君の笑顔を見たくて   作:羽沢珈琲店

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今回から天体観測の話になります。基本的につぐが出てる話は書いて行くつもりです。


星を探しに
星を見に行こう!


 ある日のこと、俺は新しいギターが売られていないか確認するため、江戸川楽器店に向かっていた。今のギターは中学の頃からずっと使い続けてきて愛着があるのだが、流石に買い換え時なのではないかと思い、向かっているのだ。

 

 商店街を通り抜けて行こうとすると、つぐと蘭の姿が見えた。

 

「あれ、修也じゃん。何してんのこんなところで」

 

「修君おはよう!」

 

 つぐと蘭も気づき声をかけてくる。それにしても朝からつぐの笑顔とおはようが聞けるなんて最高だな!

 

「ちょっと、聞いてる?」

 

「ん、ああすまん。俺は今から楽器店に行こうかと思ってたところだ。そう言う2人は何でいるんだよ」

 

「あたしはつぐに借りてたノートを返しに来ただけ。そしたら偶々つぐが店から出てきて……」

 

「それでちょっとライブのことか演奏のことで話し込んじゃって……」

 

「そっか。どうせなら一緒に来るか?この前ピックの補充しなきゃとか言ってただろ?」

 

「……そうだね。じゃあ……」

 

「あー!つぐに蘭ちゃんに修君ー!ナイスタイミーング♪」

 

 楽器店に向かおうとした瞬間、遠くの方から大きな声で俺たちの名前を呼ぶ女の子がやってきた。

 

「な、なに……?」

 

「香澄ちゃん?どうしたの?」

 

 全速力で走ってきた少女の名は戸山香澄。俺たちとは違う花咲川女学園に通っていて同じ一年。ちょっとした事で互いに顔見知りなのだが、何となく香澄の話は突拍子もない発言をしてきそうで少し身構えてしまう…。

 

「今、ちょ〜っと時間いいかな!?すぐ終わるから!」

 

「……なんか怪しい」

 

「悪徳業者がよく使う手だな」

 

「あはは、蘭ちゃんてば……。修君も香澄ちゃんに失礼だよ。話が逸れちゃったけど、私たち今から楽器屋さんに行こうかなと思ってたところだけど、急ぎの用事じゃないから大丈夫だよ。ね?修君」

 

「確かにそこまで急ぎの用ではないが…」

 

「怪しい話なら即座に帰るけど…」

 

「大丈夫、大丈夫!ぜーんぜん怪しくないって!で、早速なんだけど、今月末空いてる?」

 

 いや、その言葉が怪しさを増していくのだが。しかもいきなり予定聞いてくるし。

 

「えっと……私は大丈夫だよ。特に家の手伝いも頼まれてないし」

 

「あたしも、特に予定ないけど……」

 

「今月末はバイトを入れてないから、2人と同じだな」

 

「やった!じゃあ決まりっ!!」

 

 いやいや、何がだよ。勝手に決めるな。

 

「ちょ、ちょっと勝手に決められても……!何の話?」

 

「見て見てこのポスター!ババンッ!」

 

 刮目せよ!みたいなドヤ顔で見せてきたものは1枚のチラシ。その内容とは天体観測ツアーと書かれており、少し遠目の山まで星を見に行くという何処にでもある普通のイベントだった。

 

「行きたくない?行きたいでしょ!?行きたくなっちゃったでしょ!?」

 

「いや、ならないよ」

 

「広い星空の下でね、星の鼓動を感じちゃうの!ぜーったいドキドキするって!」

 

「人の話を聞けよ」

 

「何、星の鼓動って……」

 

「へぇ……面白そう。ちょっと行ってみたいかも……。天体観測ツアーなんて、いつでも行けるものじゃないし」

 

「つぐが行くなら俺も行く」

 

「あんたさっき言ってることと違うんだけど……」

 

 アホか。つぐいるところに俺ありだ。つぐが行きたいと言えば俺も行く。やめろ、そんな変態を見るよう目で見るな蘭。

 

「でしょでしょ?今の季節だからこそ、最高の星空が見られると思うんだ!ここじゃ絶対に見られない星空だよ。ぜーったいに見たほうがいいってば!」

 

「そんな、急に言われても……。修也は兎も角あたしは別に」

 

「お願いだよ〜!!せっかくならみんなで行った方が楽しいって!」

 

 涙目で訴えてくる香澄に蘭も少し戸惑う。

 

「………うーん……」

 

「覚悟を決めな蘭。星は俺たちを呼んでるぞ」

 

「いや誰の真似……。第一、他の人は誘えないの?」

 

「参加申し込みが今日までなんだよ〜!他の人を誘ってる時間はないし、ここで3人を逃したら1人で行くことになっちゃう……」

 

「蘭ちゃん、せっかくだから行こうよ!香澄ちゃんこんなに誘ってくれてるんだし」

 

「それにらいつもと違う場所に行けば新しいインスピレーションが生まれるかもしれないよ?」

 

「つぐのいう通りだ。しかも蘭、この前作詞に行き詰まってたじゃねえか。この機会を逃すと当分、いい作詞は降りてこないと思うぞ」

 

「そうかもしれないけど……」

 

「あわ流れ星も見られちゃったりして!ほら、山の上での天体観測だもん。蘭ちゃん、一緒に行こう!」

 

「行こうよ〜蘭ちゃ〜ん!」

 

「つぐみが、ツグッてる……」

 

 しかし頑なに拒んでるな蘭のやつ。よし、こうなったら蘭の性格を考えて煽りを入れてみるか。

 

「まあ仕方ないか〜。蘭は山奥が苦手だからな〜。虫も多いし、暗いし怖がるのも無理ないか〜」

 

「は、はぁ!?そ、そんな訳ないし!何言い出すの急に!」

 

「そう言えば昔、俺らでキャンプしに行った時も暗くて怖い〜って泣きじゃくっていたからな〜」

 

「ちょ、修也!!」

 

「断るのも分かる分かる。俺たちに、特に香澄に恥ずかしい一面を見られるのは嫌だもんな〜」

 

「修也……あんたいい加減に……!!」

 

「大丈夫だよ蘭ちゃん!あの頃から私達も成長してるし!きっとみんながいれば大丈夫だよっ!」

 

「つぐみまで!べ、別に怖いなんて言ってないし!」

 

「じゃあ行くよな〜?」

 

 今まで見せたことのない勝ち誇った笑みで俺は蘭を煽りまくる。蘭は俺がわざとやってることを見抜きながらもプルプルと震えながら、返答した。

 

「………分かった。行く」

 

「やったあ!ありがとう蘭ちゃん!」

 

「蘭ちゃん〜〜!!」

 

「ちょ、ちょっと抱きつかないでってば……!あたしはあくまで新曲作りのヒントを貰うために行くだけだからね」

 

「うんっ!それでじゅーぶんだよっ!天体観測♪うれしいなぁ〜!」

 

 こうして、頑なに断っていた蘭も行くことになり、4人の天体観測ツアー行きが決まった。

 

 因みに余談だが、あの後蘭にめちゃくちゃ追いかけ回された。




やはりAfterglowは全員可愛い。
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