天才物理学者が人理修復の為に呼ばれたようで   作:戦兎
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お気に入りにしてくださる人が沢山居て、正直目を疑っている作者です。
皆様には本当に感謝しています。ではどうぞ


特異点Fの戦い其ノ三

アーチャーを退けた私達の前に現れた一人のサーヴァント。クーフーリンと言えば槍の名手だった気がするけど、今回はルーンを扱うキャスターとして現界したらしい。

「それで、残るサーヴァントは?」

「バーサーカーとアサシンとライダーは俺が倒した。ランサーは、どうやらお前さん達が倒したみてぇだな。残りはセイバーとアーチャーになる」

「ふむ。アーチャーはさっき取り逃したからな…」

「にしても、戦兎っていったか?此処らじゃ見ない力を扱うときた。アレは一体何だ?」

「まぁ、味方と思っていいのなら見せるつもり」

「おう。俺とお前さん達の目的は一致している筈だぜ?」

クーフーリンがニカッと白い歯を見せて笑う。
それだけで納得したのか、戦兎は説明を始めた。今回はベルトを巻かずにボトルだけ見せる。
彼が取り出したボトルはそれぞれ色がついていて、赤いボトルはラビットフルボトル、青いボトルはタンクフルボトルと、その全てに名前がついていた。戦兎はそれらのボトルから有機物と無機物のボトルの組み合わせをベルトに装填して変身、仮面ライダービルドとなるらしい。頑張って説明を聞いていた私とマシュだったけど、頭がショートしかけた為、途中からは聞いていない。でも、まだほんの一部だという一言だけは聞こえた。

「……という訳」

「大体は分かった。ところで、戦兎のクラスはなんだ?嬢ちゃん」

「それが…」

私は戦兎をカルデアに呼んだ時の出来事を話す。
戦兎は私と同じ生身の人間で、此処とは違う世界から呼んでしまった存在だという事を。
それを聞いたクーフーリンは目を点にして驚きを隠せていない表情を見せていた。それもそうだ、英霊召喚というのは過去の偉人や英雄達を七つのクラスの何れかに当てはめて現界させるというもの。生身の人間を召喚したという事例は無い。それを私はやってしまった訳だ。

「偶然に偶然が重なって、戦兎がカルデアとやらに来たって訳か」

「そーゆー事。いきなりだったから驚いたな…」

「まぁ、それはそれとしてだ。残る二騎をどうするかについてだが…俺はアーチャーをやる。嬢ちゃん達にセイバーを任せてもいいか?」

セイバー。聖杯戦争に於いて最強と分類されるクラス。今回呼ばれたセイバーは聖杯の泥を被ってから水を得た魚のように他の英霊達を倒していった。それだけじゃなく、倒された英霊達はセイバーの支配下におかれ、ゾンビのように復活したらしい。彼等も又、セイバーと同じく黒くなっていたようだ。キャスターであるクーフーリンだけがセイバーの凶刃から逃れ、もはや聖杯戦争では無くなったこの舞台を終わらす為に暗躍していた。だが、それも今日で終わりにするとの事。

「セイバーの詳しい情報は?」

「まぁ、それは見たら分かる。奴の宝具、そいつを目の当たりにすればな」

「宝具、ね」

戦兎は何か考えがあるらしい。流石天才物理学者って所なのかは分からない。というか今の状況では物理学者は関係ない気がする。キャスターとの話し合いは終わり、それぞれ目的を果たすべく、別行動に。
セイバーが居ると思われる洞窟を目指し、私とマシュ、戦兎は走る。道中の骸骨達は戦兎の〈ドリルクラッシャー〉で蹴散らしていった。
というか戦兎は生身でも十分強い。マシュも戦兎を見習って積極的に前へ出てくれている。私はガンドで二人をサポートする役目に徹した。

「数が多いな、コレは…」

「何処から来ているのでしょう…?」

「やっぱり、セイバーの居る所じゃないかな?敵が増えたって事は薄々勘づいていると思う」

「流石マスターです。戦兎さん!」

「アレだな?」

既にフルボトルとベルトを巻いていた戦兎はビルドに変身する準備をする。
その間は無防備になる為、私とマシュでその隙をカバーし、時間を稼ぐ。少しして、〈鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!!〉という音声が辺りに響く。戦兎の変身が完了した合図だ。ビルドは私とマシュを抱え、跳ぶ準備をする。えっ、ちょっと待って。跳ぶの?ここから?

「舌噛むとアレだから気をつけて」

それだけ言い、ビルドは左足に力を込めた。
左足の兎の力、跳躍力を活かした長距離のジャンプ。骸骨達を足蹴にどんどん跳ぶ光景を見た私は、なんとなくいたたまれない気持ちになった。

「うわぁ、凄いですね!」

「だろ?流石俺!」

マシュの喜ぶ顔を見て、得意気にするビルド。仮面の下、戦兎は絶対ドヤ顔をしているに違いない。もし見えていたらデコピンでも喰らわしてやろうと思っていた。
ビルドに変身する為のベルトも、多分戦兎が開発したものなんだろうけど。少しして、如何にも怪しい洞窟が見えた。洞窟の前に着地し、私とマシュを降ろした後に変身を解除する戦兎。改めて中を覗こうとしたが、暗闇で全く見えない。

「この先に、セイバーが…」

そう呟き、中へ踏み入れようとした時だ。戦兎が〈ドリルクラッシャー〉をガンモードに切り替えて後ろへ発砲した。"キィン!"という甲高い音がした後、私の足元に突き刺さる二対の剣。投げた張本人は、キャスターと共に現れた。キャスターは上半身裸だったが、切り傷が痛々しく残っている。相当苦戦していたようだ。そして、そのキャスターをズタボロにしたサーヴァント、アーチャーは平気な顔をして次の矢を構えていた。

「悪ぃ、抑えきれんかったわ…」

それだけ言い、消滅するキャスター。
アーチャーはキャスターの最期を見届けた後に私達の方を向く。次はお前らだと目で訴えかけている。

「アーチャー…」

「悪いが、その先へは行かせんよ。貴様等は此処で終わりにする」

『いいや、終わるのはお前だ。アーチャー』

何処からともなく声が響く。
その声の主は…さっき消滅した筈のキャスターだった。彼は地面に自分の杖を刺し、ルーンの魔法陣を展開。
アーチャーごと何処かへ消えた。移動の魔法だったのだろうか?兎に角、邪魔者は消えた。後はセイバーを討ち取るだけだ。

「行くよ、二人とも」

「嗚呼!」

「行きましょう、先輩!」

キャスターが作ってくれた時間を無駄にしないように、洞窟の内部へ踏み入れる。特に罠とかは無いようだ。
セイバーも私達が来るのを分かっているという事なのか?だったら好都合。このまま進む、それだけだ。





あの三人なら、必ずセイバーを倒すだろ。
思う存分戦え。そして勝ってこの戦争を終わらしてくれ。その為ならこの命、散らしても構わねぇ。それにはまず、この性根が腐った此奴を倒さねばな。

「よぉ、再戦と行こうか?アーチャー」

「小細工ばかりするお前に負ける筋合いは無いな」

「小細工じゃねぇ。魔術だっつーの。さぁ、行くぜっ!!」

俺は杖を両手で持ち、ドルイドの癖に接近戦を仕掛けた。勿論、杖には硬化のルーンを付与してある。
奴も弓ではなく二対の剣を手に持ち、接近戦に備えていた。そして、お互いの武器がぶつかり合う。










暫く進み、最奥部に到達した。
その空間だけ何故か広く、奥には禍々しいオーラを放つ何かがある。そして、それを守るかのように仁王立ちする一つの影。セイバーだ。私達が来た事を感知したセイバーはその口を開く。

「待ちくたびれたぞ」

「アンタが勝手に待ってただけじゃないか…」

セイバーの一言に対しやれやれといった様子でぼやく戦兎。確かにその通りだ。来るかどうか分からない人物を勝手に待った挙句、やってきた人に対し待ちくたびれたは無い。だが、そんな常識は通用しないと見ていい。
何せ相手は聖杯の泥を被って黒化したサーヴァントだ。理性が残っている方が珍しい。

「見慣れないサーヴァントが、二人か。盾を持つ奴と…誰だ?私はお前を知らない」

そりゃそうだ。戦兎はサーヴァントじゃない。特殊能力(変身するから多分特殊能力という解釈で合ってる筈)がある人間だ。

「待ってくれるなら、準備させてもらうよ」

既にフルボトルを装填済みだった戦兎。
セイバーが戦兎に注目する中、レバーを回し、「変身!」というお決まりの台詞と共に形成された装甲を装着した。

〈鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!!〉

仮面ライダービルド、ラビットタンクフォーム。
突如現れた赤青二色の仮面の戦士を目の当たりにしても尚、セイバーは表情一つ変えない。寧ろ興味があるといった様子でビルドを見ていた。

「さぁ、行こうか!」

愛用の武器を構えたビルドの一言で戦いの火蓋は切って落とされた。



次はセイバーとの戦いになります。
それで特異点Fの戦いは一区切りとなりますね。

それでは次回をお楽しみに…

(誤字報告、ありがとうございます。訂正いたしました)







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