「ようこそ旅のおかた、ここはランシール。ガイア信仰の総本山ですわ。」
街に入ると入口にいた女性が話しかけてきました。
比較的に綺麗な街並みと活気に満ちた店々がこの街の成熟さを教えてくれる。
そして何よりも嫌でも目に付く街の北にある大聖堂。
私をさしおいて信仰を集めるガイアとか呼ばれる大地の大精霊を名乗るパチモンの総本山だそうです。
そう言われて周りを見ればなるほど確かに神官の姿をよくみかけます。
「ずいぶんと賑やかな街だな。大地の大精霊だっけ?ルゥお前の親戚かなんかか?」
「大地の大精霊?知らないわよそんなパチモンの精霊なんて。」
「どちらかと言うとお前の方がパチモンっぽいけどな。」
「何ですって!」
私がマコトの首を絞めて揺らすと慌ててエスタークが抑えにくるのでした。
そんなやり取りをしながら歩いていると大きな神殿の前に着きました。
アリアハンのお城程ではないにしてもこれはお城と言っても過言ではない。それ程大きな神殿です。
私たちは勇者一行と言う事もあり、神殿のお偉い神官たちに奥に連れて行かれました。なんでも大神官サマとやらにお会いいただきたいとのことです。
会ってほしいなら自分から出向けば良いのにと思わないではありませんが、豪華な食事も用意してございますの一言に私たち3人は仕方なく折れてあげました。
本当に仕方なくです。大神官の顔をたててあげるためです。決して豪華な食事に釣られたわけではありません。
「ようこそおいで下さいました勇者様がた。私ども一同歓迎いたしますぞ。」
手を揉み揉みしながら顔色が悪い…いや、どうみてもウジ虫(魔族)の様相の大神官が私達を出迎えました。
鼻が曲がりそうな程の悪臭、そして半魚人みたいな頭。
この街の住民達は何をしているのかしらと私が武器を構えようとすると勇者とボッチが私を羽交締めにしてとめる
「何すんのよ!放しなさいよ!」
「ままま待てルゥお前振りかぶった武器で何する気だよ」
「街の中に魔物がいるのよ、成敗するに決まってるでしょうが!」
「お前な見た目だけで皆んな魔族と決めつけるなよ。マコトの親父だってアレだったんだろ?」
「おいエスターク、親父(オルテガ)の話はやめろ」
私達3人が揉みくちゃになって騒いでいると大神官サマとやらは笑いながら歩み寄ってきます。魔族の悪臭が強くなるコイツは絶対に魔族だと私は思う。
「ハッハッハ、勇者パーティは意外と愉快なパーティですな。改めまして私は大神官を務めさせていただいてますハーゴンと申します。ようこそ大地の大精霊の総本山へ。」
ハーゴンと名乗る半魚人は丁寧な挨拶をする。
マコトはと言えば勇者だと言うのに明らかに目の前の男が人間じゃないのにも関わらず気付いた様子もない。
「ボッチ、あんたも何か言ってやりなさいよ。同じ穴の虫ケラ(魔族)でしょう?」
「俺はボッチじゃないと何度も…それに俺は小物なんぞしらん。」
「ん?おぉ貴方サマはまさかエスターク様でございますか?」
「ん?何だお前は俺を知っているのか?」
「えぇえぇ知ってございますとも。私どもの故郷では有名ですから」
「ハーゴンと言ったか?お前見どころあるじゃないか。」
途端に機嫌が良くなるボッチ
分かり易いゴマスリに簡単に乗るんじゃないわよ。
「コホン、それで勇者様一行は何をしにランシールへ来られたのですか?」
「俺たちはランシールにあるとされるオーブを探しに来たんですよ。大神官サマらオーブが何処にあるかしりませんか?」
「オーブですか…それなら『ちきゅうのへそ』に隠してありますよ。」
「『ちきゅうのへそ』って何すか?」
「それはですね私どもが祀る大精霊の試練ですな。高難易度のダンジョンのことですな。我々はこのダンジョン攻略する事で自身の信仰心を示すのです。」
「ハーゴンとやら。それは俺たちが攻略しても良いダンジョンなのか?」
「もちろんですエスターク様。どなたでも挑戦してもらえます。ただし!攻略はお一人での探索となります。」
ただしを強調するように話した半魚人は満足そうに笑う
その顔ときたら何とも形容し難い醜い笑顔です。魔族はそうじて気持ち悪い。
「どうする?大神官のヤツ1人で行けとか言ってやがるぞ。」
作戦会議とばかりに私たち3人は少し離れたところで円を作って小声で話し込む。
「私は無理よ?ダンジョンを1人で攻略とか。」
「俺が行ってやろうか?元々ソロで世界を渡り歩いていたんだ。ソロでの攻略も一度二度では無いぜ。」
「いやエスターク、お前には決定的に弱点があるからダメだ。」
「俺に弱点?」
「お前ラリホーの耐性全くないじゃねぇか。ラリホーを使う敵がいたらどうすんだよ。死なないまでも苦戦すんだろ。」
「むぅ…」
むぅとか悩んでいるフリしているエスターク(ボッチ)がダメダメなのは否定しませんが、かと言ってマコトも怪しい。つまり私たちには打つ手がありません。
やはり噂の賢者を探すことは私たちにとって急務のようです。
結局私たちは半魚人(大神官)にまた来ると言いその場をさるのでした。
「おいいきなり行き詰まったぞ。」
宿屋に入るなりマコトがボソリと言う。
「だから俺が1人で行くと何度も言っているじゃないか。」
「却下だ。無駄に死んで懐が寒くなるのがオチだ。」
「じゃあどうするのよ。私なんてとてもじゃないけど無理よ?」
「ルゥ、お前には最初から期待してない。」
「何ですって!!」
「お、おい止めろアバズレ!マコトの頭から血が出てるじゃないか。」
私の高速の高速のモーニングスターの鉄球が勇者の頭に入ると幾分かスッキリしました。
仕方なく私たちはとりあえず他から行くかとランシールの街を散策だけ帰ろうとしましたが、そこでなんと私たちは神具にも匹敵するようなどうぐに出会いました。
『きえさりそう』
道具屋の店主によれば、なんでも短時間ではありますが私たちの姿を見えなくすると言うじゃありませんか。これならあの半魚人に見つからずに『ちきゅうのへそ』にも行けますし、あわよくばバラモスにも使えるのでは?
私は勇者の方を見ると勇者も親指を立てていた。
さすがですねマコト、やはり私と勇者は同意見なようです。
横で欠伸しながら店主の話しを聞いているエスターク(ボッチ)とはわけが違う。
私たちは大量にきえさりそうを購入するのでした。
※※※※
「2人ともいくら姿が消えているからって音は出すなよ?バレたら面倒なんだからな」
先頭を行くマコトが小声で話しかける。私たちは黙って頷くと親指を立ててみせる。私たち勇者パーティはガイアだが何だか知りませんが大精霊を名乗るパチモンの試練のダンジョンとやらに入りました。ダンジョンの通路は思ったより広く明るい。ですがそれは裏を返せば大型のモンスターもいる可能性があると言うことです。そんなダンジョンに試練だとか信仰心を試すとか言い1人での探索を求めるのだからきっと碌なものではないのでしょう。
案の定、しばらく探索しているとスカイドラゴンが宙を舞っています。
私たちは壁にへばり付き音を立てずにカサカサとやり過ごす。以前のボッチ(エスターク)なら情け無いとか言って背負った2振りの剣を抜きそうなものですが、最近は一緒になって壁にへばり付いているのだから勇者パーティに相応わしくなってきたのかもしれません。
そんな調子で最奥の部屋まで辿り着くと、広い部屋に出ました。
そこはそれまでとは違って広い空間に台座が置かれた部屋でした。
台座の上には如何にも禍々しい偶像が置かれていました。いかにも祭壇なその前には跪く神官が数名。その先頭には大神官(半魚人)がいるではありませんか。
「ほら見なさいよ!やっぱりガイア信仰だかなんだか知らないけど、あんなのを祀っている時点で碌な信仰じゃなモガモガ…」
「おいルゥ!声を落とせって。バレちまうじゃないか。」
私の口を手で塞ぐ勇者が慌てて言う。
「確かに…アレは神や精霊の類ではないな。あれは邪神だな。」
「邪神?なんだエスタークお前の仲間か?」
「あんなのと一緒にするな。アレ等は悪霊の神々だ。おおかたガイア信仰とやらを隠みのにして邪神の降臨でもしようとしてるんじゃねーか?まぁ既に失敗は確定してるけどな。」
「え?何で失敗って分かるんだよ。」
「あの祭壇の姿に見覚えないか?ポルトガの森で出会したあの破壊神だぞ。」
言われ見れば確かに見覚えのあるシルエットでした。
「あの破壊神を呼び出すにはな3柱の悪霊の神々を生贄にする必要があるんだ。人間の生贄や信仰心如きじゃそうそう呼び出せないさ。それにハーゴンは知らないみたいだけどシドーはもうこの世界に顕界している。あんな小物の祈りなんざ届かないだろうよ。」
「あー…要するに無駄な努力だと言うのか。どうする?別に信者が増えるだけだし見なかったことにして先に進むか?」
「ちょっとマコちゃん、さすがに生贄とかいる以上見過ごせないんですけど。」
「おぉルゥが女神っぽい事言っているぞ」
「俺もこのポンコツが初めて女神とか言うものにみえたぜ。」
こいつ等本当に毎回毎回言いたい放題じゃないですか。そろそろ本物の神罰を見せてやろう。あの怪しげな神官どもに見つかるのなんて知った事ではありません。
私は装備したモーニングスターを振りかぶったその瞬間でした。
「何ものだ!そこに隠れている者ども出て来い!」
大神官(半魚人)の怒号が響いた。
どうやら私たちは見つかってしまったようです。
まぁどのみちこんな怪しげな儀式をしている以上見過ごす事はできません。
私たちは『きえさりそう』の効果を打ち消して神官(ゴミ)どもの前に姿を現すのでした。
「まさか勇者ともあろう者が盗み見なんて姑息な真似するとは思いませんでしたよ。」
大神官(半魚人)は嫌な笑みを浮かべて話します。
「ガイア信仰とか適当な大精霊の名前出して信者や生贄を集めている魔族に言われても何とも思わないけどな。」
そもそも正々堂々なんてまるで興味のない勇者はどこ吹く風の如く気にも留めていない。
うんさすがですね。
「ハーゴン。お前間違っているぞ?破壊神を召喚するには3柱の悪霊の神々と魔力の高い生贄が必要なんだ。今のやり方じゃ精々悪霊の神々の1柱がいいところだろうよ。」
「エスターク様ともあろうお方がまさか人間の味方するなんて思いませんでしたよ。地獄の帝王も地に堕ちましたね。纏めて邪神の生贄にして差し上げますよ!」
そう言って神官達は襲いかかってくるのでした。
数分後
私たちはハーゴンを始め神官どもを片付けました。
はっきり言って相手にもなりません。
言ってもハーゴン以外は普通の人間、私たち勇者パーティに勝てるわけもなく瞬殺です。
歯軋りしながら悔しがる半魚人の顔を見る限り負けた理由に気付いていなそうなのが哀れですね。
さて、半魚人をふんじばってオーブや宝物の場所を吐かせようとした瞬間でした。
ハーゴンの鼻血が床に落ちたかと思った瞬間、辺りを景色が真っ赤に染まったような感覚とでも言うか、とにかく物凄く気分の悪いプレッシャーが私たちを包んだ。
さすがに鈍感勇者のマコトも息を飲んだ。
私たちはそれに覚えがありました。
そうです、あのポルトガで出会ったあの破壊神のときに近い感覚でした。
そしてソレは突如姿を現した。
黄色の身体は分厚い筋肉がビッシリと埋め尽くしている。
何もかもを見通すような大きな目をひとつもち、身体は優に10メートルは越えるだろう。大の男より大きな棍棒はその巨体を際立たせる。
「ア、アトラスか」
エスターク(ボッチ)もさすがに息を呑んだ。
今、私達の目の前に突如巨大な邪神が現れたのでした。
つづく
初めてドラクエ3を最近遊んでます。恥ずかしくなるほど全然違くて…なんかドラクエ3好きの方すみませんしか言えないです