深き海と空の彼方の勇者   作:蒼穹の命

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漸く投稿できた…次回は本格的に戦闘に入りますから、もう少し早く投稿出来ると思います…


お役目の時

 少しバタバタした朝ではあったが、その後は特に問題なく授業が始まって、気づけばもう昼休みに入っていた。潮にとってはある意味学校の中で一番好きな時間であった。その理由は…

 

「昼飯だー‼︎」

 

 単純にこの時間帯の時に食欲が湧きやすいから美味しくご飯を食べれるからである。 しかも今日は潮の好きな魚やら昆布などが入っている海鮮系が詰まっている弁当だからさらに嬉しさが更に高まる。 そして食べた後は校庭で思いっきり遊ぶまでが潮の昼休みの最高の過ごし方である。

 

「そんじゃあ、いっただっきまー…」

 

 そうして潮は勢いよく弁当箱の蓋を開けようとしたその時、

 

 チリンチリンと風鈴のような音が耳に鳴り響いてきた。

 

「す?」

 

 その鈴の音が聞こえたのと同時に、弁当の蓋が開きかけた途中でピタリと固まってしまった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じく教室にいた須美は周囲の異変に思考が追いついてなかった。目の前にいたクラスメートに声をかけたり体を揺すったりして見たが、返事はおろかなんの反応も返ってはこなかった。

 

「これは…まさか⁉︎」

 

 須美は改めて周囲を見渡して確認する。 他のクラスメートも、時計の針も、全て完全に静止していた。

 

 そこに教室ドアが勢いよく開き、飛び込んで来るかのように銀が入ってきてそのまま須美の元に向かって駆け寄って来た。

 

「三ノ輪さんは動けるんだ…」

「鷲尾さんも動けてるって事は、敵が来るんだな」

「ええ、お役目をする時が来たようね…」

 

  と、2人が真剣に話をしている時…

 

「スピー…むにゃむにゃ…」

「ぐぬおぉぉぉぉぉぉ!開け我が弁当箱ぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 こんな状況にも関わらず園子は未だに昼寝をしており、潮は顔を真っ赤にしてピタリと静止している弁当箱の蓋を力ずくで開けようと奮闘していた。

 

「乃木さん起きて、起きて!」

「ふぁーあ…わたしまた寝ちゃったのかなぁ…ん?あれあれ?」

 

 

 寝ている園子の元に須美が駆け寄って起こし、目を開いた園子は周囲に漂っている異常な空気を察したが、

 

「なんだぁ、まだ夢かぁーおやすみ〜」

「寝るなー‼︎」

「はぅあ⁉︎」

 

 再び寝ようとするマイペースな園子を須美が大声で突っ込んで、園子は悲鳴を上げながらガタンと、ロケットの如く席から立ち上がった。

 

 そして、潮の方は…

 

「おい潮!弁当の蓋から手を離すんだ!」

「止めるな銀!今こいつから目を逸らし、手を離しちまったら…俺はもう二度とこいつを食べれなくなる気がするんだ!」

「現実を見るんだ!その弁当は…もうダメなんだ…!」

「んな事分かってる!でも、でもなぁ…諦めきれねぇんだよぉ‼︎目の前…目の前に俺の求めるものがある以上はぁぁぁぁ!」

 

 銀は未だに蓋を開けようと奮闘している潮を後ろから羽交い締めしながらそんな三文芝居、茶番劇などの言葉が似合う光景が形成していた。

 

 そんなぐだぐだな状況の中、窓から見える瀬戸大橋の上空から雷が迸り、光が大橋や周辺の風景を覆っていき、そのまま4人は光の中に呑まれていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眩しさで目を瞑り、閉じた目を再び開けた時、学校ではなく樹木で覆われた海と表現すべき光景が4人の視界に入ってきた。先程までのぐだぐだ感もこの景色を前にして薄れていった。

 

「スッゲェ…どこもかしこも全部樹木で覆われてやがる…これが…」

「神樹様の、結界…」

「綺麗だねぇ〜これが神樹様の力で起こった『樹海化』なんだね〜」

「まぁ、確かに綺麗っちゃ綺麗だけど…見惚れる程って訳じゃないよね。事前に聞いてなかったらアタシら絶対パニクってたと思うし」

 

 目の前の光景に、落ち着いた4人は各々感想を言いながら周囲を見渡していた。

 

「これじゃあどこに何があるのかサッパリ分からないなー。イネスはどのあたりかねー、潮?」

「んー、今俺たちが立っているところが学校だとしたら大体あそこ辺りじゃないか?」

「おおー確かに言われて見ればあそこな気がするな!さすが潮‼︎」

 

 銀と潮が言っているイネスとは、この街の駅前にあるショッピングモールの事である。お店の数と品揃えが豊富でなんでも揃うとも言われており、週末には家族連れで来る事が多い為、いつもかなりの賑わいを見せている。

 

「こんな時までイネスの心配しなくても」

「何言ってんだよ鷲尾さん!イネスがなくなったら一大事だろー。だってあそこの中には…」

「公民館があるから、だろ?」

「そうそう!ってアタシのセリフとんなよ潮ー!」

「はっはっは!いつもワンパターン過ぎるんだよ、銀。お嬢やそのすけ相手ならともかく、付き合いが長い俺には丸分かりだぜー?」

「ぐぬぬぬぬ…なら次はお前でも絶対分からないようにしてやるからな‼︎」

「ほーう、そいつは楽しみだな。気長に待ってるぜー」

 

 銀と潮の緊張感のない会話と相変わらず目をキラキラしながら周囲を眺めている園子を見て、須美は不安しか感じられなかった。

 

「(本当に大丈夫なのかしら…いや、こんな時だからこそ私がしっかりしないと‼︎)」

 

 須美が1人密かにそんな決意した時、園子がある方向に指を指しながら叫んだ。

 

「ねえねえ!あれってもしかして大橋じゃないかな‼︎」

 

 園子が指を指している先へ3人も視線を向けた。 そこには、街の象徴とも言える瀬戸大橋がこの樹海の中で一番存在感を露わにしていた。

 

「みたいだなぁ。あそこだけは完全に樹海化してないみたいだな…」

「あの橋はこちら側と壁の外を繋いでいるの。あそこから敵が渡って来るのね」

 

「あっ! あそこ見て!」

 

 どうやら園子がまた何かを発見したようだ。指した方向を良く凝らして見ると、大橋の奥から何かがこちらに向かって来ているのが見えた。この距離だと詳しい姿形は不明だが、少なくとも異形である事には間違いなかった。

 

「来たか!」

「あれが…私達が倒すべき…敵…って何してるの三ノ輪さん」

「いやー、せっかくだから写真撮ろうかなーって。こんな事滅多にないしさー」

「言われてみればそうだな…じゃあ俺は樹海の写真でも撮りますかねー」

 

 と潮と銀は端末で写真を撮り始めてしまった。それを見た須美は突っ込もうとしたがいちいち気にしてると戦闘前に疲れ果てそうだと思い諦めた。マイペースで行動が読めない園子も大概だが、この2人はある意味その上をいっている。 改めて自分はこの2人が苦手だと再認識した。

 

 そして潮と銀が写真を撮り終えたのを機に、4人は気を引き締め、その内の1人である須美が口を開いた。

 

「お役目を、果たしましょう」

 

 この瞬間、4人のお役目が始まった。

 

 

 

 

 だが、4人はこの先に待っているのが◾️◾️◾️結末とは、まだ知らない…

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