はやて達の元へと向かうアミティエ、ファング、EXE、テイカーはバイクのスピードを一層加速させて夜闇を照らしている高速道路を駆けていく。
「これ間に合うかな!?」
「間に合わせます!!」
ファングとアミティエが並走してそう話すと、テイカーもまたその横を並走した。
「今は結界内で相手の罠の可能性もある。気をつけてかかれ。」
「んなこと言われなくてもわかるっしょ。」
テイカー、EXEがそうやりとりしているとファングはそのままバイクの速度を上げた。
「罠であろうと知ったことじゃないよ!僕らは今やるべきことをやんなきゃいけないんでしょ!?」
その言葉を聞いたアミティエは俯いてファングと目を合わせた。その視線は不安そのものを煽るようだった。
「私の妹が、キリエがこんなに大勢の人を巻き込んで・・・本当にごめんなさ」
「良いってことよ!!」
ファングは更に寄ってアミティエへと手を上に突き上げた。
「うまく言えないけどさ、あんたがそう思ってるのは誰よりも妹さんのことが心配で心が優しいって証拠だ。それは誇りに思って良いことだよ!」
「そうそう。それに俺たちは俺たちで止めなきゃいけない馬鹿が何人かいるから、目的は違ってもその道筋は同じって話さ。」
EXEとファングのその言葉に少し笑みを浮かべると、テイカーはフッと笑ってファングへと寄った。
「別に良いことを言うことはいいんだが曲がるときに気をつけろよ?」
疑問符を浮かべたファングはふと前を見ると数メートル先は高速道路が綺麗なカーブを描いていた。
「ああああああああああ曲がれないいいいいい!!!」
「だから言ったろうに。」
「絶対わざとだろ!!あっ待ってマジでヤバイ!!」
子供のように怒りをぶつけるファングにアミティエが笑みをこぼして近寄る。
「早く手を下ろしてください。ほんとにぶつかります!」
「あっ、そうだったそうだった。」
ファングが急いで手を下ろす様を見て三人は笑いながらその速度を更に早めた。
アクートはデュアル、ナハトを相手にたった一本の剣で二人の攻撃をいなし続けた。
「本気で戦う気がないのか?」
「さあな。少なくとも俺たちに劣勢とも言える状況だ。」
デュアルの質問に少し濁した形でアクートは答える。
ただでさえ二人の強豪ガンバライダー 、一人のSSクラス魔導師。彼らにとってはもともと劣勢だったにも拘らずさらに増えるとなると状況は芳しいものではなかった。
「さっさと手を打ってしまわないと」
「なら俺たちの優勢はもらったも同然だな!!」
ナハトがガンバソードを召喚し一気に斬りかかると、アクートはその剣に沿うように剣の腹をナハトに向けた。
「なっ!!」
「優勢なんて誰が言った?」
腹を向けたその剣はナハトへと直撃、間髪問わず地面へと叩きつけられた。
「お前の相手は俺だ!!」
デュアルがガンバブラスターを召喚し何発もの弾丸を加えると、アクートは剣で弾きながらその足を後ろへと進めていく。
「よし!」
「そう思うか?」
アクートがそのまま空中へと飛ぶと、デュアルもまたその銃口の角度を上げていく。
「だから言ったろうに?」
「なっ!!」
弾丸は空気の抵抗で少しずつスピードを緩めていく。アクートはそれを見て武器を投げ捨てた。
「それくらいの戦いも出来ないようではガンバライダーとして認めるわけにはいかんな?」
"ヒッサツ フルスロットル"
「トライドロップ!!」
アクートがデュアルめがけてトライドロップを放つと、デュアルはその銃を投げ捨てたがもう遅い。その蹴りは彼の眼前まできていた。
-終わった-そう悟り抵抗をやめた。呆然とするデュアルへと一撃の蹴りが迫った。
"スキャニングチャージ"
"ヒッサツ フルスロットル チェイサー"
"オレンジ スパーキング"
その時だった。三人の蹴りによってアクートが放ったトライドロップは弾き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた。
叩きつけられたアクートは小さく舌打ちして立ち上がった。
「少し遅かったか。」
「貴様の遊びが効いたよ。アクート。」
「こっからは五人で相手だ。」
「僕の汚名返上線といこうか?」
デュアルの前にいたのはテイカー、EXE、ファングの三人だった。
ワイヤーで括り付けられたはやては力強く夜天の書を握りしめた。
「あか・・・ん。」
ワイヤーの力は強まっていく。締め付けられていくはやてへのダメージは想像を絶するものだった。
「早く抵抗しないで渡してよ?じゃないと」
メカのアームははやてをおさえて、その手の中に入れ込んだ。
「あなたの闇の書以外をバラバラにしないといけないじゃない?」
「渡さ・・・へん。」
イリスは大きくため息ついて、マシンへと指示が飛びアームの力は強まった。
握りつぶそうとしたその瞬間、遠くからはやてに向けて声が聞こえた。
そしてそこに向かってエンジン音が鳴り響く。
「はやてさん!!そのまま動かないで!!」
「えっ?」
先ほどまでびくともしなかったマシンへと少女が剣を振り一刀両断した。
はやてを抑えていたアームをそのまま叩き斬った。
「きゃああああああああああああ!!」
爆炎と爆風の中はやてはそのまま地面へと落ちていく。
すぐさまはやてを拾い上げると少女はそのまま後ろへと下がった。
そして、向きを変えるとファングたちはそちらへと寄った。
「アクートが与えたヒントで俺たちもこれの攻略がわかった。」
"マイティ タドル ギリギリ クリティカルフィニッシュ"
ファングたちから放たれた一閃はマシンを真っ二つに叩き斬った。
「どういうことだ?」
「あれだけのヒントでそこまで解析するととはな・・・。」
マシンは固まっていびつな形で七人の前に立ちはだかった。アミティエは動くマシンの残骸へと目を向けた。
「聞こえてますか!?私の大事な妹を連れ出した人。」
イリスはその声を聞き、冷たく暗い視線を基地から向けた。
「あなたはきっとキリエの願いを聞いてくれていると思います。」
アミティエは近くにあった鉄を拾い上げて片手で持つと、その鉄片は青い大型の銃火器へと変化した。
「それについては感謝します。ですが・・・人様に迷惑をかけるようなことは私は絶対許しませんので!!」
銃火器から放たれた弾丸は動く鉄を薙ぎ払い、はやてたちの眼前を火の海へと変えた。
「これがフォーミュラの力ということか。」
「油断してる場合か!!」
ナハトとファングが一気に斬りかかると、アクートはそれを空中に飛んで回避した。
その瞬間、頭上から何発もの弾丸が降り注ぐ。アクートはそれを弾き返し、フォトンブレイカーを召喚した。
"Buster mode"
機械音とともに一撃の光線がフォトンブレイカーから発射された。それを銃撃していたテイカーとデュアルは回避する。
"ファイナルベント"
「トドメは俺だ!!」
"ファイナルベント"
「面白い。」
EXEは赤い炎を纏い、アクートは漆黒の炎を纏った蹴りがぶつかり合い、その場に衝撃と爆破を生んだ。
「っ・・・。」
その爆破の煙から落ちてきたのはEXEだった。アクートは悠然とドラグブラッカーに乗って降りて来た。
「なんだこいつ・・・」
「強すぎない?幾ら何でもバケモンでしょ!」
テイカーとファングの言葉にアクートは少し笑みをこぼす。
「当たり前だ。対ガンバライダーとして作られた俺にお前たち五人程度が勝てると思うなよ?」
「だったら!!」
アミティエが一気に剣を振るうとアクートはイクサカリバーを召喚してそれを防いだ。
「あなたもキリエの願いを聞いてくれているのですか?」
「当然だ。」
アクートはイクサカリバーのトリガー引いてアミティエへと弾丸を放つ。その弾丸はアミティエの腹の横を通り過ぎた。
「彼女の自らの守りたいものを救いたいという願い。俺にはよくわかる。」
「ふざけるな!!」
ファングが一気に近づいて斬りかかるとアクートはそれを真正面から受け止めた。
「お前みたいに世界を滅ぼす奴がいるから世界に平和が訪れない・・・そんなこともわからないのか!!」
アクートは少し黙り込むと、片手でファングの腕を掴んだ。
「お前は俺と同じ道を歩むな。」
「っ!!」
そのまま投げ飛ばされると、ファングは地面に倒れこんだ。
「撤収よ。アクート。」
「あぁ、キリエの元に向かうとしよう。」
アクートが飛び去ると、五人はその影を見つめた。
アミティエはすぐさまはやての肩を支えた。
「大丈夫ですか?」
「は・・・はい。」
よかった。とボロボロのはやてを両手で抱きかかえるとアミティエは自分のバイクへと近づいた。
「彼女たちの目的はあなたの夜天の書。そしてその首魁はさっきの女の子と私の妹です。」
「は・・・はぁ。」
「ですので!」
はやてを自分の背中に乗せると、バイクのエンジンを鳴らした。
「あなたのご友人、なのはさんとフェイトさんの元までお連れします!!」
「えっ・・・ええええええええ!!?」
そのままガンバライダーたちの目の前を疾走したバイクはすでに遠くまで向かっていた。
「なんか・・・無茶苦茶な奴だな。」
「だね。」
テイカーとナハトがそう話していると、下を向いているファングにEXEが手を差し伸べた。
「負けたのは悔しいだろうが、今はそれどころじゃない。」
「あ・・・あぁ。」
ファングはその手を取ると、すぐバイクに乗った。
-自分と同じ道を歩むな-ファングの耳にはアクートのあの言葉が焼きつくように再生されていた。