天才物理学者が人理修復の為に呼ばれたようで   作:戦兎
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ネタが纏った…
これでオルレアン編は一区切りとなります。
それではどうぞ

(お気に入り100件突破、誠にありがとうございます!)


第一特異点の戦い 決着

ライダーの猛攻撃をなんとか退けた。
問題はその後であり、先程逃したセイバーもといデオンがライダーのサポートに回るべくやって来ていた。頭数で言えばこちらが有利。だけど油断は出来ない。

「ちょっとヤバいかも…?」

「諦めるのかい?ライダー」

「な訳ないでしょう?トコトンやるまでよ。戦力を少しでもいいから削ぐのが私達の役目だもの」

どうやら目的はこちらの戦力を削ぐ事らしい。当たり前っちゃ当たり前だが。だからこそ、こっちには起死回生の一手を持つ人が居る。

「そろそろ行くか…」

私を守っていた戦兎がベルトを巻く。懐から取り出したのは紫と黄色のボトル。良く見ると紫の方は手裏剣のような絵柄が、黄色の方は漫画の一ページらしき絵柄が描かれている。既に振った後みたいで、すぐに装填していた。

〈忍者!コミック!ベストマッチ!!〉

「忍者とコミック…?」

「まぁ見てなって」

私が抱いた疑問はすぐに解消された。戦兎がベルトのレバーを回し、ベルトを介して前後に形成される装甲。
それをベルトの〈Are you READY ?〉という声と共に「変身!」と言って装着した戦兎。

〈忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イェーイ!!〉

そこに立つビルドは紫と黄色の二色の装甲を纏っていた。片方は忍者っぽく、もう片方は漫画っぽい。右手には今まで見た事が無い形の剣を持つ。その剣をよく見ると、四コマ漫画のようにイラストが書かれている。

「さてと…先ずはコレだ」

そう言いながらビルドが手に持つ剣のトリガーを引く。すると、〈シャキン〉という音が響く。その後に〈分身の術!〉という音声が流れる。何かを描いてる音声が流れる中、ビルドがトリガーをもう一度押し、空中に何かを描く。すると、さっきまで一人だったビルドが一気に六人に増えた。ライダーとデオンの周りを翻弄しながら攻撃を加えていく。

「小癪な…!」

「悪いけど、勝負に卑怯も何も無いんでね」

デオンは確か一回喰らっている筈なのに、対策をしなかったのだろうか。まぁ、分かっても無理な気はする。
分身達はそれぞれ独立した思考を持っているらしく、本物と同じように、または全然違う動きで攻撃したりと変幻自在だった。見分け方は本物以外は武器を持っていないという事。それだけ分かればすぐ打ち破られる。
それでも、ビルドの戦闘力は並の英霊より上だが。何がそこまで強いのかは戦兎のみ知る事だろう。

「さて、そろそろ終わりにするか」

ビルドが剣のトリガーを三回押す。〈風遁の術!〉という音声が流れ、又何かを描く音声も流れる中、トリガーを再び押し、ライダー達に向けて斬撃を放った。風を纏った斬撃は二人に襲いかかり、竜巻を引き起こす。〈竜巻斬り!〉という音声も流れ、ライダー達が切り刻まれる。だが、決定打にはならなかったようだ。相当なダメージは与えた筈なのだが。

「…やっぱ駄目か」

そう呟く戦兎。今度は四回押し、〈隠れ身の術!〉という音声が流れた。隠れ身というくらいだ、姿を消すだろう。相手も察知したのか、ビルドに特攻をかける。
だが、〈ドロン!〉という音声と共にビルドの姿は消え、遥か遠くに姿を現した。すぐにボトルを入れ替え、フォームを切り替えるビルド。

〈Are you READY ?〉

「ビルドアップ!」

音声はあの軽快な音楽だった。という事はベストマッチじゃないフォームという事だろう。よく見れば、赤と灰色の二色の装甲を纏ったビルドが立っている。
赤は確かラビット、兎だ。灰色の方は機関銃らしいバレルが。とすると、ラビットガトリングといった所だろうか?ビルドが構えているのはガンモードのドリルクラッシャーと橙色と灰色の二色が目立つ銃。確か、ホークガトリンガーっていってた気が。

「悪いけど、速攻で終わらす。本命が待っているからさ」

そう言いながら、ビルドは二つの銃を乱射し始めた。
大量且つ不規則な軌道の弾道で翻弄しつつ確実にヒットさせていった。どうやったらあんな風になるのか不思議だが、戦兎が開発したものと考えれば謎は解ける。追尾機能くらい付ける事は可能だろう。
着実に相手の体力を削っていく中、ビルドがベルトからラビットボトルだけを取り出す。それを数回振った次の瞬間、ビルドが凄いスピードでライダー達に急接近した。ボトルにはそういう使い方もあるのか。相手が驚く暇もなく、そのボトルをブレードモードにしたドリルクラッシャーに装填するビルド。

「「なっ…?!」」

〈READY……GO!ボルテック・ブレイク!!〉

「終わりだ…」

赤いオーラを纏い、高速で回転するドリルクラッシャーを横に振り抜き、ライダー達を一閃した。それと同時に変身を解除するビルド。二色の装甲が消え、戦兎がそこに立つ。ライダー達は核となるものをさっきの一撃で破壊されたのか、既に退去が始まっていた。

「……またな」

戦兎はそれだけ言い、私の元へ戻ってくる。
ひとまずこれで一段落したと思ったが、肝心な事を忘れていた。街に轟く邪龍と思われる咆哮。それを確かめるべく向かっていた時に邪魔されていたのだ。

「急がないと…!」

「それは不要みたいです、先輩」

「えっ?」

マシュがそう言ったと同時に目の前に降り立つ龍。
その龍のうえには黒ジャンヌが立っている。本人自らやって来て地面に降り立ったという事はようやく本気になったという事だろう。とりあえず龍はジークフリートに任せた方が良さそうだ。ダメージは与えられても倒すのは彼しか出来ない筈。

「ラストバトル、かな」

「気を引き締めて行きましょう、先輩」

そう誓い合い、目の前に居る一人と一匹に向かって走る。戦兎はジークフリートと共に邪龍を、私達は黒ジャンヌを担当する事になった。とはいえ主力がこちらに居ないのは心細いが、それは仕方ないだろう。戦兎も何か考えがあるらしい。早々に終わらせてくれる筈。

立香saidout



戦兎said

邪龍を前にしたのはいいとして、どうやって足止めするかだ。邪龍じゃないが巨大な龍を相手に俺が出来たのはゴリラモンドのボルテック・フィニッシュでかろうじて転倒させただけだ。かといってジークフリートにだけ無理をさせる訳にも行かない。

「俺は奴の気を引く。ジークフリート、アンタはその隙に止めを頼む」

「分かった。危ないと思ったらすぐに下がれ」

「分かってますよっと」

変身する暇はない。とりあえずホークガトリンガーで牽制しつつこちらに気を引く。鱗に当たっても大したダメージにはならない為、積極的に眼を狙い、怒りの矛先を俺に向けさせる他ない。

「向こうでもこんなデカい敵相手にしてたなぁ…」

なんてボヤきながらジークフリートの様子を伺う。
集中している為か、周りが見えていないようだ。時折放たれる火球はホークガトリンガーでなんとか撃ち落とす。目くらましに煙幕を張り、ニンニンコミックに変身しておきたい所だ。分身の術で何人かに分かれれば立香達に戦力を回せる。そんな事を考えている内にジークフリートの魔力がオーラとなって剣に宿るのが見えた。

「戦兎。こちらは大丈夫だ!」

「よっしゃ!」

俺が離れると同時に邪龍を襲う光の束。
それは邪龍を真っ二つにし、中身が見えた。思わず顔を背けるものの、空のボトルを向ける。邪龍の成分の一部が吸い込まれ、空のボトルが満たされると、瞬時に変化を起こした。何も描かれていなかったボトルに龍の絵柄が浮き出る。ドラゴンフルボトルの完成だ。

「よっし、立香達を助けよう」

出来たばかりのドラゴンフルボトルを手に、立香達の元へ向かう。

戦兎saidout



立香said

黒ジャンヌの攻撃は一発が重い。ジャンヌも彼女の攻撃に手酷くやられ、今は後ろに下がっている。
マシュだけにやらせる訳にも行かない。私もガンドとかでサポートする。

「こんなものね。弱い事」

「くぅっ…!」

私がやられたら元も子もない為、眺めている他なく、時々放つガンドもあっさり跳ね返される。
そんな時、戦兎の声が私の耳に届いた。それと同時にドリルクラッシャーが手元に投げ渡される。それを扱えとの事だった。初めて持つそれを見様見真似でモード変更し、黒ジャンヌに向けて撃つ。

「なっ…?!」

「痛いわね…!」

効いたようだ。怒りの矛先を私に向け、炎を放つ黒ジャンヌ。だけど、その炎が私に届く筈もない。
何故なら、目の前にビルドが立っているからだ。まだ誰も知らない新しい力をその身に宿して。

「お疲れ様、立香ちゃん。後は任せて下がって」

「うん」

この背中を見ただけで落ち着く私が居た。

立香saidout



戦兎said

走りながらドラゴンフルボトルとタンクフルボトルを振ってからベルトに装填、レバーを回して装甲を装着する。

「よっと…」

ドラゴンの右手で立香に放たれた炎を吸収し、自らの力に変える。万丈の持つフルボトルとは違い、邪龍製のフルボトルは暴走するどころか自分に馴染むようになっていた。コレなら大丈夫だと確信し、黒ジャンヌに向かって走る。

「来たわね…!」

「嗚呼、来てやった」

振り下ろされる旗をタンクの左腕で防ぎ、ドラゴンの右手で炎を纏った拳を叩き込む。よろめいた隙を狙い、タンクをガトリングに入れ替え、ホークガトリンガーを手にする。ドラゴンの力を弾丸に纏わせ、簡単に防げない弾幕を張った。

「ちっ、やるわね…」

「当たり前だよっと。寧ろ対策とかしなかったのが不思議だね、俺は」

「はっ、私がそんな事する訳ないじゃない。私が勝つんだから!」

黒ジャンヌから高熱の炎が吹き出る。そんな使い方があるのかと数歩だけ距離を取る。その隙を狙われたのか、横薙ぎに旗が迫っていた。右手で掴み、逆に振り回す。

「きゃああああ?!」

「悪いね、我慢しろよ!」

そのまま地面に叩きつけ、動きを鈍らせたところで気づく。黒ジャンヌの後ろに誰かが居る事を。ホークガトリンガーで弾丸を放ち、近くの柱に命中させると、引き攣った悲鳴が聞こえ、誰かが飛び出てきた。青白い肌に奇妙な衣装、手に持つ本を見た限りだとキャスターだろうか?

「おお、ジャンヌよ…なんという姿に…」

「うっさいわね、ジル…引っ込んでなさい!」

ジル。もしかしたらジル・ド・レだろうか?
コイツが黒幕といっても十分有り得る。ひとまず黒ジャンヌの元へ行き、無理矢理立たせる。どうやら抵抗の意志はさっきので薄れてしまったようだ。これ以上傷つける訳にも行かない。とりあえず端っこまで連れていって座らせた。

「何してるのよ、アンタ。止めを刺す絶好のチャンスじゃない」

「こう見えて平和主義なんだよ、俺。無抵抗の人をいたぶる程、落ちぶれちゃいないんでね」

それだけ言い残し、ジルと呼ばれた人物の元へ。
幾つか質問し、返答次第では殴り飛ばす思いでいた。それはないと思いたいが。

「さて、アンタには質問したい。"この事件の黒幕はアンタだな?"」

「もうお分かりになられたんですか。流石は天才物理学者ですね?」

「そこの黒ジャンヌの様子で一目瞭然だよ。重ねて質問だ。"彼女を造ったのはお前だな?ジル・ド・レ"」

確信をついたのだろう。ジル・ド・レは歪んだ笑みを浮かべながら高笑いを繰り返す。一段落したところで話し始めた。既に殴り飛ばす準備はしてある。

「そうですよ。私が彼女を造りました!聖杯に願っ─「黙れ。このクズが」ぐはぁ?!」

言い終わる前に渾身の右ストレートを溝落に叩き込む。
そのまま遥か遠くまで吹っ飛ばした。勿論、核は砕いてある。途中で消滅している事だろう。

「──命を弄ぶんじゃねぇよ」

吐き捨てるように言い捨て、変身を解除する。何はともあれ元凶だった奴をぶっ飛ばした。後は聖杯を回収するだけだ。すると、黒ジャンヌが俺に聖杯を差し出す。彼女の身体は透けていた。消滅間近、と言った所だろう。

「……いいのか?」

「いいの。私は所詮聖女様の贋作。でも、貴方はちゃんと私と向き合ってくれた。コレはそのお礼よ。ありがとう」

「お礼なんかいいんだよ。俺は只の平和主義な天才物理学者だ。お礼を言うなら立香ちゃんに言った方がいい」

そう言い、遠くで見守っていた立香達に手を振る。
足元から光が漏れだしているという事は、カルデアに戻る頃合、という事だろう。黒ジャンヌに手を振り、退去の準備に入った。

『お疲れ様、立香ちゃん、マシュ、戦兎くん。コレでオルレアンは元の歴史に戻るだろう。最初のグランドオーダーは無事完了、だね』

その言葉を最後に、身体が宙に舞う感覚を覚えて、次に意識は闇に沈む……
































次に目を覚ますと、見馴れた天井が見える。
どうやら帰ってこれたようだ。上半身を起こし、辺りを見回したと同時に目が点になる。人影があり、その人物が俺に衝撃を与えたからだ。

「……なんで、居るんだよ?!」

「不思議な事もあるものね?戦兎」

そこにいたのは、あの時消滅したと思われた彼女だった。そう、黒ジャンヌが。彼女曰く、契約を結んだから此処に居るとの事。一体誰と、と思ったその時だ。恐る恐る右手を見やれば、立香と同じようなもの、令呪が刻まれていた。それを見た時、又もや目が点になる。

「もしかして、俺と…なのか?」

「そうみたいね?」

「最っ悪だ…」

その呟きは、誰にも聞こえずに消えていった。



ネタ詰め込み過ぎた…
という訳でオルレアン編。完結となります

さて、次はローマ、セプテム編です。
それでは次回をお楽しみに…







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