皆さん読みに来てくださってありがとうございます。
こっちを書き進めるのは久しぶりですね。
まあ、楽しんで行ってもらえたらなと思います。
それでは行きましょ〜、空の世界へ!
「と、父さん・・・?」
目の前に広がる景色に琥白の頭がフリーズする。
横たわる自分の父親、その周りに広がる液体と漂う鉄のような独特な香り。
鷹守が大量に出血しているのは火を見るより明らかだった。
「うっ・・・、うう・・・。」
琥白が立ち止まっていると鷹守が呻き声を挙げた。
琥白はその声を聞き我に返ると、まるでダム決壊したかの様に涙を流して鷹守に駆け寄った。
「父さん!父さん!」
琥白が鷹守を何度も呼ぶ。
琥白はどうすれば良いのかを考え言葉に出した。
「そうだ救急!救急呼ばなきゃ!」
そう言って立ち上がろうとした琥白の手を鷹守が掴んだ。
琥白は驚いて鷹守の顔を見る。
すると、片目を細く開けて、鷹守は細い声で琥白に話した。
「パソコン・・・、TSDS・・・、0401XW」
そう言うと鷹守の手の力は抜け、床へと落ちた。
「何それ…?何だよそれ!!」
琥白は鷹守を見ながら、返ってこない質問をした。
琥白は知っている。
鷹守は優秀な男だ。
優先順位が高い事を考え、それに伴った行動が取れる男だ。
その男が、命を落とすかもしれない状況で何かを伝えた。
つまり、自分の命よりも大切な何かをパソコンに残しているという事だ。
琥白は、救急車を呼ぶべきか、パソコンを触るべきか悩んだ。
琥白にとって、鷹守はたった一人の肉親だ。
ホントなら今すぐに命を助ける為に行動したかった。
だが、琥白が取った行動は違っていた。
琥白は鷹守を見据え、呟いた。
「分かったよ。父さん。」
琥白は涙を拭い、パソコンの中身からTSDSを検索をした。
ファイルはプロテクトが掛かっており、パスワードを聞かれる。
「確か…、僕の誕生日とXW。」
4月1日は琥白の誕生日だ。
鷹守は琥白を溺愛していた為、パスワードに琥白の誕生日が入っている事は理解出来る。
しかし、その後のXWの意味は分からないまま言われた通りに打ち込み、エンターキーを押した。
ヴ…ヴヴヴ…
パソコンが変な音をたて、そして…
プシュン…
消えた。
そして、沈黙。
ファンの音すらも止まり、完全なる沈黙。
琥白は訳も分からずパソコンの画面にしがみついた。
鷹守が命を掛けてまで自分にやらせたかったのは、こんな事なのか。
鷹守は何がしたかったんだ。
自分が何かを失敗したのか。
自分が悪いのか。
そんな、どこにもぶつける事の出来ない怒りをぶつける為、琥珀はパソコンを持ち上げようとした。
その瞬間、いきなりパソコンが明るくなった。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ・・・
文字の羅列が現れる。
これだ!と、琥珀は直感した。
これが鷹守が自分に見せたかった物、命を懸けて残したかった物なのだと、そう思った。
だから、琥白は文字の羅列を見つづけた。
鷹守が残した物を、目に焼き付けようと言わんばかりに凝視した。
そして、全ての文字が現れ終わり、琥白はその場に倒れた。
そして、2秒程で立ち上がる。
「親父…。」
そう言うと、琥白はすぐに携帯を取り出し、救急車を呼んだ。
ピッピッピッ…プルルルル…。
「すみません、今から言う住所にすぐ来てください。父が大量に出血し、倒れています。」
そう言って、一方的に住所を言った後、琥白は電話を切った。
そして、1階でドアの鍵を開け、救急箱を持ってきた。
包帯を取り出し、直接圧迫止血をした後、琥白は窓に向かって歩いて行く。
そして、翼を出した。
両肩から生えたその翼は、電灯、月明かり、星の光、街灯、そんな夜を照らす全ての光を吸い込むような黒色をしていた。
そして、いつの間にか、琥白の髪は翼と同じ漆黒に、目は濁った白色に変わっていた。
横たわる鷹守を横目に、琥白は夜の空へと飛び立った。
ありがとうございました。
次の投稿いつになるか分かりませんが、また良かったら見に来てください。