生き返ったと思えばAクラスに所属させられていた件について。   作:ジグ

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どうも、初めましての方は初めまして。ダンまちSSで知っている方は、……私だ!!!!(殴
普段はダンまちSSを書いているしがない作者です。この度はよう実に見事ハマってしまいまして、ダンまちSSの息抜きに書こうかなぁ、と思った次第です。
といっても、この1話を書いてる時点で4.5巻までの知識しかないのでご容赦を…。全巻買ってありますのできちんと読まさせて頂きます…。


1. 転生しても現代社会ですか、そうですか。

昨今、益々経済発展を遂げる日本。小国ながらその技術力は世界トップであり──最近は、教育面にも大きく力を入れている先進国だが、その日本のとある都市に、一人。

細かくいえば、とある都市の公立中学校に、一人──ある青年が在学していた。

 

──曰く、平凡な秀才。

 

──曰く、特徴のない優等生。

 

他人との協調性は人並みにあり、顔もそれなりに良い。

成績優秀で、運動もそつなくこなす。

内申も高く、教師からの評価は勿論、その能力と人当たりの良さから男女問わず交流を深めている模範のような生徒。

 

──しかし、それはあくまで総合評価だ。

所謂オールラウンダー。RPGであれば、アタッカーやディフェンダー、ヒーラーなど様々な特化した役割がキャラに与えられているが、彼をソレに当てはめようとすると──悲しいかな、どれにも当てはまらない。

 

詳細には、クラスで目立つ存在ではなく、スクールカーストというもので考えても中堅。トップカーストとは遊びに誘われれば赴き、所謂低カーストとも話題が合えば会話に勤しむ。

浮ついた話は特に無く、しかしだからと言って女子に遠ざけられてるという訳でもなく。

成績優秀というのを聞いたクラスメイトには勉強を教え、運動も出来ると聞いたクラスメイトからは昼休みにサッカーをしようと誘われる。

だが、大抵の場合前者は教えてもらう人が居ない時であり、後者は人が足りない時である。

 

どこからか付いた渾名は「存在感のない便利屋」。

 

つまるところ、居ても居なくても全く以て問題が無い存在。

居たら役に立つが、別に居なくてもクラスに問題は無い。

クラスメイトの話題に上がることは無く、成績上位者に名前が上がると褒められる程度である。

教師からの評価は、とても優秀な生徒ではあるが、何かが足りない。

文句のつけ所が無いのだが、特段褒める所も無い。

何かしらの教科で学年一桁を取るわけでも無く、体育でもあくまで上の下から上の中。諸手を挙げて褒めるにはあまりに中途半端すぎる。

既に卒業式を終えているものの、卒業するにあたっての書類を担当した担任は「色々と書きづらくて“優秀”とだけ念を押した」と苦笑したそうで──

 

 

───それが、俺──桐ヶ谷 黎耶(きりがや れいや)の総評だ。

 

 

……うん。うん。

まあ、な?外れてないんだよ。

むしろ全て当たってるまである。

けど、少し注視して見て欲しい。褒められていることには褒められているが、暗に“微妙”と言われてるんだ。

確かに成績上位者ではあったし、運動も大体の事は出来る。

学校祭とかになりゃ器用な奴と言われて駆り出された。

生徒会役員でもないのに内申も比較的貰えたさ。

物凄い苦い顔した担任から渡された書類も満足だよ。

 

でも待ってくれ。何か足りないってなんだよ何か足りないって。

俺としては必死に中学生活を生き抜いてきた成果がアレなんだよ。

その辺りにいるような「俺勉強しなくても点取れるから」みたいな奴らと違って勉強しなきゃ点は落ちるし、運動しなけりゃ身体は鈍る。

あの成績は日々の努力の結晶な訳で、それを如何ともし難いように言われるのは思う所がある訳で────ああ、いや、もう。

 

この際俺の評価なんてどうでもいい。

回想の如く自身の事を振り返るまでに俺が“混乱”している訳がある。

こうして自身を保たなければ自我を確保できそうにない訳がある。

──結論を告げよう。

今俺が置かれている状況について問い質したい。

なんだこれは。

 

 

 

「あら、立ち止まってどうかしましたか?桐ヶ谷くん?」

 

 

 

美麗な響きが籠るソプラノ。透き通った声色。

その発生源の少女は、片手に杖を携え、頭にはベレー帽を。

髪は日本人には珍しい銀。そんな彼女が醸し出す雰囲気はどこか幻想的で、まるで何かの物語の中の登場人物ではないかと言う妄想さえ抱かせる。

 

 

 

………と、言うのがこいつを知らない奴の評価だろう。

坂柳 有栖。この学校の理事長の娘。この後超性格良いハゲと対立する病弱系美少女。先天性心疾患を持っていて常に杖を携え体育や運動は出来ないが、それ以外の成績が飛び抜けている文字通りの天才。

 

──で、その情報を何故知っているかという問いに対する答えだが。

正直今も状況がわからない。

いや、脳が理解を拒んでいると言うべきか。

それでも、どう足掻いても脳裏に叩きつけられる事実が一つだけあり、その事実こそがその問いに対する答え。

 

どうやら、異世界転生してしまったようで。

 

 

 

時は2018年、1月1日に遡る。

昨夜にガ〇使をフルで視聴し笑って迎えた新年、戌年。

いや、呪いの人形恐ろしかったよな。避けられないケツバットですこっわい。あんなのあったら燃やしたくなってしまう。なんて、新年を迎える前に笑い尽くして──そのまま眠って。

初日の出を見る気にもなれず、健康的に意識を取り戻した朝7時。起きてはLINEで10件ほど通知が溜まっていると思えば新年の挨拶。と言っても卒業を終えたばかりの学生の挨拶に堅苦しいものがある訳もなく、ともすれば自分もそれらしく、適当に返信し、届いた年賀状をゆっくり眺めていればあっという間に12時。記念すべき2018年初の昼食に、親が作ったのは皆大好きお雑煮という料理であった。

まあ、勘のいい奴ならこの時点で大体わかるだろう。

ほら、毎年起こるしニュースでも取り上げられるじゃん?

 

 

 

────喉に餅詰まらせて窒息死する奴ってさ。

 

 

 

自分でもあまりに呆気ないと思ってしまった。餅がうまく噛みきれねえなぁと思って一気に食うか、なーんて油断してたら息が出来ない。

あっ、これやべえわ、と。

そう思って机を必死で叩き物音を立てても時既に遅し。

親は昼飯を作った事に満足し上で寝ており、助け舟は夢の海に沈没していた。

いや、本当に走馬灯って見えるんだなと。

ただ、走馬灯を見てもなおぱっとした思い出ねえなぁ、なんて死に際になりながらも特徴のない自分を虚しく思ってしまった。

とまあ、完璧に詰んだ状況でタイムリミットの1分と数十秒過ぎ見事他界他界してしまった訳だが。

俺の最後の一言「いただきます」だからな。自分の命いただいてどうすんだよ。新手の自殺じゃねえか面白くねえよ。遺言は「お雑煮美味しかったです」ってか。マジで笑えないんだよなぁ。

 

そんな感じで面白くない人生だったなあと生と死の狭間的な所でさ迷っていると何か出てきたんだわ、これが。

 

 

 

「おお、死んでしまうとは情けない!」

 

 

 

聞いた時は殴りたくなったね。

一丁前に白髭生やしてニコニコしながらやってくる仙人みたいなジジイ。開口一番がこれとか。笑い通り越してお前も死なせてやろうか、と。パロディネタをぶっ込んできた素性も知らないジジイに引きつった笑みを向けていればガンガン喋るのなんの。

 

「というのはまあ、冗談で。桐ヶ谷 黎耶くん、じゃな?」

「お、おう。……何?今から天国か地獄か行かされんの?」

 

別に交通事故とか後ろから刺されて死んだ訳でも無く、窒息死というある程度死ぬ事がわかっていた状態で逝ったので、現状把握する事にさほど時間は要らなかった。

 

これあれだろ?閻魔様的なやつでお前地獄行けよとかそんなやつだろ?と。神の審判。あまり悪行は重ねなかった筈、地下は嫌だの要領で地獄は嫌だなんてこいつに抗議するつもりだったのだが。

 

「違う違う。…あれじゃあれ、お主。異世界転生って聞いたことあるか?」

「は?異世界転生?」

 

いや聞いたことはあるわ。むしろ中学生時代とかしたいと思ってたわ。

異世界転生って奴ぅううううう!?とか言う最弱系無限ストック主人公とか、まるで将棋だなとか謎発言を残すお前言いたかっただけだろ系主人公とか。そういう奴らが経験する異世界転生だろ?知ってる知ってる。

 

だが待ってくれ。よく考えて欲しい。

 

あくまでそんな異世界転生はラノベの中の世界だ。いやまあ、異世界転生というもの自体がラノベの世界でしか有り得ないものかもしれないが。

それはともかくとして、もし実際に異世界転生があったとして、所謂ファンタジー世界とかに行ける確証なんてのは何処にも無いのだ。

異世界転生は、あくまで異世界に転生するのであって転生先が必ずそんな夢のような世界ではない。

極端な話、冒涜的な神話生物が跋扈している世界に飛ばされたり、宇宙人みたいな見た目してる奴らが普通に暮らしてる世界に飛ばされる可能性だって十二分に有り得る。

 

「その異世界転生ってのはどこに転生させられるんだ?」

 

いつもの俺ならこんな話信じてないだろうが既に死んだ身。ある程度非現実的な話でももう俺に失うもんは無いし聞くだけ聞こう、と。

 

「んー、そうじゃなぁ。この中のリストの中からランダムじゃな。超激レアな所だと王子になって転生出来るファンタジー世界かの」

 

「超激レアって何だよ!?」

 

え?待って?何?異世界転生ってガチャみたいなもんなの?

変なドラゴンの手を下げたり、いっつも青い水晶叩き割ったりするアレ?そんな簡単に異世界転生させられんの?おかしくね?異世界転生って書いてガチャって読むの?俺は石か何か?

 

「わしに言われてものう。んで、とにかく異世界転生するのかの?正直死んだ魂の処理とか色々めんどいから異世界転生してくれた方が助かるんじゃが」

 

「クソ適当だなおいふざけんな。……いや、出来んならするけど」

 

これもうわかんねぇな。

異世界転生が本当にあったりとか、そのシステムがガチャとか何とか。今すぐ理解しろというのが無理だろ。むしろ理解したら負けまである。

もう一度死んでるしどっか適当に転生出来んならそれでいいが。願わくばファンタジー世界とかそこら辺。つーかこれ、このシステムで行けば死んだやつ基本違う世界に飛ばされてるだけじゃね?無限リスポーンじゃね?

ハズレ引いたらもう一回死んでもう一回ガチャすればいいのでは?

 

そんな事を考えていると、肯定の言葉を聞いた爺さんの隣にはいつの間にやら扉が。

 

「ん。ならこの扉を開けて中に入るんじゃ。気づけば異世界転生してるから」

「ほんっと適当だなおい…」

 

はぁ、と溜息を吐き後ろ髪をくしゃりと掻きながら一応爺さんに会釈して扉を開ける。

 

出来ればファンタジー世界。いや、頼むからファンタジーを。

別にヒロインとか役職とかいらねえからとりあえずファンタジーに飛ばしてくれ。

 

そんな下らないことを念じている内に、気づけば俺の意識は途絶えていた訳で。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

「いいや、何でもない。考え事をしてたんだよ」

「考え事、ですか?」

 

 

ガチャの結果──おはよう現代社会。こんにちはNIPPON。こんばんは学園生活。

異世界転生した先はまさかまさかのよう実ワールドだったよ。

おいジジイ、俺ファンタジー世界がいいって念じてたよな?

何でもう一度現代社会で生きていかなきゃいけないのん?

しかもこの世界まあまあ難易度高くない?

Dクラススタートとか言われたら俺もう一度自殺してガチャ回す(異世界転生する)ぞ?

これだからガチャはクソなのだ。やはりどんな世界でも運ゲーか。

排出確率見とけば良かったよこの野郎。

とまあ、転生早々愚痴しか零さない俺なのだが。

 

開幕早々出会ったのがラスボス感漂う美少女、坂柳 有栖だった訳だ。最初はなんかこの風景見覚えあるなぁ、なんて思って杖を片手に慎重に階段を登る女の子が居たから助けようと声をかけたらこの始末(坂柳 有栖)である。声かける相手間違ったわ。純粋系天使一之瀬さんとか探すべきだったわ。

あ、櫛田さんはちょっと…。まだ見てないがきっと実物はやはり腹黒いのだろう。

 

階段を登るのを手伝えば礼を言われ名を名乗れたので俺も名乗り返し、折角なら教室までどうだろうか、と誘われ素直に従ったまでが、今の状況だ。

いやね?美少女に「一緒に行きませんか?」なんて言われたら断れないのが男でしょ。残酷とかドSとか聞いてるけど表面上はただの超可愛い女の子。逆らえるはずも無かった。

 

「この学校の事をな。今日が入学式だし」

「そうですね。……と、あら」

 

彼女の先にあるのは皆大好き校門前の張り紙。

所謂クラス分けの通知である。

ベストはBクラス。詳しい話は聞かないけど1番平和そうだ。一ノ瀬さん居るし。

次点でAクラス。まあ隣で歩く坂柳さんが危惧すべき点だが早々に葛城さんと絡めばいいでしょ。あの人面倒見よさそうだしな。

一番悪いのは……Cクラスかなぁ。あれでしょ?入った瞬間に龍園さんが牛耳るクラスだろ?嫌だよそんなの。一応俺格闘技に心得はあるけど龍園さんに勝てる気とかしないし。

となると、妥協点はDクラスか。

……誰と絡もうかなぁ。綾小路とか接点ねえし、池たちと絡むのは何か嫌だし。かと言って平田グループだとメインヒロイン軽井沢さんとか現時点じゃ嫌味なモブキャラと絡まなきゃいけないし?

……うっわぁ、居場所ねぇ……。

Dクラスになったら高円寺さんと絡むまであるな。鬱陶しく付きまとったら相手してくれてなし崩し的に友達になれそう。

 

とまあ、転生してるからこそのカンニング知識を活かしながらどのクラスかなぁ、と俺の名前を探す。つーか俺の名前あんの?

転生したと思ったらバス降りた直後だったんだけど。

そこら辺あれなんですか、ご都合主義とかなんですかね。

異世界転生すごいなぁ。

あ、坂柳さんの名前。うん、安定と信頼のAクラス。葛城さんも…Aクラスだな。

 

さーて俺のクラスは何処かなぁ、と視線を動かしていると。

 

「あ、桐ヶ谷くんの名前ですね」

 

「ん?何処だ?」

 

坂柳さんが丁度俺の向けている視線からやや左の部分を指す。

 

「私の左上です」

 

──は?

 

いや、うん。

待て。待ってくれ。頼む。

坂柳 有栖の左上。

それ即ち、彼女と同じクラスである事が確定した訳で。

──次点で良いとは言ったけど。言ったけど、待ってくれよ。

 

「同じクラスですね、桐ヶ谷くん」

 

横から聞こえる声が再度通告する。

そこにある【桐ヶ谷 黎耶 :Aクラス】という現実を。

 

──なぁ、神様。

ああ、ハズレは引いてねえよ。むしろ変な所に飛ばされるより余程良いよ。CクラスやDクラスじゃなくて安堵もしてるさ。

……でもさぁ、この世界でこのクラスって事はさぁ……。

 

「──ハードモードで人生やり直させてんじゃねえよ……」

 

───肉体的にも、精神的にもこの先まともに休めねえって事じゃねえかよ、クソジジイ。

 




2019/3.30 簡易修正
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