ガンバライダーReflection   作:覇王ライダー

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第1話

-地球-

この場所を男は知っていた。

かつて自身はここで様々な戦士と戦い、いくつもの死線を繰り広げて来た。

掌を握った瞬間、ここにある酸素、そしてその他の大気が身体中に染み渡る。そんな気がした。

「・・・そろそろか。」

彼が空を見上げた瞬間、空には赤い光が一つこちらへと落ちて来た。その光はものすごいスピードで落ちていく。

「貴様が俺を呼んだものか?」

その砂煙の中から出て来たのは一人の少女だった。少女はボロボロの服を手で隠しながら、持っていた石板に語りかけた。

「イリス、あなたが言っていた人ってこの人?」

「えぇ、そうよキリエ。彼は私たちの見方。」

イリスがそう言うと、キリエはふーん。と男を見た。男は何の不思議そうにもせずキリエを見た。

「こんなきれいな星に私たちの星を救う-鍵-が存在するなんて・・・。」

「えぇそうよ。そしてそれに必要なのがこの星の力。」

石版が光ると、イリスは人としてやっと男の目の前に姿を現した。

「キリエ、ちょっとおいで。」

「どうしたのイリス?」

キリエはイリスに近づいていく。イリスは周囲の鉄骨を集めると、その鉄骨は光を浴びてみるみる物質が変化していく。

やがて服へと姿を変えてキリエはそれを纏った。

「こっちじゃこれが普通の人の格好よ。」

ふーん。とキリエは服を不思議そうに眺めた。

男は近くにあった車を蹴飛ばした。その車は大きく歪み、一撃の蹴りは車を壊してしまいそうな程だった。

「で、最初はどうするの?」

キリエはイリスへと問う。イリスは持っていた水晶に光を当て、そこに映像を映し出した。

そこに映っていたのは三人の少女だった。

「まずは、この水晶に映るこの子、夜天の書を持つ八神はやてに接触、夜天の書を借りるの。」

「そう上手くいくとは思えんがな。」

男は吐き捨てるようにそう言った。それに聞く耳を持たぬようにイリスは話を続ける。

「そこからはまたお話しするわ。これがないと次に動くこともできない。」

キリエが頷くと男は近くにあった鉄くずを殴り、それを一撃で粉砕した。

「俺を楽しませてくれるのか?」

イリスは不敵な笑みを浮かべて男へと言った。

「えぇ勿論よ。あなたが受けた怨念を晴らしなさい-アクート-」

アクートはふん。と鼻で笑うと歩き去ろうとした。

「その計画、俺も混ぜてくれないか?」

「っ!!?」

三人が後ろを向くと、月明かりに照らされていたのは一人の男だった。

男は座っていたバイクから降りると、イリスたちへと近づいていく。

「あなたは・・・?」

「お前たちにとってはどうでもいい話。協力者なだけで理由は充分だろ?」

男は少しずつイリスたちへと近づいていく。

アクートはどこかで彼とは何か近い-縁-を感じずにはいられなかった。

-あれから2年の月日が経った-

少女はそっと公園の柵にもたれかかった。

今日は空も晴れており、雲ひとつない快晴とも言える日だった。

2年前に現在のパートナーであるユーノ・スクライア、そして友であるフェイト・テスタロッサに出会い、自らの運命は大きく回り始めた。

その後の闇の書事件では八神はやてやその騎士であるウォルゲンリッターと共に事件の根源であった闇の書の破壊に努めた。

その中で彼女はいくつもの犠牲をこの目で見てきた。

フェイトの母親であるプレシア・テスタロッサの死、そして闇の書の本体とも言えるリィンフォースとの別れ。

思い返せば、自らにもっと強さがあれば守り抜けたのだろうかと考える。

プレシアもリィンフォースも運命を変えられるほど強い力があれば変わっていたのかもしれない。

ふと彼女は空を見上げそう思った。

彼女はそんな別れや死に立ち会い、何度も立ち上がってきた。

「そろそろ時間かな。」

少女がそっと辺りを見渡すと、はやてとフェイトがこちらに走ってくるのが見えた。フェイトの輝くような金髪はこの周辺ではなかなかいないためよく目立つ。

「なのは!遅れてごめんね。」

「んじゃあ、練習場向かおうか。」

高町なのはは二人の言葉にそっと頷いて歩き出した。

なのははふと立ち止まると、少しばかり空を見上げた。

「どうしたの?」

フェイトがそっと近づくとなのははゆっくりフェイトの方を向いた。

「何でもないよ。ただ、綺麗な空だなぁって。」

なのはがそう笑顔で答えるとフェイトたちも少し笑い、三人は再び歩き出した。

だから決めた。悲しい出来事も全て自分の手の届く範囲は繰り返させない。

 

-GRZ社-

GRZ社(ガンバライジング社)では今日も何人もの社員が研究所を行ったり来たりしていた。

「はぁ・・・忙しいこった。」

柳リョウヘイはふと愚痴じみたことを呟くと、彼の背後に悪寒が張り巡った。

「この程度の事案はこなしてもらわねば困るぞクロス。」

「・・・副社長さんが何のご用事で?」

悪寒の正体はガンバライジング社の副社長を務める彼方ヒサキだった。ヒサキはリョウヘイのポケットに小さな紙を突っ込んだ。

「アンタの携帯番号なら俺知ってるからいらねえよ?」

「誰がお前に番号の紙を渡すか。というか考え方古いな。」

そのワンフレーズにリョウヘイは少し血が上り、笑顔で睨みつけるがヒサキはそんな事つゆ知らず無表情で睨んだ目を見つめた。

「・・・はぁ、変わんねえなアンタ。」

リョウヘイから小さなため息が漏れるとヒサキはリョウヘイの横を通り過ぎていく。その際に小さく呟いた。

「地球で魔力反応が検知された。お前にはチームを組んでそこに向かってもらう。」

「地球で魔力反応?」

リョウヘイはそう聞き返すが、ヒサキは聞く耳を持たず歩いていく。

前はそうでもなかったものの、リョウヘイも関わった「アクート事件」以来は魔力反応が起きるのは不思議なことでもなくなった。

そう言い残して、ヒサキは少し早足で去っていく。その姿はリョウヘイには逃げるようにしか見えなかった。

「まーた面倒なもん託されちまったな。」

どうやら以前の事件以来、この魔法というものとは縁があるのかもしれない。

そう縁を感じたリョウヘイはポケットに突っ込まれた紙を手に取った。

時間がないものの、彼は急ぎならばと目を通す。しかし・・・

「・・・なんて書いてあるんだコレ。」

彼は小さく頭に手を置いた。

こんなことがあるか。人類の未来を担う副社長様の字汚すぎだろ!!

 

なのはたちがはやての家へと着くと、そこにいたのはウォルゲンリッターのシグナムとシャマルだった。

「おはようなのはちゃん。」

「おはようございます。シャマルさん!」

お互いに挨拶を交わすと、シグナムが二階を指差した。

「もう準備は整っている。先にアリサとすずかも向かっている。」

「アリサちゃんとすずかちゃん早いなぁ〜。」

はやてが感心していると、二階から少女があくびをしながら降りてきた。

「おはようヴィータ。」

「ん、おはよー。」

ヴィータはボサボサの髪を掻きながら階段を降りていく。

その後ろには同じくウォルゲンリッターのザフィーラもその四つの足を器用に使いながら降りていく。

「これで皆起きてきた。」

「ありがとうな。ザフィーラ。」

はやてはザフィーラの毛をゆっくりと撫でた。彼の毛はそこらの獣よりも柔らかいため、はやてはよく撫でる。

「行って来い。」

「ありがとうございます。シグナム。」

フェイトたちは一礼するとそのまま二階へと上がり、ドアを開けた。

 

そこには綺麗な草木が広がり、海上には大きな建物がいくつも建てられていた。

はやての家の練習場はシャマルが作った結界で出来ているため、空や風、海や大地の再現度も非常によく出来ている

「遅いよー!」

「おはようアリサちゃん、すずかちゃん。」

三人はアリサとすずかの元へと駆け寄っていく。

「ん?そちらの方は?」

アリサとすずかの後ろに立っていたのは茶色いエプロンを着けた男性だった。

男はその装いでコーヒーを淹れてることからカフェなどを営んでいるのはすぐにわかった。

「この人は黒森虎(たいが)さん。行きつけのカフェのマスターなの。」

アリサの説明を受けて皆はふうん。と軽く首を縦に振った。虎は笑顔で三人に笑いかけた。

「おじさんのことは気にせず皆は向こうで練習しておいで。」

「ありがとうございます!」

なのはとフェイトが海上へと向かうと、はやてはモニター越しになのはたちに語りかける。

「んじゃあ、十分間で一ラウンド勝負。ええね?」

「オッケー。ありがとうはやて!」

なのはは自らのデバイスであるレイジングハートを、フェイトはバルディッシュを取り出し、空へ掲げた。

「セーットアップ!!」

二人がそう掛け声をかけると彼女たちは光を纏い、武器を持った「魔法少女」へと姿を変えた。

「では始め!」

ゴングが鳴ると、二人は一気に激突し、武器からは激しい火花が散った。

「懐かしいね!」

「うん!」

二人が最後に全力でぶつかり合った場所もこんなところだった。

二人はそう想いを馳せながら、戦地を駆け巡っていく。

「シュート!」

なのはは魔力の光弾を幾つも作り出し、フェイトへと放った。しかし、フェイトはそれを回避しながら一気になのはへと近づいていく。

「はあああああああああ!!」

フェイトは強い叫び声とともにバルディッシュを振るった。

なのははそれを受け流すように体を横へそらした。

コーヒーを飲みながら見ていたすずか達に虎は声をかけた。

「あの子達ホントに小学生?すごくない?」

二人のスピードが増していくごとに初めて見た虎の驚きも増すばかりだった。

「はやてちゃんの準備運動を手伝ってあげてくれませんか?」

すずかの突然の提案に虎もはやても驚きを隠せなかった。

「あのスペックの子供達の相手はおじさん厳しいなぁ。」

「あの…」

はやてが言い出そうとした瞬間、三人が一気にはやての方向を向いた。はやては小さく笑いながら誤魔化そうとした。

「はやてちゃんが手伝って欲しいそうです!」

そう口を開いたのははやてのデバイスであるリィンフォースツヴァイだった。リィンは虎へ嬉しそうな眼差しを向けた。

「…じゃあ、ちょっとおじさん頑張っちゃおうかなぁ?」

虎は裾を捲ると、そのまま構えてはやてへ手を軽く振った。恐らくかかって来いということなのだろう。

「んじゃあ、よろしくお願いします!」

はやては特徴的な関西弁でそう言うと、一気に走りこみ虎へと拳を振るった。

虎はそれを受け流すように全てを手で跳ね除けていく。

「すごい・・・!!」

はやては驚きを隠せないまま拳を振るっていく。虎はそれに合わせるようにすべて弾いていく。

「おじさん音ゲー得意だからタイミング合うのよねぇ。」

リィンも提案した張本人の筈なのにここまでの達者な受け流しに驚きを隠せなかった。

「すごいでしょ?」

アリサの自慢げな表情は今のリィンにはよく映った。

「戦闘のプロの戦い方です・・・。」

リィンがそう呟くと、はやてもそれに乗っかるように言葉を交わした。

「どこかで戦いに巻き込まれたりしたんですか?」

「おじさん戦いとか好きじゃないからねぇ。あんまりないかな!」

虎はそのまま一回転するも、はやての攻撃を全て読み取ってるかのように防ぎきった。

はやては一発を振るった後疲れるように倒れこんだ。虎はそっと手を取って、モニターを見た。

「さっ、向こうもそろそろ終盤みたいよ?」

なのはたちは自らの魔法陣を大きく描き、その魔法陣の中心には大きな光が集まっていく。

「ディバイン・・・バスター!」

「サンダー・・・スマッシャー!!」

二人の収束した光は光線となってぶつかり合い、周囲に大きな風と飛沫を生み出した。

離れているはずのすずかたちにもその強さは伝わった。

「なのはちゃんたち・・・やっぱ凄いね。」

「大丈夫かな?あの二人。」

すずかとアリサがそんな会話をしていると、二人は煙の中空中へ浮いていた。

少しの傷は入っているものの、二人はまだと武器を相手へ向けた。

「そこまで!」

はやての止めが入ると二人は武器を下ろしてゆっくり近づいていく。

「やっぱフェイトちゃん強いね。」

「・・・なのはこそ。」

フェイトはなのはが差し出した手を取り握手を交わした。

そしてはやてはリィンを連れてゆっくり近づいていく。

「んじゃあ、次は私の番やね。」

「じゃあ、フェイトとはやてで最後なのはとはやてね!」

アリサがそう言うと三人は頷き、なのははそのままアリサたちの方へと戻っていく。

「じゃあ、始めるよー!」

再びゴングが鳴り、三人の練習試合はもう暫く楽しそうに続いていった。

 

-ガンバライダールーム-

ガンバライダールームでは様々な研究が行われており、その中の機能テストの中に彼はいた。

「闘真、オッケーだ。」

研究員の声が聞こえると、ふぅ。と大きく息を吸った。

天城闘真はそのまま笑顔でカプセルの中から出てきた。闘真はそのままパソコンの画面を眺めた。

「なんか出て来た?」

パソコンには異常なしの文字が羅列のように出てくる。闘真もそれを見て正常だと言うことを再び確認した。

「で、あんたは誰だい?」

闘真を待っていたのは一人の男だった。男は眼鏡を少し上げると闘真に近づいていく。

「俺は柳リョウヘイ。君に頼みがあってね。」

闘真は少しほくそ笑むとリョウヘイの肩を掴んだ。

「あんた、余程の物好きと見た。」

「物好きじゃなくても仕事は絡むのが俺の主義だ。」

闘真が掴んだ手をリョウヘイは振り払った。

「いいぜ。内容は何だ?」

そう聞くとリョウヘイは闘真に一つのUSBメモリを渡した。

そしてリョウヘイは歩き去っていく。

「副社長が纏めろって言ったデータだ。あいつの字を解読できる奴も一緒に探しておいてくれ。」

闘真は軽く笑うとリョウヘイの渡したUSBメモリを眺めた。

「こいつは面白いストーリーが始まりそうだ。」

闘真は再び研究員の後ろにくっつき、自らのデータが映った幾つもの数式を一緒に暫く眺めていた。

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