夢。夢を見ていた。三つ目で角の生えた女が俺に助けを請う夢だ。三つ目の女なんて傀儡マニアの殺戮好きでやべー奴しか友達に居ないぞ。あの子も俺の助力があってD区画の女王として君臨していたしな……
恐らくあの夢に出てきた三つ目角女も俺に力を求めているのだろうな。どこの次元から通信しているのか知らないが、眼が一緒だったし俺の友達と色々な意味で。
俺がこんなセンチメンタルでグラフィックごと乙女座の男が飛んできそうな夢を見るのは、邪神アイドル飛段と蘇らせた角都のお笑いコンビのせいに違いない。
ストーカーのように俺を見る誰かの視線が気になり過ぎて、ふと見れば妹と眉毛の濃い何か。妹は俺が対処するとして、眉毛の濃いのはお呼びでない。
因縁あるだろう角都に相手させたらええやろの精神で蘇らせたら『あんまんをくれ、でなければ心臓を貰う』と、背中に羽の生えたランドセルを背負っている、たい焼きヒロインらしからぬ言動を吐いたのだ。
これには俺も苦笑いで、お前はいつ雪月家の龍神セイバーになったのだと、亜空間からたい焼きとあんまんを出して渡しつつ返答するしかなかった。お前爺やし無理あるやろと思ったが、本人は若いつもりなのがいただけない。チャイルド症候群患者かな?
思わず龍神村の神社で巫女のアルバイトをしていた頃を思い出し、心の汗が少し流れてしまった。俺も崖の無縁仏の前で線香花火をして、友達の龍神と雪解けを待ったものだ。
しかも飛段と会わせれば角都は急に水遁を使って、飛段を洗おうとするくらいお節介ヒロインだった事が判明した。飛段が風呂も忘れて邪神神殿を造っていたのがいけないのだが。
角都が飛段の神殿造りの資金源はと聞けば、俺のポケットマネーから飛段が金を借りている事を知り、すぐさま働いて返すと俺に言ってくる始末。『お金は命の源だからな……』と、元暁メンバーらしからぬ常識的なヒロインの言動を吐いた。
これには俺も微妙な表情で、とりあえず砂隠れの砂金おじさんへの紹介状をしたためて渡しておいた。周りの影達から弱いだのなんだの言われまくる風影だが、金を集めるのには定評があるらしいからな。
眉毛にリベンジしつつ、お金集める仕事すると良いよ。第二の人生も末永く何かの源ヒロインしていてくれ。
最近よく飛段の細胞を弄くっては研究していたが、なんとコイツの細胞は環状DNA鎖を有する原核生物みたいに複製時の末端が存在しないやべー細胞だった。コイツ人間違うやんけ……
俺はドローンを飛ばしつつさくらちゃんを監視する知世ちゃんを見た時の様な、恐ろしいジェネレーションギャップと、恐ろしいスピードで『サクラ、それは人に向かって振ってはいけない!』と、謎の効果音を連続で鳴らしながら走っていく大神隊長を幻視した。
まさかこんな世界でこのようなモノを発見してしまうとは、思いにもよらなかった。はっきりいって斜め上の結果過ぎて、どう利用しようか困惑している。
そう言えばこの世界のサクラちゃんも何か覚醒してしまったようで、担当上忍であるうちはオビトを日々打ち抜くようになった。影分身を利用しながら水晶で、トイレから出てきたオビトを打ち抜くその瞬間を見てしまった俺は、木の葉の女ってやべえなって思った。
霊子甲冑どころかガンダ○と生身で戦えそうで、いつサクラがガン○ムファイトに出場するのかわくわくが止まらなくなってしまったではないか。そう言えば装甲悪鬼屑兄さんも生身でロボと戦って勝ってたな……思ったより普通だな、うん。
妹のヒナタと共に拳系ヒロインとして活躍していくのだろう。誰がヒロインとして貰うのだろうか……貰い手は居るのだろうか……妹達の行く末が結構心配である。
「姉さん、これ雷影からの手紙だよ」
「ヒナタ、ありがとう」
そんな夢見が悪過ぎて夢見師に助けてもらおうと思っている俺に、雷影さんからお手紙着いた。ヒナタは大蛇丸が俺の秘書みたいな事をしているのが嫌らしく、大蛇丸から秘書の仕事を無理矢理奪った。
大蛇丸は研究の日々に帰って行ったのだ。どこかのうさ耳マッドや天災女神みたいに、妙なモノを作ってくれると期待している。宇宙船に変身できる喋るナマモノとか、細胞研究の副産物で作ってくれねえかな。
「……ふぅん。問答無用で宣戦布告するかと思えば、あそこにも考える頭がまだある人居たんだね」
「どうしたの姉さん?」
「中忍試験を雲隠れの里主催でやり直すってさ。集まった里長を暗殺でもしたいのか、それとも額面通り試験を再開させるのか……」
「……」
いくら常識を弄っていると言っても、常に思想やら考えまで縛れないからな。思考の方向性を変えるくらいしかできない。
雲隠れの里でクリミナルパーティを開催するのか、アレだけ啖呵切っておいて雲隠れする気なのか……俺、気になります!
気分は天使の気分である。三つ目のあの子は俺の眷属。なるほど。あの夢に出てきた女、俺の眷属か。わざわざ夢見師に修正させる事でもなかったなと、悩みの一つが消えた。
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各里長の所に雷影からの招待状が届いて、木の葉の里長ヒルゼンが音の里長たる俺に対して、里の子供達の交流を兼ねた修行をしよう。と、提案してきた。ガイとリーが久々に木の葉の里に帰ってきて、俺も一時お役目ご免となっているので了承した。ストーカーは一人でええんや。リーが木の葉に帰って良かった。
全員連れて行くわけにもいかないので、戦場のカルテットたる4人集だけ連れてきたかったのだが、ヒナタが強引にマイウェイして来て勝手に着いて来た。
ついでと言わんばかりにキンやら幻幽丸やら水月やらも着いて来たので、子供達の護衛として鬼兄弟も急遽引率係としてついて来させた。そして道中水溜りを踏む遊びをしつつ木の葉へと向かった。
「マイレディー。計画は修正されたようですが、大丈夫ですか?」
「……ん? 何、いっちょまえにわたしの心配?」
「「俺達は常に心配していますぞ」」
「姉さんは私が守りますので、心配後無用です」
気分はオタサーの男の娘姫。やべえ……俺口にするのも憚られる事されちゃうじゃないか。鬼兄弟から鬼父達にクラスチェンジする気ですか? 距離とっとこう。ヒナタの方が俺にとって危険かもしれないが普段通りなのでスルーする。
「「マイレディー……」」
「ふふっ」
勝ち誇った表情で鬼父もとい鬼兄弟を見やるヒナタ。悲しそうな声をあげながら水溜りになる鬼兄弟。そして一歩離れた所に恐る恐るヒナタを見ている4人集。ワイワイ遊びながら歩いている子供達。
何か物足りないな。無性に百鬼夜行ごっこしたい気分だ。もっと連れて来てもよかったかもしれない。
卜伝ちゃんみたいに大名行列ごっこしても良かったな。今度遠征する時は音の里の子供達総出で百鬼夜行ごっこしよう。
生きるというのは続ける事ではなく、繋げるものだとインフィニティちゃんが言っていたな。俺の生は繋がっているのだろうか、生きていると言えるのだろうか。ふと脳裏に浮かんだ憧憬に思いを馳せつつ、木の葉の里に到着した。
久々の再開をナルトやサスケやイタチと祝いつつ各里の子供達の修行へと、各々は動き始めた。4人集とナルト達が仲良く修行している。その様子をヒルゼンと共に見ていると、何かよくわからないノイズがかかる。
彼らが死に物狂いで戦っている様子が断片的に映されていく、何だろうこの記憶は……俺が知らない記憶がある? オカシイ。こんな光景みたことは無いはずだ。
「どうしたモミジ。顔色が優れぬようじゃが」
「――――――――――――――――」
とっさに言葉を返す事ができない。
――何故か大蛇丸にさらわれてダークサイドに堕ちているサスケ。
――全てを憎悪してそうな表情で戦う多由也を含む4人集達と木の葉の下忍達。
――俺と出会わなかった切羽詰って辛そうな大蛇丸。
なんだこの流れてきた記憶は。俺が知らないというのはそもそもおかしいのだ。この世界に産まれてから記憶を弄った覚えは無い。誰に弄られた。いや、弄られてはいないはずだ。
――ヒルゼンと死闘を繰り広げる大蛇丸。
――そして屍鬼封尽で腕の魂を死神に持っていかれた大蛇丸。
――そして……死に逝く三代目火影ヒルゼン。
思えば、あの三つ目の女の夢を見てから調子がおかしい。
ふざけるなよ。
――『
俺はあるかどうかすらわからない干渉を遠ざける為に、少々キレながら心を落ち着かせる為の魔術を己にかけつつ魔力を全身に行き渡らせる……うむ。落ち着いた。
「……ふむ。元気なようじゃな。どれ、子供達に戦いとはどういうものか儂らで模擬戦でもして教えてやらんか?」
「……えらく好戦的じゃない。火影さん。らしくないんじゃない」
「子供達を見ていて、身体が年甲斐も無く疼いてしまったんじゃよ。付き合ってくれんか」
目の前のコイツに干渉はされていない。誰だ。何処だ。記憶を覗いた大蛇丸か。いや、アレは表層部分しか見てないし触れてはイケナイモノも触れて弄って無いから違う。男内村にも『本当は和姦だったんじゃないのか』と、和姦判定されるくらいのモノだ。
そもそも記憶に触れられ、弄くられると嫌でもわかるのだ。見られるだけなら何も思わないし、せいぜい見やがれ程度で済ます。
久々に白眼を使い感知してみるが、怪しいチャクラの動きも、怪しい魔力の動きも無し。杞憂か。
「デートのお誘いかな。たまには動かないと鈍るし……ちょっとダンスに付き合ってくださるかしらミスター?」
「うむっ!」
むっちゃはりきってますな火影さんよお。俺はもやもやした気分でいっぱいだわ。ストレスは身体にいけないので、身体を動かしてストレス解消しましょう。
子供達も修行はひと段落したようで、こちらに集まってきた。何をするのかワクワクしている表情で皆いい顔してるぜ。
「四紫炎陣はってくれない? 多分そのまますると周りの建物壊しちゃうから」
「「「「はっ」」」」
四人集の子供達は素直で良い子達だほんとうに。ヒナタは俺の様子が少しおかしかったのを見逃さなかったのか、大丈夫か聞いてくる。ちょっと身体動かしてストレス解消するだけやで。大丈夫だ。
「では、ゆくぞモミジよ」
「ええ、どこからでも」
影分身の術を使いサルトビは三匹に増えた。そしてすぐさま手裏剣を投げつけてくる。
「手裏剣影分身の術」
「風遁・大突破」
あえて日向の体術は使わない。デモストレーションのようなものだから。体術は別の時に使おう。ただ、火影は首を傾げながら体術を使わんのか。と話しつつ口寄せを召喚し如意棒のような物に変化させてこちらに殴りかかってくる。
「体術も子供達に見せてやりたいのう。なあ猿魔」
「猿魔もそう思います」
「体術は使うとねぇ……」
すぐ終わりそうじゃない。そう言い返しながらヒルゼンの影分身を全てひと殴りで潰す。そして俺も口寄せを召喚する。
「ん? モミジじゃないかどうし……へぶらっ!」
「囮寄せか。懐かしいのう」
「同じ師を持つ者同士これはやらないと……と思ってね」
「猿魔もそう思います」
口寄せで呼んだシスイは結界に突き刺さった。相変わらず良い囮だ。うちは一族は囮にて最適。
「ふんっ」
「当たらないね」
俺はかつて竜の子の攻撃を柳のようにいなす噛ませおじさんの真似をしながら、ヒルゼンの如意棒のようなものを避ける。
地味だが、身体に疲労が溜まりにくいしチャクラも必要ではない。回避術としてはいい物だからな。子供達に見せるにはいいんじゃないだろうか。
「変わった体術じゃのう」
「弱点もあるよ、気付いてるでしょ」
「儂は火影じゃぞ。当たり前じゃ……ふんっ!」
足元をすぐさま攻撃する火影であるヒルゼンは、流石かつてあっただろう忍界大戦を生き残ったモノだけはある。似たような経験でもしたのだろう。そして俺はヒルゼンの棒の上に立つ。
「曲芸みたいでかっこいいでしょ」
「ほう……重さを感じんな……」
子供達もウキウキした表情で俺の軽身功もどきを拍手喝采。だが火影的には気に食わなかったのか、ふて腐れた表情で『先ほどから回避ばかりじゃが、儂が思ったより音の里長殿は弱いのかのぅ……』なんて俺の手を舐めようとしながら挑発するのはいけないね。
「舐めようとしたな。わたしを」
「舐めたらどうなるんじゃ? 怒るのか? ほら攻撃して来んか」
里長として舐められるのはいけない。というより女の子の手を舐めちゃいかんでしょ。そんなに攻撃されたいのか、ならばいいさ――おいたをする老人は……
「んぐぉ……何じゃこれは、何も見えぬ……! 聴こえぬ! 身体も動かぬ……」
そして俺は術を発動させる。ただ髪の毛を振動させているだけだが、ヒルゼンしかり観戦していた子供達も、結界を張っている音の子達も俺の姿など見えていないだろう。なにせ視界どころか五感を奪う術なのだから。
この音を聴いた相手は何も見えない聴こえない。そして身体を自由に動かせなくなる。喰らった相手は暗闇の世界。超音波による脳への直接攻撃だ。脳を誤作動させる術だが、中々に使い勝手が良い。対処方法は同じ振動で返す事。
初見ならほぼ決まる。流石のヒルゼンもこういった体験はなかったのか、冷や汗をかきつつ『そんな術を使うとは反則じゃぞ』なんて言い訳している。煽ったのはそっちじゃん。久々にちょっとはしゃぎたかったし互いにいい運動になったから良いだろう。
「一応音の里長だからね。音の術でフィナーレという事で」
「……まいった」
五感を奪われ、身動きが取れなくなったヒルゼンの首筋にクナイを当てて模擬戦は終了です。模擬戦じゃ負けなしのコーラ君もニッコリするでしょう。
術を解いてヒルゼンに現状をわからせ、まいった宣言を獲得した俺は無事模擬戦を終えた。子供達はさっきの見えなくなって聴こえなくなる術すげえって興奮してる。
火影にもう少し術を使わせた方が良かったか、いや、シスイのせいで結界に皹入ってたし互いに手加減してたからこんなもんか。
ただあの闇の中でもヒナタは微動だにせず俺をじっと見つめていた。ヒナタに効いてない……だと……マイシスター実は呂奉先の弟? いや可愛い女の子だ。女の子だよな……?
俺はヒナタに内心怯えながら、今日の天気はまあまあの天気だと思いつつ現実逃避した。
登場JINブツ
三つ目で角の生えた女 モミジに助けを請う信号を送るよ
砂金おじさん 5影の中で一番金策が得意だよ
春野サクラ 生身で劔冑砕けるよ
男内村 名探偵だよ
うちはシスイ 囮寄せの囮の一つだよ
ヒルゼン 少女のおててを舐めようとする爺だよ
日向モミジ 音の里長として音を使って模擬戦に勝利するよ