ウルトラマン&メカゴジラ~光の巨人と銀の巨龍~ 作:ユウキ003
~~前回までのあらすじ~~
GUTSに配属となったシアン。そこで彼は仲間たちと共に働いていた。
そんなある日、シアンは同僚のアイナと共に、新型の大型ロボット、
『3式機龍』を外部から操作するための試作機のテストを依頼された。
しかし、そのすぐあと、謎の地震の発生が報告されたため、シアンは
アイナと共に試作機に搭乗。同僚の『ダイゴ』、『レナ』が駆る
ガッツウィング1号と共にモンゴルを目指して基地から
夜明け前の空へと飛び出したのだった。
その後、モンゴル平原に到着するガッツウィング1号と試作機。
シアン「こちら試作機、現場に到着しました。これより周囲の探索を
開始します」
ヤズミ『了解。こちらでもカトマンズからのデータを精査していますが、
何が起こるか分かりません。十分に注意してください』
シアン「了解。……と言っても」
ダイゴ『現場付近にこれと言った異常は無し。穏やかな草原が広がっている
くらいだね』
僕の言葉を先読みしたかのようなダイゴ隊員の言葉が通信機越しに
聞こえて来た。
『こちらの計器にはこれと言った異常なデータは観測されてない。
試作機、そちらは?』
シアン「こちらも特に。これといって——」
異常はありません。僕がそう言おうとしたその時。
『ビーッ!ビーッ!』
突如として計器から警報が鳴り響いた。
「いえ、待ってください!試作機の簡易対地レーダーが何かを
捉えました!……ッ!これは」
アイナ「どうしたの!?何が起こってるの!?」
シアン「地面の下を何かが高速で動いてる……!そんな、これじゃ
まるで、生物の動き……!?」
あり得ない。それが僕の言いたい言葉だ。地中を動く『何か』を
試作機のレーダーが捉えた。
レナ『オオトリ隊員、他に、他に何かわかる事は!?その何かの
大きさとか、何でもいいから!』
通信機越しにその質問が来た時、僕の口の中は乾ききっていた。
迷い、疑っていたからだ。自分の目を。
それでも、僕は何とか自分の目で見たデータを口にした。
シアン「ち、地中を移動する、ぶ、物体の大きさは、約、
60メートル、です」
僕がそう言った時、通信機越しに他の3人の疑問符が漏れるのを
聞いた。そうだろう。僕もみんなも、信じられる訳がない。
60メートルの巨大な生物が居る訳ない。
僕はそう信じていた。いや、信じたかった。
けれど……。
『ビーッ!ビーッ!』
再びの警告音に僕の意識は引き戻され、僕自身は頭を
被り振って気持ちを切り替えた。
アイナ「今度は何!?」
シアン「ち、地中の物体が浮上を開始!深度80、75、70。
このままだと地表に出現します!」
そう僕が叫んだ次の瞬間。
『ドゴォォォォォンッ!』
盛大な音と共に平原の一部が崩壊。そして、その崩壊によって
出来た穴の中から、体に付いた土を払いつつ『奴』が現れた。
アイナ「何、あれ」
現れた奴をヤシロ隊員と僕はただ茫然と見つめてしまった。
シアン「バカでかい、怪物」
いや、違う。そうじゃない。あれは、奴は……。
「『怪獣』」
かつての直立姿勢で描かれていた恐竜のような、どっしりとした
体つきにぶっとい手足。鋭い牙。建物さえ薙ぎ払いそうな太い尻尾。
怪獣と呼ぶにふさわしかった。
と、その時、奴が歩みを進め近くにあった集落に向かって行った。
アイナ「このままじゃあの村が!何か武器は」
と言う言葉を聞いた僕はすぐにシステムを立ち上げた。
シアン「機体に緊急連絡用の閃光弾が3発搭載されています。これを奴の
顔にぶち込むんです。奴の目がどういう構造かは
わかりませんが、さっきまで地中の暗闇に居たのなら、
閃光で威嚇できるかもしれません」
アイナ「そうね。レナさん!聞こえますか!?こちらは閃光弾で
奴の動きを止められるかやってみます!」
レナ『こっちも信号弾で威嚇してみるわ!』
そう言うと、集落の上を旋回したガッツウィング1号が奴の足元に
黄色い煙を放つ信号弾を撃ち込み、そのまま奴の鼻先を掠める形で
上昇していった。
そして、それによって奴の視線が上を向いた。今僕たちの試作機は、
ガッツウィングの辿った軌道をほぼ同じ動きで続いていた。
狙うは文字通り奴の眼前!
シアン「ターゲットロック!今です!」
アイナ「閃光弾、発射!」
奴が上を見上げている隙を逃さず、ヤシロ隊員が操縦桿のスイッチを
押し込んだ。それによって機首にあったマルチランチャーから閃光弾が
発射され、奴の眼前でさく裂し強烈な光を放った。
奴はそれに驚くと、その場に蹲るような姿勢から地面を掘り進んでどこか
へと去って行った。
「オオトリさん!あいつは!?」
シアン「……。ダメです。簡易レーダーの索敵不可能深度まで
逃げられました。追尾不可能です」
そんな現実を、僕は申し訳なさそうにそう告げた。
一体、奴は何者なのか。この時の僕たちにはまだ、知る由も無かった。
けれど、その疑問以上に僕は思った事があった。
『奴』は、一匹だけなのかな、と。
或いは、奴のような存在が他にも居ないのか?と。
そして結局、僕たちはすぐにとんぼ返りでダイブハンガーに帰還。
僕たち自信が目にした事と試作機に搭載されていたカメラで収めた
映像を報告し提出した。
僕たち9人が見つめる大型スクリーンの中で、奴が吠える姿が
映っていた。
シンジョウ「一体全体、何なんだこいつは」
ホリイ「化けもん。としか言いようがないなぁ」
ヤズミ「推定身長は60メートル越え。地球上でこれまで確認された
生物の中でも群を抜いて巨大な生命体です」
戸惑うシンジョウ隊員やホリイ隊員。何とか冷静に報告するヤズミ隊員。
一応ムナカタ副長やイルマ隊長は冷静だけど、二人が驚いていない
訳では無さそう。
まぁ、かく言う僕も未だにあの驚きが抜けきらないのが現状です。
そんな時。
イルマ「ダイゴ隊員、レナ隊員、ヤシロ隊員、オオトリ隊員。
あなた達は自分の目でこの生物を見た訳だけど、この生物の
事をどう思う?」
ダイゴ「どうと言われましても。大きすぎて、正直夢でも見ていたん
じゃないかって気分で、未だに信じられません」
レナ「私も、ダイゴ隊員と同じです。正直、自分の目が信じられません
でした」
アイナ「見たのはほんの数十秒でしたから、どうと言われても狂暴なのか、
人間を襲おうとしたのか、何も分かりませんから、私から
言える事は無いと思います」
隊長の問いかけに答えるヤシロ隊員達。僕は……。
シアン「僕は……。恐怖を感じました。けど、改めて冷静に考えると、
疑問も浮かんできました」
イルマ「疑問?」
僕の言葉を問い返す隊長。そう、疑問だ。それは……。
シアン「なぜ、奴は『今』現れたのか。過去にこれまであんな生物が
存在していたなんて見た事も聞いた事もありませんでした。
そんな、今まで存在の噂すらなかった生物が突如として
姿を現した。……何て言うか、僕の感なのですが……。
これって、何かの前触れなんじゃないかなって思って」
レナ「前触れ?」
ムナカタ「前触れか。……不吉な予感ほど、当たって欲しくないが
当たるんだよな」
と、副長は僅かにぼやいていた。確かに、こんな予感は僕だって当たって
欲しくはない。けれど……。
そう思っていた時だった。
レイコ『イルマ隊長』
さっきまであの怪獣が映っていたスクリーンが切り替わって
カシムラ博士が映し出された。
『例の未確認生物の件で忙しい所悪いんだけど、
回収された隕石の解体の件いいかしら?』
イルマ「そうでした。お願いします」
それから数分後。カシムラ博士と助手の人がGUTS司令部にやってきた。
理由は先日落下した謎の隕石の分析と解体を僕たちが立ち会う事に
なっていたからだ。
アイナ「これが、変な隕石なんですか?」
レイコ「えぇ。本来なら大気圏突入の摩擦熱で燃え尽きるはずなのに、
見事に大気圏を突破して地表に落ちた謎の隕石。
これがそうよ」
レナ「何か埋まってるみたい」
え?埋まってる?これに?
と、僕はレナ隊員の言葉に心の中で疑問符を浮かべた。
そしてレイコ博士がレーザーカッターで隕石の表面を削るが……。
レイコ「天然の隕石じゃない。作られた物よ」
ホリイ「えぇっ!?」
博士の言葉に疑問符を浮かべるホリイ隊員。僕も驚きつつ
隕石の方に歩み寄った。
天然じゃないというのなら、人工物?まさか、宇宙人からの
メッセージとか?
と僕個人で勝手に考えていると、隕石が真っ二つに割れて中から
円錐形の物体が現れた。
それを司令室の中央テーブルに置いたその時。
不意に司令室内の照明の光量が落ちた。
シアン「何これ?」
アイナ「発電機の電圧でも低下しているのかしら?」
僕とヤシロ隊員が呟いたその時。
『ピカッ!』
不意に円錐形の物体が光を放った。それに気づいてみんな慌てて距離を
取った。
シアン「ひ、光った……!?」
すると、今度は円錐形の物体の一部が開き、空中に人の姿が投影された。
アイナ「これって、ホログラム?」
レイコ「えぇ、そう見て間違いないでしょうね」
突然の事で驚いていた僕たち。しかしその耳に、何かの声が聞こえて来た。
ホリイ「何か言うとるなぁ」
シアン「はい。……でも英語でもないし、中国語やドイツ語、
フランス語。どれとも違います。こんな言語、聞いた事
ありません」
僕はGUTSとして各地で活躍できるように、色々な国の言語を
初歩程度だけど学んでいた。でも、そのどれとも違う言葉が
聞こえて来た。
すると……。
ホリイ「サウンドトランスレーターで訳せるかもしれんでぇ」
と言うと、司令室のオペレーター用のデスクとトランスレーターを
使用し言語を訳すホリイ隊員。
そして……。
ユザレ『私は、地球星警備団の団長ユザレ』
ホログラムの言葉が、僕たちにもわかるように訳された。
その言葉に、僕たち9人とカシムラ博士は聞き入っていた。
『このタイムカプセルが地球に到着したという事は、地球に
大異変が相次いで起きます。その兆しとして、大地を揺るがす
怪獣『ゴルザ』と、空を切り裂く怪獣『メルバ』が
復活します』
ゴルザに、メルバ。大地を揺るがす?まさか……。
ダイゴ「ゴルザだ!モンゴルに現れたのはゴルザって言うんだ!」
僕と同じ推測にたどり着いたダイゴ隊員がそう言っている。
正直、僕も同意見だ。
大地を揺るがすのがゴルザだというのなら、あの怪獣の見た目が
何となく合ってしまう。現に奴は大地を割って現れた。
僕がそう考えていた間も、ユザレのホログラムはしゃべり続けた。
ユザレ『大異変から地球を守れるのはティガの巨人だけです』
ティガ?確か、インドネシア数字の3はそう発言していたような……。
『かつて地球上の守り神だった巨人は、戦いのために用いた
体をティガのピラミッドに隠すと、本来の姿である光と
なって星雲へ帰って行きました。我が末裔たちよ。
巨人を蘇らせてゴルザとメルバを倒すのです』
光の、巨人。かつての守り神。……本当にそんな存在があるのだろうか?
僕自身、ゴルザの事は何となく信じられる。でも光の巨人なんて……。
『巨人を蘇らせる方法は唯一つ』
しかし、次の瞬間その方法を教えようとしたホログラムが歪んでいき
消滅してしまった。
それと同時に、暗くなっていた部屋の明かりが復活した。
イルマ「カシムラ博士、どうです?」
レイコ「太陽系の彗星を模したタイムカプセルね~。
悪戯にしては手が込んでるな~」
と言って苦笑を浮かべる博士。すると……。
ダイゴ「本物ですよ!ゴルザが現れる事までぴったりと言い当ててる」
ムナカタ「あれがゴルザとは限らん」
ダイゴ「その内メルバも!」
レイコ「ダイゴ隊員。このタイムカプセルを信じるって事は過去に
私達より優れた科学力を持つ文明があったと認める事なのよ?」
と言われると、俯いてしまうダイゴ隊員。
でも、僕も……。
シアン「ですが、だからと言って真っ向から否定するのもどうかと
思います」
ダイゴ「シアン」
シアン「例えば、ムー大陸やアトランティス大陸のような大陸の沈没説が
その先史文明崩壊の名残だったとしたら……」
レイコ「オオトリ隊員、それはオカルトの話?」
シアン「ですが!人間の力をもってしても未だに未知の存在は多くあります。
あの巨大な生物、怪獣を今まで我々が知らなかったのが
良い例です。あの常識を破るような生物が居る今、
ある程度常識から外れて考える事も必要かと思います」
僕は、僕の思う事を口にした。
結局その後、カシムラ博士とホリイ隊員が放射性元素による年代測定を
行った。結果は……。
レイコ「紀元前25万世紀から38万世紀にかけての地層で
出来てるわ」
え!?
シアン「に、25万世紀以上も前なんて、それじゃあ」
ホリイ「そ。およそ3000万年前。新生代第3紀漸新世」
アイナ「人類の祖先とされる猿人がアフリカに誕生したのが
およそ600万年前だから」
レイコ「単純計算でも人類の祖が生まれる2000万年以上前の
物よ。この隕石の欠片は」
驚く僕たちに説明してくれる博士やホリイ隊員。
確かに僕はあのホログラムの言葉を信じない訳じゃない。
でも、そんな大昔に人類が存在していたなんて……。
とてもじゃないけど考えられない。
……悪戯?あのホログラムが?でも、誰が何のために?
と、僕がそっちの線を疑いだしたその時。
『ピーッ!ピーッ!ピーッ!』
不意に司令室内に警報が響き、大型モニターが切り替わった。
緊急の連絡が入ったんだ。相手はサンティアゴの南アメリカ支部だった。
皆がモニターに駆け寄るのと同時に、向こうのオペレーターの人の顔が
映し出された。
オペレーター『イースター島に怪獣が現れました!定点カメラの映像を
送ります!』
次の瞬間、モニターが切り替わって映し出されたのは……。
『AAAAAAAAANN!!!』
一言で言えば、鳥人。細長い首と翼にも刃にも見える鋭利な肩の
パーツを持った怪物が夜のイースター島で山を崩しながら現れた。
そして、その怪物、いや、怪獣のおぞましい金切り声のような鳴き声が
僕たちの耳に届く。
誰もが驚いていたその時。
ダイゴ「メルバだ!……空を切り裂く怪獣メルバ」
真っ先にダイゴ隊員が叫んだ。
ムナカタ「なぜ今怪獣が?」
驚きながらも疑問符を浮かべるムナカタ副長の方に向き直るダイゴ隊員。
ダイゴ「地球に異変が起こってるんです。ユザレが正しかった。
タイムカプセルは本物です。ゴルザが出た。メルバも!
後はティガの巨人だけなんです!」
ティガの巨人。確かにあのホログラム、ユザレの事が正しければ、
その巨人を蘇らせる方が良いのかもしれない。でも……。
イルマ「ティガの巨人?……ティガってどこなの?」
ダイゴ隊員の言葉にそう問い返すイルマ隊長。しかしこれには
流石のダイゴ隊員も答えられなかった。
シアン「ティガはインドネシア語で3を意味します。もしかすると、
インドネシアかもしれません」
アイナ「なら、ティガのピラミッドはインドネシアに?」
咄嗟に僕の持つ知識でそうフォローする。けどこの仮説も
また素人の推察でしかない。と、その時。
ヤズミ「ティガはありますよ!今出します」
そう言って大型モニターに映っていた世界地図をズームインしていくと……。
ズームされた場所が……。
アイナ「日本の」
シアン「東北!?」
僕たちの生まれ故郷、日本だった。
その後、僕たちはガッツウィング1号、2号、そして試作機に分乗して
ダイブハンガーを発進。過去の言語を解析して得られた情報を元に
僕たちは東北へと急いだ。
ホリイ「ホンマにこんな所にピラミッド在るんかぁ?」
2号を操縦していたホリイ隊員の愚痴る声が通信機を通して僕の耳にも
聞こえて来た。
アイナ「オオトリさんはどう思う?ピラミッドの話」
そんな時、前のシートに座っていたヤシロ隊員の声が聞こえて来た。
シアン「僕は正直、半信半疑です。ピラミッドなんて人工物、
仮に木々や苔に覆われていたとしても誰かが気付きそうな
物なのに」
アイナ「だよね~」
と、二人で話していた時。
ムナカタ『上空からの捜索では埒が明かん。近くに降下できる
場所を見つけた。そこに降下し各自足でティガの
ピラミッドを探せ』
アイナ「了解」
その後、僕たちは3機を並んで降下、着陸させ、ムナカタ副長を
2号に残して各々の足でティガのピラミッドを探し始めた。
僕はダイゴ隊員と一緒に歩いていた。
シアン「……ありませんね。ピラミッド」
ダイゴ「……」
僕の言葉に無言のまま歩き続けるダイゴ隊員とそれに続く僕。
やがて小さな橋に差し掛かった時だった。
「?」
不意にダイゴ隊員が足を止め周囲を見回し始めた。
僕はダイゴ隊員を追い越してからダイゴ隊員が足を止めているのに
気づいて振り返った。
シアン「ダイゴ隊員?どうかしました?」
橋から森の方を見つめるダイゴ隊員を見て、僕は首を傾げながらも
ダイゴ隊員が向いている方に視線を合わせ、驚いた。
森の向こう、黄金の『何か』が薄っすらと見えていたから。
その時。
アイナ「お~~い!二人とも~!」
丁度後ろから聞こえて来た声に僕は振り返った。
見ると、橋の下の川辺に他のみんな、ヤシロ隊員達4人が居た。
僕がみんなの方を向いていた、その時。
『ダッ!』
シアン「え?」
唐突にダイゴ隊員が脇目も降らずに走り出した。
レナ「ダイゴッ!!」
ホリイ「アカンッ!」
咄嗟に呼びかけるレナ隊員はホリイ隊員。僕も数コンマ躊躇って
からもダイゴ隊員を追いかけた。
この時、僕たちはまだ、ゴルザとメルバがティガのピラミッドに接近
している事を、まだ知りもしなかった。
ダイゴ隊員を追いかける僕たち。そこへムナカタ副長も到着し、
僕たちはこちらを無視しているかのようにピラミッドの中へと
入って行ったダイゴ隊員に続くように、恐る恐るピラミッドに近づいた。
ゆっくりとピラミッドに触れようとした僕の手は、空しく黄金の
ピラミッドをすり抜けた。
シアン「これ。……質量が無い。ホログラム、なの?」
アイナ「え?」
僕の疑問に、他の皆が驚く中、僕たちは慎重にピラミッドの壁を
文字通り透過した。
そして、それらを、いや、『彼ら』を見つけた。
それは、光のピラミッドの中で起立する3体の巨神の石像だった。
シアン「これ、が。ティガの巨人」
アイナ「もしかして、この3体の石像が?」
驚きながらも、その巨人たちを見つめる僕たち。
しかし怪獣たちはノイズ部分を修復し巨人復活の方法を探り出す
その時まで、待ってはくれなかった。
通信によってゴルザとメルバがこちらに接近していると言う事が
伝えられた僕たちは、やむなく巨人を放置して撤退する事に
なった。だが……。
ダイゴ「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
不意に、叫んだかと思うとまたしてもダイゴ隊員が駆け出した。
シアン「ちょっ!?ダイゴ隊員!!」
さっきの事と言い今度は絶叫と言い。ダイゴ隊員ホントに
どうしたんだ?!
ダイゴ隊員の事が判らなくなりつつも、僕たちはそれぞれの機体に
戻った。ダイゴ隊員が1号、ムナカタ副長以下4人が2号。
僕とヤシロ隊員が試作機に戻った、その時。
レイコ『オオトリ隊員』
シアン「ッ。カシムラ博士?」
ダイブハンガーに居るカシムラ博士から通信が届いた。
レイコ『突然で悪いと思うけど、今そっちに向かって3式機龍を
発進させたわ』
シアン「……。えぇっ!?」
突然の事で、数秒間をあけてから驚く僕。
「ちょ、ちょっと待ってください!3式機龍は災害救助用の
大型ロボットのはずじゃ!?」
レイコ『そうよ。だから武装も無い。……けど、このままあの二匹を
無視する事は出来ないと判断したTPC上層部の決定よ。
目には目を。歯には歯を。でっかい化け物にはでっかい
ロボットを、って事よ。
そして当然、それを操縦できるのは操作系統を搭載した
試作機に乗っている、あなただけよ』
え?えぇぇっ!?それってつまり……。
シアン「僕に、3式機龍を動かせ、と?それこそあり得ません!
僕は3式機龍の事を何も知らないんですよ!?」
レイコ『悪いけど、これはもうすでに決定した事なのよ』
そ、そんな。僕に3式機龍を動かせと?そんな事、出来る訳。
と、僕が思っていた時。
???『大丈夫大丈夫!私が居るから!』
不意に、通信機からカシムラ博士とは別の声が聞こえて来た。
これは?通信に割り込まれてる?
『ねぇねぇお姉ちゃん!シートの上にレバーがあるでしょ?
それ引っ張って見て!』
レバー?
シアン「これ?」
僕は天井部分にあったレバーを見つけそれを引っ張った。すると
モニターらしき物が現れた。
???『やっほ~』
すると、そこに両肩を露出したカットアウェイショルダーの黒い服を
纏い、腰元まで届きそうな白髪ロングヘアの少女がそのモニターに
いきなり現れた。
シアン「なっ!?き、君は誰?」
ユナ『私?私は『ユナ』だよ~!よろしく~!』
と、快活に挨拶されたけど僕が知りたいのはそこじゃなくて……。
そんな風に思っていると。
レイコ『オオトリ隊員。その子、ユナは3式機龍に搭載されている
支援用自立AIよ』
通信機からまたカシムラ博士の声が聞こえ、説明してくれた。
けど、AI、人工知能って、この子が?
改めて僕はモニターを見ると、画面の中の女の子、ユナちゃんが
ん?と首を横に傾げている。
まるで普通の女の子みたいだ。
その時。
『GAAAAAN!!』
陸路で接近していたゴルザがティガのピラミッドの真ん前まで接近。
僕たちが見守る事しかできないまま、ゴルザは額からエネルギーの
ような物を照射しピラミッドを破壊してしまった。
アイナ「ピラミッドが!」
シアン「ッ!カシムラ博士!機龍は今どこですか!?」
カシムラ『現在VTOL機4機により岩手県内を飛行中。
後数分でそちらに到着するわ』
シアン「急いでください!このままじゃ巨人の石像が!」
アイナ「あっ!メルバを確認!」
え!?
通信に集中していた僕が視線を戻すと、太平洋方面から飛来した
メルバが巨人たちの近くに着陸した。
来た。来てしまった。
そして、石像を破壊し始めるゴルザとメルバ。その時。
ダイゴ「止めろぉぉぉぉぉっ!」
ガッツウィング1号、ダイゴ隊員が二体に向かって行った。
シアン「ッ!?無茶です!引き返して!」
咄嗟に警告する僕やムナカタ副長たちの声を無視して、ダイゴ隊員は
果敢に二匹に向かって行った。
でも、メルバの放った光弾が1号のエンジンに被弾。みんなが脱出を
促すが、故障らしく脱出できないって。
そんな、まさか……。
そして、僕たちの予想が現実となった。
『ドォォォォォンッ!』
1号が山間部に墜落してしまった。激しい爆音を爆炎が上がる。
嘘、そんな、まさか。……ダイゴ隊員が?
僕が自分の目を疑っていた時。レーダーが反応した。見ると、
山を越えて4機の垂直離着陸機にワイヤーで吊るされた銀一色の
3式機龍が現れ、僕たちの近くに着陸した。
ワイヤーが離され、機龍が地面に起立している。まるで、あの
巨神たちのように。
レイコ『オオトリ隊員。良い?今あなたのPDIに機龍起動用の
電子キーをインストールしたわ。それを操縦席の右側にある
スロットに装填して。……できるわね?』
そう言われた僕は、震える手で右腰のPDIを抜き取り、点滅している
スロットにそれを差し込んだ。
≪起動キー、装填確認≫
すると、唐突にユナちゃんが喋りだした。かと思うと、突如シートの
左右の床下から操縦桿らしき物が二つ、せりあがってきた。
≪遠隔操縦システム、アクティベート。
操縦桿を握ってください≫
その言葉に、僕は震えながら操縦桿に手を伸ばした。
震える理由は、緊張と怒り。
そして、僕の手が操縦桿をギュッと握った次の瞬間。
≪3式機龍、アクティベート≫
『KYUAAAAAAAANN!!』
そして、3式機龍の甲高い金属の咆哮が周囲に響いた。
一瞬、こちらを向くメルバとゴルザ。
しかしゴルザは視線を戻すと自分の前に倒した最後の一体の
石像の胸を踏みつぶそうとしていた。
そんな事、させるか!ダイゴ隊員の仇!
そう思い僕が操縦桿を動かそうとした、その時。
僕の場所では見えなかったが、石像の腕が動き、ゴルザの脚を
受け止めた、そして……。
『タァッ!』
何かの掛け声とともに、瞬く間に色づいた巨人がゴルザの足を押し戻し
転倒させた。
すぐさま起き上がる巨人。
赤、青紫、銀の3色で色付けされたトリコロールの巨人が突如として
復活した。
僕以外のみんなが、その事に驚いている中で僕は3式機龍を
動かしていた。
狙うは、あの巨人と向かい合っているゴルザ。
僕は機龍の両腿のスラスターを展開させ、機龍をゴルザ目掛けて突進
させた。
ゴルザがスラスターの音に気付いて機龍の方を向いた。
でも遅い!
シアン「喰らえっ!!」
次の瞬間、スラスターで加速した機龍の右腕のラリアットが
ゴルザの胸に命中し盛大に火花を散らした。
『GAAAAAN!』
一撃に悲鳴のような声を上げながら後退るゴルザ。
しかしどうやら大したダメージになっていないのか、奴は
すぐさま機龍の方に向かって来た。
不味いっ!
遠隔操作の機龍と生物の奴じゃ格闘戦で組疲れたらこちらが
不利になる!
だが、僕がそう思った瞬間。
『タァッ!』
巨人がゴルザを側面から攻撃し、その頭部にチョップを叩き込んだ。
そのまま連続で攻撃をし、そのままゴルザを抑え込む巨人。
しかしそこにメルバが向かって来た。
けど!
シアン「ダイゴ隊員の!」
僕は目一杯操縦桿を操作し、そして……。
「仇ぃぃぃぃぃぃッ!」
ユナ『スラスター、全快ィィィィッ!』
スラスターを全力噴射して機龍をメルバの横から突進させた。
『AAAAN!!』
どうやらゴルザより軽いのか、メルバは機龍の体当たりで盛大に
吹っ飛んだ。
その間に、巨人は再び光線を放とうとしていたゴルザを抑え込んだが、
押され気味だ。
ここは!
『KYUAAAAANN!』
僕は3式機龍を走らせ、ゴルザの右腕に掴みかかり、両手でその
右腕を抑え込んだ。
シアン「機龍のパワーがお前より低いとしても!」
ユナ『2対1なら負けないよ!』
機龍と巨人でゴルザを抑え込むが……。
『AAAAN!!』
そこに翼を展開したメルバが突進してきて巨人と機龍を弾き飛ばした。
『ダァッ!?』
ユナ『イッタ~~~イ!』
倒れた巨人と機龍。
巨人は素早く起き上がるが、僕の操作する3式機龍は機械操作のためか
やっぱり他の3体より動きが鈍い。
そして、起き上がった巨人に攻撃が集中した。
ゴルザの光弾を側転で避ける巨人。しかし直後メルバに組みつかれ、
無防備な背中をゴルザが攻撃する。そのままメルバの腕に弾き飛ばされ
倒れる巨人。
だけど!
シアン「僕たちを!」
ユナ『忘れるな~~~!』
もう一度、僕はスラスターを吹かしてゴルザの背後から体当たりをした。
突然の背後からの奇襲で驚きでバランスを崩して前に倒れるゴルザ。
そしてさらにスラスターで巨人に集中していたメルバ目掛けて突進。
対応が遅れたメルバが胸にショルダータックルを喰らって倒れた。
その隙に、僕は機龍を巨人の近くに着陸させた。立ち上がった巨人が
機龍の隣に並ぶ。起き上がったゴルザとメルバも並んでこちらを
威嚇するように咆哮している。
そんな時、ガッツウィング2号から見ていたホリイ隊員が一言
呟いた。
ホリイ「なんちゅうタッグマッチや」
と、僕たちには聞こえなかったが、そうホリイ隊員が呟いたすぐあと、
巨人の額のクリスタルらしき物が光ったかと思うと、巨人が
眼前で手首をクロスさせ、振り下ろした。
すると、青紫色の部分が赤く変色。これで赤と銀のツートンカラーに
なってしまった。
アイナ「色が変わった!?」
驚くヤシロ隊員。
一方ゴルザとメルバはそれに危機感を覚えたのか、それぞれが光線を
放つ。けどそれは右手をかざした巨人が生み出したシールドに
よって防がれた。
そして巨人は振り返って機龍に向かって頷いた。
モニター越しにそれを見た僕は、すぐに機龍を操作し、巨人を
『飛び越えた』。
そして……。
シアン「このぉぉぉぉぉっ!」
機龍のスラスターを生かした大ジャンプでメルバに向かって跳躍。
フライングボディプレスを繰り出しメルバを押し倒した。
その隙に、巨人は先ほどパワーで負けていたはずのゴルザを相手に
そのパワーで圧倒していた。
アイナ「あの巨人、さっきよりパワーが増してるの?」
上空を旋回しながらのヤシロ隊員の言葉に、一瞬僕の注意が
そちらに向いた。
その隙に、メルバは機龍を弾き飛ばして上空へと飛んで行った。
シアン「ッ!しまった!」
ユナ『あ~!逃げられた~!』
メルバはそのまま空中から攻撃を始めた。巨人は何とか反撃しようと
しているが、空を飛ぶメルバ相手に攻撃を当てられずに苦戦した。
しかもその隙に地中に逃走しようとしているゴルザ。
『もう一匹が逃げるよ!』
シアン「このっ!」
咄嗟に尻尾を掴んで引き抜こうとしたけど、背中にメルバの
突進を受けて前のめりに倒れる機龍。
巨人の方もメルバの攻撃を受けて動けず、結局ゴルザを
逃してしまった。
くっ!?そもそも3式機龍は非武装の設計だから飛び道具なんてない!
かといってスラスターで突進しても、機龍にはそこまでの旋回性能
なんて無い。簡単に背後を取られて落とされる。
どうすれば……。
と、その時。突然巨人の胸に合った青く輝くクリスタルが赤く点滅を
始めた。そして、巨人は再び頭上で手を交差させ振り下ろした。
すると今度は青紫と銀の二色に変化。すぐさま飛び上がって
メルバの頭部にキックを打ち込み撃墜させた。
そして巨人は、のろのろと起き上がったメルバに対し、エネルギーを
集めるような動作で作り出したエネルギー弾を手裏剣のように
投げつけた。
それを躱す事が出来ずに、胸に受けたメルバは一拍置いて
バラバラに砕け散った。
それを、モニター越しやその目で見ていた僕たち。
アイナ「倒した、の?」
ユナ『っぽいね』
驚くヤシロ隊員とユナちゃん。
やがて巨人はメルバを倒すと、どこかへと飛び去って行った。
何はともあれ、僕たちはメルバを倒しゴルザを撃退した。
巨人も一人だけだが復活した。
……しかしダイゴ隊員は。
僕がそう思い、唇を噛みしめたその時。
ユナ『あっ!ねぇねぇあそこ!誰かいる!』
シアン「え?」
ユナちゃんの声に落としていた視線をモニターに移すと、そこには
川辺を走るダイゴ隊員の姿があった。
「ダイゴ隊員!生きてたんだ!」
元気に走りこちらに手を振るダイゴ隊員。
その後、僕たちはダイゴ隊員を回収して一路ダイブハンガーへと
戻った。
しかし、この時の僕たちにはまだ、知る由も無かった。
ゴルザとメルバとの戦いが、これから地球に襲い掛かる
幾星霜の戦いの中の、たった一粒の、初戦でしかない事を。
果たして、これから彼らに襲い掛かる物とは一体?
その答えを知る者は、まだ誰もない。
第1話 END
え~、と言うわけでしょっぱなから機龍参戦でした。
物語りは基本、シアンの視点で行くつもりです。