魔法少女リリカルなのはViVid ooo ~欲望を司る魔王女~ 作:ハナバーナ
無人世界カルナージ
「みんないらっしゃ~い♪」
合宿先のカルナージにやってきた一行を出迎えたのは、紫の髪に黒いリボンを結んだ少女ルーテシアと、彼女の母親であるメガーヌである。代表として、なのはとフェイトが挨拶する。
「こんにちは。」
「お世話になります。」
「みんなで来てくれてうれしいわ。料理もいっぱい用意したからゆっくりしていってね。」
「ありがとうございます。」
メガーヌがそう言う一方で、ヴィヴィオ達はルーテシアに挨拶していた。
「ルーちゃん。」
「ルールー久しぶり!」
「ヴィヴィオとコロナも久しぶり。リオは通信で話すだけだったよね? 実際見ると
モニターよりかわいい♪」
「ほんとー?」
ルーテシアに撫でられ照れるリオ。ヴィヴィオはアインハルトとエーリの手を取り、ルーテシアに近づく。
「ルールー。この二人がメールで話した‥‥。」
「アインハルト・ストラトスです。」
「エーリ・コウガミです!」
「ルーテシア・アルピーノです。ここの住人で、ヴィヴィオの友達。14歳。」
「ルーちゃん、歴史にすっごく詳しいんだよ。」
コロナにそう言われ、ルーテシアはエッヘンと胸を張る。
「「お疲れ様でーす。」」
その声と共に一行の前に現れたのは、髪を結んだ赤髪の少年と頭に小さなドラゴンを乗せた小柄な桃色の髪の少女である。その二人に真っ先に反応したのはフェイトだ。
「紹介するね。二人とも私の家族で‥‥‥。」
「エリオ・モンディアルです。」
「キャロ・ル・ルシエと飛竜のフリードです。」
初対面のアインハルトとエーリは、二人にぺこりと頭を下げて挨拶する。そんな時、ガサッと草木が動く音が鳴ったかと思うと、アインハルトの後方に籠を担いだ人型の龍が現れた。
「‥‥‥!!」
「うわわ!?」
思わず身構えてしまうアインハルトとエーリ。そんな二人の前に、ヴィヴィオが慌てて立つ。
「大丈夫です二人とも! あの子は--------」
「私の召喚獣で大事な家族。ガリューっていうの。」
ルーテシアがそう説明し、丁寧にお辞儀するガリュー。アインハルトやエーリも、身構えてしまったことをガリューに謝った。
「さて、お昼の前に大人はトレーニングでしょ? 子供たちはどこに遊びに?」
「やっぱり川遊びかなと。お嬢も来るだろ?」
「ええ。」
「よっし、それじゃあチビ達は水着に着替えてロッジ裏に集合だ。」
ノーヴェの呼びかけに小学生組やルーテシアが手を上げ、アインハルトは水着を着ることになるとは思わなかったのか、驚いてしまう。
「…‥それにしても。」
移動中ルーテシアは、じーっとエーリの方を見つめ、エーリもそれに気づいたのか、ルーテシアの方を見る。
「なんです?」
「『あいつ』の秘蔵っ子って聞いたからどんなものかと思ったけど、普通に可愛らしい
女の子なのね♪」
「? あいつ?」
「もう、ルールー!! せっかくの合宿なんだからその話は無し!!」
突然ヴィヴィオがルーテシアを叱り、当人もごめんごめんと謝る。何の話か分からないエーリは、アンクと眼を合わせるのだった。
水着に着替え、広い川にやってきたノーヴェと子供たち。リオが先に川に入り、ヴィヴィオ達も後から続々と入っていく。
「アインハルトさんも来てくださーい!」
ヴィヴィオに呼ばれ、アインハルトは少々戸惑うも、ノーヴェに背中を押され、川に入り込む。
「それじゃあ、向こう岸までの往復、みんなで競争しよー。」
コロナの提案に全員が賛成し、合図と同時に六人が一斉に泳ぎ始めるのだが、
「えっ…‥?」
「うわっ、みんな泳ぐの速い!?」
三人娘やルーテシアの泳ぐスピードに、驚愕するアインハルトとエーリ、負けじと二人も速度を速めるも、他の四人には疲れている様子が全く見えなかった。
・・・・・・・・・・
一通り遊び終え、休憩しているアインハルトとエーリ。エーリは笑顔ではいるものの、疲れが出ていることがアインハルトにも見えていた。
「結構面白い経験だろ?」
ノーヴェがそう言って、二人にジュースを渡す。二人はお礼を言って受け取り、それを飲む。
「あたしも救助隊の訓練で知ったんだけど、水中で瞬発力出すのは、また違った力の運用が
いるんだよな。」
「じゃあ、ヴィヴィオさん達は?」
「週2くらいプールで遊びながらトレーニングしててさ、自然と筋肉が付くんだよ。」
「プール…‥そんなのもあるんですね! あたしも取り入れよう!」
『スケジュールぎっちぎちになるぞおい。』
エーリが目をキラキラと輝かせ、アンクが半目でツッコミを入れる。
「んじゃ、せっかくだから面白いもの見せてやるよ。ヴィヴィオ、コロナ、リオ。
『水斬り』やってみせてくれ。」
「「「はあい!」」」
三人はそう言って腕を引く構えをとり、一気に突き出す。すると大きな音とともに三人の前に水柱ができ、綺麗に真っ二つに割れる。
「すっっっっごい!!」
その光景を見て、アインハルトは呆然となり、エーリも目を輝かせる。ルーテシアも二人にやってみろと言い、再び川に入った二人は、先ほどの三人同様拳を突き出す。しかし水柱はできたものの、二つに割れることはなかった。
「あれ?」
「うーん、どうして?」
「初速が速すぎるんだよな。」
ノーヴェがそう言って、川に入り、構えをとる。
「最初はゆるっと脱力して途中はゆっくり、インパクトに向けて鋭く加速。これを
素早くパワー入れてやると---------」
ノーヴェは五人とは違い、足を蹴り上げる。すると水柱ができて二つに割れるだけでなく、周囲の川の底が見えてしまうほどだった。
「こうなる。」
「「…‥‥。」」
あまりの結果に呆然となる二人。そして言われた通り最初は力を抜いて瞬間一気に力を籠めると、割れはしないものの、水柱は先程より前に進む。
「さっきより前に進みました!」
「すごいっ!!」
「…‥もう少し練習します。」
「よーし、あたしも頑張るぞ! 目指せ、川の水底上げ!!」
アインハルトもエーリも、負けじと水斬りを繰り返す。
『ったく、一日で覚えれるなら苦労しないっての。』
「でも、筋はいいのよね。思ったよりも早く習得しそう。」
エーリの様子に呆れるアンクに対し、ルーテシアは二人を高く評価していた。
「お昼ですよー、みんな集合!」
『はーい!』
メガーヌに呼ばれ、着替えを終えた子供たちがコテージに集まる。コテージにはメガーヌやトレーニングを先に負えた大人組が、バーベキューやスープの用意をしていた。
「おかえり。」
「みんな遊んできた?」
「もーバッチリ。」
ルーテシアはそう言うが、ヴィヴィオ・アインハルト・エーリの三人は体をガクガクと震わせながら、席に着いた。
「あらあら、大丈夫?」
「三人とも、ずっと水斬りの練習やってたんですよ。」
『アホ。』
ノーヴェとアンクは呆れながら、座ってもピクピク小刻みに動いている三人を見るのだった。
・・・・・・・・・・
食事を終え、ヴィヴィオとアインハルト、エーリの三人は、食器を洗っていた。
「ヴィヴィオさんは、いつもノーヴェさんからご教授を?」
「いつもではないんです。最初は基礎だけやってそこから独学だったんですけど、
それじゃ体壊すからって時間をかけて教えてくれて、次第にコロナやリオの
事も見てくれるようになったんです。」
「羨ましいです。私は独学でしたので。」
「あたしもかな。自分で思いついた戦いをやりたかったし。」
「でもでも、これからは一人じゃないですよ。流派は別として。」
「…‥はい。」
ヴィヴィオの笑顔に、アインハルトは少々照れてしまう。
「(ストライクアーツとカイザーアーツ、同じ道は辿れない。でももし、こんな風に
少しだけ彼女らと一緒に歩めたら‥‥‥。)」
そう思ったアインハルトは両手で拳を作り突き出す。二人はその意味を理解してか、拳を作ってアインハルトの拳にコンッとぶつけるのだった。