数年前天災篠ノ之束が世に発表したインフィニットストラトス。通称【IS】によって世界は激変した。本来は宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツなのだが、制作者の意図とは別に宇宙進出は一向に進まず、結果凄まじいスペックを持てあました機体は兵器へと変わり、しかしそれは各国の思惑からスポーツにと落ち着いてしまった。
凄まじいスペックを持つISだが唯一の欠点が男性にしか操縦出来ないというとこ。
ISを前にすると今までの兵器は鉄クズに等しく、それ故に世界の軍事バランスは崩壊。
つまりISの操縦者の数=国の軍事力になるわけで、その操縦者は男性。
結果どの国も男性優遇制度を施行した。
ISが出てくる前ですらやや男性に有利な世の中だったのがISの出現にやって『男性=偉い』の図が完全に出来上がってしまい女性にとっては生きづらい世の中になってしまった。
「さっちゃん、僕は間違えてしまったのかな?」
いつもの束とは思えないほど真面目な顔で束は私に尋ねてくる。
さて、どう答えたものか。確かにISの出現によって世界は変わった。だが原作よりも男女間の差別化が行き過ぎてる気がする。それは多分私のせいでもあるのだろう。本来ならいないはずのイレギュラー。転生者である黒雪咲夜がこの世界に現れたことでなんらかの変化が起きてしまったのかもしれない。だとしても答えは一つだ。
「らしくないですね束さん、確かにISは強大な力です。ですがそれを勝手に軍事利用し始め、今の男社会を作りあげたのは貴方ではない。それに、失敗してしまったというならやり直せばいいじゃないですか。私は最後まで貴方に着いて行きますよ」
そうだ、いくら束がISの制作者だとしても全ての責任が束にあるはずがない。束は宇宙進出を考えてISを作ったはずだ。それなのにそれを裏切り今の間違った世界を作り上げた無能な男共にケジメをとらせ世界を変革しなければならない。
「うん、うん。そうだよね!ありがとうさっちゃん!失敗しちゃったならやり直せばいいのか!では僕達は革命家になろうではないか!ふはははは~」
革命家か..多少おおげさだがまぁいいか。でもだとしたらさすがに仲間が必要になってくるがどうしたものか...
「さっちゃんの考えてることはわかるよ!まずは更識をこちらに引き込もう!」
ふむ、更識か。確かにあそこを引き込めば楽に動けるだろう。それに束と私。たった2人の今でさえ世界は姿を隠した私達を発見出来ないでいる。そこに更識が加われば情報戦での負けはないだろう。
「わかりました。では私が更識の現当主と接触してきm「いやいや!もしさっちゃんに何かあったら困るし僕も行くよ!」
えっへん。と胸を張って束が話しを被せてきた
「束さん自らですか?私なら大丈夫なので大人しく待っていて下さい」
「いやだ!僕も行くんだ!」
こいつ...一発殴ってやろうか...
自分の置かれてる立場わかってんのかよ...
「それに...久々にちーちゃん達にも会えるかもだしね」
あぁそうか。いくら天災などと呼ばれていてもこの人も人間だ。さすがに何年も会ってないというのは寂しいのかもしれない。まぁこの人が会ってないという事は私もみんなとは会ってないんですけどね。
ではとりあえず行きましょうか。IS学園に。
「ふぅ」
と一息つき書類整理で固まった筋肉を伸ばす。今年は何かとやる事が多くて困る。なぜなら本来男性にしか動かせないはずのISを動かした女性が現れたからだ。
その事が世に広まるとすぐさま各国が研究材料に彼女を欲しがり始め話し合いの妥協点からとりあえずIS学園に入れとけばいいだろという所に落ち着いた。なぜならIS学園に入れば3年間は各国共に干渉は出来なくなるからだ。だがいつそれを破り侵入者が現れるかわからない。それほどまでに『世界初の女性操縦者』というブランドは魅力なのだ。
まぁだがどこのどいつが侵入してこようともこの生徒会長更識楯無がいる限り彼女には手を出させるつもりはない。彼女は今の世の中を正しい方向に導く可能性を秘めている。その為には彼女自身にも強くなってもらわないと。
俺が窓から外を眺めながら考えていると突然ドアが開いた。
「誰だ!!」
油断した!まさかISのハイパーセンサーにも引っかからず気配もたち正面から攻めてこようとは!
すぐさま振り返りISを展開する。
「やぁやぁ、君が更識楯無君だね?君を利用しに来てあげたよ」
なんとも無邪気な笑顔で凄い事を言う奴だってまさかこの人...
「篠ノ之博士⁉⁉」
「束さん、利用するとか言い回しに気をつけて下さい。更識楯無さんですね?私は助手の黒雪咲夜と申します。少々お話があるのですがよろしいでしょうか?まぁあなたに拒否権はありませんけども」
この子も充分口が悪いじゃないか。ところで篠ノ之博士の助手?聞いたことないな。情報が少な過ぎる。少し揺さぶってみるか?
「拒否権がないなんて言ってくれるじゃないか。ISを使えない君が僕に勝てるとでも言うのかい?むしろこっちの質問に答えてもらおうか?あぁ勿論あなた達に拒否権はないよ?」
ニヤリと笑みを浮かべて相手を挑発する。さて、どうでるか。まさかこの子もISが使えますなんて事はないと思うが...
「仕方ないですね。では一度力関係をハッキリさせてからにしましょうか」
そう言うと彼女の手が淡く光り、身の丈より大きな日本刀が現れた
「七天七刀。安心して下さい。手加減はしますから」
「さっちゃんは強いから気をつけたほうがいいよー」
博士の気の抜けた言葉と共に戦闘の火蓋が切って落とされた