境界線上のホライゾン 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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連日投稿ができませんでした……

「でもいつもより早いよな?」

それはそうですよ! 今とても熱が入ってますから!

「という事らしい。さて、物語はどうなってるんだろうな?」


2話 多分先生はヤクザに何かされたんだろう 後編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せ、先生の動きが止まったで御座る……」

 

「今なら攻撃も当てれそうさね!」

 

「今がビッグチャンスだ! だからこっちが売りつける商品も半額にするぞ‼︎」

 

オリオトライが颯也の攻撃(頭を撫でただけなのだが……)で動きが止まった。それを見たオリオトライの生徒、梅組は今が好機とばかりにオリオトライに攻撃を仕掛ける。

 

ミトツダイラは、アデーレがリタイアした時に落とした槍を投擲し、点蔵、ウルキアガ、ノリキも1度目は失敗したがあれは自分達が考えたフォーメーションの1つでしかなく、次のものも試そうと全力で駆ける。

 

商人であるシロジロは、今がオリオトライに攻撃を当てれる絶好のチャンスとふみ、今梅組に提供している商品を半額にした。それを受け、空を飛ぶ魔女のペアは2倍の商品、つまり先程のオリオトライに向けて放っていた攻撃を2倍にして放っていた。

 

「あっ……今は授業中だったわ」

 

だがオリオトライも復帰が早く、すぐさま品川に向けて走り始める。その事で、オリオトライが一時的に停止していた所に放たれた攻撃は、結果的に全て躱された。

 

そして再び攻撃を仕掛けようとした点蔵達との距離も空く。

 

「あ、当たりませんでしたわ……」

 

「少し僕達の見立てが甘すぎたね……」

 

「まぁ私は儲ける事が出来ればそれで構わんがな!」

 

「シロくん腹黒〜」

 

「今度は当たると思ってたんだけどなぁ〜」

 

「でも品川までにはまだ距離があるわ。全速力で行けば後1回くらいチャンスがあるでしょう。マルゴット、行くわよ!」

 

「OK! ガッちゃん‼︎」

 

一部の生徒は当てれなかったことについて悔しがる者もいたが、魔女のペアは再び攻撃を仕掛けるために先回りをした。

 

一方のオリオトライと、その隣を移動する颯也は……

 

「さて、あれも私としては攻撃が当たった事にしてあるから、今日の体育も5点加点ね!」

 

「やっぱり普通に攻撃した方が良いんでしょうか?」

 

「私の体育だったらそこは気にしなくても良いわ。でも他の場合は迷わずいきなさい! 良いわね?」

 

「jud。じゃあ俺は、他の子のサポートに回ります」

 

「jud。お願いね?」

 

そう言って俺は先生から離れて、梅組の文系組と合流した。

 

「お疲れ様颯也くん。にしても今回も先生に攻撃当ててたね」

 

「だが俺は……身内に対しては酷く甘いから、攻撃といってもあの程度しか出来ないけどね……」

 

(((あの程度までに至れる過程が凄いんだよ……)))

 

「だが颯也、今回はペナルティで術式は禁止されていたはずだ。どうやって追いついた?」

 

「それは……ただ走ってだが……」

 

「走ってあのリアルアマゾネスに追いつくなんて、私らから言えば化け物じみてるにも程があるさね」

 

「しょっちゅうそう言われてる気がするから、否定する気は無いけど……でもこれは、俺にとっての大切な人達を守るための力だから、だからどう言われても気にはしないさ」

 

「ふふっ、颯也くんはいつもまっすぐだね〜」

 

「そんな事は……無いと思うよ」

 

「そう? でも貴方のルンは嬉しそうにしてるよ?」

 

「これだけは……どうあっても隠せないから。正直ハイディさんにそう言われて嬉しいよ」

 

「そうなんだぁ〜。ふふっ、じゃあこれからももっと褒めるね?」

 

「お、お手柔らかに……」

 

「今度は照れてる。可愛いね〜♡」

 

これ以上ハイディさんと話していると今度は顔に出そうだから、それは聞こえなかったふりをして文系組の前を走る。そういえば……

 

「鈴さん、気持ち悪くとかなってない?」

 

「ju、jud。だい、じょうぶ。颯也くんの背中、安心、するから」

 

「でもさっきまで結構激しく動いてたよ? それに移動する時も風当たり強かったと思うし……」

 

「それ、もだいじょ、うぶ。全然、ゆれとか感じ、なかったよ。それ、に、走ってる時、も心地いい風が、流れてたから」

 

「jud。それなら良かったよ。じゃあこのまま品川まで行くからね」

 

「ju、jud!」

 

そして俺は安全運転で鈴さんを品川まで送った。その送るまでの道中、マルゴットさんとマルガさんが先生に特大の1発を当てようとするが、逆に地上を移動するネシンバラ達が被害にあいそうになったり、先生が自分よりも大きなコンテナを片手で掴んでマルゴットさん達に投げつけて、その衝撃で壊れたコンテナの破片が直政さんに落ちてきたりと……まぁ上から色々と降ってきてはいた。それでもそれぞれで対処してたから怪我は無かったようだけど。

 

それで最後の1人、御広敷が品川に着いてノックダウンした事で、皆無事に品川まで辿り着いた。

 

(そういえばあの後サポートに回るといっても何もしてなかった様な……)

 

いいえ、颯也さんはしっかりサポートしていました。少し時間を遡ってみましょう……

 

まずネシンバラ達が被害にあいそうになった際、衝撃を文系組の前に出てどこからか取り出したかも分からない大きな盾で相殺、次に直政に降りかかるコンテナの破片も一部空間を殴りつける衝撃で粉砕または逸らしていた。

 

結果……颯也さんはサポートが出来ていました。

 

「はいはい、勝手に着いて倒れ込まない! それで? 生存者は颯也と鈴だけ?」

 

「わ、私は、は、運んでもらっただけで……」

 

「それも十分生き残った事になるわ! 途中リタイアも救護してたみたいだから2年の時より遥かに良いわね! それで加点者は颯也ね。はぁ〜……今回は攻撃を入れられないと思ったんだけど」

 

「んふっ、先生も颯也の事を結果的に甘くみてたわね? ペナルティをかすなら、今度はその倍は必要だと思うわ‼︎」

 

確かに……と心の中でオリオトライが思った瞬間、目の前の事務所から鬼、魔神族が出てきた。体長はゆうに3メートルぐらいあり、腕も4本、筋骨隆々で並の人間がいくらいても勝てないのではと、そう考えさせる存在だ。

 

「朝から騒がしいな! 一体何だテメェらは? うちの前で遠足か⁉︎」

 

「おっ! 丁度良いところでここからは実技よ! 魔神族は体内に流体炉に近い物を持っているおかげで内燃拝気の獲得量がハンパないの。肌も重装甲並みで、筋力も軽量武神と互角に渡り合えるくらいなのよね」

 

「さっきから何をいってやがる⁉︎ 遠足なら他所にいけ‼︎」

 

「いやね〜、遠足で来たわけじゃないのよ? ただ私は夜警団に頼まれててね。それと私的には高尾での地上げ覚えてる?」

 

「はぁ〜? そんなのいつもの事で覚えちゃいねぇなぁ!」

 

「あらそう? それじゃあ今から訳も分からず倒されるのって可哀想よねぇ?」

 

「っ‼︎ テメェ‼︎」

 

魔神はオリオトライにチャージを行った。いきなり目の前に、自分の身長をゆうに超える者が現れるだけでも驚きに値するところを、この魔神はそれだけでなく、はるかに自分よりも小さいオリオトライを吹き飛ばすつもりでチャージをかけて来たのだ。

 

「遅いわね!」

 

だがそれをオリオトライはひらりと余裕ある身のこなしで躱す。

 

「筋力も装甲もハンパない魔神族だけど、普通に弱点はあるの。生物には頭蓋があって、脳があるわ。頭部を揺らせば頭蓋の内側に脳がぶつかり、神経系が麻痺するの。それが脳震盪よ。それで頭蓋を揺らす効果的な方法としては、頭部に密着しているもの、頭部から遠い所を打撃して揺らす事で振動は大きく響くの。人間だと顎の先端だけど、魔神ならここね!」

 

そう言いながらオリオトライは、魔神族に付いている曲がったツノの部分に自分の鞘剣を引っ掛けるようにして打撃した。魔神族にとっては軽い打撃に等しいものだった。ところが魔神族は急に脚がよろけて膝から崩れ落ち、膝立ちの状態になったのだ。

 

「魔神族はこういう状態になると、脳の代わりに身体の各所にある神経塊が働いて回復も早いの! だからその時も焦らずに、さっき打った所の対角線上を打つ!」

 

オリオトライは膝立ち状態の魔神族に対して、先ほど打った左ツノの対角線に位置する顎の右側を鞘剣で打撃、それによって魔神族は白目を向いて仰向けに倒れた。

 

「それで補足だけど、硬く見えるところを打つのがポイントよ! その方が脳に衝撃を与えやすいからね‼︎」

 

「ほう? 内の2番手を倒すとは大した奴だ」

 

その声とともに事務所から先程の魔神よりも筋骨隆々の魔神が出てきた。

 

「あら、あなたがここの親玉?」

 

「確かに、ここ品川のヤクザをまとめてるもんだ。にしてもこれはいかんなぁ。魔神が人に簡単に負けるなど……貴様には悪いが、ここはこの魔神が受けたものよりも痛い目に合わせなければならん」

 

「仕方ないわね〜。なら……颯也、いってくれるかしら?」

 

「jud。先生の指名とあらば……ですがその前に聞いておきたかったのですが、何故先生はここに殴り込みを?」

 

「それはね〜……先生が住んでいた高尾の一等地が品川のヤクザによって地上げを食らったからだよぉ〜」

 

颯也の疑問にハイディが笑顔を浮かべながら簡潔に答えた。それに対し颯也は……

 

「それはいつだ?」

 

颯也の雰囲気が変わった。先程までは普通に笑顔を浮かべていたはずなのに、いざオリオトライがヤクザに殴り込んだ理由を聞くと、笑みは笑みだが、先程まで浮かべていた気分の良いものではなく、背後から怒りのオーラが出ているのではと錯覚させるような笑みとなっていた。それを見た梅組の生徒は一瞬ビクつく。

 

「た、確か……1週間前だったかな?」

 

「jud。ありがとうハイディさん」

 

「ううん。これくらい安い物だよ! それに……貴方のその笑みも見ていてゾクゾクするし儲けものだよ?

 

後半部分を颯也に聞こえないように呟きながら、すかさず今浮かべている颯也の笑みを写真に撮った。

 

「というわけで……だ。あんたが先生の相手をする前に俺が相手をしよう」

 

「ほぅ……ワシのこの威圧に対して物怖じせず対面するとは……気に入った!そこの女の前にお前を潰してやろう!」

 

そう言いながら魔神は颯也にチャージを喰らわそうと突進した。その勢いは先程の魔神族の並みではない。それに対して颯也はただ魔神族に合わせて両手を前に構えるだけ、正面からの衝撃に備えるようにしたのだ。

 

「い、いけません颯也くん! いくら先生に攻撃を当てれるからって魔神族相手じゃ……」

 

「まぁまぁ浅間、黙って見ていなさいな」

 

「喜美⁉︎ ですが!」

 

「あの程度に颯也が負けると思ってる? それだったら浅間は、颯也の事を信じていないって事かしら?」

 

「そ、そんな事‼︎ あるわけないじゃないですか!」

 

「そう思ってるなら見てなさいよ。自分が惚れてる男の勇姿をね?」

 

喜美にそう言われて、浅間は心の中で願った。颯也が怪我をしないようにと……

 

そんな心情を知らない颯也は、いよいよ魔神とぶつかった。ぶつかり合った事で生じた風が、梅組に届く。それも尋常ではない圧……ほとんどの梅組生徒が目を瞑るか顔を隠すかで風からの衝撃に耐える。そして風がやんだと同時に皆は颯也と魔神の方に目を向けた。

 

「「「えっ?」」」

 

皆が目にした物は……それが夢幻に見えた。その状況は……颯也は倒れてはいなかった。それどころか魔神のチャージを真正面から普通に受け止めていた。颯也の足元を見れば、床に一部はまった形跡すらなく、摩擦熱によって生じた焦げ跡もない。颯也の立つ床の上は綺麗そのままだった。

 

「な、なんでビクともしねぇ?」

 

これにも魔神族は驚愕していた。自分の目論見では、目の前に立つ男が簡単に吹き飛ばされて、次には男の後ろに立つ女の相手をしているはずだった。だが結果はどうだ? 男は倒れておらず、それどころか自分のチャージで後ろにも引いてはいない。

 

「この程度か……」

 

颯也はそう言いながら、なんと魔神を押し始めたのだ。慌てて足に力を入れる魔神……だがそれも意味は為さず床を滑っていた。

 

「き、貴様は何モンだ⁉︎」

 

ここで初めて魔神は目の前の男に恐怖した。そしていつのまにかその叫び声を上げていた。

 

「そういえばまだ名乗ってはいなかったな……」

 

颯也は涼しげな顔をしながら言った。

 

「武蔵アリアダスト教導院所属、特務師団長の愛護颯也だ。まぁ別に覚えていなくても構わないが?」

 

ま、愛護颯也だと⁉︎

 

その名前には……この魔神族も知っていたようだった。その証拠に先程から冷や汗が止まらず滝のように流れていた。

 

「それで? 先生が住んでいたところを地上げしたんだろう? その理由はなんだ?」

 

「そ、それは……」

 

「なんだ? やったのに答えられないのか?」

 

颯也の質問に対し、魔神族は答えられなかった。これには颯也も呆れ果て……

 

「そうか……ならばその罪を自分の体で受けるんだな」

 

颯也は魔神族の手を上に振り払った。そうする事で魔神族は万歳の体制となり、胴がガラ空きの状態となる。そこに颯也は少し腰を落として打撃を打つ姿勢となり、右腕を引きしぼった。そして足、腰、そして最後に右腕の順で力を伝播させて魔神族の腹に一撃を加えた。

 

スパンッ‼︎

 

その音は、日常生活を送る中でも中々聞くことができない音だった。魔神族は一瞬中に浮き、足から落ちてうつ伏せに倒れた。

 

「さて……先生、これで良いですか?」

 

「うん! 流石は颯也ね‼︎」

 

(((そこ褒めるところなの⁉︎)))

 

梅組の皆は颯也が一撃で魔神族を倒していた事に若干引いていたが、オリオトライは逆に褒めていた。

 

「そうストレートに言われると……嬉しいです」

 

(((か、可愛い‼︎)))

 

(か、可愛いです!)

 

(そ、颯也の照れたような顔なんて中々お目にかかれないのに……)

 

(これは……商売の香りがする! ハイディ‼︎)

 

(そう言うと思ってさっきから撮影中だよ‼︎)

 

(あぁもう! なんでいちいちこうも可愛いところがあるのよ⁉︎ って、それよりもネタネタ!)

 

(ナイちゃんもあの顔見てたら照れるんだけど〜)

 

颯也さんが浮かべた照れ顔に、一部の女性陣は虜になったと言います。この騒ぎを見ていた他の野次馬、特に女性陣も可愛いと漏らしつつ颯也の姿を写真に収めようとしていました。そして商人にとっては、良い商売でした。

 

一方で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ……今この瞬間損した気がする!」

 

「成実は一体何を言っているんだ?」

 

そんな一幕があったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔神族が倒されたことにより、事務所の扉がロックされた。

 

「あちゃー……逆に警戒されちゃったか〜」

 

とオリオトライは言いますが、そうではなく逆にオリオトライと……愛護颯也が怖いのだ。特に愛護颯也の名を聞いてからは、事務所にいた他の魔神族も冷や汗を滝のように流していた。

 

「う〜ん……これどうしようかしら?」

 

「俺があの扉をぶち壊しましょうか?」

 

(((物騒な事を言ってる⁉︎)))

 

その時……

 

「あれー? 皆こんな所で何をやってるんだよ?」

 

そんな間の抜けた声がその場に聞こえた。その声の主人を辿ってみると、その者は茶髪で顔には笑みを浮かべ、アリアダスト教導院の制服を改造して金色の鎖をジャラジャラつけ、脇には紙袋に包まれた長方形の物を持ち、直接手に持つ小さい紙袋からはパンを加えて梅組の皆に近付いていく。

 

不可能男(インポッシブル)・葵……」

 

「総長……」

 

野次馬の中からそんな呟きが聞こえる。

 

「んー、おう! そうだよ俺俺。葵・トーリはここにいるぜ! にしても朝からこんな所で会うなんて奇遇だな! 皆もこれ並んだのかよ?」

 

皆の前にでて、脇に抱えていた包みを掲げながら言った。

 

「ちょっと葵? 大体途中からの話を端折るけど、先生の授業をサボってどこに並んだってぇ?」

 

「おっ? 先生も気になるのかよ! そんじゃお披露目だぜ‼︎ ジャジャーン! R元服指定のエロゲ()()()()()()初回限定盤だぜ! なんかこれスッゲェ泣けるらしくってぇ、今日帰ったらPCにインストールして泣いてやりながらエロい事するんだ‼︎」

 

その発言に皆ゲンナリしていた。

 

「全く……遅刻の理由がそれとか、ホントにトーリらしいな。ともかくおはよう」

 

「おう! おはよう颯也‼︎ 今日も相変わらずイケメンぶってるな! というか制服を勝手に改造しちゃダメだろう?」

 

「イケメンって……俺はイケメンじゃないよ」

 

(((いや、鏡を見ろよ⁉︎)))

 

「まぁ確かに俺は正規の学生服着てないけど、でも何でかは分からないけど許せる範囲でなら着ても良いってなってるし、何しろこれは俺が昔から着てるやつだから……」

 

颯也は葵の発言に手を振ってジェスチャーをしながら否定する。だが梅組の……特に男性陣の心の中は一致した。そして颯也の服装は……今更だが体全体を隠せるような衣装を纏っていた。しかもそれは騎士が舞踏会や正式な場で着飾るような物で、全体的に黒でまとめられていた。

 

「それで〜……君何か言う事があるんじゃないかな〜?」

 

「はぁ? そんなの当然だろ! 何たって俺と先生は以心伝心の仲じゃねぇか‼︎」

 

「へぇ〜? それだったら君今すぐ自殺しなきゃいけないんだけどぉ〜?」

 

「えっ? 何言ってんだよ先生! 俺に胸を触らせてくれるんじゃねぇのかよ⁉︎」

 

「あぁ? ちょっと何言っちゃってんのかな君? 君の目には何が映ってるのかなぁ?」

 

「はぁ? そんなの決まってる! 今はこれだな‼︎」

 

と言いながら葵は両手を怪しく動かせながら先生に近づいて……

 

「それ以上はさせないよトーリ」

 

「ほへっ? 颯也?」

 

「先生の胸を触ろうとしてただろう?」

 

「な、何で分かったんだよ颯也⁉︎」

 

「その怪しい手と指使いを見たら普通に分かるよ。ともかくトーリは今回の事を反省しt「ムニッ」ん? ムニッ?」

 

颯也は自分の右手が柔らかい物を捉える感触を感じた。だが自分の周りにそんな柔らかい物など……否、1つだけあった。それは颯也の背後……トーリが先生の胸を触ろうとした時だ。

 

颯也はオリオトライとトーリの間にすかさず入った。だが彼が入った時には既にオリオトライの胸とトーリの腕は目と鼻の先……トーリの腕がオリオトライの胸を触ることはなかったが、その代わりとして颯也の右腕がオリオトライの胸に触れてしまったのだ。

 

状況としては、すかさず間に入った颯也がオリオトライを支えるように添えた右手……支えるには支えたが、その位置が悪かった。

 

「は、はわ……」

 

オリオトライが上げたであろうその声に、何となく察した颯也は首を壊れたオモチャの様にゆっくりと、背後にいるオリオトライに向けた。それで目に入ったのは当然……

 

(お、俺は何って事を……)

 

颯也の中には……罪の意識でいっぱいだった。今日を振り返ってみれば、最初に遅刻から始まり、今は先生の胸を右手が触れている。

 

(今日は……先生に迷惑ばかりを……)

 

胸に関してはどうかは今分からないが、遅刻に関してはオリオトライは既に許している。というよりもそもそも遅れた理由はオリオトライが原因なのだ。それをオリオトライ本人が分かっているからこそ、颯也の事を許しているのだ。

 

「あぁ〜っ! 颯也が先生の胸触ってやがる‼︎ 本来俺が触る予定だったんだぞ〜‼︎」

 

「そ、颯也くん? わざとではありませんよね?」

 

「金髪の貴公子はラッキースケベかのように女性の胸に触れた……うん! これは良いものが書けそうだね‼︎」

 

「ネタ……として使えるけど……」

 

「完全にジェラシー感じちゃう〜‼︎」

 

「ハイディ! あの颯也の顔撮ったか⁉︎」

 

「勿論だよシロくん‼︎」

 

梅組の中でそんなカオスが生まれていました。そして颯也は……

 

「ご、ごめんなさい‼︎」

 

謝罪をしながら颯也はオリオトライの胸から右手を離そうとする……が

 

「い、良いの‼︎」

 

「「「えっ?」」」

 

「えぇっ⁉︎ えぇっと……今何と?」

 

「颯也なら……触っても良いの!」

 

そう言いながらオリオトライは颯也が話そうとした手を両手で掴んで自らの胸に押し付けた。

 

「ど、とう? 先生の胸……///」

 

「〜〜〜〜〜っ⁉︎ ……や、柔らかいです」

 

オリオトライは、赤面しながらそう言った。そして颯也は顔に表情は出していないながらも……ルンは赤く反応し、たどたどしくそれについても答えた。

 

 

 

 

 

 

一方……

 

 

 

 

 

 

 

「はっ……また美味しいところを持っていかれた気がするわ」

 

「さっきから成実は何を言ってるんだ? 熱でもあるんだろうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ〜マジかよそれ? 俺の見立てでは骨か筋肉で硬いイメージだったのに……」

 

だがその言葉でオリオトライは再びトーリに対しての怒りを再燃させていた。

 

「まっ、それはそれで良いとして、俺さ、皆にも前々から言ってたんだけど、明日告ろうと思うわ」

 

「「「はっ?」」」

 

「んふふ、愚弟……まさか告る相手が画面の向こう側にいるんでしょう? だったら裸になってコンセントにーー公の場なので自重ーーして感電しながら悶え苦しむと良いわぁ〜!」

 

「はぁ? ちげぇよ姉ちゃん! 明日告るためにこのエロゲを最後に卒業しようと買ってきたんだよ‼︎」

 

「んふっ、なら愚弟、今すぐこの場で告る相手を言いなさーい! さぁ‼︎」

 

「姉ちゃんだって昔から知ってるだろ? ホライゾンだよ」

 

「えっ……」

 

「ホライゾン……ね」

 

トーリの告げた相手の名前に、梅組の皆はそれぞれの顔をしていた。さっきまでカオスを作っていた雰囲気もそれで吹き飛び、中には悲しそうな顔をしている者もいた。

 

「馬鹿ね……ホライゾンは死んだじゃない。アンタの嫌いな()()()()であの時に……それでお父さん達だってお墓を建てたでしょう?」

 

「分かってるよ。でも、もう10年なんだ。ホライゾンがいなくなってから。皆は覚えてないかもしれないけど……。彼女はホライゾンじゃないのかもしれない。でも俺はこの1年間考えたら、それでも別に良いかなって。だから俺は、ホライゾンがいなくなった事からもう逃げねぇ! 決めたんだ。告りに行くって。そんでその後は……多分皆に迷惑かけると思う。だってこれは……世界に喧嘩売りに行くようなもんだもんな。俺は何にも出来ねぇけど……皆となら出来るって信じてる!」

 

「それだったら今日は色々と準備しないといけないわよね? それで愚弟、今日が普通の最後の日?」

 

「あぁ! 俺何にも出来ねぇけど、それでも高望みだけは忘れないからさ!」

 

「それでぇ? 君は結局何が言いたいのかなぁ〜?」

 

下に俯きながらワナワナ震えているオリオトライがトーリの肩をポンポンと、叩く。それに対して状況を察した梅組の皆は、一様に顔を青ざめさせていた。

 

「えぇ〜? 先生さっきの聞いてなかったのかよ〜? 俺の恥ずかしい話!」

 

「人間ねぇ〜……怒りが頂点に達すると相手が何を言ってるのか分からなくなってくるものなのよねぇ〜」

 

「おいおいマジかよ⁉︎ さっきの話聞いてなかったのかよ⁉︎ ならもう一度言うぜ?」

 

トーリは自分の発言で、オリオトライの怒りのボルテージが上限を超えそうになっている事を知らない。目の前で自分の担任教師が何やら不穏な雰囲気でワナワナと震えているのが目に映っている筈なのに……

 

そして、彼は立ててしまった。

 

「俺明日ホライゾンに告りに行くって……」

 

フラグを……

 

その瞬間オリオトライの目がキラリンッと光った。

 

「よっしゃーっ‼︎ 死亡フラグゲットーッ‼︎」

 

そう言いながら左足を軸として、回し蹴りをトーリに喰らわせようとした……が

 

「ぐっ‼︎」

 

「「「そ、颯也(くん)⁉︎」」」

 

なんと……あろう事かオリオトライはトーリではなく颯也を回し蹴りの餌食としてしまったのだ。何故そうなったか? それは簡単な話、颯也がトーリを庇ったからだ。

 

トーリの代わりに回し蹴りを喰らった颯也は、身体をくの字にして事務所に吹き飛ばされた。いとも簡単に事務所の扉は壊れ、それでは止まらず颯也は事務所を貫通……事務所の裏にあった倉庫のシャッターに激突して漸く止まった。

 

「そ、颯也⁉︎」

 

これにはオリオトライも焦りの表情+泣きそうな表情を浮かべていた。オリオトライも梅組の皆も心配して吹き飛ばされた颯也のもとに向かおうとした。だが……

 

「おい先生! 何で颯也に蹴りを喰らわせたんだよ⁉︎ 颯也が可哀想じゃねぇか‼︎」

 

ここに空気の読めない葵・トーリ(馬鹿)が1人……

 

「我が王のせいですわよ‼︎」

 

「そうです! 颯也くんに謝ってください‼︎」

 

「ごめんなさい……」

 

「えっ? って先生? 何で先生がまず謝っているんですか⁉︎ 確かに先生もやり過ぎてましたけど……」

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

(((ど、どうしてそこまで⁉︎)))

 

颯也を蹴った後のオリオトライの変わり様に……一同は何が起こったのか分からなかった。確かにオリオトライもやり過ぎてはいたかもしれない。だがそれは、トーリがオリオトライを怒らせたからこそ、いつもの調子と力以上にトーリを蹴ろうとしたに過ぎない。何せトーリは今までに何回も殴られ蹴られて壁や床、至る所に自分の型を作り出してもケロッとして笑っているのだ。

 

それを理解しているからこそ、さっきもその様にした。だがそれを、颯也が代わりに受けたのだ。トーリは加護があるからこそケロッとしているが……

 

(颯也くんには加護なんてありません‼︎)

 

浅間は、この武蔵において住民達は勿論梅組の生徒達の加護の契約も担当している。それは代々浅間家がやってきた事で、それも生業にしてきた。だが例外が1人だけ存在する。それが颯也だ。彼だけが唯一、この武蔵の中で()()()()()()()()()人間なのだ。

 

それが意味する事は、一般人が建物を貫通するほどの力で吹き飛ばすほどの蹴りをもろ喰らった事に等しいのだ。

 

そのため皆は心配していた。そしてその事を……オリオトライも分かっていた。だがこんな事は今までなかった。確かに颯也は、女性陣が何か危険な目にあいそうになると自らの体を張って庇う事は普通に見受けられていた。だが男性、しかもよりにもよってトーリを庇う事などこれまで無かったのだ。

 

だからこそ、自分がしてしまった事実が許せなくて、申し訳なくてそして……

 

(颯也に……嫌われる……)

 

その想いこそが……彼女をそこまで変える。それが示す事は……彼女、オリオトライも颯也の事が好きだという事だ。教師と生徒の立場であるが、本人としてはこの想いにその立場は関係ないと思った。

 

その想いに梅組が気づけるはずもなく……ただ今は颯也の身を案じ、一刻も早く颯也を助けようと、そうしていた。

 

「先生……どうして泣いているの?」

 

「……えっ?」

 

「「「なっ⁉︎」」」

 

その一言が誰から発せられたのか……それはオリオトライの側からだった。だがそれを発したのはトーリではない。

 

「先生……どうして泣いてるの? 何か悲しい事があったの?」

 

それは……颯也だった。

 

「ど、どうして……」

 

「どうしてって……トーリを庇った事? それは今月出した申告表の2つ目だよ。大切な誰かが俺の目の前で傷つきそうになった時は、俺が体を張って守るって」

 

そう、ただ颯也はそれをしたに過ぎなかったのだ。

 

申告表……それは授業中に先生の質問に答えれなかった時のペナルティだ。皆それぞれに自分自身にかせるペナルティを考え、毎月提出している。それは颯也も同様だ。だが颯也の場合、1つだけで良いものを2つ目を()()()()かしていた。それこそが、さっき颯也が言った事である。

 

「颯也……ごめんなさい。貴方を蹴るつもりなんて無かった。でも……私は……」

 

「そんな事……俺は気にしないよ。それより気にするのは、今先生が悲しそうな顔をしてるって事と泣いてる事。先生に泣いてる顔なんて似合わないよ」

 

そう言いながら颯也は持っていたハンカチでオリオトライの涙を優しく拭った。

 

「先生には……笑っている顔が1番似合ってるって、俺は思うよ」

 

そう言われたオリオトライは、颯也に勢い良く抱き着いた。颯也もこれには驚いて少し後ろによろける。

 

「おぉっと……先生?」

 

「……少しだけ、このまま抱きついていても良い?」

 

「……jud。良いですよ」

 

「頭も……撫でてくれる?」

 

「jud。撫でてあげます」

 

「身体……大丈夫?」

 

「jud。大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます」

 

「うん……」

 

しばらくの間……オリオトライさんは颯也さんに優しく抱き締められながら頭を撫でてもらっていたと言います。一方……

 

 

 

 

 

「ぐわーっ⁉︎」

 

「うへっ⁉︎」

 

「きゃあっ⁉︎」

 

「ふ、副長‼︎ 少し激し過ぎっ! う、うわぁっ⁉︎」

 

(美味しいところをまた持っていかれた気がする……)

 

成実さんは自分の教導院の戦士団達と訓練をしていた際、表には出していませんでしたがかなり怒っていたと言います……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




私も予想外です! まさかオリオトライ先生とオリ主がこんなに絡むなんて‼︎

「他の作品だと滅多に見れないな?」

そうなんですよ〜。ホント私も不思議です! ですが先生と生徒の関係……禁断の恋に発展してしまうのでしょうか‼︎

「それは別に良いけど……でも正妻の座は譲らないわ」

「な、成実さん⁉︎」

「颯也? この事覚えておくから……」

オリ主は一体成実さんに何をされるのでしょうか……少し想像するのが怖い。

という事でまた見てください!
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