「…だいたい話しの内容はわかりました。」
私たちはノアニールにいた唯一呪いを逃れたお爺さんの情報をもとにエルフの隠れ里へとやって来ました。
私たちはエルフの里に着くと、エルフの女王は人間嫌いという事もありクリフトさんとアリーナちゃんをエルフの里の宿屋に残し勇者と2人で面会することにしました。そしてお使いの小さな女の子に女王の間に通され、マコトがエルフの女王に隠れ里に来た経緯を説明したのです。
「ようするに苦戦しそうな敵と戦う為に魔法使いが欲しいと。」
「そうなのよ〜。だからポワンちゃんノアニールの呪いをちゃちゃーっと解いてちょうだい!」
「お断りします。」
グッ、即断ですか。
「ちょっと!この私が直々にお願いしているのよ?ここは二つ返事で…。」
「なら言わせて頂きますが、貴女はいったい何を遊んでいらっしゃるのですか。そもそも貴女がちゃんとしていれば魔王バラモスごときが世界を恐怖に晒すなんて事は無かったのですよ。それを眺めているだけじゃ我慢できなくなり人間と一緒に行動したがるなんて…いったい何を考えていらっしゃるのですか。」
「ちょっ、ちょっとポワンちゃん?何もそこまで言わなくてもー…」
「いいえ!この際だから言わせて頂きますが、貴女は昔から…」
エルフの女王はこれ見よがしに文句やら昔の事をひたすらまくしたてやがりました。
そして よが あけた
「ちょっと!ちゃんと聞いてますかルビス様!!」
「エルフの女王様…ルゥの奴だいぶ前から寝ていて聞いてないっすよ。」
ちらっと目が合ったマコトが、眠ったふりして女王の口撃をやり過ごそうとする私の意図を汲み取りフォローを入れて、永遠に続くかのような女王の文句を止めてくれました。
さすがはそこそこ付き合いが長くなって来たマコトさんですね。
将来有望な私の従者になる事でしょう。
そんな私の勇者(じゅうしゃ)にポワンちゃんは話を続けた。
「あなたは勇者…名前はマコトと言いましたか。ルビス様との旅はどうですか?」
「どうもなにもないっすよー。そこそこもう長い付き合いになるんですけどね、どうも最近こいつは全く使えないんじゃないかって思い始めてまして…。」
イラっ
私が寝ているフリをやめられないと思ってか言うじゃありませんか。
「ルゥのミスのせいで何回も死んでるんすよオレ。」
「あらあら。」
クスクスと笑うポワンちゃん。あなた確か人間嫌いでしょうが、何を楽しそうに談笑してんのよ。早くノアニールの呪いを解きなさいって言うの。
「まぁこの方は案外適当なとこありますからね…さてマコトよ、ノアニールの件ですが、応えは申し訳ありませんがNOです。かの村の男性に私の長女のアンを攫われたばかりか、エルフの財宝『夢みるルビー』まで奪われたのです。娘とルビーを返してもらわない限り呪いを解くことはできません。」
相変わらずこの子は頑固です。2人は愛し合っていたというのだから攫われたのではなく駆け落ちでしょどうせ。
そっとしておいてあげれば良いんですよ。
「しかし直接関係ない勇者に娘を連れもどせって言うのも何ですから私どもエルフから1人お貸しいたします。それで何とか娘を連れ戻してもらえませんか?」
「はぁまあ良いっすけど。」
「ベラ!」
エルフの女王が名前を呼ぶと先程の小さな女の子がやってきた。
「ポワン様、何かごようですか。」
「ベラ、次女のヤクルを呼んでください。」
「ポワン様、ヤクル様は世界樹の護り手として出払っていますが。」
「あら…じゃあ孫のヒメアちゃんは…」
「ヒメア様も次の世界樹の護り手として育てるとヤクル様が連れて行きました。」
「誰もいないのねぇ、困ったわ。」
「あのポワン様、よろしければ私が行きたいのですが…」
「ベラちゃんが?う〜ん…あなたはまだ早い気がするのだけど。まだメラしか使えないでしょう?」
しばらくベラと名乗った少女がポワンちゃんに頼み込んで付いてきてくれる事になりました。
そこで眉目秀麗でかつ美しい私は良い事を思い付きました。別にノアニールの呪いを解かなくてもベラちゃんが来てくれるならそれで良いのではないでしょうか。まだメラしか使えないとは言っていましたが、私たちが欲しいのは覆面パンツを倒すために『どくばり』を装備できる魔法使いです。要は人間でなくても装備できさえすれば良いのですから。背後からプスーっとやってくれればいいのですから。
さすが私です。とても冴えてます。
「さて、そこで寝ているフリしているルビス様。そう言う訳ですからちゃんとベラの面倒を頼みますよ?」
ギクッ
「ああそれと、このまま逃げ出したらエルフの里の結界を壊した事を含めて多額の請求をしますからよろしく。」
ヒッ、そ、そんなぁ…
「え?こいつ何かしでかしたんですか?」
「…それは後ほど本人から聞いてください。」
こうして私たちはアンと『夢みるルビー』を探すことをエルフの女王(ポワンちゃん)から依頼されました。
その後私たちは一旦エルフの里の宿屋に行きクリフトさんとアリーナちゃんに合流しました。
「何で私たちがこんな面倒くさいことしなきゃなんないのよ!」
「そりゃおまえがエルフの里の結界を壊したからだろ?って言うかおまえ何をした。」
「え?ルビア殿結界を壊したのですか?」
勇者と一緒に私を見るクリフトさんとアリーナちゃんの目が微妙に冷たいものなんですけど。
「あの…あのままだとその…」
「んー?」
か、顔が近い近いです。
「ぐるぐる森の中を彷徨うことになって面倒くさいじゃないですかぁ…」
「それで?」
「そんな遠回りするの嫌だし…疲れるじゃないですかぁ…。」
「ああ、それで?」
「だから結界を根本から完全に解除しちゃえば今後も楽かなーって…その…やりまし…た。」
「このバカがー!!結界ってあれだろ、そうとうの時間や魔力を擁して長年かけて築く守りの要だろうが!何おまえぶっ壊してんだよ!」
「だ、だってクリフトさん達も言ってたじゃない。エルフの里にはロマリア国には無いような凄い武器がたくさん売っているって。だからロマリアに戻って預かり所でお金を下ろしたらまた来ようと思ったのよ!」
「だったら1部分だけ穴を開けとけば良いじゃねーか!」
「だって、なんかあの頑丈な結界を見ていたら私への挑戦にみえたんだもの!」
「このバカ!」
ガツン!
またマコトは私の頭をぶちました。
「いいかルゥ、普通によろず屋であんな値段設定するようなエルフだ。どんな請求されるかわかったもんじゃ無い」
「…」
確かにポワンちゃんは世間ズレしているから相場を分かっていないような気がします。
「エルフの女王様の娘アンと『夢みるルビー』は取り戻す。いいな?」
「…はい。」
こうして私達はただ覆面パンツを倒すための仲間探しから大きく逸れて多額の負債回避の為に行方不明の娘とエルフの財宝を探すことになりました。
正直、愛し合う2人が逃げたのですからロクなことにならない気しかしますが…。
続く
確かに結界を壊したのは悪いと思いますが女王がなんであんな狭い隠れ里にいるんですか。納得いきません。
私の逃げ足をみせてあげるわ!