ヒナタの姉はやべーやつ   作:闇と帽子と何かの旅人

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※今回は人柱力のチャクラ引っ張りみたいなのをオリ主と中の人がやる補足回なんでメイちゃんとのやり取り以外読まなくてもおk

プロット時のそのままの箇所誤字等があったので修正
本筋は変わんないでス2/17


ぺいでい2

 各里の勢力は一旦各自の里へと帰郷した。

 各地の人柱力がうちはマダラと融合している白ゼツや扉間に拉致られたが、ナルトとビーは抜け殻になった我愛羅を助けながら自力で脱出したらしい。

 ま、俺も九尾と憑依合体してるナルトと○トゥルーの化身と融合してるビーなら大丈夫だろうと思っていたところだ。たぬきはしゃーない。 

 

 砂金おじさんに『息子を助けてくれ! 有り金は全部渡す!』と、言われたので、しょうがないにゃあと言いつつ、生半可な医療忍術では真似出来ない医療魔術で生命力を戻しておいた。

 綱手姫でも居れば綱手姫にお鉢が回ったんだろうけど、例え頼んだとしても、博打の薬中だし使い物にならんかっただろうな。

 

 回復した我愛羅君はちゃんとお礼を俺に言ってきたな。砂金おじさんも『貯めに貯めた金が……』と、大泣きしていた。

 良いことするのもたまには悪くない。善悪相殺していけ。

 

 問題は、橘やぐらを拉致って音の里からとんずらこいた二代目火影【千住扉間】だ。このタイミングで……というか予想はしていたが、少し早いので内心ちょっと焦った。

 あとメイちゃんが俺に泣きついて来るのがうざい。俺は君の母親ではない。友達だから聞いてあげるけど。

 

 「モミジちゃぁあああん! たすけて!」

 「メイちゃぁああああん! なにを?」

 

 マダラのような何かが襲撃中、酔っ払いながら俺にもたれ掛かって寝ていた水影メイちゃん。その後もずっと寝たままで、あの日の夜。俺がおんぶして長十郎が案内する部屋まで送っていったな。

 他の影達からお前影としての仕事もせず寝ていたから、忍連合軍の司令官やれ、と丸投げされてるメイちゃん。

 自業自得じゃん。カンクロウが居たら、カンクロウもそう思うじゃんって言いそう。

 

 「私、連合軍の指揮なんて……できないよぉおおおお!」

 「男漁りツアーで、陣頭指揮とってた時みたいにすれば良いと思うよ」

 「それとコレとは違うのよぉ……」

 「音の里長様。すみません! 本当にすみません!」

 「モ゛ミ゛シ゛チ゛ャ゛ァ゛ア゛ア゛ン゛!!」

 

 メイちゃんのお付き、長十郎君が平謝りで俺に謝るが、そんなの関係ねぇ! と言わんばかりに俺に泣きついてくるメイちゃぁああん。

 そんな訳あるかい。あの陣頭指揮は鋼鉄の元帥を彷彿とさせるほど、立派な指揮だった。男漁り絡まないとダメなのかコイツ。

 

 「わたしにどうして欲しいの……」

 「私の代わりに指揮して! モミジちゃんなら大丈夫! ほら、音の里を五大国レベルまで発展させた手腕でお願い!」

 「満場一致でメイちゃんに決まったんだから無理だよ……」

 「すみません! お忙しい中、本当にすみません!」

 

 長十郎君。君はどこぞのすまないさんかね。謝ってばかりだぞ。確かにこれから忙しい。早く連れて帰れ。

 あとメイちゃん。内政と戦争手腕は比肩せんぞ。

 あと内政も強引な事ばっかりだから、他里じゃ真似出来ないし、やれば反乱起こって終わりだ。俺になに期待してんだ。

 

 「やだ! メイやだ!」

 「悪いこはお仕置きだよ?」

 「モミジちゃんになら、お仕置きされてもいいから、お願い!」

 「マジすみません! すぐこの行き遅れ連れて帰ります。お騒がせして本当にすみません!」

 

 ――その時歴史が動いた。

 

 「ア゛ァ゛? 今なんっつったお前……」

 「あっ……」

 「あっ……」

 

 長十郎君、テンパって心の声がそのまま出てしまったな。可愛い笑顔で殺意ましましの攻撃的な表情になってしまったメイちゃん。

 こうなったメイちゃんを俺は止める気にはならない。何か手のかかる妹が増えたみたいだ。ヒナタはそろそろ準備できたかな。

 

 「ちょっと来いや」

 「ヒィィイイイイ……水影様すみません! 本当にすみません!」

 「今のは長十郎君が悪いかな……」

 

 長十郎君はカンタだったのかもしれない。気分は五月産まれの姉の気分だ。

 メイちゃんにひきづられて行くカンタもとい長十郎君に敬礼しながら、俺はBETAが作ったハイヴのような地下迷宮へと向かう。

 

 ――目的を果たす為に。

 

 

 

 

 音の里の地下の研究施設に日向ヒナタ、日向モミジ、大蛇丸。現在の音の里の……否、この世界最高峰の戦力が終結している。彼女達は俺の目的の一つを果たす為に。 

 

 「ヒナタ、準備できた?」

 「うん。姉さん……ううん。兄さんいつでも出来るよ」

 「身体変えたら肉体的に性別変わるのかな、いや、姉である事に変わりないし、姉さんって呼んでくれたほうが違和感無いかな」

 「えへへ……姉さん! 頑張るね!」 

 

 長年俺を洗脳するように、寝起きの俺を"教育"してきたヒナタ。ま、そう仕向けたのは俺なんだがな。

 ヒナタは俺の【事情】を全て理解した上で協力している。結局無条件で信じられるのはこの二人だけなのだ。

 そして最後のピース大蛇丸。彼……彼女には色々迷惑かけたと思っているが、後悔も反省も無い。

 

 先に性別まで変えちゃったからな、大蛇丸君は。おっぱいさらしで隠してるけど……実はコイツ肉体的にも今は女なんだぜ。

 つーか、肉体的にちゃんとした夫婦になる為だし良いよね。迷惑かけても。

 俺もそろそろ新しい身体よーをして、男に戻るのだ。見た目は完全に美少女やけどええやろ。というか大蛇丸が俺の為に用意した新しい身体……両方あるとかジェンダーフリーやんけ。

 

 性別の欲張りセットかよ。大蛇丸レベル高いわ……

 

 「さて、やるわよモミジ」

 「うん。二人共お願いね」

 「うん! 任せて!」

 「ええ、任せなさい」

 

 人柱力を引き出す指輪を魔改造した指輪をはめたヒナタ。様々なケーブルに繋がれた俺と大蛇丸。そして俺とそっくりな、飛段細胞と俺の細胞で創られた素体。準備は万端だ。

 

 「じゃあいっちょ、囚われの【(わたし)】を回収しますか」

 

 ――そして精神世界へ俺と大蛇丸は行く。

 

 

 

 

 ――かつて、来た。あの部屋。

 機械に囲まれた殺風景な部屋。少女は相変わらずケーブルに繋がれたまま、つまらなさそうに存在している。 

 

 「ちゃおー。わたし」

 「……結構前から外の様子が見れないんだけど、何しに来たの貴方」

 「全ては(わたし)の手の内だから心配ない。君を救いに来たんだよ」

 

 俺の勝手なエゴで申し訳ないが。

 

 「わたしにはわかる。君の考えが。ふざけないでくれる? 殺すよ」

 「……かつての(わたし)なら、黙って殺されてただろうね。でも今の(わたし)を殺せるかな?」

 「別世界の……それも長年共に過ごした"自分の魂"に復讐されるのが運命だとでもいうの……」

 「違うんだけどなぁ……」

 

 やはりというか勘違いしてる。記憶が劣化していく彼女と違い、俺は勘違いをしようも無いが。彼女は俺の復讐を恐れていた。

 初めてこの身体に入れられた時の事を、俺は思い出していた。恨み辛み全てを彼女にぶつける事もなく、どうしてこんな事するの? と聞く俺。

 

 その質問を彼女は一笑して、客観的に自分がどんな目に合ってるか見て見たかったと言った……あの時の事を。

 

 そらまぁ、勝手に別の世界から連れて来られて、挙句、痛めつけられてる俺見て、毎回ずっと笑ってんだからな。普通なら復讐されるとでも思うか。

 もしくは"本能的"に、自分が呼び出したモノの存在を、無意識に認識してしまっている恐怖から来る……畏れから溢れた感情かもしれない。

 彼女はそれだけ規格外の存在だから。そして、そんな彼女に呼ばれた俺も……

 

 「寄生虫の分際で、わたしに勝てるとでも?」

 「さて、その寄生虫は一体何年、君と一緒に生きてきたでしょう?」

 「……なんで、なんでなのよ?」

 「ただの女の子に還る時が来たんだよ【ヒムカイモミジ】ちゃん」

 「調子にのっているね。 少し痛い目を見たほうがいいんじゃないかな?」

 

 宿主が怒り狂う。そう、所詮この身体にとって俺は寄生虫のような存在でしかない。

 極大の魔力が荒れ狂う。彼女は俺に向かって、俺と言う存在が消滅しかねない魔力の塊を投げつけてくる。

 

 ――『築基・煉精化気・煉気化神・煉神還虚・還虚合道――以って性命双修、能わざる者墜ちるべし、落魂の陣――』

 

 「チッ! あの女の術ね」

 「(わたし)と相性が良いんだよね、この術」

 

 かつての友に授かった術で、向かってくる、当たれば俺を消滅させたであろう魔力の塊を穴へ落下させて消滅させる。

 だが彼女は穴に落ちない。そもそも通用しない。そう、彼女の精神世界なのだから、彼女はここに存在するだけで神に等しい。寄生虫の俺とは違う。

 精神世界故の、かつて学んだ術の行使。本来使えないソレを、前提条件すら無視して全て使える寄生虫の俺。そしてそれは、彼女にも当てはまる。

 

 「■■■■、■■■■、我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを」

 

 彼女は高速詠唱で俺にドラゴンが跨いで通るような魔法を放つ。詠唱破棄なんて、暴発が怖くてかつて"凡人"だった俺では真似できない究極系の魔法。

 さて、避けるにもこの大きさではね。何か防御する為の詠唱をする暇も無い。ならば。

 

 ――『鹿島新當流・一ノ太刀』

 

 俺はかつて習った剣術を、大蛇丸に貰った草薙の剣を持って彼女の魔法を一刀の元切り捨てる。

 最早、魔法の域と言って良い切れ味。空間ごと切り裂くソレは――向かってくる殺意の塊を、ただの一振りで消し去る。

 流石に日向紅葉も予想外だったのか、目を丸くさせる。

 

 「その剣術あの女の……それにその剣、あの男だか女だかわからない奴に貰ってた、今の世界で……」

 「精神世界でも使えるんだよね、この剣」

 「……んふふ。わたしの、絞りカスみたいな存在の癖にやるね。これならどう?」

 

 そう言いながら、魔方陣を幾重にも出しつつ。まるでゲロビの魔力砲を俺に向かって多重次元から放出する。これは斬ってもきりが無い。ならば。

 そのまま受けよう。受けようがそもそも今の俺に効くわけも無い。魔力砲により、溶けて消滅するかに思えた俺だが。

 

 ――『過去見――時惑い』

 

 かつて、そして今も。時の神に囚われた経験が俺にだけある。その体験をソノまま放出する。時は戻り、俺の精神体は、先ほどの状態まで戻る。

 

 「は? ナニそれ……反則じゃないの? と言うか、何で、あんな神秘を使えるの? わたしはソレを知らない……人間である貴方が、そんな神秘……おかしいよね。なんで? ねえ、なんで?」

 「(わたし)は理由があって使えてね。精神世界でしかできないけどね、こんなモノ」

 「ふざけるな! 出来るならもっと早くに使いなさいよ……手加減してるつもりなの? 役に立たない塵の分際で」

 

 いくら助けようとしている存在とはいえ、さっきからコイツは俺に対してキツイわ。頭ヒートしてますよ宿主。冷静になってよ。

 

 温厚な俺だが、流石に少しカチンとくる。

 あの女神がきちんと約束を果たしているか……ソレを確認をした俺は。本気を出す事にした。

 

 「何度も……何度も……」

 「なに? 今更命乞いでもするの?」

 

 余裕を崩さない紅葉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……」

 「ッ……」

 「何度も、何度もッ! あきらめて自害するほどに、普通の精神ならばとっくに死んでいる。それでも繰り返してしまう、ソレを君と共に体験した(わたし)が絞りカスと? んふふ……あははハハハハハハハ! 笑える認識だよ宿主さん」

 「……何が言いたいの貴方」

 

 わかってないな。認識が甘い。自我が消滅しないように、俺が何をしていたのか君も見ていただろうに。

 

 「とてつもない存在の宿主さん。君という、おそらく概念上の神か悪魔に近しい魂の君。そんな存在が別世界から奪って来た、そんな君と同じ魂を持つ(わたし)が、本当に? 絞りカス? その認識でいいのかな?」

 「だから……何が言いたい……まさか」

 「ねぇ? いつから――(わたし)が取るに足らない存在だと誤認していたのかな?」

 

 ――『■■■■■-■■■-■■■■■■■■■』

 

 機械で無機質だった空間は七つの月が輝き、文明を滅ぼす竜達が、悪食の竜達が、千年毎に襲ってくる世界へと変わっていく。(わたし)の生きていた世界の……隣の世界を再現し、彼女の精神世界を、(わたし)の世界で塗りつぶす。

 

 「何……この世界は……こんな記憶、わたしは知らない……」

 「当たり前じゃない。【わたし】……これは。コレは(わたし)のハジメテ産まれた世界だよ。君が見る事が出来ない世界、そして記憶」

 「え……」

 「ま■わから■いのか、君の呼んだ存在は■■■■■■。かつて人間にそう呼ばれていた、そんな存在ダよ」

 「あ、あぁ……嘘……」

 

 俺はとたんにヒトガタを維持できなくなる。本来の俺の姿。ソレは――巨大な竜のようなカタチで、大きな口を開き、腹から手が生えまくり、悪食の限りを尽くすバケモノ。

 本来の姿になれる理由もある。カグヤちゃんブーストのおかげである。でなければ宿主である彼女の魂を傷つけてしまう。

 

 「ば、ばけもの……わたしは……ただ……」

 『助ケ()()て来た存在に、そう言われるのは……存外傷()くナ』

 

 君が呼んだ存在だぞコラ。助ける為にわざわざ時空を越えてやって来て、ずっと共に過ごした仲なのに……バケモノ扱いされると傷つきます。

 

 ――かつて、世界から拒絶された少女が居た。

 

 かつて、国民の反乱によって滅んだ国の、ある王女が居た。この世全ては虚無に等しいと、私の居場所は、私だけだと、あきらめた、小さい女が居た。

 世界は彼女の親を家を奪い、そして世界は彼女の心を奪った。国を、世界を、人との繋がりを彼女は求めたが、世界はソレを拒絶した。

 

 ――元より、彼女の居場所はその世界に無かったのかもしれない。

 

 ――故に彼女は望んだ『世界』を。

 

 結局その『世界』は彼女を救えず、勇者のような存在達にその『世界』は討たれ、とある国の地下に封印される事になる。

 

 ――そして、そんな存在を、彼女は次元を超えて呼んでしまったのだ。同じ魂を持つ存在を巻き込んで。

 

 そう、そんな『セカイ』と融合してしまったのが俺という存在。

 彼女の魂の中に入るために『セカイ』が勝手に当て嵌めた、都合がいいヒトの魂を選んだ結果。俺が選ばれたんだろうね。

 無論俺は抵抗した。というよりその『セカイ』自体俺と同位体だったから抵抗の意味も無く完全融合してしまったんだよ。

 進入した彼女の精神を喰らわないように、何年も何年も本当に苦労した。出せる力は最小限に。針に通す糸どころの神経の使い方じゃなかった。

 危うく自我が消えそうにというか、共食いしそうになったからな……俺自身が俺を。

 

 ――戦意を失い、かつての希望を、思い出してくれるであろう宿主へ問う。

 

 『虚無へト向かうカ? ソれとモ生きたいカ?』

 「……」

 『……』

 

 空ろな表情になってしまってから数分。彼女はようやく正気に戻ったのか、何かを思い出し、悲しい表情で……

 

 「わたしは……ただ生きたい。普通に生きて、普通の女の子みたいに……だから、たすけて……」

 『……わかっタ』

 

 ――俺は彼女の記憶を喰う。彼女を蝕む忌まわしい呪いごと記憶を全て。

 

 無理矢理喰っても、その魂が傷付くからね。彼女が同意してくれるまで粘っていた訳だ。

 助けて欲しいと素直になってくれれば、もう少し早く出来たのに。

 ま、求められた存在の記憶に感化されすぎてしまう、そんな俺じゃあ時間がかかっても仕方ない。

 

 俺、精神科医やカウンセラーには向いてねえや。同じ気持ちになっちゃうし。

 病んだ相手の魂に入ったら、一緒に病んじゃったもの。助けようとする存在に、喰ったモノにすら同調して、自分も何故かそうなる。

 

 何せ全部喰うからな。悪食だし。

 

 そして彼女は、リラックスしたように横たわる。役目を無事果たせる俺は、ヒトガタへ戻る。こうしている間にも彼女の記憶は、俺の中へ流れていく。

 いやまぁ、こんな無茶できたのは彼女の魂のキャパシティもあるけど、三つ目角女ことカグヤちゃんの守護ブーストのおかげでもある。

 彼女が居なければもう少し時間がかかったかもしれない。彼女が紅葉という存在を守ってくれたから、いやほんと、あの女神規格外だわ。

 

 「……貴方の本来の姿、よく見たら可愛いかったわ」

 「え゛っ」

 「もしわたしが、貴方を忘れたとしても……貴方はわたしを、わたしと言う記憶を……捨てないでね」

 「……安心しなさい。わたしが全部持って行く。ずっと誰にも渡さない。だから今は、ゆっくりおやすみ」

 「うん。あり……が……」

 

 本当は俺も……長年共に過ごした半身に忘れられたくないが、記憶を全部喰う。二度と魂に傷が付いて、肉体の損傷なんて起きないように。

 

 こんな方法しか思いつかなかった俺を許せとは言わない。だが、生きてくれ、どんな状態であれ、救われてくれ。あの子のような存在を、二度と作りたくない。

 

 次に彼女が起きた時、俺の事なんて綺麗さっぱり忘れてるだろうさ。

 彼女は救われた。完全な意味で。普通の少女と同じように、歳をとって死ねるだろう。

 

 ソレで良い。俺は俺さえ居れば良い。

 

 けど長年過ごした半身の願いを叶えたのなら、そろそろ……自分の肉体を持って自由に動きたいんです! 俺自身の願いも叶っていいよな。でなきゃオカシイ!

 と言うわけで、ヒナタや大蛇丸に協力してもらう訳だ。俺だけだと無理です。俺は喰う専門なんで。

 

 「すごいわね、貴方も彼女も」

 

 カグヤバリアで守られて居た場所から、ずっと俺達を見ていた大蛇丸君の感想は、小学生みたいで先生は可愛いと思います。

 

 「大蛇丸君さぁ、もうちょい手伝ってくれてもよかったんじゃないかな」

 「嫌よ。流石にあんな中に入ろうモノなら、私の魂が消滅しちゃうわ」

 「ま、いいや。彼女はこれで良いとして、本番いくよー」

 「ええ、あっちの身体に貴方を入れるわ」

 「お願いね」

 「任せなさい」

 

 そして外でヒナタ、内に大蛇丸というスペシャリストのお陰で……俺は寄生虫から、一人のヒトガタに進化した!

 

 

 

 

 「いやっほう! こんにちは新しいわたし。大蛇丸とヒナタ愛してる!」

 「流石に疲れたわ……」

 「姉さんが増えたみたいで、何か嬉しい」

 「そっちの(わたし)は完全に記憶無いはずだから、これからの生活……助けてあげてねヒナタ」

 「うん! 任せて!」

 

 いやぁ、一仕事した後はあんにゅいな気分が晴れて清々しい。ああ、今まで一緒に、生きてきた甲斐があった。

 あのとき救えナかっタ彼女を、無意識に重ねてたかもしれない。世界に捨てられた彼女に。

 心残りだった。だが、封印されていた俺にはどうしようもなかった。ま、今の世界で出来る事をやろう。

 

 「さて、後は女神様のお願いか」

 

 約束は果たされた。ならば俺は君の願いを叶えよう。俺はそういう『セカイ』なのだから。




登場人物

日向紅葉 別世界の同じ魂はバケモノと融合していた

日向モミジ 全てを喰らうバケモノと融合した元人間の魂 尾獣よりヤバイ

カグヤちゃん 女神様 バケモノに救いを求めた

ある王女 零へと還る物語の方
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