○○と一緒なら   作:ノムノム

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前回更新より、御方々や主要NPCのお話を考えていたのですが……全く思いつかず。
お待たせ続けるのもと思い、最後にするつもりだった話を更新することにしました。
執筆すると言って出来ていない話は、後から加えるといった形で執筆して行こうと思います。
では、最終話をお楽しみください。


終章
最終話


 大人気オンラインゲーム「ユグドラシル」で最強のギルドはと問われたら、プレイヤーたちは「セラフィム」もしくは「トリニティ」と言うだろう。

 ならば、伝説のギルドはと問われたら、全てのプレイヤーは口を揃えて答えるだろう。

 ギルド「アインズ・ウール・ゴウン」と。

 そのギルド「アインズ・ウール・ゴウン」のギルド拠点であるナザリック地下大墳墓の深部。

 ギルメン以外が見ることどころか知ることすらない第九階層にある円卓の間。

 そこにギルド長であるモモンガは一人、壁にあるギルド武器を眺めていた。

「誰も来ない、か」

 ギルメンの殆どが引退し、既にギルドには最早伝説の面影は無い。

 ユグドラシルが終了することが決まり、最終日に「最後に集まりませんか?」とメールを出したが全員が返信すらくれなかった。

「返信くらい、してくれてもいいじゃないか」

 モモンガは誰に言うでもなく呟くが、本当は分かっている。

 引退したギルメンや籍だけ残している状態のギルメンたちには事情があり、そして現実で生きているのだ。

 いつまでも未練たらたらで、過去(ユグドラシル)に縋り付いているのは自分くらいなものなのだ。

「……行こうか、我がギルドの証よ」

 ギルド武器を手に、モモンガは静かに円卓の間を去っていった。

 

「……」

 ナザリック地下大墳墓の最深部にして最奥部。

 玉座の間の前のレメゲトンにたどり着いたモモンガは、巨大な扉へと手を伸ばす。

 素晴らしい彫刻が彫られているが、今のモモンガには風化して色あせてしまっているように見える。

 静かにゆっくりと開く扉を眺めながら、モモンガは思う。

 せめて、一目……全員とは言わない、一人だけでもいいから会いたかった。

 開かれた扉の間から差し込む光に目を細め、モモンガは玉座の間へと踏み込んだ。

 この時、モモンガは気づいていなかった。

 久々に来た為に、傷心中だった為に、些細である大きな変化に。

「っ!?」

 何回もの破裂音。

 舞い散る紙吹雪。

「「「「せーのっ」」」」

 何十人もの聞き覚えのある、そして聞きたかった声。

「「「「モモンガさん、ナザリック地下大墳墓を守り続けてくれてありがとう!」」」」

 何よりも願った仲間達の姿を、モモンガは確かに見た。

「み、皆さん……」

 夢だろうか、求めすぎた故の幻か。

「久しぶり、モモンガさん」

「ペロロンチーノさん……」

「お久しぶりです」

「たっちさん……」

「このウルベルト・アレイン・オードル。ナザリックへと舞い戻りました」

「ウルベルトさん……」

「モモンガお兄ちゃん、お疲れ様っ」

「ぶくぶく茶釜さん……」

「その様子だと、サプライズは成功したようですね」

「ぷにっと萌えさん……」

 そこには、誰一人欠けることなく、最強装備で身を固めた仲間達が並んでいた。

 夢にまで見た光景。

 数年前までは当たり前だった光景。

「さっ玉座に座って」

「そうそう、魔王は最後まで玉座にどーんっと座って待ち構えてないと」

「時間が無いんだし、早く早く」

 仲間達に手を引かれ、一人ぼっちの魔王(モモンガ)愛する存在(仲間)に囲まれる。

「皆さん……皆さんっ」

「あー、やっぱり泣いちゃった。お前のせいだぞ、愚弟」

「何で!?」

「ほら、モモンガさん泣きやんで」

「すみませっすみません。俺、嬉しくて」

 涙を拭い、モモンガは玉座に座り周りを見る。

 夢でも幻でもない、現実だ。

「全員、一日休みだったり午後休みだったりで休みが取れてさ。色々と準備をしてたんだ」

「でも、それならメールは……」

「ごめんね、モモンガさん。こいつがサプライズをしたいって言い出してね」

「ヒャッハー★」

「まぁ驚かせたいからって、乗った俺たちもだけどな」

「いえ、いいんです」

 モモンガは鼻をすすり、大きく息を吐く。

 既に時間は終了時刻前。

「皆さん、最終日に来てくれてありがとうございます。本当に嬉しいです」

「いやいや、ナザリックが残ってること。俺たちの装備が残ってること。これに比べたらこれくらい」

「それでもですよ。正直、一人で終わるんじゃないかって思ってましたから」

 モモンガは思う。

 幸せだ、と。

「あ、もうすぐ終わる」

「ほんとだ」

「記念にスクショ取ろうぜ!」

「それいいな」

「はーい、じゃあ皆さん、武器とワールドアイテム持ってー」

「モモンガさん、ポーズポーズ」

「あ、はい」

 いつの間にかワールドアイテムまで持ち出されていたようだ。

 だが、モモンガは怒らない。

 多数決を重んじていたギルドなのだから、彼らが持っているということはそういうことなのだろう。

「それじゃ、皆、最後は例の言葉でー……モモンガさん、お願い!」

「はい。それでは皆さん。行きますよー……アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」

「「「「アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」」」」

 シャッター音が響いた直後、ユグドラシルは終わる。

「「「「……あれ?」」」」

 そして、始まる。

 異世界での伝説。

 ギルド「アインズ・ウ-ル・ゴウン」の物語が。

「ユグドラシルが終わらない?」

「というか、ここどこ!」

「草原……バグ?」

「皆さん! 大丈夫です!」

 それを予感していたのか。

「え、モモンガさん?」

「ここには皆さんがいるんです。だから、きっと何が起きても大丈夫ですよ。だって───」

 モモンガは笑顔で、心の底から本気で言う。

「皆さんと一緒なら、全てを乗り越えていけると信じてますから!」

 

 

 

             ~最終話「皆さんと一緒なら」・終~

 

             ───○○と一緒なら・完───

 


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