ヒナタの姉はやべーやつ   作:闇と帽子と何かの旅人

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モミジちゃんの給料日・マザコンの宣戦布告編


Payday1

 「この空間で、その狂人紛いの思考はせんでよいぞ。誰も覗いておらぬ」

 「……本当みたいだね、大筒木カグヤさん。貴女の言っていた事は」

 

 とある空間で大筒木カグヤと日向モミジは対峙していた。

 二度目の邂逅。初めての邂逅時、彼はカグヤの言葉を信じなかった。

 だが、実際彼の中の彼女はこの夢を認識していなかったし、あの行動原理が不明瞭な二代目火影も知りえない。疑いに疑うモミジも彼女を信じる他ない。

 あのノイズで流れてきた記憶の正体も判明し、この空間では、つまらぬ思考を続ける必要性は無くなった。 

 

 「ワラワを救ってくれ。この世界を……無論対価として……」

 「……」

 「懸念か。ほれ」

 「あら……ここは……」

 

 二人だけだった空間に大蛇丸の精神体が召喚される。

 

 「何でもアリか……このウサギの女神サマは」

 「モミジ……この女まさか……」

 「このほうが話が早いであろう? ソナタもワラワの前でコヤツに洗脳されている"フリ"をする必要性はない」

 「わたしはアリスでは無いんだけどなぁ……」

 「なるほど……そう言う事ね」

 

 狂ったフリを幾千もの時を続けてきたモミジは、その思考を捨てきれず、癖でついしてしまう。自己を保持する為の防衛。それは急に辞められるモノではない。

 驚愕の表情だったが、何かに納得したように大蛇丸はカグヤを見る。大丈夫なのかとモミジに目配せするが、モミジは呆れた表情でため息を付くだけだ。

 

 そもそも大蛇丸はモミジに洗脳されていなかった。自他共に認める天災である大蛇丸は、とっくにその洗脳を克服していたのだから。

 あえて、洗脳されているフリをしていた。せざるを得なかった状況だったのだ。一芝居打たなければ、大蛇丸とモミジにとって不都合だったのだから。

 

 ――夢の中のような、そんな空間の中で……彼女達は何かを交わす。

 

 

 

 

 雲隠れの里。再び中忍試験を再開させる為各里の下忍と担当上忍、里長が集まっていた。

 その最中、本体である日向モミジは各里に送っていた自身の影分身達を、各里に与えられた部屋で収集していた。

 

 「YOYO! オレキラービー! 陸に上がって進化を遂げたダゴ○! メイド・イン・チャイ○! 中○で大量生産!」

 「本体のわたしの前でまで、やらなくていいから……それにダゴ○はやめて、わたし本物の狂人になっちゃう」

 「離れたココロ、今はバラバラ。医術書の為。オレ「アレに見られてる心配は無いよ。その問題は解決した」……オレだよオレ! わたしだよ!」 

 

 顔を破くように雲隠れの人柱力キラービーは、顔面に張り付いたキラービーの顔を破る。筋肉質な男に変化した日向モミジが現れた。本物はとっくの昔にラップ修行の旅に出ている。

 雲隠れの里に居たキラービーの正体は、大蛇丸の消写顔の術を改造し、キラービーに化けていた影分身の日向モミジ。

 

 ――各地の医療忍術収集の為にばら撒いた影分身の一人だ。

 

 「後は、わたしが【わたし】になって、あの子と別の身体になって、月をどうにかするだけになった」

 「……ふぅん。とりあえず戻るね」

 

 ――キラービーだったモノはモミジへと還っていく。

 

 「岩隠れのトップアイドル! ツチ様だぜェ! アタイを見るだけで、てめーは見惚れて動けねェ」

 「わかったから……戻って」

 「何だよ、サインくらいねだれよ……つまんねェ」

 

 ――そう言いながらこちらも、影分身だったツチはモミジへと還っていく。本物はデイダラの追っかけをしている。

 

 「我はこの荘厳なるヴァルハラを燃やし尽くす者となる」

 「こんな狭い場所で灼遁はやめなさい……」

 「フン……本体、貴様今素面か……泣くのが好きなのかと思っていたが、もう止めたのだな」

 

 ――パクラに化けていた砂隠れの影分身もモミジへと還っていく。本物は恋に恋するお年頃で、男漁りツアーの旅に参加中。 

 

 「結婚したのか? 俺以外の奴と。俺の結婚相手は首切り包丁だけだと思っていた……」

 「再不斬君に絡まなくていいから……」 

 

 枇杷十蔵に化けていた影分身は担当上忍として下忍と共に居た、現首切り包丁所持者である桃地再不斬に絡んでいた。

 昔の恩師にトラウマ持ちの再不斬にはキツいのだろう。おぞましいモノを見ている表情で辟易としていた。

 

 「勘弁してくれ……モミジサンよォ。俺はコイツの顔を見る度にトラウマが……」

 「ああ、うん。ごめんごめん。すぐ回収する」

 

 ――枇杷十蔵に化けていた霧隠れの影分身もモミジへと還っていく。本物の枇杷十蔵は霧隠れの忍者学校で教師をしている。

 

 影分身達が本体へ戻る。そして各里の医療忍術を全て手中に収める日向モミジ。計画は順調だとほっとした表情で安堵している。

 

 「終わったかしら」

 「久々に今は素面だけど、わたしキ○ガイみたいじゃんコレ」

 「あら、素面でもキ○ガイよ貴方。でも、そんな貴方が好きよ」

 「えへへ……じゃなくて、わたしがキ○ガイなら、マザー○レサはテロリストだよ。世界中の誰よりも、わたしは平和主義なのに」

 「誰か知らないけれども、貴方が平和主義なら、私は聖人になりそうね」

 「聖人に決まってるじゃない。頭に邪なるって付きそうだけど、わたしにとっては聖人どころか天使かな」

 

 嬉しい事言ってくれるわね。と、モミジの護衛として側に居る大蛇丸はニコニコと笑いながらモミジの頭を撫でる。

 砕けていたパズルのピースが埋まっていく。だが、何か見落としていないか。

 モミジの長年培ってきた警戒心は、何かを見落としている気がしてならない。そしてそれは現実のモノとなる。

 

 

 

 

 中忍試験は無事終了し、各里の参加者達と担当上忍は打ち上げをしている最中。各里長達も、雲隠れの高級料亭に打ち上げの為に集まっていた。

 豪勢な料理に、高級酒の数々。里長の護衛達もほろ酔い気分に当てられたのか、少々場に酔っている。

 

 「フンッ。初めから雲隠れ主催でやれば良かったのだ。そもそも火影……貴様、酒の席だからと言って、その女装はどうなのだ」

 「なんじゃ惚れたか」

 「……誰かコイツを入院させろ。木の葉の連中は何故こんな奴を野放しにしておるのだ……」

 

 女装している上機嫌のヒルゼンに、絡み酒で絡まれている雷影a。

 

 『シュコー』

 「久々ですな。こうして剣を交えるのは……半蔵殿」

 

 美しい剣舞を披露するミフネと半蔵。大半の者は見ていないが、二人は楽しそうだ。

 

 「モミジちゃん聞いてよ。長十郎ったらいっつも私に嫌味ばっかり言うの」

 「そうなんだ」

 「ムー……適当に聞いてるでしょ。そんな悪い子にはお仕置きしちゃうわよ」

 「メイちゃん……何処触ってんの。というかのらないでー」

 

 適当な返事をする音隠れの里長に、酔っ払いながらセクハラをかます水影照美メイ。モミジは素面なのでドン引きだ。

 

 「やれやれじゃわい」

 

 そんな阿鼻叫喚をツマミに一人悠々と酒を嗜むオオノキ。

 

 「いかん……これほど出費しては……」

 

 金に煩い風影、砂金おじさんで有名な羅砂は影々じゃんけんで負け、コノ場の支払いを全額任され途方に暮れていた。

 そんなのん気に宴会していた里長達の宴会部屋に、地中から何かが近付いてくる。そして畳が一帖弾けた。

 

 「見た。来た。後は勝つ」

 

 その姿にオオノキはほろ酔い気分が醒め、風影は押し入り強盗かと用意していた金を隠し、剣舞をしていたミフネと半蔵は警戒を露にし、雷影と火影は臨戦態勢を取る。

 一方寝ているメイに圧し掛かられ、身動きが出来ないモミジはというと大蛇丸に助け出されている最中だ。

 

 「貴様……うちはマダラか?」

 「フンッ。両天秤の小僧か」

 

 部屋の畳を破壊しながら地中から現れたそれは、かつて忍の神と互角に戦い、敗れ、死んだはずの男。うちはマダラであった。

 面識のあるオオノキはすぐさま男の正体を看破する。他の面々は面識は無いものの、名を聞いて警戒心が高まる。

 

 「どうして穢土転生体になっているのかな」

 「穢土転生体だと、どういう事だ音の里長」

 

 大蛇丸に助け出されたモミジは、かつてないほど警戒を露に質問する。

 疑問に思った雷影はモミジに問うが、モミジは雷影を相手にする余裕は無かった。

 

 「貴様の呼び出したアレに無理矢理な……」

 「ああ、やっぱり『二代目』か」

 「小娘、貴様も運が無かったな」

 

 やはり、裏切ったか。だが、想定内でもある。早々に身体を変える必要性が出てきたとモミジは考える。

 

 「はて、亡者殿はなにゆえ宴会に迷いこまれたのか。お聞きしたい」

 「なに、腑抜けている貴様らに戦争を仕掛けようと思ってな。わざわざ来てやったまでよ」

 

 ミフネがマダラに質問すれば、戦争を仕掛けると宣戦布告する。

 

 『シュコー』

 「……何だオマエは」

 

 半蔵はミフネを庇うように前にでる。戦友を守るように。

 

 「……フンッ。まぁ良い。日向モミジ。貴様の首級でも挙げて宣戦布告でもす……ぐぅううう……ヤメロ……」

 

 突然苦しみだすマダラ。警戒していた一同は半蔵の動きにも警戒する。するとマダラの身体に異変が起こる。やはり怪奇現象か。

 

 「じゃーん! マダラだと思った? ゼツだよ!」

 「は?」

 

 マダラの身体から白い何かが出てきたと思えば、モミジがかつて見た食虫植物のようなモノの半身である白ゼツだった。

 

 「ちなみにボクがマダラから完全に出るとマダラが爆発しまぁす。全ては母さんの為に。そう言うことだよ母さんモドキ」

 「……」

 「愛の力の前では、いかなる精神攻撃も砕かれる。策士策に溺れるだね。滑稽だよオマエ」

 「へぇ……」

 

 そう憎悪の瞳でゼツに挑発されているモミジは、思い当たる節があるのか、なるほどと心の中で頷く。

 

 「ちなみに各里の人柱力はこちらの手に落ちました~。のんきに中忍試験なんてしてるし、宴会までしてるから、おかげさまで守りが手薄だったよ」

 「なん……じゃと……」

 「まさかそんな」

 「じゃあそう言う事でばいば~い」

 「待て貴様!」

 

 雷影や各里長その護衛は追おうとしたが、地中に高速で潜っていく白ゼツと融合しているうちはマダラ? をついには見失ってしまう。

 宴会はお開き。各里長は各地の人柱力の安否を探る。だが結果は、黒。至る場所で地下から人柱力が襲われ拉致られていた。

 

 まるで中忍試験を待っていたかのような、各地の守りが手薄になる。そんな時を狙われたような結果だった。

 

 そしてその場は、各国に宣戦布告して来た謎の勢力、うちはマダラと白ゼツ達への対策会議へと移っていく。

 

 月が見えぬ、朔の夜に起きた出来事であった。




登場人物・用語

大筒木カグヤ 兎の女神の方

枇杷十蔵 生徒にトラウマを植え付けるのに定評がある鬼教師

パクラ メイちゃんとは婚活仲間

白ゼツ マダラに憑依合体中

影々じゃんけん 五影で支払いを決める時にやるじゃんけん
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