男は一人会議に参加せず、ある者と電話していた。誰にも見られない廊下で静かに、そして澄んだ声で話す。
淡々とした二人の会話は味気なくそしてあっさりとしていた。
「ああ、計画は上手くいっている。心配することはないよ。葉月たちにもバレないように動くからさ、ほんじゃ。」
そう言い男は電源を切ると、後ろからの視線に気づく。タケシチロウだ。男は両手を上げて降参するような態度を取った。
「誰との電話か教えてもらおうか?」
「セイオウたちさ。葉月にベルトを手引きしたのも俺だからな。」
タケシチロウはナイフをさらに近づけた。おそらく動けばリョウヘイの首を掻き切るつもりだろう。
「どういうつもりだ?リョウヘイさん。」
ナイフを突き立てたタケシチロウの眼は本気で彼を殺す目だ。観念してリョウヘイは話を始めた。
「タケシチロウ、お前は"ワールドコア"って知ってるか?」
ワールドコア、噂には聞いたことがある。ある選ばれた人間が世界の核となって世界を統率し、その者がいなくなれば世界は消滅するというまるでゲームの主人公のような物質だ。この御伽噺を解明しようとこれまで様々な研究者が説を出したがそれは全て立証されなかった。まさに御伽噺の世界だ。
「・・・それがどうした?」
惑わされてはいけないとタケシチロウは気をしっかりと持ちリョウヘイへと問いかける。リョウヘイは話を続ける。
「俺はこの一件、何もかもが変だと思っていた。アクートの復活と葉月との因縁、そして何よりミッドにいた俺たちがこれまで知ることもなかったイリスたちの解析機能だ。」
さっぱり話が掴めない。確かに変な話ではあるが、イリスのシステムだって作ろうと思えば作れるはずだ。
「何が言いたい?」
「ここはアクートというワールドコアが生み出した世界なんだよ。」
「何!?」
大声を上げるタケシチロウにリョウヘイは静かにとハンドサインを送り、話を続ける。
「そしてアクートのこと、葉月や氷菓との因縁をここで俺たちは明かさなければならない。ワールドコアのことも二人に何があったのかも。」
タケシチロウはナイフを降ろした。リョウヘイは手を下ろしてその手をポケットに突っ込んだ。タケシチロウは背を向けて帰っていく。その振り向きざまにタケシチロウは少し大きな声でリョウヘイへと伝える。
「目的は分からんが俺たちのやることは変わらない。任務を降りたアンタは好きにしろ。」
その声はどこか冷たく、リョウヘイを突き刺すような言葉だった。
事の一連をはやてに話したジーの顔は曇り、どこか申し訳なさそうな顔だった。はやても少し表情が翳り、考え込むような姿勢を取った。
リョウヘイの目的は何なのか。ワールドコアという未知の存在を解明した先には何が残るのか。様々な疑問は飛び交うが、まずはするべきことがある。はやてはジーの手を強く握った。
「リョウヘイさん、何を考えてるか分からへんけど私たちが今出来るんは止めることだけです。やからそんなに重く考えんといてください。」
「そうです!私たちが付いてますので!」
こんな状況でも笑顔で振る舞える彼女は何と強いのだろうか。子供ゆえの純粋さだけじゃない、様々なことを乗り越えるだけの強さをこの歳にして持っているのだ。
はやてとリインフォースⅡの励ましにそうだな。と一言返して空を見る。そこにはこちらに向かってくる光が二つ見えた。二人が臨戦態勢を取るとそこに二つの光が空へと舞い降りた。
「俺の相手はタケシチロウか。」
「コイツがイリスが邪魔と言っていた奴か。構わん、相手になってやろう。」
タケシチロウとはやては驚愕する。そこにいたのはセイオウと一人の少女、その姿ははやての騎士甲冑、顔も背丈も瓜二つの少女だった。
少女はシュベルトクロイツに似た武器を構えてはやてへと向ける。はやてと睨み合う二人。
「我が名はディアーチェ。貴様らが邪魔らしくてな。」
「キリエさん、いやイリスの差し金やね!」
セイオウは銃を構えて戦闘態勢をとる。答えるつもりはないという意思表示だろうか。ジーも持っていたガンバソードを構える。
ディアーチェの後ろからは大きな闇が広がり、その穴からは鉄の鳥が空を舞った。その大きさはジーの何倍もあった。
「この黒影のアメティスタが貴様らを蹂躙してくれよう!」
はやてたちの前に機動外殻は立ち塞がった。
現場へと向かうフェイトとシグナム、そしてEXEとファング、テイカーとナハトは現場へと直行する。フェイト、シグナムを筆頭に管理局員、ガンバライダーという順番だった。
ナハトは並走していたテイカーへと少し寄りながら飛んだ。なにかとテイカーも少し寄って飛んだ。
「なあ、もし葉月の嬢ちゃんがアクートと、かつての馴染みと戦わないといけないとしたらお前はどうする。」
「さあ、どうだろうな。」
テイカーは素っ気なく返した。だが彼女に相当の覚悟がない限りアクートを打ち負かすことは不可能だろう。テイカーも神妙な面持ちでそう答えるしかない。ただ一つ言えることはある。
「もし彼女が戦うのなら俺たちは最善のステージを作ってやらなきゃいけない。それが今やるべきことだ。」
ナハトは一つの答えを得たのか少し嬉しそうにそうか。と一言残して少しずつ離れていった。テイカーも少しずつ隊列へと戻る。
少しした時だろうか。全員の耳元からアラートが鳴る。空を見るとこちらに向かって隕石が落ちてきているではないか。慌てふためくファングは前に出ようとしたが、EXEはそれを止めた。
「任せな。たかが石ころ一つぶっ潰してやるよ。」
「私も賛同だな。」
EXEの横に並んだのはシグナムだった。EXEはワイルドスラッシャーを召喚してWildのカードした。
"Wiid"
「駆けよ隼!!!!」
シグナムのシュツルム・ファルケンとEXEのワイルドサイクロンは融合し、炎の竜巻となった攻撃は隕石を撃ち抜いた。破片は海中へと沈み、爆炎はその周囲を包んだ。
再び剣を構える二人の前に現れたのはデウスと青い髪の少女だった。
「あれ?」
「私と瓜二つ?」
困惑するフェイトとファング、シグナムは冷静さを保ちながらフェイトと瓜二つの青い髪の少女に問いかける。
「時空管理局局員のシグナムだ。出身世界と出自を明かしてもらおう。」
青髪の少女はそれどころではないのかデウスの方に何発ものパンチをラッシュしていた。
「僕が運んできた鉄団子壊されたーーー!!!!どーしてくれんのさ!!」
「だからすぐ壊れるって言ったろうが!それより前見ろ前!!」
レヴィはその言葉にハッとしたのかシグナムたちの方を向いて見せしめるように自分へと雷を落とした。
「どこから来たかは知らないが僕の名はレヴィ!雷光のレヴィとは僕のことさ!」
局員たちも含めて全員が茫然とする。良くなかったのかと考える表情をレヴィは浮かべた。
「僕はカッコいいと思ったんだけどなぁ。まあいいか!遊んであげるよ!」
「気の変わり早いなお前。」
デウスのツッコミを無視してレヴィはもう一度海中へと雷を放つ。その瞬間、海中からは大きなマシンが浮上してガンバライダーたちの前にふさがった。
「何だアイツレイヴンか!?」
「分かりにくい元ネタを出してくるな。」
そう話していたテイカーたちに向けてレーザーが照射された。二人は持っていたガンバブラスターの射撃で相殺させ、周囲に衝撃を散らした。
散り散りになるガンバライダーと魔導師たち。レヴィは自信満々にマシンの上に乗った。
「これは王様がくれた僕のしもべ、海塵のトゥルケーゼ!」
トゥルケーゼはもう一撃のレーザーを放つと、ガンバライダーたちを薙ぎ払う。その大きさは彼らの何倍だろうか。稲妻を纏った少女は笑顔で戦士たちへと宣戦布告する。
-さあ、遊んであげるよ-
一方で突如として現れたマシンに管理局員とザルニスと斬武。しかし斬武とザルニスの攻撃は徐々にダメージを与える。
「音撃打-灼熱真紅の型-」
"ストライクベント"
灼熱真紅の型とドラググローファイア。二つの炎がマシンの脚部を焼き尽くす。しかし
「ちっ!!」
潰れた脚部は磁力に引き寄せられるように浮いてそのまま破損部へと合体する。巻き込まれまいと二人はその場から離れる。
「そっちにいくんじゃねえ!!!!」
グラーフアイゼンをマシンへとぶつけて退けるが、その動きは数ミリほどで動いたというには疑わしいほどだ。
戦いを繰り広げるその奥には新装備である"パイルスマッシャー"を持つなのはの姿があった。なのははそのトリガーを握りその時を待っていた。
"パイルスマッシャー、発射準備オーケー"
「了解、撃ちます!」
放たれた弾丸は凄まじいスピードでマシンを撃ち抜き、大きな風穴を空けた。もう一撃と動こうとしたその時だ。
"バッテリー切れです。バッテリーを充電してください"
やはり試作品止まりだとここまでか。なのははすぐさまパイルスマッシャーを外してヴィータのもとへと向かおうと準備した。
「・・・?」
その時、なのはの目には空中で構える紅い魔法陣が二つ見えた。そこにいた少女とアクートは同じ武器を構えて二人は目を合わせる。
「いきますよルシフェリオン。」
「いくぞルシフェリオン。」
"ダブルディザスターヒート"
放たれた炎はヴィータに向かって飛んでいく。ヴィータが避けようとしたその時には遅くやられると目を瞑ったその時だ。
「ぐっ・・・。」
ヴィータの前に向かったなのはがすぐさまバリアを展開して防いでみせた。周囲に飛び散る炎、これでは被害が拡大してしまう。
"フレイム・プリーズ"
展開された魔法陣は二人の炎を渦のように飲み込み、魔法陣の中に消し去ってみせた。魔法陣の中心を見ると、そこから飛翔しようと助走をつけるブラットの姿があった。
なのはは少女へと、ブラットはアクートへと一気に駆けていく。
なのはと向き合う少女はなのはの武装であるストライクカノンを跳ね除けて体勢を立て直し、もう一度魔法陣を展開する。
「名乗らせていただきましょう。私の名はシュテル。殲滅のシュテル。」
「そして王から賜った我が兵器、城塞のグラナート。あなたがたに恨みはありませんがここで消えていただきます。」
ザルニスたちのもとにいたマシンはまた再生を始める。斬武たちを過ぎた一人の戦士によってグラナートの足は再び一刀両断される。
その姿はガンバライダーとは違う姿、そして橙色の複眼、紫と黒のボディ。姿はガンバライダークロスだ。しかしどこか違う。
男は名乗る-仮面ライダーディサイド-