吸血鬼少女   作:フリッカ・ウィスタリア

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何事もなく毎日が過ぎていき、ルナは廃校での暮らしにも慣れて来ていた
何事も慣れ始めが危険という。その言葉を証明するかのように怪しい影が廃校に忍び寄って来ていた…


学校の怪談

この建物に住み始めて、もう数年が経とうとしていた

一応の為、時々自分が国際指名手配されていないか調べるために近くのショッピングモールへ出かけて行ったりしているが、今回ばかりは警察も私の足取りを掴めていないようで私に対する情報は日本に来ていなかった

それに加え、夜も寝ずに(尤も吸血鬼の活動は夜が普通だが)日本語を勉強したおかげで専門用語などは流石にまだまだ拙いが、ドイツ訛りも少しずつ抜けてきて日常会話には困らない位には日本語が話せるようになった

そのため、この建物が小学校だったという事は結構最近になって気付いた

そんな個人的には驚愕の事実があった事(あと阪神淡路大震災もビックリした…)を除けば平穏な生活を送っていた

しかし、今回も例に洩れず長くは続かなかった

私がいつもの様に山を駆け回って野生動物から血を分けてもらいに行って戻ってくると、帰り道に見覚えのない足跡があった

ルナ「なにこれ?獣…じゃないよね…人間?」

明らかに自分のものではない足跡をたどって進んでみると、辿り着いたのはルナの住んでいるあの学校だった

ルナ「私の家に入って行ったのね…でも、こんな時間に誰だろう?元からここは廃校になってるんだから空き巣ってわけでもないだろうし…」

とにかく誰が中に入って行ったのか調べるためにルナは集めてきた血を一旦物置に隠し家の中に入った

 

同時刻 侵入者サイド

美代子「ヒェー、薄暗くて怖いね…」

大和「へぇ、美代子でもビビるもんがあるんだね」

美代子「私だってこう見えて女の子なのよ?」

麻衣「そうよ、幾ら美代子が男勝りだからって失礼よ」

美代子「麻衣も大概失礼だからね?」

私達三人は少し前に大和が見つけたという廃校に肝試しに来ていた

どうせ暇だしと思って来たが、正直早く帰りたい…

大和「よし、踊り場に行こう」

麻衣「そこに何かあるの?」

大和「この学校の七不思議のひとつだよ」

美代子「へぇ、そうなんだ」

大和「この学校は廃校になる前から変な噂が多かったらしいんだよね」

大和はそう言うと、聞いてもないのに内容を話し始めた

手短に言うと大和の話した七不思議の内容は聞き慣れた噂しかなかった

美代子「とにかく、その七不思議の場所を全部確認したら引き上げるのね?」

大和「ああ、そのつもりだよ。あんまり夜遅くまで帰らなかったら母さんに怒られそうだし」

麻衣「大和のお母さん怒ったら怖いもんね…」

そんな三人の話を陰から聞いている者がいた

ルナである

 

ルナサイド

ルナ「(え?何あの子達、なんの話をしてるの?)」

私が耳を澄まして聞いてみると、どうやらあの子供達(見た目は年上だけど)は肝試しをしようとしているらしい

ルナ「(まあ、人目を憚って生活してたんだから誰も居ないと思ってるのが普通よね)」

とりあえず、私の事を探しているのではなさそうだと分かったので、あの三人に見つからないように立ち回ってやり過ごそうと考えた

その為、三人に気付かれない距離感を保ったままで帰ってくれるまであの三人を尾行する事にした

 

数分後

大和「噂の踊り場は…ここだね」

ルナ「(え?あんな所で立ち止まって何してるんだろう?)」

急に踊り場で立ち止まって大きな鏡を凝視している少年を見て私は思わず訝しげな表情を浮かべた

麻衣「どう?何か起きそう?」

大和「…いいや、別に何も起きそうにないね。そもそも今4時44分じゃないし」

微かに聞こえる少年達の話に私は首を傾げた。4時44分だったら何が起こるというのだろう?(ちなみに今は夜中の11時)

大和「じゃあ次の場所に……え⁉」

その時、私は近くにあった排水管に足が当たってしまい、少し音が鳴ってしまった

美代子「ど、どうしたの?」

大和「い、いや、今一瞬、階段の下から音がした気がして…」

美代子「ちょっとやめてよ…余計に怖くなっちゃうじゃない…」

大和「ご、ごめん…」

どうやら少年以外はルナが立ててしまった物音に気が付いていなかったようだ

大和「と、とりあえず、次の場所に行こう」

麻衣「私も怖くなってきちゃった…」

そんな事を言いながらも少年達は次の部屋へ行くために階段を上って行った

ルナ「危なかったぁ…危うく見つかっちゃうところだったわ…」

普段は排水管の位置など気にもしていなかった為、音を立てた自分が一番驚いてしまった

ルナ「(今の事で少し警戒してるかもしれないから、一応の為、少し距離を取ってあの子達を追わないとね)」

もう二階に三人が上がったことを確認した私は足音を立てないようにそっと階段を上って行った(飛んだら羽ばたき音とか響きそうだし)

 

理科室

美代子「ここの噂は…人体模型だったっけ?」

大和「うん、夜になると人体模型が無くなった心臓を探すために動き出すんだよ」

麻衣「じゃあ、さっそく人体模型を探そう」

三人は別の場所を探しに行った

ルナ「(どこに行ったかと思ったらここに居たのね…)」

私が三人に追いついた時には既に三人は探し物を始めていた

ルナ「(それにしても、何を探してるんだろう…)」

大和「…あった!こっちに人体模型あったよ!」

美代子「ようやく見つかった…」

ルナ「(なんで人体模型なんか探してたんだろう…)」

麻衣「あれ?でもこの人体模型、心臓あるよ?」

大和「という事は、この噂自体が嘘だった可能性があるね。一つの学校に二つも人体模型置いてるような所あんまりないだろうし…」

ルナ「(心臓?あぁ、あの棚の間に挟まってたやつね)」

ここに来てまだ間もない頃、部屋を一つ一つ回って暇をつぶしている時に理科室の棚の間に人体模型の心臓が挟まっていたのを見つけて戻しておいたのだ

大和「次は…音楽室か」

そんな風に三人は次々と七不思議の場所に行って回った

 

30分後

大和「よし、次で最後だね」

麻衣「ようやく終わるのね…」

美代子「それで?最後は何処だっけ?」

大和「1階の女子トイレの4つ目のトイレに居るって言われてるトイレの花子さんだね」

ルナ「(花子さんって言うのは知らない名前だけど、1階のトイレに行くのね)」

ここに来てルナの心にちょっとした悪戯心が芽生えた

ルナ「(先回りしてちょっと脅かしちゃおうっと!)」

 

1F女子トイレ

ルナ「確か4つ目のトイレだよね…」

私が先回りして女子トイレに来て4つ目のトイレに忍び込もうとすると、トイレのドアが壊れているのか開かなかった

ルナ「そういえばこのトイレ、ドアが歪んで開きが悪いんだったね」

あまりゆっくりしてるとあの三人が来ちゃうし、上から入ることにした

トイレの中に隠れていると、あの三人と思しき足音が聞こえてきた

美代子「早く帰りたい…」

大和「いつも強気な美代子も心霊スポットには敵わないか」

麻衣「でも、何処の場所でも大和の勘違い以外は変な事起きなかったし、大丈夫よ」

大和「そうだね。ところで、ここは女子トイレだし、美代子か麻衣が行ってきてよ」

美代子「え⁉嫌だよ!怖い!」

麻衣「じゃあ、じゃんけんで負けた方が行くってのでどう?」

美代子「う、うん。わかった…」

ルナ「(早く入って来てよ…)」

ちょっと待ってみると、じゃんけんの決着がついたようだ

麻衣「なんでこんな時に限って負けちゃうのよぅ…」

ようやく入ってきたようだった

麻衣「えっと…4つ目だよね?」

一つ一つトイレを数えて少女は私の入っている4つ目のトイレの前で立ち止まった

コンコンコン

麻衣「は、はーなこさーん、あーそびーましょー」

ルナ「(キタキタ…)」

私はあえて一度目は無視した

麻衣「良かったぁ…返事がなかった」

ルナ「アソンデクレナイノ?」

できるだけ不気味な声を出してみた

麻衣「っ⁉キャァァァァァァァ!!!!」

とてつもない絶叫を上げられた

ルナ「(びっくりしたぁ…)」

美代子「麻衣⁉大丈夫!?」

麻衣「み、美代子!返事!返事した!!」

美代子「そんな訳ないでしょ!?」

どうやらもう一人の少女も入ってきたようだった

というか、女の絶叫が聞こえたら男が先に入って来るもんでしょこういうのって…

美代子「み、見てなさい!」

コンコンコン

美代子「はーなこさーん、あーそびーましょー」

今度は少し趣向を変えてみる事にした

美代子「ほ、ほら、何にも起きないでしょ?」

コンコンコン

美代子「え?」

コンコンコン

美代子「な、なんで扉をノックする音が…」

ドン!ドン!ドン!

麻衣「や、やっぱり花子さんが居たんだよ!」

ドン!ドン!バキィ!

ルナ「(あっ、やっちゃった…)」

一瞬どうしようか迷ったが、出て行って脅かすことにした

ルナ「ナンデコワガルノ?ワタシコワクナイヨ?」

壊れたドアを押し開け、二人の前に姿を現した

ルナ「(少年も後ろに居たのね…)」

美代子「キャァァァァァ!!!」

すると、片方の少女と少年は逃げたが、一人だけ逃げていない子がいた

ルナ「(あれ?もしかして腰抜かした?)」

そっと近づいてみると反応がなかった

麻衣「…」ヒクッヒクッ

ルナ「え…気絶してる…というより、痙攣してる…」

どうやら私が外に出てきた時点で意識が無くなっていたようだ

ルナ「脅かしすぎちゃったかな?でも、この子どうしよう…」

ここに置いておくわけにもいかない為、とりあえず少女をおぶってあの二人を追いかけた

すると、先に走り出していたとはいえ、まだ子供のため私はすぐにあの二人を見つける事が出来た

ルナ「(このまま追いついたらあの二人にも気絶されかねないわね…)」

少し考えた後、二人とは別ルートで先回りし、女の子を昇降口の近くに寝かせてから身を隠した

 

数分後

ルナ「(あっ、やっと来たわね)」

大和「あれ?麻衣がいない!?」

美代子「え⁉」

後ろを振り向いてみると、何処にも麻衣の姿が見当たらなかった

美代子「ま、まさか、花子さんに捕まって…」

大和「探しに戻ろう!」

連れとはぐれた事に気が付き、来た道を戻って行った

ルナ「(え?何で戻っていくの?…まさか、はぐれたと思って探しに戻ったの?)」

これ以上ここに居座られると、あの子達の親が探しに来て厄介だ

ルナ「ハァ…もう少し化け物のふりをしてあげますかね…」

溜息交じりに二人の行った先を再び先回りした

 

侵入者サイド

美代子「どこではぐれたんだろう…死んでないといいんだけど…」

大和「不吉な事言うなよ…」

二人で再び女子トイレへの道を戻っていると、向こうから先程出くわした花子さんがやってきた

ルナ「ナンデニゲルノ?アソンデホシイダケナノニ…」

大和「お、お前!麻衣をどこにやった!」

ルナ「マイ?アノオンナノコノコト?」

美代子「そ、そうよ!あの子は何処に行ったの!?」

ルナ「アノコワ、オハナシシヨウトシテモヘンジシテクレナカッタカラ、オソトニステチャッタ」

美代子「捨てたって…」

ルナ「デモ、オネエチャンタチハアソンデクレルヨネ?」

そう言って向けてきた花子さんの笑顔は可愛いらしいが、どことなく怖かった

大和「に、逃げるぞ!」

大和に言われて私も走り出した

 

ルナサイド

ルナ「(よし、上手い事いったわね。あとは、追い付き過ぎず、離れ過ぎずな距離を保って追いかけるだけね)」

そんな事を考えながら二人を追いかけていると、すぐ昇降口まで着いた

ルナ「(そろそろ追いかけるのをやめても大丈夫そうね)」

二人を追いかけるのをやめ、途中で物陰に隠れた

大和「あそこに麻衣がいた!」

美代子「花子さんは…逃げ切った?」

大和「いや、いつまた襲ってくるか分からない!すぐに逃げよう!」

そう言いながら少年達は気絶した少女を背負ってルナ家もとい廃校から逃げて行った

ルナ「ハァ…あの子達ちゃんと家まで帰れるんでしょうね?」

少し心配にはなったが、ここから下の町までは一本道の為、流石に管轄外だと考え、物置に荷物を取りに行ってから趣味に耽った

 

次の日

ルナ「ちょっと寝ようと思ってたら昼まで寝ちゃった…」

自分の中の予定では早朝に起きる予定だったのだが、昨日の騒動で疲れていたのか思ったよりも爆睡していたようだ

ルナ「天気は…曇りね」

今日は私的にはいい天気だ

ルナ「本屋にでも行って何か本買おうかなぁ」

最近日本語が上手くなってきたおかげで日常生活には何の支障もなくなったのだが、いつも夜にやっていた日本語勉強が必要なくなってきた為、夜やる事が無くなってきていたのだ

ルナ「いつものショッピングモールでもいいけど、気分転換に違う本屋に行ってみようかな」

今日する事が決まった私は出かける準備をして本を買いに行った

 

本屋

ルナ「何買おうかなー…ん?『ジョジョの奇妙な冒険』?すごい題名ね…」

パッと見ただけでもかなりの巻数が出ているようだ

ルナ「とりあえず試しに1巻だけ買おっと…」

1時間ほど本屋内をぐるぐる回って、ジョジョの漫画を1巻だけ買った

ルナ「なかなかに変わってる題名ね」

次の巻を買うかどうかはこれらを読んでからにしようと考え、家に帰ってから読んでみたところ、題名のインパクトで選んだ割に自分の好みに合っていた為、今度続きを買う事にした

 

To Be Continued




夜の廃校に忍び込んだ方も悪いが、失神するほど脅かすルナもルナである
これに懲りて危ない事をしないようになってくれればいいのだが…
次回『学校の怪談 リベンジャー』
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