ウルトラマン&メカゴジラ~光の巨人と銀の巨龍~   作:ユウキ003

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前回から実質5ヶ月。投稿スパンが~~!
亀更新ですんません!


エピソード4 『天秤』

~~前回までのあらすじ~~

ダイゴとレナがゴルザ調査のためにモンゴルへと向かった。

そんな中でシアンは軍隊のようになっていく現状に何処か

迷いを感じていたが、ユナの一言で吹っ切れるのだった。

そんな中、駿河湾に怪獣グロッシーナが迫っているとの

報告が入った。

ダイゴがティガである事など知らないGUTSのメンバーは

機龍を中心とした布陣でこれを迎撃。ティガの力無しで、

初めて怪獣を撃退するのだった。

 

 

僕達がグロッシーナを撃退してから、かなりの時間が

経った。そんな中で、僕達の話題の中心になっている事件が

あった。

木製探査に向かったジュピター3号という探査船が消息不明

のまま、既に2か月が立っていた。

シアン「……ジュピター3号の行方は依然として不明。

    捜査は引き続き行われる予定である、か」

そんな中、僕は司令室でPCを使った作業をしていた中、

ネットニュースの一覧からその話題を見ていた。

アイナ「まだ見つからないんですね、ジュピター3号」

そんな僕の隣に、ヤシロ隊員がお茶を入れたカップを

置いてくれた。

ユウヒ「既に連絡が途絶してから2か月。何等かの

    トラブルがあったんでしょうか?」

そして更に、僕のPCの画面のニュース記事を覗き込む

ユウヒ隊員。

シアン「唯単に通信機器にトラブルがあって連絡が

    出来ないだけなのか、或いは……」

と、僕達がそんな話をしていた時だった。

 

   『ビーッ!ビーッ!』

シアン「警報!?」

イルマ「どうしたの!?」

ヤズミ「大変です!先ほどTPCのレーダーが地球外から

    飛来する物体をキャッチしました!」

ユウヒ「飛行物体!?隕石ですか!?」

ヤズミ「いえ、そこまでは何とも……」

 

と、会話をしていると定時パトロールに出ていたダイゴ隊員

達の方から通信が届いた。

ダイゴ『こちらガッツウィング1号、本部、応答願います!』

イルマ「こちら本部」

ダイゴ『隊長、謎の飛行物体を発見しました!』

イルマ「こちらもモニターしているわ。その物体が

    何か確認できる?」

ダイゴ『現在高度2万メートル、マッハ4の速度で急速

    降下中です。航空機にしては巨大すぎます』

 

ユウヒ「航空機ではないとすると、衛星?」

ヤズミ「いえ、それにしても大きすぎます」

ユウヒ隊員の声に、基地の方のレーダーで確認していた

ヤズミ隊員が即座に否定する。

イルマ「到達予想地点は?」

ダイゴ『このままだと……。鹿島灘付近だと思われます』

鹿島灘?その辺って確か!

レナ「確かあそこには、宇宙開発局の施設があったはずよ」

ホリイ「そうや!次世代恒星間ロケット用に開発中の

    高純度エネルギーの備蓄基地です」

シアン「ちょっ!?ちょっと待ってください!そんなのが

    もし間違って周囲に漏れだしたら……!」

ホリイ「最悪、辺り一帯が吹っ飛ぶで!」

アイナ「そんなっ!?」

 

僕達は、その最悪の事態を想定して顔を青ざめさせる。

イルマ「ここは……。ムナカタ副長以下、レナ隊員、

ホリイ隊員は2号で現場へ。オオトリ、ヤシロ

両名はSSで。ユウヒ隊員もMKⅡに搭乗後

直ちに現場へ!何としても被害を最小限に

食い止めるの!」

6人「「「「「「了解ッ!」」」」」」

 

そして、僕達はそれぞれの機体に搭乗し、浮上した

ダイブハンガーから発進した。

 

1号に遅れて僕たちが到着した時、驚いた。

シアン「あれって!?」

アイナ「怪獣!?」

施設に上陸したそれは、間違い無く怪獣だった。

そこへ。

ムナカタ『各機に通達する。これから我々全機で

     奴の前方から一斉攻撃をする』

ア・ユ・ダ・レ「「「「了解っ!」」」」

2号に乗っていたムナカタ副長の命令に従い、

1号、2号、MkⅡ、SSが怪獣の前方に回り込む。

ムナカタ「攻撃開始っ!」

レナ「発射!」

ダイゴ「発射!」

ユウヒ「撃ちます!」

アイナ「一斉射!」

 

   『『『ビシュビシュッ!』』』

   『ババババババババッ!』

1号、2号、MkⅡのレーザーが火を噴き、

SSもバルカン砲を斉射する。

しかしそれでも怪獣は止まらずに、施設のプラントを

破壊していく。

そして、奴は……。

シアン「ッ!?敵怪獣、プラント内部の高純度

    エネルギーを吸収しています!」

ガンカメラで奴の動きを観察していると、奴が

破壊されたプラントの中にあったタンクに両腕を

突き刺し、エネルギーを吸収する。

と、その時プラント周囲の施設が稼働して奴を

囲った。

   「あれって……」

アイナ「多分、施設を守るための防衛設備ですね。

    これで動きが止まってくれれば……」

周囲を旋回しながら様子をうかがっていた僕たち。

と、その時。

   『ビカッ!』

シアン「光ったっ!?」

奴の目が瞬いたかと思うと、稼働していたシールドが

消滅してしまった。

そして、そのまま怪獣はプラントの破壊を再開する。

ダイゴ「クソォ!怪獣め!」

ユウヒ「これ以上はやらせません!」

 

その時、背後から接近した1号とMkⅡのレーザー

攻撃が怪獣の背面を焼く。更に旋回した2機の

ミサイル攻撃が命中。

しかし、攻撃を受けた怪獣は両腕を左右に広げると、

体から白煙を吹き出しつつ飛行して逃走していった。

シアン「……。本部、敵怪獣は逃走。施設の損害は

    大規模なれど、エネルギー漏れ等の心配は

    ありません」

奴が逃げていったのを確認し、僕が本部に報告する。

イルマ『こちら本部了解。それと、交戦後で悪いけど、

    みんなはそこに降りて所長の人と話を』

シアン「ここの局長さんと?なぜですか?」

イルマ『先ほど、敵怪獣の攻撃で施設の防衛設備で

    あるDCSが停止したのは見ていたわね?

    どうしてもそれが気になって』

シアン「なるほど。分かりました」

 

その後、僕たちは4機を着陸させ、DCSの

管制室へと足を運んでいた。

今は、僕のPDIを有線でDCSのコントロール

システムに接続。ユナちゃんにシステム内部の精査を

行って貰っている。

ユナ『う~~ん』

シアン「どうユナちゃん。何か分かった?」

ユナ『うん、分かったには分かったよ。システムが

   停止する直前、外部からアクセスした形跡が

   あるね。それもハッキングじゃなくて、正規の

   IDでパスして、システム権限をオーバーライドして

   強制的に止めてるね」

ムナカタ「正規のIDだと?誰だ?」

ユナ『う~ん、分かってるのはアクセスした時間と

   IDの持ち主だけだね。名前は……。

   ドクターエザキ、この人だね』

エザキ博士、か。……あれ!?その名前って確か!

アイナ「ま、待ってユナちゃん!確かエザキ博士って……!」

局長「はい。あの人は現在、ジュピター3号と共に、

   行方不明です」

 

局長さんの言葉に、僕たち全員が絶句する。

 

結局、それくらいしか事実は分からずに僕たちは

ダイブハンガーに帰還した。

 

シアン「行方不明のジュピター3号の搭乗している

    はずのエザキ博士。怪獣の侵攻と同時に、

    博士のIDでハッキングされ停止したDCS。

    ……頭がこんがらがってきました」

アイナ「そうですね。……それに、あの怪獣も現在

    行方をくらませています。飛行能力を持つと

    なると、移動範囲も広いでしょうし……。

    しばらくは、また警戒態勢ですね」

シアン「はい」

そんな話をしながら、僕たちはダイブハンガーに

帰還した。

 

お昼時、僕はヤシロ隊員、ユウヒ隊員と一緒に食堂で

食事をしていた。

しかし………。気になる問題は尽きない。

現在地球には居ないはずの博士のIDを使って

行われたDCSへのアクセス。でも、誰が?あれを

停止して得をしたのは?あの怪獣?

  「あ~も~」

アイナ「オオトリさん、どうかしたんですか?」

シアン「いえ、あの一件が一体どういうわけなのか、

    分からなくて……」

ユウヒ「確かに。分からない事が多すぎますね。

    怪獣の事と言い、DCSのアクセスと言い」

シ・ア・ユ「「「ハァ」」」

そして、その謎を前に僕たちはため息をついた。

 

そんな中、しばらくしてある情報が入ってきた。

 

それは、消息不明の3人が、『家族の前に姿を現した』、

と言う物だった。

 

その日僕たちが司令室に集まっている時。シンジョウ

隊員が入ってきた。

シンジョウ「隊長。宇宙開発局の連中がジュピター3号の

      家族達を嗅ぎ回ってるってのは本当なんですか?!」

入ってくるなり、少し気が立っているようにも見える

シンジョウ隊員。

ムナカタ「おい、何熱くなってんだ。ん?」

シンジョウ「あの怪獣、ジュピター3号と密接な関係が

      あるんじゃないんですか?」

シンジョウ隊員が問いかけるが、イルマ隊長は何も

言わない。

     「隊長!」

イルマ「ジュピター3号の件は、宇宙開発局の管轄

    なのよ」

シンジョウ「なら直に掛け合ってきます……!」

そう言って出て行こうとするシンジョウ隊員。

イルマ「待ちなさい!」

しかし、声を上げてそれを阻止する隊長。

   「彼らには彼らの。我々には我々のやり方が

    あるわ。互いの領分を踏み越える事は

    絶対に出来ないルールなの!」

 

結局、シンジョウ隊員は何も言わずに、悔しそうに

表情を歪めながら司令室を出て行ってしまった。

それを追うように、無言で出て行くダイゴ隊員。

シアン「……シンジョウ隊員、何だかいつにも増して

    気が立っていますね」

ムナカタ「……まぁ、無理も無い」

シアン「ムナカタ副長、それって……?」

出口を見つめ、呟いた僕の言葉に副長が答え、僕は

聞き返した。

ムナカタ「あいつは元アストロノーツ、宇宙飛行士だ。

     仲間を何人も失ったと聞いた事がある。

     今回の件も、それに通ずる物だ。何か、

     思う所があるんだろう」

アイナ「そうだったんですか。……何だか、頭の中が

    こんがらがった毛糸玉みたいです。色んな事が

    あって、怪獣とか、居ないはずの人が現れたり」

ユウヒ「……いつだって、生きると言う事は複雑だと

    思います。仕事や人間関係。いつだって

    物事が上手くいく事なんて事はありません」

二人の会話に、僕を始めみんな黙り込む。

けれど、それでも……。

 

シアン「どれだけ世の中が複雑でも、今この世界で

    戦える力を持っているのは、僕たちだけです。

    だから、僕たちには人々を守れる力が

    ある。違いますか?」

ムナカタ「……そうだな。そこは間違い無い。俺たち

     には、戦う力と義務がある」

アイナ「そうですね。私達は私達に出来る事で、

    人々を守りましょう」

ユウヒ「はい」

 

そうだ。僕たちが戦わなければならない。力無き、

人々を守るために。

 

その後、カシムラ博士が司令室にやってきた。

理由は、あの戦闘によって怪獣の体から剥離した

皮膚片の解析結果を伝える物だった。

カシムラ「現場から発見されたこの怪獣の破片を分析した

     結果、ジュピター3号の外壁の一部が発見されたわ」

イルマ「すると、ジュピター3号のアストロノーツ達は……」

ナハラ「あの怪獣に襲われたか、或いはそれ以前に不慮の事故に

    遭遇したか」

置かれた欠片を前に、ナハラ参謀や隊長が呟く。

シアン「じゃあ、彼らの安否は……」

イルマ「残念だけど、3人の生還は絶望視せざるを得ないわね」

苦々しい表情を浮かべながら呟く隊長。そのことに

みんなが俯き掛けた時。

 

ヤズミ「やった!ついに突き止めたぞ!」

不意に、オペレーター席に座っていたヤズミ隊員が

呟く。

アイナ「ど、どうしたんですか?」

ヤズミ「エザキ博士ほどの人物なら何かメッセージを

    残しているに違いない。そう思って、

    コンピューターをしらみつぶしに当たって

    居たら」

ホリイ「あったんか!?」

ヤズミ「えぇ。エザキ博士の研究室の施設コンピューター

    から見つけました」

イルマ「流石。我がGUTSの頭脳だわ」

シアン「流石ですヤズミ隊員」

ヤズミ「い、いやぁそれほどでも」

こうして、僕達は次へと続く手がかりを見つけた。

 

 

そして、僕たちはモニターに映し出されたエザキ博士の

動画から事の顛末を聞いた。

博士たち3人を乗せたジュピター3号は木星の衛星軌道付近

で謎の光球に襲撃を受けた事。逃げようとするが追いつかれ、

ジュピター3号諸共光球に取り込まれてしまった事。

取り込まれ、変異した3号があの怪獣である事。

怪獣には、感情もなく、ただエネルギーを求めて彷徨う事。

そして奴が次に目を付けたのが、地球だったと言う事。

やがて、画像が乱れていき、そして動画は途切れた。

 

イルマ「何とか、彼らを元に戻す方法はないかしら?」

カシムラ「……」

隊長の言葉に、博士は無言になってしまう。

何も言わない、と言う事は、その方法が思いつかない

と言う事なのかもしれない。そこへ。

ムナカタ「謎はまだある。怪獣の虜であるはずの彼らが、

     なぜ姿を現したかだ」

確かに。

ダイゴ「多分、ピュアな家族や肉親への慕情のような物を

    怪獣が理解出来ずに、彼らの意識が怪獣の能力を

    借りて実体化したんじゃないんですか?」

シアン「……だとしても」

と、僕が呟くとみんなが僕の方を向く。

   「彼らを、助ける事が出来るのでしょうか?

    あの怪獣と融合しているのなら、それを

    引き剥がすにしろ、方法も何も分かっては

    居ないんですよ?」

僕の言葉に、みんな黙り込む。

ナハラ「……この通信は既にTPC本部でも解析中だ。

    間もなくその回答が出る」

と、その時。

   『PLLLL!』

司令室の通信回線がコール音を鳴らし、ムナカタ副長が

出る。

   『PIPIPIPI!』

更に中央テーブルにあった電話回線が鳴り、それを

ナハラ参謀が取る。

 

何だか、嫌な予感がした。そして、それは当たってしまった。

ムナカタ「隊長、怪獣が鶴ヶ崎発電所を狙って現れました!」

伝えられたのは、あの怪獣出現の報だった。

僕たちが驚く中、ナハラ参謀も受話器を置く。

ナハラ「怪獣を倒せと言う命令が正式に下った」

イルマ「……分かりました」

静かに頷く隊長。でも、その判断に納得出来ない人

が居た。

シンジョウ「参謀!我々GUTSは彼らと戦うん

      ですか!?」

ナハラ「我々が戦うのは、地球の平和を脅かす宇宙怪獣だ!」

シンジョウ「しかしっ!!」

 

ユウヒ「シンジョウ隊員、割り切れないのなら、ここに

    残るべきです」

未だに食ってかかろうとするシンジョウ隊員の肩に、

ユウヒ隊員が静かに手を置き呟く。

   「我々が戦わなければ、彼ら3人以上の被害が

    出ます」

シンジョウ「なら博士達は死んでも良いのか!?」

ユウヒ「……そうです」

シンジョウ隊員の言葉に、ユウヒ隊員が静かに頷き、

他のみんなが絶句する。

 

   「私達には、天秤に掛けられた両方を救う力はない。

    大勢の市民か、博士達3人か。

    あの3人の生還の方法を探すために、一般

    市民を危険に晒すのか。それとも、あの3人

    諸共怪獣を倒す覚悟で臨むのか。

    私は、後者を選びます」

シアン「ユウヒ隊員」

彼女の毅然とした態度に、みんな何も言えなくなる。

ムナカタ「ここで語っていても始まらない!

     GUTS出動!」

   「「「「「了解っ!」」」」」

 

副長の言葉で、僕たちは司令室を飛び出した。

1号、2号、MkⅡ、SSがダイブハンガーから

飛び出していく。今回、グロッシーナとの戦いで

損傷した3式機龍はオーバーホール中

で生憎出動不可能だった。

 

ムナカタ『鶴ヶ崎発電所は関東一連の電力の60%を供給

している。もし破壊されたら、都市機能は完全に

麻痺してしまうだろう。

良いか!怪獣を必ず倒すんだ!』   

通信機越しに、副長の命令が聞こえてくる。

 

シアン「……博士達は、助けられないのかな?」

アイナ「……。もし、助けられるのなら、私も

    助けたいです。でも、私達が躊躇って

    いる内に大勢の人々が危険に晒される

    のなら……」

シアン「そうですね。……今戦えるのは、僕たち

    だけなんだ」

今は、悩むのも後悔するのも後だ。今は目の前の

怪獣をどうにかするんだ。

 

   『ピピピッ』

シアン「ッ。レーダーに感あり。……敵怪獣もカメラで

    視認しました」

レーダーが怪獣の姿を捉え、ガンカメラを操作して

怪獣へと目を向ける。

   「発電所までは後10キロ程度。怪獣の

    進行速度を考えれば、5分もあれば発電所に

    到達します」

ムナカタ『よし、発電所を背にして怪獣に攻撃を

     加えるんだ。奴を鶴ヶ崎発電所まで

     行かせるな!』

   「「「「「了解っ!」」」」」

副長の言葉に頷き、僕たちは攻撃を開始する。

 

1号、2号、MkⅡがレーザーによる攻撃を、

更にSSがバルカン砲を掃射しつつ怪獣の脇をすり抜け

上昇する。

シアン「攻撃命中。しかし効果は不明。以前発電所へ

    向けて進行中」

ダイゴ「この~~!」

ガンカメラで怪獣の様子を見ながら報告する僕。

すると背後を取った1号がミサイルを撃ち込む。

それにダメージを受けたのか怪獣の注意が1号に

向く。が……。

シアン「ッ!敵怪獣内部でエネルギー値が上昇!

    1号、避けて下さい!狙われています!」

しかし、僕の言葉が届くのと、敵怪獣が両腕を

合わせた先から水色の雷撃状の光線を放つのは

ほぼどうタイミングだった。

 

   『ビビビビッ!』

   『ボォォォォンッ!』

光線が1号の機関部を掠め、機関部から炎と煙が上がる。

そして怪獣は自分の近くを落ちていく1号に視線を

向けるが……。

ユウヒ「お前の相手は私達だ!」

   『ビシュビシュッ!』

そこへ、直上からレーザーを頭に浴びせるMkⅡ。

それによって怪獣がひるむ中、不時着する1号。

僕は急いで1号へガンカメラをズームさせた。

見ると、ハッチが開いて中からダイゴ隊員と

彼に肩を貸して貰う形でシンジョウ隊員が

現れた。

良かった!

シアン「1号、撃墜されましたが二人は無事です!」

ホリイ「よっしゃぁ、ならこっちに集中出来るって

    もんやぁ!」

 

そして、僕とヤシロ隊員のSS、ユウヒ隊員のMkⅡ、

レナ隊員達の2号が断続的な連係攻撃で何とか

怪獣の動きを止めていた。

シアン「命中!しかし……!ダメです!どの攻撃も

    決定打に掛けています!」

ホリイ「クッソ~~!こうなったら一か八か、

    デキサスビーム砲を~!」

と、その時。

   『デュワ!』

光が瞬き、ウルトラマンティガが現れた。

シアン「あ!ティガです!ウルトラマンティガが

    現れました!」

驚き、叫ぶ僕。そんな中でティガは怪獣と戦い始める。

 

ムナカタ「来てくれたか。よし、俺たちは墜落した

     1号の二人を助けに行く。SSおよびMKⅡは

     ウルトラマンティガを援護!」

レ・ユ・ア「「「了解っ!」」」

副長の命令で2号が少し離れた所に着地。

残った僕たちのSSとMKⅡが周囲を旋回しながら

攻撃を繰り返し、ティガを援護する。

 

   『ン~~!ハァッ!』

そして、ティガがタイプチェンジを行い、赤い姿へと

変わる。

攻撃を受け、ひっくり返った怪獣の背に馬乗りになり

攻撃を加えるティガ。しかし背面のスラスターから

吹き出した白煙がティガを吹き飛ばす。

ティガは更に光線技を放つが……。

 

シアン「くっ!撃破出来なかったか!」

怪獣の強固な鎧は、ガクマを一撃で倒したあの

光線技でも撃破しきれず、逆に怪獣が反撃の

レーザーを撃ちまくる。

それがティガの胸に命中し、のけぞるティガ。

 

そこから次第にティガが押され出した。

  「このままじゃティガが!」

アイナ「こちらSS!ティガを援護します!」

ユウヒ『私もっ!』

怪獣の背面に回り込んだSSとMKⅡがレーザーと

バルカン砲を放つ。しかしそれは怪獣の背中に

着弾し火花を散らしただけで、こちらに注意を

向ける事さえ出来なかった。

シアン「ダメかっ!?」

こちらの攻撃は、一切効かない。しかもティガの胸の

タイマーが鳴り出した。もう時間が無い。

……僕が、内心諦め掛けた時。

ユウヒ『諦めてはダメです!ここで私達が退けば、

    鶴ヶ崎発電所が!』

 

ッ!そうだ。ここで退くわけには行かない!

シアン「もう一度、奴に攻撃を!」

アイナ「ッ!待って下さい!怪獣の様子が!?」

僕が叫ぼうとした時、前に居たヤシロ隊員の声が

聞こえてきた。

慌ててガンカメラを怪獣に向けると、怪獣が

もがき苦しむように震えだした。

シアン「あれは……!?」

 

シンジョウ『あれは、エザキ博士達3人のおかげだ。

      本部から、ジュピター3号内部の

      コンピューターに3人の家族の写真を

      送っている!それが彼らを呼び覚ました

      んだ!』

通信機から、シンジョウ隊員の声が聞こえてくる。

 

あれは、3人のアストロノーツが起こした奇跡、

なのか?

ただ、僕は呆然ともだえ苦しむ怪獣を見ている事しか

出来なかった。

そして、ついに怪獣が動きを止める。

その体から、三つの光球を排出しながら。

 

怪獣の様子を見ていたティガが、体色を変え

トリコロールのバランスタイプになる。

   『デュワッ!』

そして、放たれた白い光線が、怪獣の体に命中し、

怪獣は白煙と共に地に伏し、爆発した。

 

シアン「……勝った」

それを見ていた僕が小さく呟く。

しかし、その内に喜びは沸いてこなかった。

 

ダイゴ隊員達は、怪獣から離れ空へと上っていく

光を見上げていた。でも……。

シアン「僕たちは、あの3人を救えたのでしょうか?」

アイナ「……どうして、そう思うんですか?」

シアン「もし、僕たちにもっと力があるのなら、

    3人を、残された家族に合わせる事だって

    出来たかもしれない」

そうだ。彼らには家族が居た。でも、もう二度と

会う事は出来ないかもしれない。

 

僕たちに、もっと、力があったのなら……。

 

そう思うと、僕はやるせなさからギュッと手を

組み合わせる。

そして……。僕の目から涙が溢れ出す。

僕は、彼らも助けたかった。でも、出来なかった。

ユナ「シアン、泣いてるの?」

俯く僕を見て、ガンカメラのモニターに映った

ユナちゃんの声が聞こえる。

 

シアン「僕は、強くなりたい。もっと、誰かを

    守れるように。こんな事が、二度と

    起こらないように」

僕は、嗚咽を押し殺しながら呟く。

アイナ「……なれますよ。私達は強く。

    今日よりも、ずっとずっと」

 

前のシートに座るヤシロ隊員の優しい声色に

励まされた僕は、ゴシゴシと涙を拭う。

そうだ。僕達が立ち止まってる訳には

行かない……!

 

明日を、そして、人々を守るために!

 

これからも、僕は戦う。一人の犠牲だって、

出しはしないために!

 

     第4話 END

 




投稿が遅いな~。次はもっと早く出来るように
頑張りたいです。
感想や評価、お待ちしています。

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