魔法少女リリカルなのはViVid ooo ~欲望を司る魔王女~   作:ハナバーナ

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カウント6

古代ベルカ諸王時代

それは天下統一を目指した諸国の王による戦いの歴史。

『聖王女』オリヴィエや『覇王』イングヴァルト、『魔王女』デサイアも、そんな時代を生きた王族である。

いずれ優れた王とされる彼らの関係は、現代の歴史研究においても明確になっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドの街中にある喫茶店には、待ち合わせとして指定してきたノーヴェ、そしてスバルやティアナが同席していた。

 

「二人とも休日だろ? 別に付き合わなくたっていいのに…‥。」

 

「まあアインハルトやエーリのこと、気になるからね。」

 

「そうそう♪」

 

「‥‥それはそれでありがたいとしてだ、問題は…‥。」

 

ノーヴェは勢いよく立ち上がり、自分の後ろの席に座っている五人組の方に振り向く。

 

「なんでお前らまでそろってんのかってことだ! 呼んだのチンク姉だけだぞ!」

 

そうツッコミを入れるノーヴェ。一人目はウェンディ。二人目はリボンを後ろに結んでいるナカジマ家のディエチ。三人目はディエチに似ているボーイッシュな女性、オットー。四人目はカチューシャをしているロングの女性、ディード。そして五人目は先程ノーヴェに呼ばれた、白髪に眼帯をしている五人の中で一番小柄な女性、チンク。みな、ノーヴェと同じジェイルによって生み出された姉妹たちである。

 

「別にいいじゃないッスか。」

 

「時代を超えた聖王と覇王の出逢いなんてロマンチックだよ。」

 

「それに私達がもう一人の陛下と呼ぶべき魔王の御方も気になりますしね。」

 

「後は陛下の護衛もね。」

 

「すまんなノーヴェ、姉も一応止めたのだが…。」

 

四人が各々理由を述べ、チンクが申し訳なさそうに謝る。ノーヴェは頭に手を当て、はあっと溜息を吐く。

 

「見学自体は構わねえけど、余計なチャチャ入れんなよ? あいつらお前らと違って色々と

 繊細なんだからよ。」

 

その忠告に、チンクを除いた四人は本当にわかっているのかわからない顔でうなづく。

 

「ノーヴェ、みんな。」

 

そんな彼女らの元へ、ヴィヴィオがクリス、コロナやリオを連れてやってくる。

 

「悪ィな、やかましくて。」

 

「全然。それで、紹介したい子って? 後、エーリも。」

 

「二人とももうすぐ来るよ。」

 

「そっか。ねえ、紹介してくれる子ってどんな子なの?」

 

「お前の学校の中等部一年。流派は‥‥旧ベルカ式の古代武術だな。お前と同じ虹彩異色。」

 

「本当!?」

 

「おまたせ~!」

 

元気な声とともに、エーリがアンクを連れてやってくる。瞬間オットーとディードがエーリの前に立ち、片膝をついて頭を下げる。

 

「お初にお目にかかります、魔王陛下。私、聖王陛下に仕えておりますディードと申します。」

 

「同じく、オットー。」

 

「こ、こんにちは‥‥。」

 

突然の事に、エーリは目を丸くする。直後、ノーヴェが片膝をついている二人の後ろに立ち、服の襟をつかむ。

 

「余計なチャチャ入れんなっつったばかりだろうが。」

 

二人を引きずっていくノーヴェを見て呆然となるエーリに、ヴィヴィオは駆け寄る。

 

「ごめんねエーリ、二人が変なことしちゃって。」

 

「ううん、気にしてないよ。ヴィヴィオの知り合いって、みんな面白いよね。」

 

そんな会話をしながら、二人が笑っていると、

 

「失礼します。ノーヴェさん、皆さん。アインハルト・ストラトス、参りました。」

 

制服姿のアインハルトが、鞄を下げてやってくる。そんな彼女に、ヴィヴィオは頭を下げる。

 

「初めまして。ミッド式のストライクアーツをやってます、高町ヴィヴィオです。」

 

「…‥ベルカ式古流武術、アインハルト・ストラトスです。」

 

ヴィヴィオは笑顔で、アインハルトは少し物悲しげな表情で握手する。アインハルトの異変にヴィヴィオやエーリが気付くが、ハッとなったアインハルトが頭を下げる。

 

「あの、改めて自己紹介させてください。基本ミッド式ストライクアーツでやらせていただいて

 います、エーリ・コウガミです!」

 

そう言ってエーリが手を伸ばす。アインハルトは伸ばされた手を数秒見た後、ゆっくりと握る。

 

「まあお前ら格闘技者同士だし、ごちゃごちゃ話すより手合わせした方が早いだろ? 場所は

 抑えてあるから、行こうぜ。」

 

ノーヴェがそう言って、親指でその場所があると思われる方向を指さす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諸王戦乱の時代、武技において『最強』と『最凶』を誇った背中合わせの二人の王女が存在した。

後に【最後のゆりかごの聖王】と言われるオリヴィエ・ゼーゲブレヒト

後に【終焉を呼ぶ蹂躙の魔王】と言われるデサイア・エイリス

それらの王と共に生きた覇王であるイングヴァルトは、彼女らに勝利することができなかった。

アインハルトはその記憶を資質や流派、流れる血とともに受け継いでいる。それは現代に生まれたはずのアインハルトにとっての後悔であり、覇を以って天地に和を成す彼の目標を達成しようとする理由となっていた。

 

『だけど、この世界には拳をぶつける相手がもういない。救うべき相手も、守る国も、

 世界も‥‥!』

 

アインハルトは涙する。結局、どんなに強くなろうとしても、後悔しかないのだと…‥。

 

『‥‥いるよ。』

 

そんな彼女に首を振ってくれたのは、ノーヴェだ。

 

『昨日のお前らや公園の状態を見りゃわかる。少なくともエーリは、お前の拳をちゃんと

 受け止めてくれたんだろ?』

 

その言葉で、昨日の戦いを思い出したアインハルトは、涙ながらに顔を小さく縦に振る。

 

『それに、あたしは知ってる。お前の拳を受け止めてくれる、もう一人の王様をさ。』

 

ノーヴェが二っと笑いながら、そう答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

区民センター内 スポーツコート

 

今朝のノーヴェの言葉を思い出しながら、アインハルトはヴィヴィオとのスパーリングを行っている。ヴィヴィオは変身していないにもかかわらず、軽快でありながら勢いのある連打で果敢に攻める。アインハルトも、そんなヴィヴィオの攻撃をいなしている。

 

「(二人とも、凄い‥‥!)」

 

二人と一度ずつ戦っているエーリも、二人の戦いに興奮する。結果でいえば、ヴィヴィオの隙を突いたアインハルトの平手突きによる勝利だが、アインハルトは曇った表情で一礼し、その場を後にしようとする。

 

「あ、あの…わたし、弱すぎました?」

 

「いえ…趣味と遊びの範囲内でしたら、十分すぎるほどに。」

 

アインハルトはそれだけ言って、背を向ける。そんな彼女に、エーリが手を上げる。

 

「ア、アインハルトさん! 次はあたしと------」

 

『やめておけ。』

 

しかしそんなエーリを、アンクが引き止める。

 

『今やったところで趣味と遊びで済まされるのがオチだ。』

 

「別に関係ないよ。あたしが手合わせしたいんだから。」

 

『俺が気分悪いんだよ。お前と一緒にけなされてるようで。』

 

完全に自己中心的なデバイスに、エーリはガーンとショックを受ける。

 

「今度はもっと真剣にやります! だから、もう一度やらせてもらえませんか? 今日じゃ

 なくてもいいんです。明日でも、来週でも…‥。」

 

そんなヴィヴィオに、アインハルトが振り向く。もっとも、曇った表情なのは変わらないが。

 

「そんじゃまあ、来週またやっか。今度はスパーじゃなくてちゃんとした練習試合でさ。」

 

ノーヴェの提案に、反対する者はいない。アインハルトもそれを承諾し、勝負は来週に持ち越されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈むころ、アインハルト達と別れ、エーリはヴィヴィオやウェンディ、ディエチとともに帰路についていた。

 

「でも驚いた、エーリがまさか魔王の血統だったなんて。」

 

「あたしの方こそだよ。ヴィヴィオがまさか聖王の血統だとは思わなかった。」

 

笑いながらそんな会話をする二人。ウェンディやディエチも、そんな二人を微笑ましく見ている。

 

「(本当に仲いいッスねぇ、あの二人。姉妹みたいっスよ。)」

 

「(事実でいえばそうなんだけれどね。でも、今が一番いいと思う。)」

 

念話でそんな会話をする二人。二人はヴィヴィオにエーリの出生のことを話していないのだが、それが今はいいと踏んだのである。そうしているうちに、エーリとヴィヴィオはわかれることとなる。

 

「じゃあヴィヴィオ、また明日ね!」

 

「うん、また明日。」

 

お互い、手を振ってさよならする。そんなヴィヴィオを見てウェンディとディエチは、急に気まずさのようなものを覚えた。

 

「さ、さあ帰ろうヴィヴィオ。送ってくよ。」

 

「ありがとう二人とも。あ、そんなに固くならなくていいよ。ノーヴェからエーリの事

 聞いたから。」

 

「「…‥え?」」

 

ヴィヴィオから出た言葉で、二人は呆然としてしまう。

 

「わたしと生まれが同じなんでしょ? でもわたし、気にしてないよ? だってエーリは、

 ヴィヴィオの最高の友達で、ライバルで、家族のようなものなんだから。」

 

ヴィヴィオはニコッと笑い、クリスと再び歩き出す。そんなヴィヴィオを見た二人は互いに顔を見合わせると、もう心配いらないなというように苦笑する。

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