頭が格別良いとは思っていない。
生身でもMSでも、戦いが強いとは思っていない。
お前の判断が常に一番正しいとも思っていない」
「……何が言いてえ」
「分からねえか」
オルガ・イツカは団長だ。
「俺達が選ぶ団長の条件は、『そいつの判断と心中できるか』ってことだ。
そいつを信じて、もしもの時はそいつと一緒に死ねるかってことだ。それが全てだ」
「―――」
「だが、お前と死にたいってわけじゃねえ。
お前を一番に信じてるってだけのことだ。
お前より信じられる奴が居ねえから、お前以外に団長を任せたりしねえんだ」
皆が選び、皆が信じた。だからオルガは団長なのだ。
「ドンと行きやがれ、団長。仲間を絶対に見捨てないてめえを、信じてる」
皆が一丸となって出撃する。
「行くぜオラァ!」
『闇を抱いて光となる!』
「レッドファイッ」
これでもう何度目の激突か。
「レッドサンダーッ!」
とりあえず上手くいきそうになると新技出してくるマクギリスくんはボスとしてクソだと思われます。
もはや何度殺されたことか。仲間も、自分も。
オルガは"許さねえ"、と負け犬の遠吠えを吐きはしない。
"絶対にこいつらを生かして未来に連れて行く"、と心に決めている。
ならばそれは負け犬の遠吠えではなく、心に決めた鉄の覚悟だ。
決して散らない鉄の華だ。
「止まらねえ……俺は止まらねえ、だからウルトラマン、お前も止まるんじゃねえぞ……!」
『……ああ』
―――Take■
いい加減、皆の心が擦り切れてきた。
ジュリエッタなど居眠りをして昭弘にぶっ叩かれ、「寝てません、寝てませんよ。誰が寝てるって証拠ですか」とほざき始めている。
一般兵の消耗も激しく、体調不良を訴えた出撃拒否も出始めていた。
そんな中、ガチで平常運転なのはただ一人。
「ラスタル様! マクギリスに交渉を申し込み、人間態で来たところに毒を盛りましょう!」
「……イオク、お前……」
びっくりするくらいへこたれない。
びっくりするくらい懲りない。
びっくりするくらい折れない。
人間なら生きてれば多少は『過去のこと』を気にしながら生きるものなのだが、イオクは凄まじくその性質が薄かった。
過去に殺されたことを誰よりも気にしていない。
それどころか戦場で部下を庇い死に、仲間を庇い死に、仲間のミスで死んでも特に気にせず次の周で許したりしている。
あまりにも思慮が足りない。思考が足りない。考えなし過ぎる。
おかげで最も役に立たないイオクだけが元気というこの皮肉。
夏休みにクラス一のバカが一番元気に動き回っているようなものだった。
作戦は色々とやり尽くして、もう絞り出せる案もなく、会議で手を挙げているのももはやイオクのみである。
「オルガ・イツカ! お前には気合が足りないのだ!」
「……あ? 気のせいだろ」
「気のせいではない! 実は私はお前の変身時間を見ていたのだ!
お前がやる気のある戦いをしている時、タイマーの点滅は少し遅くなる。
つまり気力だ! おそらくウルトラマンは気力で強くなり奇跡を起こしているのだと分かる!」
「あーはいはい、気のせい気のせい」
「イオクを退出させろ」
「はっ」
もはや万策尽きた感が広がる中、またしてもオーブとレッドマンが対峙する。
『銀河の光が我を呼ぶ!』
「レッドファイッ」
「マクギリスあいつなんか最近『レッドファイッ』しか言ってなくないか?」
「怖っ」
オルガを守るべく、三日月が乗るバルバトスが前に出た。
「オルガ、次は何をすればいい?」
「一緒に戦ってくれ。お前が居てくれりゃ……まあ、気合いは入る」
オーブが下げた拳と、バルバトスが振り上げた拳がぶつかる。
「行こう、俺達の本当の居場所へ」
その時、不思議なことが起こった!
オルガと三日月の絆と信頼がウルトラマン特有のエネルギー経路を結線!
MS戦闘でも生身戦闘でもクソザコナメクジだったオルガと、戦闘なら何でも悪魔のように強い三日月が瞬間交代!
それはエースに一人で変身した北斗隊員に南隊員が融合し、邪魔な北斗隊員を蹴り出し最強のエースとして無双し始めるような、そんな現象だった。
『信頼が、ウルトラマンの力をバトンとして手渡す……ウルトラタッチか!』
ウルトラマンオーブのスーパーパワーが無情なパワフルキラー三日月の手に。
これには"もっと寄越せバルバトス"とちょっと不満げだったミカもニッコリ。
「はっ……すげえよミカは」
そもそも戦いが向いていないオルガ君は特に死んだりもしてないシノ君に回収されて後衛へ。
ミカは剣を出して、抵抗するレッドマンをぶん殴り始めた。
ゴン、ゴン、ゴンとオーブカリバーでぶっ叩く。
ぶっ叩き続ける。
レッドマンとマクギリスの頭が壊れるまで、延々と。
「なあもしかしてオーブカリバーっていうあの剣、鈍器っぽく使うと強いんじゃ」
「やめなよ」
えーい潰れろ潰れろーとばかりに繰り返される鈍器カリバーによる殴打。
赤い悪魔の顔面が血に染まっていく。
中の人の差で、何やら一方的な様相になってきた。
「ええっと、俺何て呼んでたっけ……ああ、チョコレッドマンの人だ」
そして、トドメの一撃インパクト。
ミカのオーブカリバーフルスイングは、レッドマンの頭の中に入っていたマクギリスを叩き出すことに見事成功。
これが、勝利の一撃だ!
「じゃあね」
決着。
上がる歓声。
戦いを終えて家路へ向かうラスタル達。
疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばい全ての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは……
マクギリスは然るべき処置を終えられ、何やかんや体制側について勝利した鉄華団も戦後にいいポジションをもらえた。
マクギリスが調子に乗って破壊したためもうMAも残っていない。
風来坊のガイさんも帰還。
世界は平和に向かい、オルガと三日月も平和な日常を手にして、めでたしめでたし……
「大変だ! マクギリスの死体がベリアルと融合してベリアルアトロマクギリスになったぞ!」
「マクギリスの精神が怪獣と合体してゾグギリス(第二形態)に!」
「光のウイルスとマクギリスの魂が融合してマクギリスウルトラマンカラミティに!」
「あいつマジで人生楽しんでんな……」
……では、特に終わりませんでした。戦いは続く。
個人的に敵味方嫌いなキャラ居ないんですよねオルフェンズ