ああ勇者よ、死んでしまうとは何事ですか。   作:シズりん

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ムオルの村

「ここはムオルの村…ってポカパマズさんじゃないか!久しぶりに帰ってきたんだね。」

 

ジパングを出た私たちは最果ての村であるムオルにやってきました。

海以外何も無いような最果ての村につくと入口にたつ村人が勇者を見るなり肩を叩き再会を喜んでいます。

 

「何マコちゃんこの村に来たことあるの?」

「ねぇよ!第一誰だよポカパマズって」

 

私の質問に答える勇者を見て「え ちがう?でもにてるなぁ」とばかりに首を傾げる村人をよそに私たちは宿屋へと歩をすすめます。なにせ数ヶ月もジパングで床に敷いた布団で寝ていた為か、身体のあちこちが硬い。高級出なくても良い、ベッドが恋しいからです。

 

「俺はお前らと鍛え方が違うから平気だけどな。」

 

どこでもグースカ寝こけるエスターク(ボッチ)が何か言ってますが私たちは取り合わない。先ずは身体を癒すのが先です。

私たちは宿屋に入ると先ずはこの先どうするかを話し合います。

 

「2人とも、俺たちには絶対的に足りないものがある。」

「なによマコちゃん、足りないのは知能?」

ガン!!

この勇者(ポンコツ)容赦なくぶちましたね。大精霊たる私のあたまを

 

「俺たちに足りないのは戦力だ!」

「あ?戦力なら俺がいる時点で十分だろ」

「うるせえ、エスタークお前は直ぐに寝ちゃうし役に立たないじゃねーか。」

 

激しく同意します。

このエスターク(害虫)はどんな局面であっても100%の確率でラリホーにかかるのですから戦力としては全くの役立たずだと常日頃から私も思っていました。さすがは勇者ですね。大精霊たる私と同じことを考えているとは。

 

「寝こけた戦士と何の役にも立たない僧侶とのパーティじゃこの先進めないじゃねーか。」

「ちょっと待ちなさいよ!何でそこに私も入ってるのよ!」

「お前もだよ!敵が強いとすぐに逃げ腰になるし全く役に立たないじゃねーか。」

 

何とも失礼な勇者ですね。

そう言えばさいきんは『境界』でお説教もしてないし調子に乗っているのかもしれませんね。私はそっとモーニングスターを握りしめたときでした。

 

「ポカパマズさん帰って来たんだって?」

1人の男の子が私たちの部屋に飛び込んできました。

 

「え?ポカパマズさんじゃない?うーん…似てるんだけどなぁ」

ポポタくんと名乗った男の子はお爺さんを連れてやってきて勇者を見るなり飛びついてきたが、勇者がポカパマズではないと言うとあからさまにテンションを下げました。

 

「これポポタや、このポカパマズさんもどきに失礼だから外でみずてっぽうであそんでなさい。」

そう言うが先か動くのが先かポポタくんは外に駆けて行く。

ですがポカパマズもどきと呼ばれた勇者は何とも言えない表情をしているものですから私の溜飲は下がりました。

よくやりましたね。彼にはとても素敵な未来を『冒険の書』に記してあげましょう。

 

「ところで貴方たちはアリアハンのお方では?」

「へぇこんな最果ての村でよくアリアハンを知ってるっすね。俺とルゥはアリアハン出身です。」

「俺はこの世界とは別の魔界から…「あーお爺さん、この厨二全開の話しは無視していいわよ。」」

「ぐぬぬぬ」

 

「愉快なお方たちじゃな。ポカパマズさんもアリアハン出身と言ってらしたな。確かアリアハンでの名はオルテガと…」

「え?」

最果ての村で思わぬ名前が出た事で勇者は若干涙目になっています。小生意気なマコトもさすがに父の名を聞いては感情も豊かになるのでしょう。私はそっと彼の背中を撫でた。

「そうじゃ!もしかして貴方はマコトと言う名前じゃないですか?もしそうならポカパマズさんから預かっているものがあるんです。いつか自分の息子が旅に出る。その時にムオルに寄ったなら渡して欲しいと…そう言ってワシに預けて言ったのじゃ。もし貴方がポカパマズさんの息子ならこれを…」

 

そう言って宝箱を手渡した。

勇者は涙目のまま感慨深そうに宝箱を受け取ると大事そうに開けました。

 

…臭っ!つい私は顔を背けてしまいました。

「くっせー!!なんだこりゃ!」

勇者は宝箱を投げ捨てた。

「それをすてるなんてとんでもない」

棒読みのようなセリフを吐いたお爺さんは拾い上げると勇者に再度宝箱を渡して…押し付けてきました。

やめてください。せっかくジパングのお香でおかしくなった嗅覚が戻ったと言うのにまた変になりそうです。

勇者は無理矢理押し付けられた宝箱の中身を出した。

 

勇者は『オルテガの兜(パンツ付き)』を手に入れた。

 

「どうすりゃ良いんだよルゥ」

「ちょっと近寄らないでよ汚いわね。」

「そ、そんな事言わないで助けてくれよルビア」

「い、嫌よ、覆面パンツなんてマコトかボッチくらいしか着れない装備なんだし2人が何とかしなさいよ。」

「やめろポンコツ女神!俺を巻き込むんじゃねー!」

 

その後もギャーギャーと私たちの悲鳴がムオルの村に響き渡るのでした。

 

 

そしてよがあけた

 

 

「よし、行くか。」

勇者が眠いまなこを擦りながら次なる目的地に歩をすすめる掛け声をかけた。

「おいマコト、ホントに良かったのか?一応アレはお前の親父さんの形見だったんだろ?しかもお前の事を思って遺した。」

「やめなさいよボッチ。あの装備を着たマコちゃんを先頭に他の街に入ってごらんなさい。速攻で牢屋行きよ私たちは。」

「…それもそうだな。」

 

言ってそのシーンを思い浮かべて身震いする私たちは次なる地を目指す。

戦力が著しく低い私たちはダーマを目指す事にしました。

村人たちの噂を聞くとなんでも3年前くらいに最年少で『賢者』が誕生したそうです。現在では16才と言うその賢者が何処にいるかは分かりません。しかし先ずは情報が必要なため私たちはダーマを目指す事にしたのです。

 

さぁ太陽がまもなく昇ります。

夜明けとともに出発です。

 

ポカパマズもといオルテガさんに縁のあるムオルの村人に黙って出て行こうとする勇者は、きっとポポタくん達に寂しさをあたえないためなのでしょう。

 

私たちは村を出て小高い丘から振り返ると村人達が歓声を上げながら走ってくる。

「こらー!!ちゃんとこの装備を持って行かんかー!!産廃はお断りじゃ!」

 

「げ!せっかく教会の裏の広場に埋めたのにバレた!逃げるぞ2人とも!」

 

 

私たちは振り返ることも無く全速力で逃げるのでした。

次なる地ダーマを目指して

 

 

 

つづく

 

 

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