日向モミジは、音の里の地下深くで新しい身体の調子を確かめていた。
「流石大蛇丸。魔術ブレンドの素体は、一寸の狂いも無い。けどなんでわたしのアレは両方あるのか」
「両方あったほうがお得でしょ」
「……」
そう言いながら、絶句するモミジにウインクを飛ばすのは大蛇丸。
本来の忍術やクローン技術で相当な年数がかかるソレを、短期間の内に完成させてしまう才能。
この世界で真似出来る者は恐らくいまい。それは最早単なる天才という枠組みからかけ離れていた。
そんな風に己が身体を点検しながら、日向モミジはとある存在と邂逅するために、ある部屋へと護衛の大蛇丸と共に入る。
「やあ、お久しぶり。君たちのおかげで元気になったよ」
「……」
(何時見ても人外だなぁこいつら、漂流した教室に出てくるアレか、BETAの戦車級かよ)
その存在は喋らない。普通の人間では聴こえない音で通信し意思疎通する。
何故モミジが会話できているとかと言えば、かつて似たような存在と意思疎通する機会があったからだ。
目や様々なモノが退化し、普通の人間からかけ離れている彼らは、意思疎通が唯一出来るモミジに助けを乞うた。
我らの聖域を侵す者達がうっとおしいと。助けてくれと。
モミジは対価を貰えるならと、その願いを聞き届けた。
モミジは彼らの守る場所を異界化させた。普通の手順では迷ってしまい、進入する事は不可能な場所に。
モミジは対価として、その地に生える薬草と彼らの労働力、彼らの細胞を手に入れた。
その薬草から抽出された成分と、彼らの細胞も大いに役に立った。
そんな薬草の成分や、彼らの細胞と飛段の細胞を魔術で掛け合わせ、かつての大蛇丸の計画を、一笑に伏せるレベルの神秘を産み出した。
もちろん大蛇丸自身の身体にも利用している。モミジが言うには『彼らはまるで、Cure.Virus-P-Carrierだ……』との事。
彼らの細胞はレトロウイルスの一種でもあった。様々な障害をブレイクスルー。つまるところ、大蛇丸やモミジが求めていた存在でもあった訳である。そんな細胞を持つ彼らが聖地と称している場所に生える薬草と、彼らの細胞を掛け合わせ、不老だけでなく、不死すら可能とした。
普通、そんな細胞を移植すれば拒絶反応が起こる。そこに柱間細胞が多いに役に立つ。
精神の問題が無い大蛇丸は、さっさと素体を作り、不老不死へと辿りついたが、精神面の問題があったモミジは実行できなかった。
そこに魔術的要素により、精神面をカバーする為の世界の外的因子。黒魔術によって誕生した飛段細胞がフィットしたのだ。
未知の神秘の連続に大蛇丸は興奮した。研究大好きっ子の大蛇丸は、それはもうウキウキとしながら研究の日々を送ったものだ。
そして、モミジの精神的な根幹を揺るがす存在から魂を分離する手段を、大筒木カグヤの補助により獲得したモミジは……
かねてより計画していた己だけの身体の取得へと行動を移す。これにより彼を縛る枷が外れた。
それに身体面だけではない。音の里の急激な発展や開拓は、彼らの労働力があってこそだったのだ。
まるでどこかの世界の、ハイヴのような構造の地下迷宮。その規模、フェイズで言えば5は確実だ。
その地下迷宮は、歴史に否定され、世界に疎まれ、滅びが運命だった者達の最後の
何故そんな迷宮を作らせたかと言えば、日向モミジの計画に必要不可欠だったためだ。
肉体の不備を解決したモミジは、計画を最終段階へと移行する。
▽
木の葉の里の根のアジト。その地下深くで女装しているダンゾウと牢に入れられているカカシが居た。
女装し、何故かカカシの使っていた渦を巻いているような面を付けて、ダンゾウはカカシと対話する。
「お前たちは悪だ、滅ぼさなければならない。父さんやリンを見殺しにした畜生だッ!」
「先ほども言ったはずだ……それはお前が見た幻だ」
「嘘だッ!」
「嘘ではない。何故なら、のはらリンも、はたけサクモも……生きている」
「!」
驚愕の表情で、ダンゾウの背後から現れた二人の人間を凝視するカカシ。
それは死んだはずのリンとサクモであった。二人はカカシに笑顔を見せている。
「じゃあ……木の葉はわるくないのか?」
「木の葉はとってもいいものよカカシ!」
「ああ、悪いモノじゃないぞカカシ」
リンとサクモの二人は、カカシに笑顔で語りかける。
戸惑う表情から一転、カカシは満面の笑顔になる。
「どうやら俺は……間違っていたらしい」
「このうっかりめ。じゃがワシは許してやろう。寛大な心を持っているからなワシは」
リンとサクモ、二人の笑い声と共にカカシも笑顔になる。ダンゾウもそんな三人を笑顔で見守る。
そんな4人を離れた場所から見守る影が居た。
「うむ。笑顔が一番じゃのう」
「でしょう?」
三代目火影ヒルゼンと影分身の日向モミジ。
そもそもリンもサクモも死人だ。彼女らはモミジが蘇らせた穢土転生体だ。
幻術の中で生きるカカシにはわからないだろうが、ダンゾウは知っていて、カカシに幻術をかけながら暗示と洗脳を施す。
「これも一種の救いよな。無理を言ってすまなかったのう。モミジよ」
「別に良いよ。それより……変わったね火影さん」
三代目火影ヒルゼン。彼はモミジの幻術にもかかっていないし、傀儡でもない。
「全て儂の不徳が招いた事態。自覚したんじゃよ……お主にかけられた幻術の中でな、儂は儂の甘さを」
「……」
「甘さだけでは、守りたいモノも、この手から零れ落ちてしまう……ダンゾウにも昔から言われておったが……それを再認識しただけじゃ」
「そっか」
「お主にも散々言われたが、まだ認識が甘かったようじゃ……儂がもう少し早く決断出来ていれば、ナルトもさらわれずに済んだのにのう」
「人柱力は難しいからね色々と」
「ダンゾウも儂も、変わった。変わらざるを得なかった。もし、あのまま甘い理想に溺れていた儂じゃったら……」
ダンゾウか大蛇丸に殺されていたかもしれんのう。そうモミジに零す。
それはどこかの世界、時代で起こりえた可能性。その可能性をモミジは潰す。
「ついでにミナトとクシナ、他の者達も頼んで良いか?」
「はいはい。その代わり……わかってる?」
「約束は守るわい。それに他人事でもないしの。儂も火影として、いや、この世界に生きる一人の人間として、この世界を守らねばならん」
「なら良いよ。マダラやゼツ達が片付いたらお願いね」
「うむ」
い
二人の里長は密約を交わす。かつて交わした約束と
か
還
る
べ
き
場
所
の
為
。
▽
水の国。霧隠れの里。その近海にある水中深くのとある施設に、水影メイと日向モミジの影分身が居た。
その施設は、現在謎の勢力から各里が宣戦布告された中でも、色々な里の者達で賑わっている。
「結構賑わってるでしょ。え、本来の目的? あっ……大丈夫よ! 忘れてないわよ。私を信じてモミジちゃん!」
「何か不安になってきた……」
水影であるメイと度々会っていたのには理由があった。やくもの件もそうだったが、日向家に対する行動の問題を解決するために、彼女達はよく話し合っていた。
結果的に平和的な解決策へと乗り出すことになったのだが、当時のメイはただの上忍。そこでモミジは彼女が水影になるように暗躍した。
そういったしがらみを解決し、無事水影になった彼女に個人的なパイプが出来たモミジは、彼女にある提案をした。
とあるテーマパークを作ろうと。メイはあまり深く考えずに、霧隠れの里の近海の水深17m~51mの領域に四層からなる建物を建造。
そのテーマパークは水の国の観光施設となった。そしてソレはある目的のための、重要な資金調達源となっていた。
その豪快な手腕により、水影になったメイに不満を抱く者達も、彼女を崇拝するくらいには霧隠れの里は変わった。
「我らも協力する故、心配ありませんぞモミジ殿」
『シュコー』
ミフネと半蔵。彼らも里の忍やサムライを、この施設を作る為に派遣し、いつか来るだろう問題の次善策として、この施設を作る為に手を貸していた。
このテーマパークは音霧滝サムライの4ヶ国の協力体制の元作られた。減圧症やらなんやらの細かい問題はサムライの技術により解決。
高圧力送風機は何故か半蔵が作った。彼は意外と機械関係に強い。音の忍も協力し作った施設でもある。
子供や忍が遊べる広大なテーマパークではあるが、本来の目的は違う。
ここは本来、緊急時に避難する為の場所として作られている。モミジは各里に似たような施設を作ろうとしたが、時間と金、そして人が足りなかった。
故に二ヶ所。それもこれも二代目火影である扉間のせいである。
「カウンターのカウンター。不確定要素による被害を最小限にする為の投資。ま、無駄になっても良いけどね。メイちゃんウキウキで嬉しそうだし」
「だから忘れてないって言ってるじゃない。拗ねないで。ホラホラ」
「いや、誤魔化そうとして、モミジ殿にセクハラをするのはどうかと思いますぞメイ殿……」
この世界における億万長者トップと化した照美メイは、本来の目的すら忘れ、男漁りツアーを開催し、自身も度々いく位には懐も心も余裕である。
その慢心故か、他の影達よりも能天気である。これはモミジによる幻術や思考操作ではなく、完全に彼女自身の問題だ。
モミジは出会った当初、多少弄りはしたものの、すぐ解除してある。ほって置くととんでもない方向へ行きかねないからだ。
そういった経緯があり、かつてメイ以外の影達が会議の結果、忍連合軍を結成するに当たって、資金面や様々なモノを考えた結果、メイを連合軍のリーダーに推薦するに至ったのだ。
大半の原因は、メイが寝ていたせいではあるものの、概ね理に適った采配なのだ。もちろんその決定には、モミジが一枚噛んでいるが。
「長門、ほらあっちにイルカ」
「小南……少し休憩しないか……」
『キュイキュイ(殺して救済してやろうか)』
新婚旅行中の夫婦が分厚い防水ガラス越しに、イルカを見ては、はしゃいでいる。そのイルカは可愛い笑い声で客達をたのしませている。
「シズネよせ! 私は乗り物ではない!」
「いっけー綱手号!」
医療忍術の師弟も遊んでいる。だが、ここの医療スタッフだ。
「角都さん。貴方、たい焼き屋を始めたんですか……結構お似合いですよ」
「茶化すな鬼鮫。飛段の借金のせいだ……」
角都のたい焼きコーナーは子供達にも大人達にも人気のコーナーだ。
「兄さん! 俺もたい焼き食べたい」
「サスケ、落ち着け」
「兄さんはオレ○ばっかり食べさせるし、食べ飽きたんだよ○レオ」
「サスケェ! 俺はお前をオレ「イタチ兄ちゃん俺にも買ってくれってばよ!」ふむ。少し俺も浮かれていたな、ナルト君にも○レオをあげよう」
『もうオ○オ飽きたってばよ』と、のたまうナルトに、笑顔でオ○オを食べさせようとするイタチ。サスケはすかさず逃げ出した。だが、ナルトは動くのが少し遅かった為、イタチに捕まった。
少々働き詰めで、イタチもストレスが溜まっていたのか、今は伸び伸びとはしゃいでる子供達に感化されたのか、同じように楽しんでいる。
「ナルトもサスケ君も少しは遠慮したらどう? すみませんイタチさん」
ナルトやサスケ、サクラや鬼鮫とイタチ。木の葉の面々もこの施設に観光という名目で避難している。
モミジは前々から避難させるようにと三代目に言っていたのだが、三代目が渋ったせいで一度はさらわれたナルト。
だが、現実を認識した三代目は彼らを避難させる事にようやく同意した。
今は修行も兼ねてこの施設で班員やビーと共に滞在している。
ビーは伸び伸びとラップ修行の旅に出かけていたのだが、襲われてからようやく自覚したのか、己が狙われている事を再認識する。逃げる最中、タコ足を一本犠牲にしたが、本人はあまり気にしていない。
だが、里に帰れば雷影に雷を落とされ、渋々ラップの旅は中止。モミジからの提案もあり、この施設へ行く事に。
故に、このテーマパークへと避難しているのだ。そして、そこで出会ったナルトと意気投合。二人は歳の離れた友達となった。
「YOYO ナルト。あんまんだってばよ」
「俺の口調真似すんな! ビーのおっちゃん! そのあんまんよこせってばよ」
「こらこらナルト。あまりビーさんに迷惑をかけるなよ」
「えー! 俺よりオビト先生の方が迷惑かけてるってばよ!」
トイレから出てきたうちはオビトは、いつも通り賢者タイムだ。
綱手とシズネを見て、何かを膨らませて引率であるはずが、その仕事を放棄してトイレへと駆け込んだのである。
これにはサクラもニッコリ。『あんたが一番迷惑かけてんのよ!』オビトは再び宙へ舞い、トイレに放り込まれる。
他にもデイダラの粘土教室、サソリの傀儡教室等、子供達にも人気のコーナーがある。
デイダラの粘土教室には、勝手に住み着いたツチが、勝手に助手を担当しては、デイダラの芸術品を改造している。
『天才塾かな?』と零すモミジは、ブリーフ一丁のおっさん達を幻視していた。
そんな施設内で、モミジやメイ、ミフネに半蔵は打ち合わせを開始する。
これから来るであろう。様々な困難を共に乗り越える為に。彼らは、彼女達は動き続ける。
人物系
目の退化したアレ 確かアニメの300話くらいで出てる この世界ではCure.Virus-P-Carrierみたいなモノ
照美メイ この世界トップのお金持ち だが彼氏は居ない
綱手号 シズネちゃんの玩具
角都 たい焼き屋さん