ウルトラマン&メカゴジラ~光の巨人と銀の巨龍~   作:ユウキ003

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今回はほぼオリジナルです。しかし、投稿間隔が空いてしまいすみません。
次回はもっと早くに投稿できるように努力します。



エピソード3.5 『戦え機龍』

~~前回までのあらすじ~~

次第に民衆に知られる事になっていく巨人、ウルトラマンティガ。

しかし、そんなティガのニュースの最中に突如として

キャスターを乗っ取りキリエル人を名乗る生命体が浄化を宣言。

その宣言を実行するかのように次々と建物が爆破。1件目は

無人のビルであったため被害はなかったが、2件目は人口

密集地であったため多数の死者を出した。そんな中キリエル人の

手がかりを追うイルマとそれに気づいて後を追うシアンとダイゴ。

その後、何とか3件目の爆破を防いだがキリエル人はキリエロイド

となって出現。キリエル人の言い分に激怒したシアンたちは

ティガと協力してキリエロイドを撃破するのだった。

 

 

キリエル人の一件が落ち着いた頃。僕達は相変わらずの日々を

送っていた。まぁ、僕達の仕事は少ないに越したことは無いの

だけど。とか思いつつ、ヤシロ隊員が淹れてくれたお茶を

飲みつつ作業していた時、僕はふと時計を見て呟いた。

シアン「今頃、ダイゴ隊員とレナ隊員はモンゴルですか」

そう呟く僕。実際、今のここにはその二人は居ない。

じゃあその理由は何かと言うと……。

 

ヤズミ「逃亡したゴルザの調査ですからね。何か発見があれば

    良いんですけど」

と、僕の言葉に相槌を打つヤズミ隊員。

ユウヒ「ゴルザ?と言うと、あの黄金のピラミッドを破壊後に

    ティガと戦い逃走したと言う?」

そんなヤズミ隊員の言葉に、あの場に居なかったユウヒ隊員が

首を傾げる。

アイナ「はい。あの戦いのとき、出現した怪獣は2体です。

    モンゴルから出現したゴルザと、イースター島から

    出現したメルバ。メルバはティガと3式機龍の協力で

    何とか倒せたんですが、ゴルザは地中へ逃亡後に

    行方を眩ませたままなんです」

ムナカタ「かといって、実在する脅威を見逃す訳にも行かない

     からな。念のため初出現地であるモンゴル平原の

     調査が成される事になった、と言うわけだ」

ユウヒ「成程。……しかし、怖い物ですね」

シアン「怖い、ですか?」

不意に呟かれた言葉に、僕は疑問符を浮かべた。

 

ユウヒ「皆さんがゴルザやメルバを目撃するまで、怪獣と言う

    存在は実在しないと思われていました。それが今や

    当たり前のようになりつつある。平和とはあまりにも

    脆く、そして怪獣の力は絶大。どこに現れるかも

分からないとなると、その事実に少し……」

そう言って少しばかり俯くユウヒ隊員。

 

そうか。そうだよね。

改めて思えば、怪獣はティガのような人知を超えた存在。

3式機龍で倒せない訳じゃないけど、それでもその力は絶大で、

ゴルザみたいに地下から現れたり、メルバみたいに空を飛んで

現れたり。人の手に負えない存在が何処から現れるかも

分からない。それが怖いと言うのも、僕には分かる。

でも、だからこそ……。

 

シアン「なら、何とかするまでです」

ユウヒ「え?」

シアン「今の僕達には3式機龍があります。確かに怪獣は手強いし

    神出鬼没です。でも、戦えない訳じゃないです。相手は

    銃弾もレーザーも聞かないお化けじゃないんですから、

    多分頑張れば何とかなりますよ」

 

と、この時シアンは彼成りにユウヒを励まそうとしていた。

 

ホリイ「それに任侠モードのシアンちゃんだともっと強くなるし」

ユウヒ「……。ふ、ふふっ」

そこへすかさずなホリイ隊員の一言に、驚いてから笑みを浮かべる

ユウヒ隊員。

シアン「って、ホリイ隊員良いところなんだから茶々入れないで

    下さいよ!後、いい加減任侠モードはもう良いですから!」

と、僕は涙目でその事を訴えるのだった。

 

ちなみに……。

ユウヒ「≪相変わらず≫、あなたは優しいですね」

シアン「?ユウヒ隊員、何か言いました?」

ユウヒ「いいえ、何も」

と、首を振って否定したユウヒ隊員。今何か聞こえた気がした

んだけど、気のせい?まいっか。

と、そう考えながら僕は仕事に戻った。

 

その後、僕とヤシロ隊員はユナちゃんとカシムラ博士に呼ばれて

3式機龍のドックへと向かった。機龍の格納庫が見渡せる

管制室に入る僕達。

レイコ「あら、来たわね。待ってたわ」

シアン「失礼します。今日はどういった話なんですか?」

レイコ「大した話じゃないんだけど、機龍に武装を追加した

    からそれの説明をね」

と言うと、近くに居たオペレーターの人に声をかける博士。

すると丁度管制室から見える機龍の口が開いた。

よく見ると口の中にパラボラみたいなものがあった。

シアン「博士、あれは?」

レイコ「あれは『2連装メーサー砲』。元々は防衛軍が存在した

    時代に日本の技術廠で研究されていた物を今の技術で

    発展改修したものよ。指向性エネルギーである

    メーサーの力で敵怪獣の細胞を焼き払うための物よ」

シアン「なんだか、聞いてるだけでも物騒な武器ですね」

本来は、救助用に作られたはずなのに。

僕はそう思いながら3式機龍を見つめた。

 

レイコ「仕方ないわよ。世界各地で怪獣が目撃され始めた今、

    人類には怪獣と対等に戦えるだけの力が求められているの。

    あの巨人、ティガだったかしら?お偉いさんや一部の

    人にとっては、ティガと言う存在を完全に信用している

    訳でもないだろうし、仮にもティガが出現しない場合も

    含めた戦力が、私達には必要なのよ」

と、そう言って自論を語るカシムラ博士に、僕とヤシロ隊員は

何も言えなくなるのだった。

 

その後の昼食時。僕はヤシロ隊員、ユウヒ隊員と一緒に食堂で

昼食を取っていた。

そんな時だった。

シアン「怪獣、かぁ」

僕は一人、スプーンでカレーをいじっていてそう呟いた。

ユウヒ「どうかされましたか?」

シアン「あぁ、いえ」

と、独り言に質問を返されたのでちょっと慌てて返す僕。

   「……ユザレ、あのホログラムの言っている事が

    正しければゴルザとメルバの出現は大異変の前触れ、

    らしいです」

ユウヒ「ユザレ。……私が配属される前に皆さんが見たと言う?」

アイナ「はい。地球星警備団団長ユザレ。って、その名称が

    本当かどうかは分かりませんけど、発見された

    タイムカプセルから出て来たホログラムの事です。

    ゴルザとメルバの出現の予期、ティガの存在の示唆。

    大異変を象徴するような各地での怪獣の出現。

    そのすべてを言い当てたホログラムですよ」

ユウヒ「そうでしたか。……オオトリ隊員はそれが何か?」

シアン「その。……僕は元々未知への興味からGUTSへ

    入隊したんです。男として、探求心の表れ、みたいな

    感じで。……けど、今の僕達って防衛軍の軍人と

    やってる事、やろうとしている事が変わらないんだなって

    思って、少し……」

ユウヒ「そうですか。……しかし、それでもまだ良いと思います」

シアン「え?」

ユウヒ「市政の人々には我々のように怪獣と戦う術がありません。

    一度怪獣が市街地に現れたならば、逃げ惑う事しか

    出来ません。そう言う意味では、力を持つ私達には

    人々を護るために戦う義務があると私は思います」

……力を持つ者の義務、かぁ。けど、今にして思えば、僕が

GUTSに入ったのは未知への、新しい事への探求心だった。

それが今や……。ハァ、悩むなぁ。

そう思いながら、僕は視線を下の落とすのだった。

 

その後、食事を終えた僕は一人シューティングレンジで

GUTSハイパーを使った射撃訓練をしつつ、ユウヒ隊員の

言葉を思い返し、その意味を考えていた。

戦う事、守る事は力を持つ者の義務。

その言葉の意味は分かるけど、僕自身は戦いたいからGUTSに

入った訳じゃない。いや、強くなりたいって思いは違わないけど、

それは戦いたいからじゃない。ここに来たのは、色々な物を、

まだ知らない世界を見たいからでもあった。

けど……。ユウヒ隊員の言っている事も分かる。

 

シアン「……ハァ。ダメだ」

全く集中できなかった僕はゴーグルとヘッドフォンを外して

GUTSハイパーを戻した。

結局、考えても答えはあんまり出ず、夜。僕は自室に

居る時もどこか悶々としていた。

 

そんな時だった。

ユナ「シアン~。お話しよ~」

そう言って、部屋の壁に埋め込まれた通信用の端末が開いて

そこからユナちゃんが映し出された。

シアン「あ、ごめんユナちゃん。今日はちょっと考え事

    したいから」

ユナちゃんの声に気付いて、僕は体を起こしてそう言ったの

だけど……。

ユナ「え~?そんな~」

と、しょんぼりした様子のユナちゃん。

うぅ、ちょっと罪悪感が……。あ、折角だから……。

シアン「ユナちゃん。やっぱりお話する?僕も、ちょっと

    聞いてほしい事があるんだ」

ユナ「え?良いの!わかった!じゃあお話しよっか!」

と言うと、通信端末からユナちゃんが消えて、僕のPDIが

震えた。それを開くとそこにユナちゃんの姿があった。

PDIを机の上に置く。

  「それで、どんなお話するの?」

シアン「うん。実はその、相談なんだけど。僕今、悩んでるんだ」

ユナ「へ~。シアンに悩み事?」

シアン「うん。……僕は元々、軍人だったお父さんに憧れていた。

    そのお父さんに言われて、強くなろうって決めた。

    色々頑張って、色んなことをしていたんだけど、

    高校卒業を控えたある日、GUTSからの誘いを

    貰ったんだ。……けど、僕は今の今まで、こんな風に

    怪獣と戦う事になるなんて、夢にも思ってなかった。

    GUTSに入ったのは、新しい事への探求心、

    だったんだ。だから、怪獣と戦う事が、自分の

    やりたい事なのかなって、思って。悩んでるんだ」

ユナ「えっと、つまりシアンは怪獣と戦いたくないの?」

シアン「……そうまでは言わないよ。必要な事だとは

    思ってる。けど、こういうのには人命が掛かってるから。

    GUTSの隊員だから、とか生半可な覚悟で臨みたく

    無いんだ」

ユナ「そういう物なんだ~。……う~ん、だったら今を

   頑張ればいいんじゃないかな?」

シアン「え?」

腕を組み、首を傾けてからのユナちゃんの言葉に、僕は疑問符を

漏らした。

ユナ「シアンって、もっとも~っと、色んな新しい物を

   見て見たいんでしょ?」

シアン「う、うん。まぁそうだね」

ユナ「じゃあ、その新しい物を見るために怪獣なんて

   コテンパンにぶっ飛ばして、平和な世界にすれば

   良いんだよ!」

と、ボクシングみたいな動きと共に笑みを浮かべながら

教えてくれるユナちゃん。

  「そうすれば、シアンもゆっくり探し物が出来るでしょう?」

その言葉に、僕は少しハッとなった。

 

そうか。そうだよな。この戦いを、怪獣と人間の戦いを一日でも

早く終わらせる。僕には、僕達にはその力がある。

この力で、戦いを終わらせて、また平和な世界を取り戻す。

そして、僕の望んだ未来のために、今ここで戦う。

そうか。それも有りだよな。

シアン「ありがとうユナちゃん。吹っ切れたよ」

ユナ「ホント?ユナ、シアンの役に立てた?偉い?」

シアン「うん、偉い偉い」

ユナ「えへへ~。やった~。ユナ褒められた~」

と、ユナちゃんが画面の中で喜んでいる姿を見て、僕も

笑みを漏らすのだった。

 

そして翌日。事件が起こった。

 

シアン「駿河湾沖の海底で、動く震源、ですか?」

イルマ「えぇ。本日未明、静岡県の沿岸部に設置された震度計が

    僅かな振動を検知したわ」

そう言うと、ヤズミ隊員の方に頷くイルマ隊長。それに頷き返した

ヤズミ隊員がキーボードを叩くと、前方の大型モニターに

震源を現す点が打たれた画像が映し出された。

ムナカタ「本日午前4時過ぎ、静岡県伊豆半島の南西数十キロの

     地点で最初の振動が検知された。その後も定期的に

     振動が検知され、データをもとに震源を割り出すと、

     震源は徐々に太平洋から駿河湾方面へと移動している

     事が分かった」

ユウヒ「地中を移動する怪獣。……まさかゴルザ、ですか?」

ムナカタ「不明だ。しかし、ゴルザではないという確証も無い。

     そこでTPC本部は俺達GUTSに出撃を命じた。

     俺達は駿河湾にてこの移動物体の迎撃作戦を

     行う」

シアン「ッ、迎撃」

と、すぐに表情を引き締めるシアンやアイナ、ユウヒなホリイ達。

ムナカタ「3式機龍及びガッツウィングSSは海岸線で待機。

     敵怪獣の出現に備える。ユウヒ隊員はMkⅡで。

シンジョウ、ホリイの両名は俺と共にガッツウィング2号

による周辺の索敵を行う」

ユウヒ「了解」

ホリイ「あの、ダイゴ達は?」

ムナカタ「残念だが、今からではモンゴルから戻ってきてもらう

     余裕が無い。TPCの地震観測センターによる計算では

残り数時間で目標が駿河湾内に到達する。それを阻止する

為にも、二人の帰還を待っている余裕はない。

以上だ。各自、出動準備!」

そう言われると、僕達はヘルメットなど手に司令部を飛び出した。

ヘルメットを被り、ヤシロ隊員と共にSSに搭乗。2号、MkⅡに

続いてダイブハンガーを発進した。

そして、そんな僕たちの後を、4機のVTOLに吊るされた

3式機龍が少し遅れて続く。

その様子をガンカメラで見ていた時、僕はふと、

『ウルトラマンティガ』が現れるのだろうか?と言う不安に

かられた。

僕はそんな考えを、頭を振りながら否定しつつ、任務に

意識を戻した。

 

そして数十分後。

駿河湾に到着した機龍が着水するのをガンカメラで確認しながら

最新式に換装されたレーダーに目を向けた。

幸い、と言うべきか主だった動体反応や生体反応は無い。地中

レーダーも機影などは無し。

それを確認した僕は2号とMkⅡへデータリンクを形成した。

 

データリンクとは、レーダーなどの換装に合わせて実装された

システムで、友軍機とデータを共有するための物だ。これによって

例えば2号が敵を発見すると、敵の場所や様子等がほぼリアルタイム

で確認できるシステムだ。

シアン「こちらガッツウィングSS及び3式機龍。

    現在予定ポイントで待機中。周辺の異常なし。

    そちらの様子はどうですか?」

ムナカタ『こちら2号ムナカタ。こちらも特に異常なし』

ユウヒ『同じくMkⅡ。こちらも現海域ではこれと言った

    怪獣出現の兆候は見られず。引き続き監視を続行します』

シアン「こちらシアン、了解。こちらも警戒を続けます」

そう言うと、僕は通信を切った。

既に3式機龍はアクティベート、起動状態だ。いつでも戦える。

今の武装は、両腕のレールガンと口の2連装メーサー。

メーサーはこれが初めてだから、怪獣に効くかどうか……。

 

と、そんな事を考えていた時だった。

   『ビーッ!ビーッ!』

唐突に警報が聞こえて来て僕は操縦レバーを握り直した。

ムナカタ『こちら2号!現在駿河湾内の海底を移動する

     巨大物体の影をレーダーで捕捉!シアン!

     そっちに向かってるぞ!注意しろ!』

シアン「了解っ」

副隊長の報告に、もう一度レバーを握り直す僕。

 

数秒後、3式機龍に内蔵されたセンサーが微弱な振動を

検知。次第にそれは大きくなっていた。そしてSSの地中センサーも

移動物体を捉えた。

ユナ『移動物体確認。深度、50、45、40。シアン!浮上

   してくるよ!』

シアン「見たいだね……!」

そう呟きながら、モニターを見つめる僕。と、その時。

 

   『ザッパァァァァァァァァァァンッ!』

突如として巨大な水柱が現れた。空中に飛散する海水。

と、その海水の柱の奥に、黒い影が見えた。そして、

海水が重力に逆らって落ちて行った時、僕達の、正確には

3式機龍の前に怪獣が現れた。

   『GIAAAAANN!!!』

 

シアン「来た……!こちらSS及び機龍!怪獣を視認!」

現れたその怪獣は、特徴的な頭に、多層構造にも見える背中。

腹部には規則正しく一列に黄色い模様が縦に並んでいた。

にらみ合う怪獣と機龍。そこに本部から通信が届いた。

 

イルマ『オオトリ隊員。以降あの怪獣をグロッシーナと

    命名します。グロッシーナの力が未知数である以上、

    都市部への侵攻は避けたいわ。出来るうる限り、

    水辺で進行を阻止して。後ろの街は既に避難警報が

    発令されているけど、気を付けて』

シアン「了解。……行くよ、ユナちゃん」

ユナ『OK~!レッツ、ゴー!!』

通信機越しにユナちゃんの声を聞いた僕は、すぐさま機龍を

操作した。

 

ここに、3式機龍とグロッシーナのタイマンバトルが始まった。

 

 

ちなみに、そのころモンゴルでは……。

ダイゴ「え!?駿河湾に怪獣が?!」

レナ「うん。さっき本部から連絡があったの」

ダイゴ「それで隊長は何て?」

レナ「それが……。私達は調査任務を続行。

   怪獣グロッシーナには3式機龍を中心にみんなが

対処するって」

ダイゴ「そうか……」

その事を聞くと、ダイゴは無意識に制服の上から胸、正確には

そこにしまわれたスパークレンスに手を当てるのだった。

   『シアン、そっちは頼んだぞ』

そう言って、ダイゴは遥か彼方の空に目を向けるのだった。

 

場所は戻って駿河湾。

 

シアン『まずは……』

相手の出方を見る。そう考えた僕はスラスターを使って

グロッシーナを基点に、反時計回りで12時の地点から

9時の地点、つまり奴の左側に回り込む。そこから更に

牽制のレールガンを叩き込む。

   『ヒュヒュヒュンッ!』

   『ガガガッ!』

   『GIAAAAANN!!』

数発のレールガンがグロッシーナの体に命中し火花を散らすが、

当のグロッシーナは大してダメージを受けた素振りも無く

機龍を睨みつけている。

   『くっ!?やっぱりレールガンじゃダメか!』

そう考えている内に、グロッシーナが咆哮と共に機龍

目掛けて突進してくる。

   『機龍じゃ近接戦は分が悪い!距離を取って、

    メーサーで焼く!』

そう考えたシアンはレバーを操作し、スラスターを使って

機龍を背後へと大きくジャンプさせる。そして、着地に

合わせてすぐにメーサーを発射した。

   『ビィィィィィィィッ!』

黄色い稲妻のようなメーサーの光がグロッシーナの

胴体に命中する。

   『GIAAAAANN!?!?!?』

どうやらダメージが入ったのか、悲鳴のような声と

共にグロッシーナが悶えるように体を震わせる。

アイナ「グロッシーナにダメージを確認!行けるよ

    オオトリさん!」

シアン「了解……!こちらSS。新型兵装はグロッシーナに

    対して有効の模様。このまま一気に畳みかけます」

ムナカタ『こちら2号了解。だが無茶はするな。MkⅡが

     あと数分で。俺達ももう少しで到着する』

シアン「了解」

僕は無線に答えつつ、目の前のモニター越しにグロッシーナを

睨みつける。

メーサーは効く。だからこのまま……!

そう思い、もう一度トリガーを引こうとしたその時。

   『GIAAAAANN!!!』

   『ババッ!』

グロッシーナの口から、赤い針状のエネルギーが多数。

まるでショットガンの散弾のように発射された。

   『ドガガガッ!』

ユナ「イッタ~~~イ!!!」

発射されたエネルギーの散弾が機龍の胸部装甲に命中して

火花を散らす。

モニターの中でユナちゃんが涙目で痛そうにしている。

それを見た僕はすぐさまスラスターを使って機龍の

体を縦横無尽に動かしたが……。

如何せん機械VS生物。反応速度で言えば奴の方が上。

しかもここは足場の悪い水辺だ。

放たれる攻撃が機龍の体に当たる。更に……。

   『ドガッ!バチバチッ!』

シアン「ッ!?レールガンユニット、強制排除!」

攻撃が左腕のレールガンに命中し、火花を散らす。僕はすぐに

スイッチを押してユニットを爆砕ボルトで強制的に切り離す。

火花を散らしながら海面に落下するユニット。僕はスラスターを

使って機龍をすぐにその場から横へとスライドさせる。

その刹那。

   『カッ!ドォォォォンッ!』

海水を打ち上げるように、レールガンユニットが爆発する。

これで武器は、右手のレールガンと口のメーサーだけだ。

と、その時。

 

ユウヒ「させないっ!」

   『ビシュビシュビシュッ!!』

   『ガガガァァァァンッ!』

   『GIAAAAANN!?!?』

横合いからレーザーの雨が降り注ぎ、グロッシーナの体に

命中した。それに気づいてレーダーに目を向けると、外洋から

こちらに戻ってくるMkⅡの機影を捉えた。

シアン「ユウヒ隊員!」

ユウヒ「すみません。遅くなりました。私も攻撃に参加します!」

よし。これで機龍に、SS、MkⅡが揃った!それに

もうすぐ2号も到着する!そうすれば、デキサスビーム砲も

ある!

シアン「2号が到着次第、デキサスビームとメーサーの一斉射で

    奴を倒します!それまで足止めをお願いします!」

ユ・ア「「了解ッ」」

僕の言葉に、ユウヒ隊員とヤシロ隊員が頷く。

 

よし!このまま行ければ!

   『ビュッ!』

唐突に奴が体を回転させ尻尾で薙ぎ払いをかけて来た。

その時は咄嗟の事で反応できなかった。

   『グルグルッ!』

そして、僕が反応するよりも先に尻尾の先が機龍の首に

巻き付いた。

と、次の瞬間。

   『バチバチバチッ!!』

ユナ「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」

アイナ「ッ!?雷撃!?」

シアン「ユナちゃん!」

コクピットから見ていたヤシロ隊員とモニターで叫ぶユナちゃんを

見ていた僕がほぼ同時に叫ぶ。

そして、尻尾の先が離れた時、機龍が体のあちこちから煙を

吹き出しつつ、姿勢が下がる。

その様子を見て、咄嗟に機龍を下がらせようと僕はレバーを

操作するが……。

   「くっ!?動かない!?」

ユナ「し、システムがオーバーヒートしてるぅ。

   動けない~」

画面の中でユナちゃんが呻いている。まさか、今の

電気攻撃で……。

その時、グロッシーナは動かなくなった機龍を見ると、

踵を返して海岸線の方へと歩みを進めた。

アイナ「ッ!?グロッシーナ、方向転換して海岸部へと

    移動を開始しました!オオトリさん!機龍は!?」

シアン「ダメです!機体各部がオーバーヒートしていて……!

    駆動系も一部応答なし!ユナちゃん!そっちから

    復旧できないかな!?」

ユナ「む、無理だよ~!今のままじゃ、頭動かすくらいしか

   出来ないよ~!」

そう言って涙目のユナちゃん。

くっ!?このままじゃグロッシーナが市街地に……。

 

どうする!?どうするどうする!?考えろ。考えろ!!

目を瞑り、必死に考える僕。

だが、僕に何ができる?SSを操縦している訳でもない。

機龍も動かない。2号だってまだ……。

 

……こんな時、ウルトラマンティガさえ居てくれれば……。

 

そう、僕の中で心が呟いた。

 

だけど、僕はすぐに首を振って、頬をパンと両手で叩いた。

 

居ない存在を頼って何になるんだ。今、ここに居るのは

僕達GUTSだけなんだ!僕達しか戦えないんだ!

 

考えろ!考えろ!僕達がこれまで経験してきたこと全てを

前提に考えろ!

僕達の今出来る最大火力は……。メーサーとデキサスビームの

集中攻撃!これだ。

そう思った僕はモニターを切り替え、今の機龍のメーサーで

狙えるポイントを割り出した。

そして、その場所にポイントするとすぐにみんなとの

通信を繋ぐ。

シアン「皆さん!聞いてください!これから指定した場所のデータを

    送ります!その地点までグロッシーナを誘導してください!」

アイナ「ゆ、誘導って!怪獣を!?」

ユウヒ『何か策があるんですか!?』

前に座るヤシロ隊員と、グロッシーナを攻撃するユウヒ隊員の声が

聞こえる。

シアン「確証はありませんが、奴を機龍の眼前におびき出し、

    そこでメーサーと2号のデキサスビーム砲を撃ち込みます。

    これが僕が考えられる、今の僕達に出来る最大火力です」

ムナカタ『……今はそれしかない、か。隊長』

イルマ『えぇ。聞こえていたわ。ティガの現れる様子が無い以上、

    今は我々が人々を護るしかない。みんな、出来るわね?』

6人「「「「「「はいっ!!」」」」」」

イルマ隊長の言葉に、僕達が頷く。

 

シアン「ヤシロ隊員、ユウヒ隊員!二人はグロッシーナを

    攻撃して何とか奴を指定したポイントに誘導して

    ください!2号、そちらはどうですか!?」

ムナカタ『心配するな!後数分で着く!』

シアン「了解。二人とも、お願いします」

ア・ユ「「了解っ」」

 

僕の考えた作戦に従い、MkⅡとSSがグロッシーナに攻撃を

仕掛けた。

   『ドドドドドドッ!』

   『ビシュビシュッ!』

   『『ドガガァァァンッ!』』

   『GIAAAAANN!?!?』

攻撃を背中に食らい、悲鳴を上げて振り返るグロッシーナ。

奴はMkⅡとSSに注意を向け、攻撃態勢に入った。

シアン「ショットガン!来ます!」

僕がガンカメラでその予備動作に気付いて声を飛ばす。

2機が横へのロール回転を行い、寸での所で攻撃を回避した。

 

そのまま、何とか奴を目標地点へと誘導する。

 

じわじわと、MkⅡを追いかけて歩みを進めるグロッシーナ。

 

更に……。

ムナカタ『こちら2号、目標地点に到達。いつでも行けるぞ』

グロッシーナの背後に回り込んだ2号が、既にデキサスビーム砲を

準備していた。

シアン「よし。ここまでは……。ユナちゃん。メーサーは行ける?」

僕はもう一度ユナちゃんに声を掛けた。

ユナ「行けるよ!さっきの仕返し!百倍にして返して

   やるんだから!」

と、画面の中で鼻息も荒くしているユナちゃん。

 

よし、これで後は……。

シアン「目標!指定ポイントまで後60!55……50……45」

静かに、僕がカウントを刻む。上手く行ってくれ、と僕は

頭の中で祈る。

冷や汗が顎を伝う。

   「25……20……15……」

他のみんなも固唾を飲んで待機している。

   「10……5……0!今です!」

シンジョウ「デキサスビーム!発射!」

シアン「メーサー砲!発射!!」

 

次の瞬間、僕とシンジョウ隊員がほぼ同時にトリガーを引いた。

   『ビシュゥゥゥゥゥッ!』

   『ビィィィィィィッ!!』

発射された二つの光線。それは……。

 

   『『ドガァァァァァァァンッ!!!』』

見事にグロッシーナの腹と背中に命中した。

   『GIAAAAAAANN!?!?!?!?!』

そして、グロッシーナが悲鳴のような叫びを上げ、そして

倒れた。

   『ザッパァァァァァァンッ!』

水しぶきを上げながら倒れるグロッシーナ。そして、奴は……。

   『GI、GIAAAA………』

体のあちこちから血を流しつつ、這う這うの体で外洋へと

去って行った。

 

それを、しばし茫然と見送る僕達。

シアン「逃げ、た?」

アイナ「見たいですね」

しばらく滞空していた僕達。と、そこへ。

 

イルマ『みんな、ご苦労様』

本部の隊長から通信が届いた。

   『怪獣グロッシーナは逃がしてしまったみたいだけど、

    市街地への侵攻を水際で抑えられただけでも

    上出来よ。よくやったわ』

シアン「は、はい」

と、その時の僕はまだ少し、呆然としていた。

理由としてはまぁ、何とかティガ無しでも怪獣を

撃退できたからだ。

 

その後、結局僕はダイブハンガーに戻るまで、少し呆然と

していた。でも……。

 

帰ってくる時に見えた何気ない街の景色を見た時、

僕は何かを護れた気がして、少しだけ嬉しい気持ちになった。

 

 

    第3.5話 END

 




次は4話をベースにします。
お楽しみに!

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