主人公アカン奴なんで正義の味方の英雄譚求めてる方もブラウザバック。
思考回路がちょっとアレでハイテンション系なようで情緒不安定な奴が大蛇丸を巻き込んで何かする感じです。
エロゲギャルゲパロが大量にあったりなかったりするので苦手な方もバイバーイ!
もし願いが叶うのなら
世の中の関節は外れてしまった。ついでに彼は色々なモノから外れてしまった。なんと呪われた生か。
全てを憎み、生まれ続けて幾年。彼は彼女になった。
何回生まれ続ければ終われるのか。何をすれば終わりになるのか。絶望しかないのに。不滅を望む誰かに変わって欲しいと彼女は切実に思う。
滅びゆく世界を眺める。
魔王を倒し。親友と妻になるはずだった女に裏切られ、世界を憎み滅ぼした……かつて勇者だった男と共に。
「案外綺麗だね」
人が存在しなくなった滅びゆく世界で横たわりながら眺める。彼女の感想は轟音とともに溶けゆく。
「……」
かつて勇者だった男は何も答えない。咳き込み血を吐きながら横たわっている女は呟く。
「そういう眼で見ないでくれない? むかついて殺しちゃいそうになるから」
「……すまない」
そう言う女にそんな余力は無い。魔術の類の発動はおろか、指先すらもう動かせないのだから。
「ほんの少しでも世界が優しければ、君も魔王なんかにならなかったのにね。ほんと呪われてるよ。この世界も、君も、わたしも」
「……」
嗤いながら彼女は呟く。全てを呪うように。嗤う。男はそんな女をやるせない表情で見続ける。
「あーあ。わたしも何度か世界を滅ぼした事あるけど、こんなに綺麗に滅ぼせたのは初めてかも。君、わたしより世界を滅ぼす才能あるよ。すごいね。まだ若いのに」
「モミジには敵わないよ」
やるせない表情を残しつつ苦笑しながら男は女の頭を撫でる。まるで恋人にするかのように髪を梳かす。
「何か馴れ馴れしいんだけど。君そんなキャラだっけ。ここはわたしの頭蓋を砕いて高笑いしてENDの場面でしょ」
「そんな事しないしできないよ。それに……もう疲れたんだ」
「うわぁ、目的完遂して勇者に戻ってるよこの子。君はこれで終わりかもしれないけど、わたしはまだ続くんだよー? 満足そうな顔して並んで寝ないでよ……もう……」
手を動かせたなら、この哀れな魔王の頭を撫で『おつかれさま』と彼女は言ったかもしれない。その程度には彼を気に入っている。
だが残念ながら彼女の手は動かない。
「君を救えなかった私が勇者な訳が無い。協力してもらったのに……約束を果たせなくてすまない」
「……」
彼女は答えない。答えられない。
まるで絵本や御伽噺のような終わり方だなと彼は思う。
「おやすみ……モミジ」
何かの呪縛から解き放たれたような表情で男は女の頭を優しく撫でる。
世界は崩壊し続ける。やがて彼も彼女もソレに飲み込まれるだろう。だが彼女は終わらない。終われない。
▲
生きては死に、産まれては死ぬ。当たり前のようだが俺にとっては短いスパンで永遠に続く拷問の連続だ。
記憶を封印し、何も知らぬ娘で生きた時もあった。だが結局は無駄な足掻きに終わる。次がハジマレバ思い出し、連続する。
「かつての記憶は犠牲の犠牲になったのだ……」
日向家の宗家長女、日向モミジになってしまった俺は自室で一人呟く。
母親は既に病死している。俺が産まれて5.6年後に後妻を娶ったヤリチンの日向ヒアシが俺の現在の父親だ。
家族仲は良好。というよりウザイ程に溺愛されている。後妻を娶った後ろめたさがそうしているのだろうか。まぁどうでもいいが。
「長く生き過ぎた弊害ね。完全記憶能力保持者でもないし」
知っている世界であるはずだ。だが中々思い出せない。産まれてすぐ忍者と聞き流石忍者汚いというワードが真っ先に思い浮かんだが、何なのだろうか。
火影岩なる大統領岩を見れば卑劣というワード。アカデミーに入り卒業し、同じ班になったうちはイタチを見れば犠牲とオレオが脳裏を埋め尽くす。
特別上忍になってアンコちゃんと仕事をすればたまに悶える性癖持ち。よくわからんデブがどのみちろくな奴じゃねえんだ見つけ次第殺せと里の中心で愛を叫ぶ。
まともな奴もまともなモノも何処にもない。それが今生の世界。
どのみち一族、卑劣、オレオ、犠牲。あまり役に立ちそうにないワードしか思い出せない俺も大概だが。
「後は……日向は木の葉にて最強だったかな?」
先ほど父親であるヒアシと組み手をして唐突にそんなワードを思い出したのだ。
ここは木の葉の里。五大国で一番勢力のでかい里。昔で言う所のアメリカやヤマトやブリタニアのようなものだ。
そんな最強に近い里で最強の一族に産まれてしまった。ならば俺は大統領になろう。ああ、そうすると攻撃する際『わたしのことを好きになってくれた?』と言わなければならないのか……
現代兵器はあるようで無いが医療技術は恐ろしいほど発展している世界。おそらく忍術が科学の発展を阻害しているのだろう。
ブリミル教とかいう宗教が蔓延る世界もまほーがあるせいで科学技術は発展してなかったしな。
考えてみてくれ。ロケランをぶっぱするより起爆札クナイ連打したほうがコスト的にもリーズナブルなのだ。忍術なんて科学的にチートだぜ。
あまり俺の目的には期待できそうにない世界だが、医療技術は眼を見張るモノがある。腐らずに研究しましょう呪われてる俺。
そんな結構どうでもいいことを考えながらぼーっとしていると……襖が勢い良く開き、ちっこい娘っ子が俺にダイブ! 気分はそうラストバトルをしかける甲君に挑まれるノインツェーンとわたしの気分である。
「ねえさん」
「ちゃおー。どうしたのヒナタ」
マイシスターヒナタちゃんである。何を思っているか知らないがこの娘は俺に懐いている。異常なほどに。特に何かした覚えも無いのだが。恐らくかつての男の身体だったならば近親相姦待ったなしである。
「あそんでください!」
「おほーっ」
満面の笑みで俺に抱きつきながらのたまうマイシスター。まだ幼いのに力つええ……俺じゃなきゃ死んでるね。中忍辺りなら殺せるわ楽に。鍛え過ぎだぞヒアシ。
成長すれば上忍も楽に殺せる鯖折をマスターするだろうな。鯖折のヒナタと名付けてやろう。というか俺の死亡フラグじゃねコレ。旗立颯太にパスできねぇかな。ああ、この世界に奴は居ないや。
「任務も無い休暇中だしいいよー。何して遊ぶの?」
「ねえさんとあそべるならなんでもいいです」
こいつ俺と遊べるなら何でもいいって言ったよね? 玩具にしてコロコロするぞ娘っ子。
簀巻きにして転がすのは昨日やったし、別の方が喜ぶか。何がいいかなと考えていると道場から瞬歩を無駄に使いつつここに向かってくるチャクラ……
「ヒナタ! お父さんともっと遊ぼう! もちろんモミジもだ!」
「えぇ……」
馬鹿みたいな速さで俺の部屋までやってきた人物。父親であるヒアシまで遊ぼうと満面の笑みを浮かべながらのたまう。
お前の遊ぼうは八卦掌・回天連打じゃねえか。それさっきやったじゃねえか俺とヒナタに。なるほど、ヒナタに逃げられたなコイツ。
「ヒナタがすごい目付きで睨んでるよ。やめといたら?」
「とうさま……いや」
「!?」
俺の服をきつく握り締めながらいやいやするヒナタ可愛いね。まだ遊びたい盛りの子供に一日中修行はやり過ぎだ。
俺を教育した感覚でヒナタを教育しようものならそら嫌がられるわな。
固まって灰になったヒアシをヒナタを頼むわねとヒアシの後妻がヒアシを引き摺りながら回収していく。これが我が家の平凡な一日である。
久々に長生きしたいなぁとふと俺は思う。恵まれた環境に中々産まれる事は無い。たまにはニンゲンのふりでもしながら長く幸せに過ごしたいものだ。
「ねえさん」
「ん? 大丈夫? おねーちゃんと遊ぶ?」
なにやら不安そうな表情をしたヒナタに優しく問いかける。
「ねえさんはどこにもいかない?」
「……」
ああ、これだから子供は嫌いだ。聡い。特に近しいモノの変化を機敏に感じる。
泣きそうになっているヒナタを抱きしめて落ち着くように頭を撫でる。
そしてヒナタにだけ聴こえるように優しく呟く。
「んふふ、今度の任務が終われば……それからはずっと一緒だよ」
「ねえ……さん」
安心したような表情で眠っていくヒナタ。疲れてたんだろうに。俺も疲れてるけどな。優しい姉を演じるのもストレスがたまるものだ。
果たして俺の目的を知った後、この子はそれでも俺と一緒に居たいと願うのだろうか。もしも君が願うのなら傍にずっといてあげようかな。
せめて醒めてしまう夢の中では優しい俺と幸せになってね。と柄にもない事を思うのであった。
▼
その夜日向モミジは何者かに連れ去られる事件が起きる。連れ戻そうとした日向ヒアシは負傷し、己が娘の奪還に失敗した。
事件の下手人はなんと木の葉の里の元忍、大蛇丸であった。
後にヒナタは後悔する。あの時もっと姉を引き止めていたならばと。
ヒアシも後悔する。娘の苦悩を理解していなかったと。
だが、どうしようもないのだ。産まれた時から彼女は呪われているのだから。
登場人物
日向紅葉(モミジ) 幾千もの時の中、様々な世界でとある少女に転生し続ける元男
日向ヒアシ この世界ではただの子煩悩のお父さん
日向ヒナタ 何をするにしてもねえさんねえさんとモミジに付いてくる うちはで言えばイタチとサスケのような兄弟仲