境界線上のホライゾン 理不尽壊しのリインカーネイション 作:橆諳髃
……(汗ダラダラ)
「大体遅れた理由は見当がついている。素直に言ってみろ」
ご……
「ご?」
「ごめんなさい‼︎ まさかF◯Oがあんなにイベントを連発するなんて思ってなかったんです‼︎ それに今年に入ってアプリ化したオ◯マスもまさかあんなに面白くてイベントが行われるなんて思ってなかったんです‼︎ そんな中でちまちま書いていました……
「そうか……まぁともかく仕方がない。取り敢えず読者の皆様には申し訳ない」
本当に申し訳ありません。それでは……物語を読んでいってほしいと思います。では、どうぞ。
side ヨシナオ
(先程の衝撃は何だったのであるか⁉︎)
そう思うヨシナオではあるが、何故その衝撃が起こったかについては分かってもいたし理解もしていた。ただ……あまりにも一瞬でヨシナオの頭の中に様々な情報が入ってきたことから混乱していたのだ。
(ま、愛護くんが白騎士で……そして白騎士が所属しているアンフェア・ブレーカーはK.P.Aイタリアに宣戦布告して……それで愛護くんはそれ相応の力を所有しており……ど、どうすれば良いのであるか⁉︎)
これは、武蔵を預かる形のヨシナオにとっては大きな問題であった。
本来武蔵はどんな形であれ武装の所持は禁止されており、それでも持っているとするならば武蔵の中でもとてつもなく重要な役職を持っている者か、騎士家系でしか許されない。
今回の場合、武器ではないのだが……それでも全国の教導院で登録されている武器以上である事は確かだ。
もっとも、颯也としては武蔵が自分の攻撃によって傷付くことが嫌なので、被害が及びそうな場所については防護魔法などを施すのと、最低限の威力にとどめてはいた。いたのだが……それでも衝撃は凄まじかったようだ。
また、颯也が白騎士である事は先ほどの中継で既に知れ渡っているし、昨日の三河消失未遂からして強大な武装を所持している事はヨシナオには理解できたし、これは各国の教導院にも知れ渡った。
今後、各教導院から抗議が送られてくる事だろう。武蔵が強力な武器を所持していたとして……
(しかし……これから武蔵は変わっていくのだろうな)
まだホライゾンを助けるかの相対はどちらに転ぶか分からない。だがもし、ホライゾンを助けるという方向に向かえば、各国は認めないだろうが武蔵が武装を所持する合理性は認められる。
それにヨシナオは最近知った事ではあるが……颯也はファンクラブを有している。それが本人公認かは分からないが、それも武蔵のみならず他教導院にも人気との事で……
(もしかして余が思うよりもそんなに大事にならないのでは?)
そう考えている隣では……
「まさか愛護殿が白騎士殿だったとは……成る程、あの強さも伺えるで御座るな。愛護殿がもし良いと言ってくださるのであれば稽古をつけて頂きたいものに御座る」
ヨシナオの護衛で本田・二代がいたのだが、彼女はそんな事を嬉々として呟いていた。
(だが末世に進む未来をただ平然と過ごしていくよりかは、彼とそれに着いて行く者の道を見て行くのも良いのかもしれぬな。それに……)
「彼ならば武蔵の将軍という立ち位置にも相応しいだろう」
「貴方? なんだか嬉しそうね?」
そう聞いてくるのは、ヨシナオの妻だった。
「ん? あぁ、少し不謹慎だったかな?」
「いえ、状況としてはあの時と同じ様な感じなのに、今の貴方からはあの時の様な表情は伺えなかったものですから」
「あぁ……そうであるな。ただあの時とは違って何だか……少しばかりではあるが希望が見えたと思ったのでな」
(正直子供達にこの世界の行く末を担わせるのは、大人の私からすればなんともいかんせん……)
この世界……武蔵だけ学生間の抗争は学生だけしか参加する事は許されない。それは当然だ……と言われるかもしれないが、他の教導院は普通に学生を卒業している歳の大人達も所属している。だから昔から学生間の抗争で戦っている生徒18歳以上の大人がいるのだ。
これを考えると、武蔵は学生数も少なく学生間抗争を経験した者もほぼ皆無。それだけで不利だ。そして武蔵の教導院に所属する学生以外はこの抗争に参加できない……否、参・加・資・格・が無いのである。だからこそヨシナオは、まだ18になるかならないかの子供に未来を託すという事を申し訳なく思う。
だがそれとは別にこうも思っている。この子達ならば……と。
(武蔵の未来……いや、この世界の未来を頼んでも良いだろうか)
今はそう思う。
side out
side ???
「やはり凄まじい威力ですね……颯也さん自身からすれば1割も満たないでしょうけど」
「そうだな……俺はあの攻撃をたった1回だが、本気で受けた事がある」
「「「えっ?」」」
カタクリの放ったその一言にその場にいた項羽、虞美人、そしてもう1人は驚く。
「あなた……颯也のあの本気を受けてよく死ななかったわね」
「我でも正気を保つ事が出来たのは5割が限界だったが……」
虞美人と項羽は、間近で中継にも映った攻撃を目の当たりにしたからこその正直な感想をカタクリに送った。まぁ項羽に至ってはあの雷撃を受けたのだが……
「でも何故颯也さんがカタクリさんに本気の一撃を?」
もう1人いる彼女は純粋にその疑問を口にする。何せ颯也は早々本気のこもった攻撃を、誰かに負けるという事はあり得ない。それも、何も悪逆非道な事をしていない者に対して……
「……俺のとある能力を限界まで引き伸ばすためだ」
「とある能力……ですか?」
「あぁ。限界値まで鍛え上げた能力を、俺自らがもっと引き伸ばしたいと考えたからだ。元々の最終目標には到達してはいたが、この世界の基準がそれ以上だと仮定し……さらなる鍛錬を颯也に願い出た。それにはあいつも賛同してくれた。だがこれまでの……加減した力では限界など超えないだろうと、俺達は思った。だからこそ颯也の、どこに落ちるかが術者の颯也ですら事細かに分からないあの攻撃を本気で受けた。勿論その能力を使って完璧に避けるつもりでな。だが……俺の能力と颯也の本気では、未だに遥か遠くだった。天と地……その揶揄表現でもしっくりとくるくらい……な」
「ふ〜ん……それで颯也の攻撃を受けたあんたはどうなったの?」
「10日ほど生死の境を彷徨った」
「「「っ⁉︎」」」
カタクリのその言葉に、その場にいた者は衝撃を受ける。
「(元破壊神の)俺だから良かったものの、他の者が受けたならば焼け焦げた炭しか残らないだろう。だが俺も咄嗟に……無意識ではあったのだろうが、防御が間に合っていなければどうなっていたか分からないな」
「あれって普通の防御でなんとかなるものなの⁉︎」
「いや、盾や鎧の類ではまず無理だ。そもそも雷の電動率を高める悪手に過ぎん」
「ならばあれをどうやって防いだと?」
「……企業秘密だ」
「企業秘密? はぁ、つまんないわね。そこまで話を持ち出しておいてそれはないでしょう?」
「虞よ。それは言い過ぎというものだ。何しろ男という生物は、これはいかんともし難い事だが格好を付けたがるものだ。例を表すのであればジ◯ンプの主人公達の様にと言ったところだ」
「そんなものなのですか? そんな考えだからこそ颯也に中途半端に負けたのでは?」
「ぐっ……そこを突かれると痛いところではあるが……」
「小手調べは良いですが程々に……それは自分が圧倒的な強者の位置に立っているからこそなのです。項羽様は確かに強いですが……颯也に対してはその様な小細工などいらないでしょう?」
「そ、それはそうなのだが……」
「分かっているのなら何故実行しないのですか? そもそも……」
と、いつのまにかまた項羽が虞美人に説教をされているという……今回は少し長い様だ。
(何故こうなるのか……我が演算をもってしても分からぬ)
「聞いていますか⁉︎ 項羽様‼︎」
「も、勿論だとも……」
(こいつもこいつで大変なんだな……)
そう思うカタクリさん。だがカタクリさんは知らない……この2人は結局のところ最後にはイチャイチャするという事を……カタクリさんが思うよりもとても仲睦まじい事をまだ、カタクリさんは知らない。
side out
場所は元に戻ってアリアダスト教導院前……白騎士が颯也であると発覚してガリレオが颯也の放った術を受けたところ。
「ぐっ……ぬぅ……」
ガリレオは未だにダメージが抜けきらない。それもそのはずだ。直接雷を受けたのだから。五体満足ではあるものの、正純に殴りかかろうとした腕が丸焦げになっていた。それも纏っていた教導院服は、直撃を受けた腕の方は片口まで無くなり皮膚が露出していた。
そして雷を直接受けた事による痺れは身体全体に広がり、まともに立つ事が出来ず、ただ片膝をつけてしゃがみ込む。息も肩でしていて、もはや意識を保つ事で精一杯だった。
「あれを受けてまだ意識を保っていられる……初めて受けたとしてもそこは賞賛しよう」
それに対して颯也はガリレオを褒める。自分の攻撃を……最低の出力で放ったとはいえまだ意識を失っていない事に。だが、ただそれだけだ。
「それで……だ。当然部下の失敗はその上司がつけを生産するのがこの世界でも当たり前なのかどうかは分からないが、それ相応は受けてもらおうか? なぁ……インノケンティウス?」
『な、なんだとっ⁉︎』
「……いや、そもそもこれはお前自身の判断ミスだな。さっきのは降りかかる火の粉を払ったに過ぎない。だから……今度はお前自身がその身で受けろ」
颯也が指を鳴らした。それで何が起こるのか、正直周りの者は期待したが少し経っても何も起こらない。さっきのはただ格好をつけるために行ったのだろう……そう誰もが思った時だった。
『ぐぅおぁぁっ⁉︎』
突然通神枠に移るインノケンティウスが苦痛に歪めた顔になっていた。
「な、何が起こったと……」
何とか意識を保っているガリレオが疑問の声を上げた。
「なに、それは簡単な事だ。俺があいつに対して攻撃を放ったまで」
「「「っ⁉︎」」」
普通にそういう颯也だが、それは颯也にとってのもの。他の面々は驚愕した。それもそうだ。通神越しで敵に攻撃をするなど誰が思っただろうか? 距離が近ければ直接いけるかもしれないが……現在颯也とインノケンティウスの距離は数kmは普通に離れているはず。そんな中で一体どうやったというのか。
「離れた敵をどうやって攻撃したか……そこを疑問に思っているのだろうが……それも簡単だ。俺はそこにいる教皇(自称)に対して明確に宣戦布告した。ならば……そんな対象をみすみすとそのままにしておくだろうか? いやそのままにはしないさ。宣戦布告したその時から……俺はすでにそこの教皇(自称)に印を付けている。いつでも攻撃を出来るように……な」
『な、何だと……?』
「信じる信じないは勝手だ。まぁこの辺りでデモンストレーションは終わらせておこう。ヨシナオ教頭も来る事だしな」
颯也がそう呟くと、インノケンティウスは自身に加えられていた謎の攻撃が消失した事に驚く。さらにガリレオは自身が受けたダメージが癒えている事に気付く。
『貴様……何のつもりだ⁉︎』
「何のつもりもなにも、さっきのはただのデモンストレーションだと言っただろう? こっちとしては、K.P.Aイタリアからホライゾンを取り返す前に事を大きくしたくないだけさ」
『っ⁉︎ ここまで事を大きくした奴の言う台詞か⁉︎』
「あんたが俺に対して侮辱していたのなら……別に俺は何もしなかったさ。だが……その侮辱の対象が私の友人、そして大切に想う者ならば、俺はそれに対してそれ相応の対処を取るだけだ。だから今回の事は全て……あんたの自業自得だよ」
『ぐぅっ! 減らず口をっ‼︎』
「そこまでにしていただきましょうか聖下!」
『むっ⁉︎ 貴様は……武蔵王か!』
「左様です。武蔵王ヨシナオに御座います」
颯也とインノケンティウスの間に入ってきたのは武蔵王であるヨシナオだった。
『この場に一体何をしに来た?』
「勿論、これ以上のこの場での武蔵とK.P.Aイタリアとの争い事を止めに参った所存であります」
『なに? 止めに来ただと? 学生でもない貴様が生徒間の間に入ると言うのか?』
「確かに私は武蔵の学生ではありません。しかしながら私はここにいる学生達と武蔵の民を預かる立場にある者……なればこそ、この場が本当の意味での学生間抗争でないのならば止めに入るのもまたこの武蔵を預かる私の役目故です」
『ふむ……確かに一理あるな』
「それに、確かにこの場は武蔵が優勢であり、あなた方K.P.Aイタリアにも対抗できるという可能性はあります。しかしあくまでもそれは愛護颯也にだけ言える事。ならば私はこの目をもってしてここにいる学生達が、颯也くん以外にも立ち向かえるのかを見たい。それが決まってからでも先程の決着は遅くはないでしょう」
『……分かった。お前がそこまで言うのなら、私は高みの見物に戻ろう』
「ありがとうございます、聖下」
「はーい、という事で今回のトーリと正純の相対は教皇が途中乱入した事で無効ね。ということで……こちらとしては途中で大事な案件に対して横槍入れられるのは非常に時間の無駄なので、今後は金輪際控えてくれると嬉しいですね。教皇?」
『う、うむ……善処しよう』
オリオトライが相対3回戦を無効試合と宣言する。そしてついでと言わんばかりにインノケンティウスに対してこんな事が無いようにも注意をした。だがその注意には若干トゲが含まれているようにインノケンティウスは感じた。だからこそ今冷や汗をかいているのだろうことが顔に出ていた。
そして最終的にインノケンティウスからの通信は切れた。
「さて……ガリレオも先程の傷は癒えているはずだ」
「た、確かに……」
「ならば早々にこの場から立ち去れ。俺の気分が変わらないうちにな」
「そ、そうさせてもらおう……」
そしてガリレオも立ち去った。
「さて! 邪魔者はいなくなったわね‼︎」
(((この教師邪魔者って堂々と言った⁉︎)))
梅組の全員はそう思った。
「それで3回戦目の相対は無効になったけど、どうしようかしらね?」
「それならばマロに考えがある」
「へぇ〜、マロに何か考えがあるのか⁉︎」
「葵・トーリ! いつも言っているがマロの事をマロと呼んで良いのはマロだけである‼︎ ……話は逸れたが、3回戦目の相対が無効になったのならば4回戦目の相対を設けて決めるというのはどうだろうか?」
「4回戦目ですか……ですが教頭、正純がK.P.Aイタリア側からの最後の代理です。この場に4人目の代理を立てるとなると……」
「オリオトライくんの言う事は至極真っ当であるな。だがそこも心配はいらない。何故なら既にここにいるのであるからな。二代くん、頼めるかな?」
「承り申した。接写只今武蔵王ヨシナオ殿よりK.P.Aイタリアの代理を任され申した。拙者、三河教導院所属及び三河警護隊隊長を務めて御座る。本多・二代に御座る。K.P.Aイタリアと事を交えたいと申すのであれば、先ずは拙者と蜻蛉切を超えて行くで御座る」
「という事だ。二代くんには既にこの様に話はつけてある。そこで条件なのだが、この相対で武蔵側は愛護くんを立たせない事を条件として加えてもらおうか」
「えぇーっ⁉︎ 何でだよマロ⁉︎」
「だからマロの事をマロと言うでない‼︎ ともかくとしてだ、愛護くんは今巷を賑わせているアンフェア・ブレーカーズのリーダーであり、先程も実力をK.P.Aイタリアに見せつけた。(正直愛護くんだけでもホライゾンくんは助けられるだろうが……)そして非公式ではあるが、二代くんを無傷で倒したとも聞いている。だからこそのこの条件だ」
「拙者としては蜻蛉切を父上から授かった今、この蜻蛉切をもってして愛護殿とまたあい交えたいと思って御座ったが……今は私欲は抑えるべきで御座るな。して、拙者の相手は誰で御座るか?」
蜻蛉切を構えながら二代は相対の意を示す。対して梅組は……
「ど、どうしましょうこれ⁉︎」
「う〜ん……僕達に本格的に合流してくれた愛護くんは出せないわけだし……」
「戦闘系が出なければならないのは必須であるな」
「でも戦闘系って言ったって……」
「ここはアタシが出ようかね。速さが売りでも朱雀でズガンと叩けばそれで1発さね」
「いえ、ここは騎士である私が出るべきかと。私の持つ武器でドカンとすれば」
「直政もネイトもいけません! そんな事したら武蔵に被害が及ぶ可能性があります! ここは私が出で一撃の矢でズドンと……」
……とまぁ直政、ネイト、浅間が立候補するがどれもこれも最終的には擬音語が目立つ。これには梅組の全員は引いた。颯也に至っては苦笑いである。そんな中……
「はぁ……どいつもこいつもなっちゃいないわね〜。最後の3人と来たら擬音語で済ませて。見てみなさいな! 颯也も苦笑いしてるわよ‼︎ 中々見る事ない顔でレアで写真に収めたいところだけど‼︎」
「喜美ちゃんそこは大丈夫だよ‼︎ 私が既に写真で撮ってるから‼︎」
「よくやったハイディ! これでまた儲かるな‼︎」
こんな所でも商魂逞しいと言うべきか、商人2人組みがいたと言います……
「まぁそれはそれで安心したわ。後でそれも何枚か買おうかしら。話は戻すけど、どいつもこいつもなっちゃいないからあんた達の代わりにこの賢姉が出るとするわ」
「き、喜美! 本気ですか⁉︎」
「あら、本気もなにも、本気で無ければここにはいないわよ。それに……」
「惚れた男の前で格好を付けたいのは当然のことよ?」
side 成実
「へぇ〜、そうでるのね。少しは見直してあげても良いかしら」
惚れた男の目の前で格好を付ける……えぇ、私も颯也に対してはそう思う。貴方の目の前だからこそ格好を付けたい。頼りになりたい。そう思うところは……悔しいけど通神枠に映るあなたと一緒ね。
成実さんは喜美さんの事を、少しですが認めたようです……
side out
「相対は……お主で宜しいので御座るか? 武器などの類は持っていないように御座るが……」
「んふ! 外面だけで評価するなんて、アンタもなっちゃいないわね。誰もがアンタ達みたいに武器を持ってドンパチするとは思わないことね。ウジィ、出なさい」
ハードポイントと呼ばれる衣服を固定する物で、この世界の人間ならばつけて当然の物である。それが肩腰に着いており、喜美がそう言うと右肩のハードポイントが開いて何か出てきた。
それは、二頭身の女の子だった。髪は君と同じ亜麻色のロング。顔は美人の部類でおっとり顔、眠いのだろうか目は閉じた様に見える。実際にハードポイントから出た時少し頭をうっていた様に見える。着ているものは着物の類で、舞を披露する時に着るような装いだ。そして両手には扇子が握られている。
「私はうずめ系の契約者なのだけど、あなたうずめ系がどの様なものか知ってる?」
「さぁ? 詳しくは知り申さんが、なんでも歌って踊って周りの物を鼓舞するとか」
「そう! その通りよ。そして私の契約しているものはエロとダンスの神様と同じくそれしか術式は無いわ‼︎」
「本当に戦闘系が無いでは御座らぬか……」
「んふ。確かにね。でもそんな私でも、守りたい者のためなら命を張って戦えるのよ。特に好きな人がいる女っていうのはね。あなたには守りたいものはある?」
「……」
「そう、そこで黙ってしまうのね。まぁいいわ。それはそれとして……颯也、少し来てくれるかしら?」
「ん?何ですか喜美さん?」
「ちょっと屈んでくれるかしら? そう、それくらいで良いわ」
そして……
「んっ……」
「っ⁉︎///」
「「「えっ?」」」
「「「あぁぁぁっ⁉︎」」」
「「「……」」」
反応は三者三様と言ったところで……喜美が何をしたかと言うと、それは簡単な話。喜美は颯也の頭を自分の胸の高さにするとそのまま抱き着く。
ここで少し備考を挟みますが……今喜美さんの服装は普段の服装よりもはだけており、胸の上部分は露出していると言います……。なので……颯也さんは直に喜美さんの胸の肌に触れているということで……
「ウジィ〜!」
喜美さんの
「あ、あの……喜美さん?」
「なぁに? 颯也」
「こ、この状況は一体……」
「うふ♡ 私が貴方に抱き着いているの。そして貴方の頭をヨシヨシしているのよ」
確かに抱きつきながら頭をヨシヨシしている喜美。ウジィも颯也の事を、小さい手ではあるがヨシヨシしている。
「いや、その……そう言う事じゃなくて……」
「言いたい事は分かっているわ。それでも私は今こうしたいの。そして……」
「貴方の事が好きだって、大好きだって伝えたいの。貴方の事を異性として」
「っ⁉︎/// お、俺は……」
「良いの。私が今貴方に言いたかっただけだから。私のいつもの様な我儘みたいなものだから」
「は、はい……」
「返事はすぐに出さなくても良いわ。貴方の心の準備は出来ていないと思うし。だからその代わりに、少しの間だけ……このままでいさせて」
「……ハハハ。まいったな。まさかこの場で、こんな形で誰かに告白されるなんて……思ってなかった。でも、今答えは出さなくても……貴女の気持ちだけは受け取っておきます。そして……貴女が良いと言うまで、この体制でいますよ」
そう言いながら颯也は喜美を抱きしめ返した。
「ふふ、ありがとう。颯也、大好きよ♡」
side 成実
「前言撤回……あんな泥棒猫になんかに負けてたまるものですか‼︎」
「な、成実ぃ⁉︎ お、落ち着け⁉︎」
そこには、喜美さんのやった事に怒りと闘争心で燃える成実さんと、それを必死に宥める伊達家総長がいたと言います……
side out
「ねぇ作者さん……私の出番は?」
……(汗ダラダラ)
「ねぇ? 聞いてる?」
は、はい……
「なんだか最近……私以外の女性キャラがこの作品のヒロインと化しているんだけど……何か弁解は?」
申し訳ありません……
「そう、それじゃあお仕置き決定ね」
えっ? あっ! いやその……ご、ごめんなさいぁぁぁいっ‼︎
「ヒゲのパイロットの真似か?」
厳密には、確かに真似たと作者さんは言っていたようです……