魔法少女リリカルなのはViVid ooo ~欲望を司る魔王女~   作:ハナバーナ

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カウント8

ヴィヴィオとアインハルトの練習試合が決まって数日後、ヴィヴィオ、コロナ、リオ、エーリの四人は学校の図書室で勉強をしていた。応用学科に入るとなると勉強の難易度も上がり、テスト勉強も早めに取り組む必要が出てくるのである。エーリが魔王の血統だということが知れ、ノーヴェたちとの関わりが濃くなってきてからは、エーリもヴィヴィオ達三人の輪に入り、一緒に勉強するようになった。

 

「ヴィヴィオとあたしの練習試合?」

 

ノートに目を通していたエーリが、ヴィヴィオの方に目を向ける。ヴィヴィオはうんうんと二回うなづく。

 

「今度、アインハルトさんと練習試合することになったでしょ? わたしも、クリスをもらって

 からはバリアジャケットで対戦したことないから、少しでも慣らしておきたいなって思って。

 それにエーリとの練習試合の予定、入れてなかったからさ。」

 

「あたしは喜んで受けるよ♪ ちょうど変身しての対戦、ヴィヴィオとやりたかったし。

 アンクもそれでいいよね?」

 

『断る理由はねえな。俺様としても、そいつの実力は知っておきたいところだ。』

 

「あっ、あたし見学したいで~す。」

 

「私も見たいかも。」

 

エーリもアンクも迷わず承諾し、リオとコロナが見学を希望する。ヴィヴィオは笑顔で礼を言い、クリスとハイタッチする。

 

『(覇王様の後は聖王様との対戦か…エーリ、世界ってのは思ったより狭いのかもな‥‥。)』

 

アンクはそう思いながら、ヴィヴィオ達と笑い合っているエーリに目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アラル港湾埠頭

 

翌日、待ち合わせ場所でエーリはヴィヴィオとの対戦に備え、軽くストレッチしていた。その場所にはエーリやヴィヴィオの他にスバルやティアナ、ノーヴェ、チンク、ウェンディ、ディエチ、ディード、オットーの姉妹たちに、希望通りリオやコロナも見学に来ていた。ノーヴェは頭を掻きながら、エーリに近づく。

 

「悪いな、こっちのわがままに付き合わせてばっかりでよ。」

 

「いえ、あたしもヴィヴィオの実力とか、皆さんの事とかもっと知りたいので、全然大丈夫

 ですよ。でも、なんでこんな港で?」

 

「あたしの所属してる救助隊の訓練に使われててな。廃倉庫だしアインハルトとの試合にも

 使うつもりなんだ。だから存分に戦ってくれていいからな。」

 

「ありがとうございます!」

 

エーリは笑顔でペコリとノーヴェに頭を下げる。そして準備が終わったヴィヴィオとエーリの二人はお互いに礼をすると、開始の位置につく。

 

「ルールは魔法なしの格闘オンリー。5分間一本勝負だ。」

 

審判のノーヴェがそう言って、対戦する二人はうなづく。

 

「最初から全力で行くよ、クリス!」

 

「絶対勝とうね、アンク!」

 

二人はデバイスを同時に手に取って、掲げる。

 

  「セイクリッド・ハート」            「アンセイクリッド・オーズ」

 

              「「セット・アップ!」」

 

 

二人は同時にバリアジャケットを纏って変身する。エーリはいつもと同じ三色スタイル。ヴィヴィオは大人モードとなり、黒と青を基調としたスーツに白のジャケットを羽織ったタイプである。

 

「へえ、あれがエーリのバリアジャケット‥‥。」

 

「あはは、なんだか信号機みたいで面白いッスね。」

 

「ウェンディ姉様、その言い方は魔王陛下に失礼なのでは…‥。」

 

外野にいる見学者はそんな感想を明るく述べているが、対戦する二人は真面目な表情で綺麗に構えをとる。その二人の様子を見たノーヴェは、問題ないと判断し腕を上げる。

 

「それじゃあ試合…‥開始!」

 

ノーヴェが腕を振り下ろすと同時、二人は同時に駆け出し一気に接近する。最初に拳を突き出したのはヴィヴィオ。その拳はエーリの顔面に突き出されるが、エーリはそれを体勢を低くして回避、そのままヴィヴィオの腹部に肘内をお見舞いする。

 

「----------!」

 

ヴィヴィオは苦しい顔をし、後方に後ずさる。それをエーリは好機と思ったのか、そのままヴィヴィオに急接近し、拳を突き出す。しかしヴィヴィオも負けてはおらず、それを顔を横にずらして回避し、そのままエーリに自分の拳をぶつけるカウンターをお見舞いする。

 

「(エーリ‥‥‥魔王のクローンで、わたしの姉妹…‥。)」

 

瞬間、ヴィヴィオの中に試合では出さないと誓っていた不安が溢れてくる。笑い合える仲のいい友人だと思っていた少女が、自分と同じ生まれ。その事実は、ヴィヴィオの心に重くのしかかる。そんなヴィヴィオのカウンターを喰らい、エーリは吹き飛ばされ、ヴィヴィオは追撃のためにすぐにエーリに迫る。

 

「(わたしの思い‥‥ちゃんとエーリに伝わってるかな…‥。)」

 

そんな疑念が心に生まれ、ヴィヴィオの表情は曇ってしまう。考える暇などないはずなのに、考えてしまう。ヴィヴィオはそれを振り払えぬまま、拳を突き出そうとする。

 

『エーリ!』

 

「!!」

 

その時だった。アンクの念話でハッとなったエーリは足に力を籠め、そのままブンッと勢いよく振る。その足は、ヴィヴィオの顔面に綺麗にヒットし、ヴィヴィオはぐらつく。

 

「ふぅ…‥。」

 

着地したエーリは深呼吸し、ヴィヴィオを見る。強い相手と戦えることが嬉しいのか、年相応の愛らしさのある笑顔が、そのまま表に出ている。

 

「あっ‥‥。」

 

そんなエーリの笑顔を見たヴィヴィオは、首をぶんぶんと横に振った後、エーリ同様ニッと笑って、構えをとる。

 

「(そうだ、不安がってちゃエーリに失礼だよね。)」

 

今は姉妹としてではない、一人の対戦相手として戦おう。あたらめてそう誓ったヴィヴィオは、エーリと同時に地面を蹴って拳を突き出す。

 

・・・・・・・・・・

 

「一本、そこまで!」

 

ノーヴェが腕を上げ、試合が終了する。結果でいえば、ヴィヴィオを回し蹴りで吹き飛ばしたエーリの勝利であった。試合が終了すると、エーリが真っ先にヴィヴィオに駆け寄って手を伸ばす。

 

「ありがとうヴィヴィオ、楽しかった!」

 

自分もボロボロだというのに笑顔でそう告げるエーリ。対してヴィヴィオは、

 

「…‥うん、わたしも!」

 

エーリに負けない笑顔でエーリの手を取り、立ち上がる。

 

「エーリ~、ヴィヴィオ~。」

 

「二人ともすごかった!」

 

見学者たちも駆け寄り、二人を称賛する。

 

「(…‥はは、こいつらあたしが思ったより、うまくやってけそうだな。)」

 

一瞬曇っていたヴィヴィオの表情を見逃さなかったノーヴェ。しかし不安を感じさせないエーリと、彼女を見て不安を吹き飛ばしたヴィヴィオを見て、どんなに辛くても乗り越えることができるだろうと確信したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えたアインハルトとヴィヴィオの練習試合

 

「覇王、断・空・拳!」

 

アインハルトの必殺の拳が、攻撃で隙ができてしまったヴィヴィオにヒットし吹き飛ばす。それが決定打となり、試合はアインハルトの勝利となる。

 

「ヴィヴィオ、アインハルトさん!」

 

試合を終え、変身を解いた二人にエーリが駆け寄る。ヴィヴィオは必殺技で気絶し、アインハルトもヴィヴィオが出した突きが効いたのか、スバルに支えてもらっていた。

 

「どうだったよ、ヴィヴィオは?」

 

「…‥彼女には謝らないといけません。先日は失礼なことを言ってしまいすいませんでした。

 訂正させてくださいっと。」

 

どうやら【趣味と遊び】は抜いてくれたらしい。そう確信したノーヴェは、アインハルトに

「そうしてやってくれ。」と頼む。

 

「よしよし、頑張ったねヴィヴィオ。」

 

エーリはディードに膝枕をしてもらっているのヴィヴィオの頭に、優しくポンポンと手を置く。こうしてみると、本当の姉妹のようだなと事情を知っている者たちは思う。そしてそんなヴィヴィオとエーリに、アインハルトは近づく。

 

「初めまして、ヴィヴィオさんにエーリさん。アインハルト・ストラトスです。」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

エーリは満面の笑みを浮かべ、アインハルトに挨拶する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新暦79年 高町ヴィヴィオ、アインハルト・ストラトス、エーリ・コウガミはこうして出逢った。

 

これから始めるのは、因縁の三王を主軸とした、勇気と絆と欲望の青春物語。




次回から、第二章開始です。
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