神様転生なんて糞だろう ~ハイスクールA×M   作:グレン×グレン

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いきなり殺し合いに巻き込まれてかっこよく決めるとか普通は無理。

 危ねぇええええええええ!!! マジでアブねぇええええええ!!!

 

 兵藤一誠が中学生の時点で行方不明とか、バタフライエフェクトにもほどがあるだろうが!!

 

 これ、俺が転生したことで生まれる影響はすごいことになってるぞ!?

 

 考えただけで上げられる影響。

 

1 アーシア・アルジェントが助からないので、グレモリー眷属デスモード確定

 

2 赤龍帝がいないので、リアス・グレモリーとライザーの結婚が確定。

 

 ……うん、これだけでもどんどん変わっていきそうな展開だよ!!

 

 そ、そのくせコカビエルのせいでリアス・グレモリーが死んだなんてことになったら、三大勢力の戦争が本当に勃発しかねない!!

 

 危ない!! 本当に危なかった!!

 

「コカビエルこのクソ野郎!! お前ただでさえこの世界はどんどん戦いが起きるのに、なんでこんなタイミングで戦争起こそうとしてんだよクソッタレが!!」

 

 俺は指を突き付けて怒鳴り散らす。

 

「何を言っている? どこもかしこもにらみ合いと小競り合い。そんなつまらん者が戦いだとでも本気で思っているのか?」

 

 コカビエルはあきれ果てて俺を見る。

 

 ……あ、これヴァンパイア編からの展開だった。いけね!!

 

「そ、そそそそれはともかく!! お前の好きにはさせないぞ、コカビエル!!」

 

 俺はそういってごまかすと、一気に殴り掛かる。

 

 それをコカビエルは翼を展開して迎撃するが、衝撃が鳴り響いて轟音とともに弾き飛ばした。

 

 ……ちょっと前まで一生懸命練習した、神滅具の名前は魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)

 

 ぼくのかんがえたさいきょうのもんすたーを生み出す能力。しかも、()()なら自分の意志で動いてくれるという優れモノだ。

 

 しかし、神は俺に魔獣創造を与えてくれてもそれを使いこなす才能は与えてくれなかった。

 

 イメージに合わせて魔獣を生み出すことそのものはそこそこできているのだ。しかしそこに自意識を与えることが困難だった。

 

 そのせいで、手品と称した人形型の魔獣を動かすのも結構大変だったのだ。おかげで日銭を稼ぐのが普通で、一日に何万円も稼ぐなんてまねはできない。

 

 だが、だからこそ戦闘用の魔獣の開発は急務だった。

 

 いつ襲われるかわからない以上、戦闘技術を習得することは必要不可欠だ。なにせこの世界、強力な神器を使いこなせない場合、殺されたりするからね!!

 

 うん、自分が持ってない場合は仕方ないけど当然だよねって流せるけど、いざ自分がそうなる立場になるとマジでキツイ!!

 

 だから、発想を逆転させた。

 

 自立意識を与えて操作するのが困難ならば、単純な機能を行使する程度の意識で済ませればいい。

 

 その回答の一つが、このスライム型魔獣マークメイル。

 

 俺の前身にまとわりつかせることによって、俺が戦うための強化外骨格として運用するための魔獣だ。

 

 自立意識を持たせられないのを逆手にとって、大量生産する余剰を切り詰めた結果、半端な神器の禁手なんて相手にもならない性能を発揮する。

 

 さあ、相手をしてもらおうか、コカビエル!!

 

 初めての実戦だからもう何が何だかわからないが、それでもわかることは一つだけある。

 

 ここでこいつをのさばらせてたら、誰か一人ぐらい死んでもおかしくない。

 

 なぜか知らないけどヴァーリ・ルシファーはまだ動かないし、こうなったら俺がやるしかない!!

 

「うぉおおおおお!!!」

 

「ほぅ?」

 

 フルパワーで殴り掛かり、コカビエルはそれを受け止める。

 

 そして、自分でも驚くぐらいの爆発音が響き渡り、周囲の地面が陥没した。

 

 おお、なんだこのドラゴン〇ール

 

「実戦経験はゼロ。鍛錬は外見年齢相応よりはるかに上。そして膂力は俺以上。……貴様、神滅具の使い手だな?」

 

 まずいな、今ので勘付かれた。

 

 そう、俺はたぶんコカビエルには勝てない。

 

 まず人を殺す覚悟何てできてない。コカビエルは人間じゃなくて堕天使だが、人間そっくりだからここでまず躓く。

 

 次に戦闘経験が全く足りてない。格闘技の訓練もしっかり詰んでるけど、だからといって歴戦の戦士を返り討ちにできるような実戦経験何て積んでない。

 

 そしてコカビエルは経験が豊富。原作ではヴァーリに返り討ちになったけど、あれはたぶん相手が悪いだろう。

 

 何よりも、今の不意打ちでそれらすべてに気づかれた節がある。

 

 このままでは負ける。確実に負ける。

 

 ………仕方がないから最終手段だ!!

 

「………コカビエル。ここだけの話がある」

 

「あ? なんだ?」

 

 俺は小声でこっそりと、コカビエルの耳にだけ聞こえるように告げる。

 

「……白龍皇達が来てる。お前を連れ戻すようにアザゼルに言われてな」

 

「っ!」

 

 よし、反応したな。

 

「バカげたことを。貴様がなぜそのことを―」

 

「現白龍皇の名前はヴァーリ・ルシファー。それは知っているな」

 

 これに関してはかなり重要な機密事項なはずだ。少なくとも、アニメではサーゼクス・ルシファーや熾天使ミカエルも驚いていたレベルだったから間違いないだろう。

 

 それを切れば、もしかしたら信じてくれるかもしれない。

 

「………アザゼルの奴、そこまでして戦争がしたくないか!!」

 

 コカビエルは激昂するけど、すぐに冷静さを取り戻したのかため息をつくと飛び上がる。

 

「撤収するぞ、バルパー。この作戦は失敗だ」

 

「な、ふざけるな!! それでは教会に対する復讐はどうなる!!」

 

「ここで白龍皇の奴に介入されれば、堕天使の問題を堕天使が解決しただけになる!! どちらにしてもこの方法では戦争は起こせん!!」

 

 狼狽するバルパーらしき男を一喝して、コカビエルは歯ぎしりする。

 

 ああ、ここで堕天使側が積極的に事態を解決しようとすれば、きっと多分おそらく戦争は避けれるはず。実際さけれたし。

 

 だからお願いだからそろそろ帰ってくれないでしょうか! このままだと殺されかねないからぁああああああ!!!

 

「安心しろ、バルパー。こうなればもう一つの手段を使うだけだ。………アザゼルめ。まさか俺だけだとは思ってないだろうが、ここまでは果たして予想できているかな?」

 

 そういうと、バルパーは倒れてる白髪の……フリットだったっけ? とバルパーを抱えると飛び上がる。

 

「運がよかったなグレモリー。その男の情報網に感謝しろ。もっとも、一時の幸運でしかないだろうがなぁ!!!」

 

 その言葉とともに、バルパーは飛び去って行った。

 

 と、とりあえず……あとはヴァーリ・ルシファーが発見してとっつ構えてくれることを祈るとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、これからどうしたもんかね。

 

「とりあえず、あんたら大丈夫?」

 

「ああ、あたしは大丈夫さ。助かったよ」

 

 そういって返答するのは、金髪に赤のメッシュを入れた女性。

 

 こんな人、アニメにはいなかったけどたぶんこれもバタフライエフェクトだろう。気にしない気にしない。

 

「ああ、そりゃよかったよ。それで、アンタは?」

 

「ああ、あたしはシェリージュ・バエル。リアス・グレモリーの兵士(ポーン)をやってる」

 

 ああ、やっぱり原作とかなり変わってる。なんだこのバタフライエフェクト。

 

 っていうかイッセー生きてるのか? この調子だと、どこかの勢力の誘拐されたっていう線が濃いんだけど。

 

「……そして、私が彼女の主のリアス・グレモリーよ」

 

 多少ふらつきながら、リアス・グレモリーが立ち上がると俺に右手を差し出す。

 

「ありがとう。おかげでコカビエルを追い払えたわ。あなたがいなければ何人死んでいたことか」

 

「ハヤルト・ジークンダルです。こんな名前ですけど日本生まれの日本育ちなんで、以後よろしく」

 

 俺はさらりとそういうけど、しかし結構呼吸が大変だったりする。

 

 色んな意味でイレギュラーだらけの状況に、心臓がバクバクで息が詰まりそうだ。

 

 っていうか、俺の近くでライザー・フェニックスが死にかけているんだけどどうしたもんか。

 

 とりあえず違和感があるので周囲を確認。

 

 兵藤一誠とアーシア・アルジェントがいないのはわかりきっていた。そして、さらに問題が一つ。

 

 ……木場祐斗がいない。おそらくは―

 

「あの、貴方の眷属悪魔って、これで全員ですか?」

 

「……? ええ、女王の姫島朱乃に戦車の塔城小猫、そして兵士六駒のシェリージュ・バエル、そしてここにいない僧侶の子で全員よ?」

 

 なんでそんなことを聞くんだろうといった顔で、リアスは首をかしげる。

 

 そしてさらに口を開こうとしたが、それより早くシェリージュが、割って入る。

 

「ちょっと待った。助けてもらってこんなこと聞くのもなんだけど、そもそもあんたは何者?」

 

「………以前悪魔を興味本位で召喚して、特に願いを決めてなかったから業界についての話を聞いたことがあるんだ。今はちょっと根無し草だけど、なんか明らかにヤバイのが出てきたから様子を見に来たらあれだったんで、義憤に駆られて介入を」

 

 自分でも無理があるけど「この世界が創作物の世界の記憶があります」だなんて言っても信じてもらえるわけがない。

 

 いや、この世界の二次創作物でも定番の一つだけど、それでも……ねえ?

 

「……姫様、どうしますか? 仮にも恩人である以上、むげに扱うのもどうかとは思うんですが、彼、怪しすぎますよ?」

 

 シェリージュとか言った人が、割と本気で警戒心を見せてくる。

 

 ま、街ごと吹き飛ぶ可能性とかリアス・グレモリーが死ぬ可能性とかを考慮すると介入するしかなかったけど、やっぱこれまずかったか?

 

 場合によっては全力逃走も考えた方がいいかもしれない。っていうかあのまま逃げた方がよかったか?

 

 いや、でもこの街の人たち全員を見捨てるのはさすがに後味が悪すぎたしなぁ。

 

 俺がなんか嫌な予感を感じて逃げ腰になる中、リアス・グレモリーは少し考えたがやがて小さくうなづいた。

 

「……朱乃、とりあえずもてなしのお茶の用意をして頂戴。ハヤルト君だったかしら? 疲れたでしょうし休んでいきなさい」

 

 ………へ?

 

「姫様、いいんですか? 彼、はっきり言って怪しすぎますよ?」

 

「別に構わないわ。確かに警戒するべき点は多いけれど、コカビエルをわざわざ敵に回してまで私達を助けた以上、今積極的に敵対したいわけでもないでしょうしね。……それに、これを餌に魔王様に取り入ろうとしても限度があるもの」

 

 い、意外と冷静だなこの人。やっぱり優秀だよリアス・グレモリー。

 

 と、俺が内心でほっとしたその時、鋭い視線が突き刺さった。

 

「もっとも、ここで増援の魔王さまたちに逃げるようなら私たちは命がけで足止めする必要があるでしょうけどね」

 

「肝に命じときます!!」

 

 怖いよぉおおおおお!!!

 




冷静に考えれば怪しい以外の何物でもないハヤルト君。当然感謝はされても警戒もされます。

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