魔法少女リリカルなのはViVid ooo ~欲望を司る魔王女~   作:ハナバーナ

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第一章 デバイスと変身と王の邂逅
カウント1


「うわわわっ!?」

 

コウガミからプレゼントされた腕型のデバイスが、自分の周りを浮いたことに加え、チンピラのような口調でしゃべったことにエーリは驚き、尻餅をついてしまう。それを見たコウガミが、大きく笑う。

 

「ははは、驚いたかね? 多方面に取り組む君用に作り上げたインテリジェントデバイスだ。

 アンティークな見た目だが、クリスタルはちゃんと中に埋め込まれているよ。」

 

「私はさすがに小学生が持つにはミスマッチなのではないかと公言したのですが…。」

 

サトナカがそう言って溜息を吐くあたり、見事なまでに押し通されたのだろう。エーリは立ち上がると、腕型のデバイスに近づく。

 

「えっと、あたしはエーリ・コウガミっていうの。よろしくね。」

 

『まさか俺様の相棒がガキとはな‥‥精々使いこなして見せろ。』

 

マスターであるはずのエーリに対して、随分と見下し気味な態度でデバイスは話す。エーリはそんなデバイスに、あははと苦笑する。

 

「それはこれから君と共に学び、成長していくデバイスだ。名前はまだ決めていないから、

 君がいいと思った名前を付けたまえ。」

 

『ダセェ名前にするんじゃねえぞ?』

 

コウガミやデバイスにそう促され、エーリは腕を組んでうーんと考えるが、それはほんの数秒。すぐに納得したような表情になる。

 

「決めた! あなたのデバイス名は、【アンセイクリッド・オーズ】。愛称はアンクだよ。」

 

「ほほうエーリ、私の昔話からとった名前だね?」

 

「うん! どうかな、アンク…いい名前だと思うんだけど?」

 

『もう名前で呼んでんじゃねえか‥‥だがま、ありきたり過ぎなくていい。それで構わん。』

 

「やったぁ、これからよろしくねアンク!」

 

エーリはそう言って、アンクに抱き付く。アンクはというと、鬱陶しそうにジタバタする。

 

「ねえねえおじさん! あたし、早くアンクと一緒に戦ってみたい。」

 

「エーリならそういうと思ったよ。ミス・サトナカ、シミュレーションルームに彼女を。」

 

「分かりました。お嬢様、こちらです。」

 

サトナカに言われ、エーリとアンクはシミュレーションルームへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シミュレーションルーム

 

広いシミュレーションルームに来たエーリとアンクの目の前には、三体の巨大なゴーレムが立っていた。

 

『練習用のゴーレムです。動作は腕を振り下ろすだけです。』

 

「分かったよ、サトナカさん。」

 

放送で話しかけてくるサトナカに、エーリは元気に返答する。

 

『おいエーリ、ゴーレムとの実戦経験は?』

 

「ない。対戦はほとんどスパーリング。でも、アンクとならいける気がする!」

 

『…‥その自信は一体どこから来るんだか。』

 

アンクは溜息の代わりに、手をぶんぶんと横に振る。そうしているうちに、ゴーレムの目が光り、起動する。

 

「アンク、行くよ!」

 

『無様な姿だけはしてくれるなよ?』

 

アンクがエーリにそう言うと、エーリの下に三角の魔法陣が広がる。

 

「マスター認証、エーリ・コウガミ。術式、ベルカ主体のミッド混合ハイブリッド。

 デバイス名称、【アンセイクリッド・オーズ】。」

 

エーリはそう詠唱した後、アンクをつかんでグッとその腕を上に上げ、高らかに叫ぶ。

 

「変身(セットアップ)!!」

 

それと同時に、アンクの一つ目がギラッと光り、エーリの服が光りとなって弾けたかと思うと、魔法陣から光があふれ、裸になったエーリを包み込む。その光はエーリの周りで服やスカート、靴を生成し、ところどころ色が異なるバリアジャケットへと変貌する。魔法陣が消え、変身が完了したエーリは、自らの手足を確認する。

 

「これが‥‥変身したあたし…。」

 

『来るぞエーリ! ボサッとすんな!』

 

アンクはそう叫ぶと同時に、デバイスの役割を担うためにエーリの体に入り込む。エーリも、ゴーレムが腕を振り下ろそうとしていることに気付き、足に力を込めてジャンプする。

 

「‥‥へ? わああああああああああ!?」

 

しかしエーリは驚いた。自分が思っていた以上に、高くジャンプしたからだ、10M近い全長のゴーレムを優に飛び越え、高い位置にあるはずの天井に頭をぶつけそうになるが、何とか寸前で降下する。着地の際ズザザザと摩擦が起こり、完全に止んだころには摩擦の跡からシュウウと煙が出る。

 

「すごい‥‥予想以上だよ、このジャケット!」

 

興奮しているエーリに、振り向いたゴーレムが迫ってくる。エーリはもう一度ジャンプの体勢に入る。

 

「(対ゴーレムの戦術は考えてある。攻撃動作の合間、懐に飛び込むイメージ‥‥!)」

 

エーリがそう考える時、ゴーレムの一体が、腕を振り上げる。エーリはその隙を逃さない、先ほどよりかなり低くジャンプし、ミサイルのような勢いでゴーレムの腹部に迫る。そして腕をぐっと引いた後に、ゴーレムの腹部に勢い良く拳を叩き込む。ゴーレムの腹部から全身にひびがいきわたり、跡形もなく崩れ去っていく。

 

「たあっ!」

 

すかさずエーリは近くにいる一体に向かってジャンプ、ゴーレムの眼前でくるくると回転し、その勢いでかかと落としを喰らわす。ゴーレムはその顔面を地面にめり込む。

 

「やあああああああ!!」

 

ラスト、エーリは残った一体の真下に移動、足に力を込めて勢い良くジャンプし、素早く拳を繰り出してゴーレムにアッパーカットをお見舞いする。ゴーレムは上に吹き飛び、天井に頭部をぶつけ、ガラガラと崩れていく。エーリが着地したころには、全てのゴーレムの機能が停止していた。

 

「やった! 快勝したよアンク!」

 

『ふん、まあまあだな。』

 

余裕で勝ったことに喜ぶエーリだったが、アンクは小ばかにするような態度で、大した評価はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい!! 見事な戦いぶりだったよエーリ、そしてアンク!」

 

うーんと腕を上げて会長室に戻ったエーリとアンクを待っていたのは、モニターで様子を見ていたコウガミの高評価だった。

 

「ありがとうおじさん。でもやっぱり、一回だから慣れないな。これからもっとアンクの事を

 知ろうと思うんだ。」

 

「勝つことへの喜びから、すぐに次の課題に切り替える。それもまた素晴らしいよエーリ。

 アンクも、これから彼女をよろしく頼むよ。」

 

『はっ、安心しろコウガミ。お前の想像をはるかに超える奴に育ててやるからよ。』

 

制作者であるはずのコウガミにも、ひねくれた態度をとるアンク。そんなアンクは、あることをエーリに聞く。

 

『それよりエーリ、聞きてえ事がある。俺の名前の由来はなんだ? コウガミの話からとったとか

 抜かしてたが?』

 

「んーっとね、なんかあたし、昔いた魔王の血統らしいんだよね。おじさんから聞いたんだけど。

 だから、【聖じゃない者】って意味で、アンセイクリッド。オーズは、このミッドとは違う

 地球って世界にいるヒーローの名前なんだって。欲の力で戦うみたいだから、やりたいことを

 やらずにいられないあたしにぴったりなんじゃないかなって。」

 

「それに関してなんだがエーリ、今こそ君に話すべきことを二つ教えようと思う。」

 

「二つ?」

 

「一つは、他の王に関してだ。このミッドには、君の他にも魔王と同じ時代を生きた王の

 血統が何人か存在する。DSAAに出場する以上、これから先関わることになるだろうね。

 もう一つは…君の父についてだ。」

 

コウガミがそう言った瞬間、エーリの体がビクンと震え、眼が見開かれる。

 

「あたしの‥‥父さん‥‥。」

 

『どういうことだ?』

 

「あたし、おじさんが引き取ってから今までの四年間以前の記憶がないの。両親の顔も

 知らないし、おじさんに聞いてもいつか教えるってだけで‥‥。」

 

「戦い始める今がその時だと思ったのさ。心して聞き給えエーリ。君は…‥。」

 

エーリはゴクッと唾を飲み、小さな拳をぐっと握る。そんなエーリに、コウガミは語る。

 

「四年前、ミッドチルダを震わせた大事件、JS事件の首謀者、ジェイル・スカリエッティが、

 魔王の遺品に残された遺伝子情報を元に生み出した、クローンなのだああああああああ!!」

 

コウガミが両腕を大きく振り上げ、声高らかにそう宣言する。

 

「…‥へ?」

 

その事実を聞いたエーリは、ただただ呆然とするばかりだった。

 

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