ああ勇者よ、死んでしまうとは何事ですか。   作:シズりん

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第2章的な感じです。
新天地に出た2人を待ち受けていたものは…


カニ鍋は全てを忘れさせる

「噂には聞いていたけど凄えなぁ。」

 

魔王討伐を誓うこと10日目。私と勇者マコトは『いざないの洞窟』を抜け『たびのとびら』で海を越え、遂にと言うかやっとと言うか新大陸のロマリアへとやって来ました。

 

かつて世界の中心と言われていたアリアハンでしたが、島国ということもあるのか王様がへっぽこなのか、新天地であるロマリアはマコトが言うように凄まじい発展を遂げている。

先程から都市があまりに珍しいのかキョロキョロと辺りを見回す勇者があまりに田舎者にみえる。恥ずかしいから少し離れて一緒だと思われないようにしましょう。

 

「なぁルゥそういえば気になったんだけど、あの爺さんはどこに行ったんだろうな?あの爺さんも生き返ったんだろ?」

爺さんとはレーベの村からついて来たメルビンさんのことでしょう。

「あのねマコちゃん、私だって何でもかんでもは生き返らせたりしないのよ?」

「え、そうなの?」

「あたりまえでしょ。死んだ人を全員生き返らせたりしたら人の世界大混乱よ。マコちゃんは世界を救う勇者だから特別なの。一応言っておくけど今後仲間ができたとして、その人が死んでしまったとしても私は生き返らせるつもりはないわ。」

「ふ〜ん、じゃああの爺さん死んじまったんだ。」

 

貴方は特別♡と言っている私の言葉を喜ぶどころかしれっと流しやがりました。少しは女が喜ぶような反応くらいして欲しいものです。

 

「でもまぁ今回は私にも責任がありますからね。今回に限って生き返らせてあげたわ。でもまた付いてこられても面倒だからその辺の石ころ(ホットストーン)に封じ込めといたんですけどね。」

「おいおい、それって大丈夫なのかよ。」

「大丈夫じゃない?それなりに目立つようにはしてあるからそのうちに誰か拾って封印を解くわよ。」

 

マコトは白い目で私をみていますが、のちに彼はホンダラさんとか言う人が拾うらしいのですが、それはまた別な冒険の書の物語なので適当に流しましょう。

 

 

 

「アリアハンから来られたんですか?珍しいですね。あそこは知らないうちに石の壁ができちゃって行き来が出来なくなってしまったんですよねー。」

私たちはロマリアに着くなり先ずは寝所である宿屋を取りに行きました。カウンターにいる女将さんは簡単にロマリアについて説明をしてくれる。そこで私たちがアリアハンから来たことを告げると驚きの表情で言いました。

「最後に来たアリアハンのお客さんは何年前かしら…確かオルテガって名乗ったと思いますが…。」

 

旅先でお父様の名を聞いて少し涙ぐむマコト。少しは可愛いところがありますね。

 

「本当に驚きましたよー。だってオルテガさん、最初はドザエモンかと思いましたよ。」

「え?ドザエモン?」

「はい、なんでもオルテガさんアリアハンの出方が分からなかったらしく、仕方ないので海を泳いで渡ろうとしたらしいんですけど、鎧を着て泳げるはずもなく溺れたそうですよ?それを沖合に漁に出ていた漁船の網にかかったらしいんですよー。バカですよねー。」

 

お腹を抱えて笑う女将さんはふと気付いたように

 

「あら?そういえばお客さん何処と無くオルテガさんに…」

「気のせいです。」

「え、でも…」

「全くの他人ですから。」

 

さっきまで少し涙ぐんでた勇者は今は冷たい目をしていました。

 

 

 

「泳いで海を渡るとかぁ超ウケるんですけど!!鎧を着て泳ぐなんてバカよね?ぷーくすくすくす!!」

ガンッ!!

「って痛い!何すんのよ!」

 

部屋に着くなり堪えてた笑いを吹き出すとマコトが私の頭をぶちました。別に私が悪いわけじゃないのにです。最近は遠慮なく精霊である私をポンポンぶつ勇者に天罰でも落としてやろうか検討中です。

 

「さて、先ずはどうすっかだな。」

「もう夜中だからお城は入れないし、お買い物するにもお店も閉店しているんじゃない?」

「そうなんだよなぁ、でもこのまま寝ちまうのもなんだかもったいないし…少し町の散策でもするか。」

勇者の提案に私ものり夜のロマリアを散歩することになった。

 

意外にも人がいる。

と言うのが最初の感想でした。アリアハンなら犬さえ夜は寝ているのですが、ロマリアはさすがに子供はいないものの割と普通に大人たちが歩いている。その表情は明るい人や青ざめた顔をした人、本当にさまざまです。

理由はすぐに分かりました。ロマリアにはモンスターの闘技場なるものがあるそうです。ようは一種のカジノがあるわけです。

 

「なあ、ちょっとカジノに行ってみないか?」

「えー私ギャンブルは嫌いなんですけどー。」

「まぁちょっとくらい良いじゃねーか。せっかく異国まで来たんだから異文化に触れるのも大切だろう?」

 

最もらしい言い訳をいうマコトは嫌がる私の手を引きカジノへと向かうのでした。

 

 

 

「夜なのに大盛況だな。」

「ええ、食べたり飲んだりも出来るし、これは想像以上ね。」

「お!始まるようだぜ。スライムとキャタピラーの戦いか。流石にこれはキャタピラーだろ。」

「スライムが勝つわよ。」

「は?なんでだよ、普通にキャタピラーじゃねーの?」

「あのスライムレベルが一桁違うもの。絶対スライムが勝つわ。」

「え?おまえ相手のレベルが分かるの?」

「あのねぇマコちゃん私を何だと思っているの?そのくらい余裕よ。」

 

胸を張る私を華麗にスルーしたマコトは早速スライムへと賭けました。持ち金の一部しか賭けないあたり私を信じていないのかヘタレなのか、器がしれますね。

数分後、私の予想通りスライムが勝利し、マコトは歓喜していました。

 

「なあ、これやばくないか?」

「なにがよ。私はギャンブルは嫌いだと…」

「しっ!」

マコトは私の唇に指をあて言葉を遮る。

「良いのか?金があれば狭いベッドを取り合う様に寝なくても良いんだぜ?ダブル…いや、キングサイズだって夢じゃねー。」

ドヤ顔で声を潜めて言う。そこで二部屋取るって発想が無いのがさすがですね。

「…本当はこう言うの良くないとおもうのよ?」

「分かってるって。」

 

そう言ってマコトは次の予想を私に聞きカウンターへと走っていく。

 

 

 

 

 

そして三日が過ぎた

 

 

「ふはははやったぞルゥ、これで1万Gだ。」

「やったわねマコちゃん。今夜は『ぐんたいがに』の蟹味噌ね〜。」

「おお!さらに今日は高級なお酒も入れちゃおうぜ!今夜は2人でカニパーティだぁ!!」

「良いわねぇ!もうカジノ最高!!」

 

宿屋のスイートルームに泊まり贅沢三昧な生活をする

私たちが目を覚まし、目的を思い出すまでさらに三日かかりました。

 

 

 

 

 

つづく




カニ食べたい…
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