ヒナタの姉はやべーやつ   作:闇と帽子と何かの旅人

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音のアイドル達の日常

 死んでは生まれる、死んでは産まれる。違う世界で。同じ容姿で。何度死んでもこの身に宿る痛みは終わらない。誰かを助けても終わらない。善行を積もうが悪行を積み重ねようが必ず俺は病死してしまう。

 

 俺を終わらせようと京輔君のように嫌気がさして自害してもウマレル。そもそも後悔で戻るならこの黄泉返り自体が後悔だ。色々な方法で自害する事十数回、自害アプローチはやめた過去がある。今思えば無駄な足掻きだった。

 

 逃避するようにこれは仮想現実で、俺は壊れた楽園計画に接続されてる検体だと思い込みながら機械的に生活する事もあった。

 眠り姫どこだよ。自分接続切っていいっすか。なんだよこれ。なんで終われないんだよぉ! 団長ォ! と叫び狂った事もあった。狂おうが止まらないんだけどね。止まれや。

 

 贄の血とやらで延命できるかどうか実験した事もあった。だが結果は空振りである。むかついて鬼共に無双したのはクロの歴史だ。無双してすぐ血吐いて死んだからな。恥ずかしい。空振ってなけばれあの世界にまだ居たんだろうな……桂ちゃんは本当に良い子だった。

 

 どっかの箱になりたいマリアちゃんみたいに27755回頑張って生きていれば、俺のハサウェイが助けてくれると容姿のような少女じみた幻想に取り付かれた事もあった。

 無論そんな存在は皆無だ。白いウサギに出逢えなかったアリスのように、祈りは神に届かない。神が居たとしても三つ目のインド人だな。

 

 拒絶する教室ならぬ拒絶する宇宙かな? 茂木さんと結ばれるから許して。そもそもハサウェイどころか大蛇丸に捕まったね。俺が大蛇丸捕まえたんだっけ。

 

 「なんてことだ……わたしが大蛇丸のハサウェイだったのか……」

 「モミジ先生大丈夫? 笛ふく?」

 「多由也は優しいね、ありがとう」

 「えへへ」

 

 あんにゅいな俺の心配をしてくれる多由也ちゃんは天使だと思いました。ちらりと他の女生徒を見ればキンと香燐はネイルを塗るのに忙しいようだ。おしゃれに目覚めたんやね。

 

 気を取り直して、現実に眼を向けましょう。音の里長兼音の忍者アカデミー学院長である俺なのだが、生徒がやんちゃでもう大変です。教師もやんちゃでまるで動物園です。

 生徒と言えば鬼童丸が『これが覚醒した俺のステージぜよ』と糸を出して暴れては、次郎坊がオリハルコン製ゴーレムを召喚して抑えようとしている。正直一緒に暴れているようにしか見えない。

 右近が『我が恐怖の門を開けッ!!』と叫びながら謎の門を召喚しているし、左近が『ちっちぇえなあ』と憑依合体してるのに右近を挑発している。いつも女装している水月は『いつからボクが女だと錯覚していた?』と男である事を重吾にカミングアウトし、重吾は『もう男でもいい……だから……ありったけを……』とバイをカミングアウトし、見事カップルを成立させていた。水月お前男だったのか……俺より女の子になる才能あるわ。

 

 幻幽丸だけ『もう一匹いたのかよ……』とお外で蝶を追いかけているが、音の里の風物詩なので問題ない。

 お前らやべーやつに育ってしまったな。俺の教育の賜物ですね。特に右近はその内、猫のような笑い声を上げるに違いない。

 

 教師も教師で、教師として雇っている紅蓮は酒飲んで俺に膝枕させて寝てるし、桃地再不斬は白に電気按摩されて使い物にならない。鬼兄弟は凄まじく真面目な表情をしつつ神の一手を極めるとか呟きながら囲碁を打っている。仕事しろ。

 日向一族からコウでも呼んどくべきだったか、ナツでも良かったが。俺の付き人だったが今はフリーで暇しているはず。暇だろ手伝えやって言えば来るだろうか。

 近々音の動物園の園長という肩書きも増えそうである。一般的な里長なら過労死しかねないな。俺は超里長なのでその心配も無いが。

 

 ついでに言えば定期的にヒナタの所に送る影分身を回収しては送るを繰り返しているのだが、何故か俺が木の葉の里ですら先生をするはめになった。

 主にガイとリーのせいである。彼らは人の言う事を聞かないからなぁ。三代目も彼らの事はいないもの扱いだ。良かったな忍者の世界で、アナザーなら死んでるぞ。

 

 いないものの二人は青春探しの旅に出ると宣言し、各国を周りはじめたそうだ。

 

 そのせいで俺が旧ガイ班の担当上忍をするはめになってしまっていた。旧ガイ班のメンバーまで面倒見るとかオーバーワークだわ。木の葉の里に影分身の俺が5体も居るぞ。その内俺の影分身だらけになるんじゃないかな。

 そう言えばイタチが暁に潜入する仕事に就けたそうで同期として安心した。無職だとサスケとナルトにジト目で見られるもんな。出世頭の俺と比較されるのは辛かっただろう。影分身の俺も結構大変な毎日を過ごしているようだが、そんなものは別の俺が負担する事なので関係ないね。

 三代目も毎日お色気の術を習得したダンゾウと毎日修行しているらしいし、木の葉の枯れた葉もまだまだ現役だなと思う。

 

 しかし何故俺は二つの里で教師をしなければならない羽目になったのだろうか。

 

 そもそも教員免許すら持ってない俺はグレートなてぃーちゃーではない。どちらかと言えばお願いされるてぃーちゃーである。優しさがモットーデース。ヘイ大蛇丸。血が足りないネー。

 しかしどうするかねこの動物園。いくら休みの時間兼道徳の授業中なのだが、そこまで俺の授業中はリラックスできるのか君達は……と、そんな風に多由也の頭を撫でながら現実逃避しているとやって来ました大蛇丸教頭先生。

 

 「騒がしいわね。殺すわよ」

 

 一瞬で静寂を取り戻す教室。賢く座る生徒達(幻幽丸を除く)。寝ていたであろう紅蓮は俺の後ろに隠れ、再不斬と白は保健室へ消え、鬼兄弟は水溜りになった。

 

 「ちゃおーわたしのハサウェイ。教頭が板に付いてきたね」

 「くだらない事言ってないできちんと躾なさいよ。貴女舐められてるわよ?」

 「息抜きは必要だよー。何事にも……ね」

 

 舐められている訳ではないと思うんだけどなー。きちんと言う事聞いてくれるし。厳しく言うと皆直立不動で軍隊みたいになるから嫌なんだよね。

 故に俺は飴の係になろうと思ったのだ。鞭ばっかりじゃ子供は育たない。教師陣は知らん。それは大蛇丸の仕事だ。

 

 「はぁ……私の仕事を増やさないでちょうだい。聞いてるかしら鬼兄弟」

 

 水溜りに話しかける大蛇丸は非常にシュールで俺は笑いを抑えきれない。観念したのか鬼兄弟は水溜りから人に戻ると俺に助けを請うように叫んだ。

 

 「「俺達は悪くねぇ! モミジ様が言ったんだ! 『わたしの授業中はリラックスしていいよー』と! 故に俺達は神の一手を極め続け……ゴフゥ」」

 

 そんなアクゼリュスを崩壊させて犠牲の英雄にでもなったような台詞を吐きながら、大蛇丸の神速の一手によって彼らは血溜りになってしまった。

 また腕を上げたな大蛇丸よ。神の一手に一番近いのは大蛇丸なのかもしれない。

 

 「言い訳は嫌いよ、こうなりたくなかったらモミジの授業中もきちんとなさい」

 「「俺達は……悪くねぇ……」」

 

 喋る血溜りに御通夜ムードの教室。ちょっと鞭が強すぎる気がしないでもないがこれが音の里の流儀だ。 

 俺が拾ってきた手前、もう少し音の常識を教えた方が良かったかもしれないな鬼兄弟。いや、俺がここの常識教えたんだった。わはは。

 

 「モミジ行くわよ。薬が出来たわ」

 「……わかった。それじゃ業頭と冥頭と紅蓮、後はお願いねー」

 「「――イエスマイレディ」」

 「わかりましたモミジ様」

 

 紅蓮は大蛇丸が苦手。大蛇丸をいないもの扱いするレベルでだ。その内ストレスが爆発してどこぞの爆弾魔みたいに、爆発を見ては美しいとか言い出すようになるかもしれない……暁に似たようなの居るしソイツも講師に雇ってみるのもいいかもしれないな。それにしても大蛇丸怖がられ過ぎでしょう。紅蓮ちゃんのせっかくの可愛い顔が強張ってかわいそうに。

 血溜りから復活した業頭と冥頭は無駄にかっこつけて執事みたいにお辞儀している。やっぱり俺の教えた常識は間違っていたのかもしれない。

 

 さあ、息抜きの時間はおしまいだ。こう見えて俺は常にある痛みによってストレスでやばい。お薬の時間だねと、主治医である大蛇丸に連れられてアカデミーを後にした。

 

 

 

 

 「どうかしら。一応改良してはみたのだけれど」

 「あー……だいぶましになったかな。ありがとう大蛇丸」

 

 俺があんにゅいな気分に包まれていたのは内臓の痛みによるものだ。耐性が出来たのか、俺が作った薬では効かなくなっている。

 

 「ごめんなさいね……飛段の細胞でも採取できれば良いのだけれど……」

 「そっちはそっちで大変でしょうに。暁に潜入しつつ構成員の細胞摂取なんて中々出来ないと思うよ。でも出来れば欲しいかな飛段とかいう奴の細胞。柱間細胞での実験も空振りだったからねー。もう少しわたしの方でも色々試してみるけど」

 

 イタチと共に頑張ってるらしいというのは俺の影分身から聞いている。暁のメンバー内に不死者が何人か居るようだが、飛段というのしか俺や大蛇丸のお眼鏡には叶わなかった。

 

 「ええ、私も頑張るわ……貴女にかけられてる呪いの一欠けらでも理解できたら、もう少し研究も進むのだけれど、言い訳ね」

 「君の願いを叶えたのだから、わたしの願いも叶えてね?」

 「……ええ。絶対に」

 

 大蛇丸の願いは不老不死と未知への探求。その程度の願い。悠久の時を過ごした魔術師である俺にかかれば余裕だ。他にもあるらしいが、それは自力でやれ。

 俺の肉体は呪いのせいで。生きたくても長く生き続けられない。今は大蛇丸に協力してもらっているが、現状維持が精一杯。 

 柱間細胞というIPS細胞みたいなものと、俺の細胞を掛け合わせて培養した臓器を現在移植しているが、焼け石に水で薬の投与は欠かせない。

 

 皮肉なモノだ。赤の他人は不老不死の存在へと変える事ができるのに、肝心の自分自身を不老不死に出来ないとは。

 ふざけた話だ。イライラする。また繰り返さなければならないのか。またあんな思いをしなければならないのか。無力な少女だった頃を思い出し、意識は完全に宇宙か何処かに存在する神か何かへの憎しみと殺意で溢れる。

  

 「私が貴女を死なせはしないわ」

 「……」

 

 断言しているが大蛇丸よ、お前はそれほどまでに万能か? 本当に俺を治せる目処など立つのか? 信じていいのか?

 同情しているかのような真剣な眼差し。かつての弟子達と同じように俺を見詰める目。そういう類の目が俺は嫌いだ、俺の中にある"私"が一番嫌悪する目だ。

 

 同情し見下して、私を見るあいつらの目が嫌い。揃いも揃って馬鹿ばかり。役に立たない、ゴミと屑ばかりの世界。

 

 ……死にたくない。まだ生きていたい。病死するのが運命だと言うなら運命を許さない。何度だってやってみせよう。かつてと似たような事の繰り返しになろうとも諦めはしない。足掻いてやる。せいぜい私の役に立て塵共。

 

 「貴女は身体が治った後の事を考えておいてちょうだい」

 「……」

 「ろくでもない事を考えてないで、これからの人生設計でも立ててなさい。貴女、顔に出てたわよ」

 「……悪いけど、もう話す事は無いかな。少しほって置いてくれない? 一人になりたい気分なの」

 「……わかったわ」

 

 哀れんだ表情を浮かべながら部屋から出て行く大蛇丸。うっとおしい。そういう態度が私は一番嫌いだ。何度も見て飽き飽きだ。同情されて逆上した事もあったな……まだ俺が私になってなかった遠い過去だが。

 

 頭を振り"俺"は気持ちを落ち着ける。俺の中の私は過去の技術と刷り合わせて今の世界でも実現できそうな方法を模索する。

 臓器移植や薬による延命措置もその内効かなくなるのは目に見えている。封印術も調べるか。魂の磨耗による肉体の劣化。否、違う。屍鬼封尽を試してみるのもアリか?

 仙術の応用で魔術を使っているが、そもそも本来の魔術が使えれば……無いものねだりはしないほうがいいか。何もしたくなくなる。

 

 今の俺は日向一族……ああ、そうか。

 

 延命措置で一番簡単な方法は子供を産んでソイツの肉体を奪う方法だな。大蛇丸がかつて計画していたモノに似ている。いや……まだ致命的なまでの肉体のダメージは無い。焦るな俺。

 他者の肉体の奪取は根本的な解決にはならない。かつての俺が通過した過去に過ぎない。肉体を変えようが結局死んでしまう。そうだな……仙術関連と封印術関連を組み合わせてみるか。出来るかは知らないが。

 

 もしそれでも駄目だったならば、うちは一族を使って戦争でも起こさせるか。進入した事の無い里の医療技術を盗めば使えるモノもあるかもしれない。

 そう、戦争に医療技術の発達は付き物だしな。色々試せばいいのだ。選択肢はまだ沢山あるのだから。自暴自棄になるのはまだ早い。穢土転生? アレは生きているとは言えないし、この内臓の痛みが治る訳でもない。そんな地獄のような苦痛を、永遠に味わうだけのモノに成り下がるくらいなら世界を滅ぼして次に賭ける。

 

 まだ足掻こう。叶うのならば、この世界で身体の痛みを感じずに長く生きたい。

 

 

 

▼ 

 

 

 火影岩の上で戦っている三代目とダンゾウは幻覚だ。でなければ日常風景と言う事にしておこう。でなければ精神衛生上悪くて身体壊しそう。

 

 「忍法・お色気の術」

 「忍法・お色気の術」

 

 三代目とダンゾウの女装姿が見られるのは木の葉の里の火影岩の上だけ。新しい観光名所かな。見世物にもなりゃしないと思うが。

 何故女装しながら戦っているのか。俺には理解できない。恐らく録画した水晶で目覚めた三代目と目覚めざるをえなかったダンゾウに、譲れぬ思いと何かが混ざってアクセルシンクロしたのだろう。

 根の奴らが興奮しながら結界を張ってなきゃ火影岩は崩れてたね。ほんと有能だが腐ってやがる。こいつらに女装は早過ぎたかもしれない。

 

 元祖お色気の術の開発者うずまきナルト氏にインタビューをした事があるが『ああはなりたくないってばよ……』と開発者らしからぬ否定的なコメントをいただくほどには早過ぎたんだろうな。

 

 「モミジせんせー修行しないんですかー?」

 「もう少しまってねー。オイタをしたネジにお仕置きしないといけないから」

 「はーい」

 

 それに比べてテンテンはいい子だわー。ちゃんと言う事聞いてくれるし、だがネジお前は駄目だ。いくら子供だったとは言え、ヒナタに八つ当たりしていたのだから。

 ヒナタの姉として罰を与えなければならない。けして三代目とダンゾウからインスピレーションが降って沸いたわけではない。

 

 「モミジ様……勘弁してくれませんか……」

 「ネジちゃん可愛い! モミジ先生ちょーセンスあるぅ!」

 

 げんなりしているネジに少し興奮しているテンテン。やっておいてなんだが、ネジよ女装が似合い過ぎているぞ。

 

 「今はわたしが担当上忍です。文句がある班員は三代目に言ってね。と言うわけで今日から可愛いネジちゃんをよろしくお願いねー」

 「女装が似合う己が憎い……っ!」

 「面白いのでおーるおっけーでーす! というかマジでネジ女の子だね。というか女の子でしょ。こっちの服も着てみない?」

 

 今日から当分ネジは俺とテンテンの着せ替え人形だぜ。後で写真とってヒナタにあげよう。少しは溜飲が下がるでしょう。

 己の不運を呪うがいいわ。ネジよ。俺の本体は恐らく男の子の日。分身である俺も少しイライラしているので間違いないでしょう。

 というかガイとリーよな、何が青春探しの旅だよ。意味不明すぎるぞ。オビトもこれには苦笑いで『カカシ……俺間違ってたよ……』とか言いながら昇天しかけてたぞ。

 

 だが、奴らのおかげで木の葉に堂々とスパイとして居られるのだから、その点では感謝はしておこう。

 さてと、これからこの子達を自分流で鍛えてみるかね。普通の上忍クラスにはしてあげよう。これでも育成は得意だ。過去の弟子達はたまに斜め上どころか宇宙に飛び出して亜空間戦闘を行ってしまう奴も居たが、それはご愛嬌。

 

 その内木の葉は女装隠れの里として機能しはじめるんじゃないかと思うぐらいには、今日の天気はいい天気だ。




アイドルとプロデューサー紹介

多由也 やさぐれ系アイドルから癒し系アイドルに転向した 担当はモミジP

モミジP 様々なアイドルを世に送り出している敏腕P 早死になのがたまにきず

犠牲の英雄 7歳児にしてその身を犠牲に世界を救う犠牲界のトップアイドル 担当はヴァンP

飛段 柱間細胞に匹敵する細胞を持っているかもしれない邪神系アイドル 担当は大蛇丸P

テンテン 女装したネジを見て何かに目覚めかけているPの卵

ダンゾウ&ヒルゼン 木の葉初の女装ユニット 担当はナルトP
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