【このお話の主な登場人物】
・イワフネ=マルス人。第3惑星調査隊長。
・ゼイエス=マルス人。アカデミー特殊宇宙生物理学研究所技術担当。
・アマトハ=マルス人。アカデミー特殊宇宙生物理学研究所 所長。ゼイエスの善き理解者。
・リア=マルス人。プレアデス星団移民船艦長。
日本列島が消滅する約45億9000年前
【太陽系第4惑星マルス タルシス
ゼイエスの
『こちら調査観測ラボ「ルンナ」"
第3惑星
調査観測ラボ「ルンナ」は、現在建造中の
「ゼイエスのカプセルとのデータリンクはどうなっている?」
第4惑星マルスのアマトハ所長が報告を求める。
『データリンクは問題ない。予定通り第3惑星大気圏突入後、850万の小型カプセルに分離、
「子カプセルの特殊バイオ
ゼイエスがアマトハの通信に割り込んできた。
『
『第3惑星地表温度は現在1400℃。熱い歓迎ぶりだ。地下のマントルからマグマがあふれかえっているようだな。小型カプセルに積んでいる特殊バイオ溶液開放は
イワフネが
「われらの星もかつてはこんな感じだったのだ。これは母星の考古学探索チームからの分析結果から断定出来る。あとは地殻(ちかく)が安定して、大気と水が更に満(み)たされるまで待つしかないな」
アマトハ所長が判断する。
「ああ、特殊バイオ溶液の開放まで2000年程待つか。なに、少し寝ている間に状況は劇的な変化を
ゼイエスが楽観的に言う。
『こちらは間もなくルンナ全体をスリープモードに移行させる。良い夢を、アマトハ、ゼイエス』
イワフネが告げる。
「ああ、
ゼイエスが応えた。
イワフネからの星間通信が終わると、ゼイエスがアマトハに問いかける。
「アマトハ、あのバイオ溶液は『シャドウ』製ではないよな?」
ゼイエスが疑わし気な顔でアマトハを見つめる。
「ゼイエス!非常に不愉快な事を言うね君は。私をあの異端者共と一緒にしないでくれるか?」
アマトハが
「私の作ったバイオ溶液は純粋に科学的成分で作ったものだ!異端者共のようにどこの誰とも知らぬ輩が自らの仲間を溶かして作ったものとは違うのだ!」
アマトハが言い放つ。
「すまんアマトハ。だが、時々私は奴らの研究も異端ながら一部「真理」を突いているように思えるのだよ」
ゼイエスが正直に白状した。
「ゼイエス、今の話は聞かなかったことにしよう。これ以上この話題をすると我々もシャドウになりかねないぞ!」
アマトハが警告した。
「っ!?そう、だったな。危ないところだった。少しでも気を許すと
ゼイエスはそう答えるとコールドスリーパーの設定を5000年後に設定した。
「それが良い。お休み、ゼイエス」
アマトハはゼイエスにお休みを告げると指令室の個人ブースに入った。
「リア、こちらのプロジェクトはひと段落した。これから「少し」眠ることにするよ」
アマトハがモニターの向こう側に居る恋人に報告する。
「あら、つれないわねアマトハ?私はこれからプレアデス星団へジャンプするのに・・・」
少し拗(す)ねた口調でリアが言った。
「君も早く寝た方がいいぞ?君にはプレアデス星団(むこう)で私達のマイホームを建ててもらわねばならないのだから」
アマトハが宥めるように言う。
「そうね。こちらもこれからジャンプして自動航行システムに切り替わるから200年程ひと眠りしておくわ」
リアが肩を
「ところで、例の溶液に他者からの介入はあったの?」
リアが声を潜めて訊く。
「ない。ゼイエスが疑わしいと思って問い詰めてみたが、彼は素でイカれているからな。奴らの怪しい思想もゼイエスには
アマトハがそう「報告」した。
「了解したわ。ありがとうアマトハ。これでプロジェクトが完了したらあなたは評議員に一歩近づくのね」
リアがため息をつく。
「君だってプレアデス移民プロジェクトが軌道に乗ると探査船団の隊長様だろう?」
アマトハが指摘する。
「そうね。否定はしないわ。さらなる研究の先に行き着くためにはまだまだ力が足りないの」
リアが答える。
「私も同じさ。それじゃ、お互い寝るとしようじゃないか?お休みリア」
「おやすみなさいアマトハ」
通信モニターが切れると指令室の電源が自動的にスリープモードに入った。
「今の所介入は無かった・・・。今の所はな・・・」
含むように呟きながらアマトハは眠りに落ちた。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m