転移列島   作:NAO

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【このお話の登場人物】

・イゴール・アッシュルベルン=宇宙国家アース・ガルディア 総代表。
・ソーンダイク=英語圏代議員。
・アレクセイエフ=ロシア語圏代議員。


宇宙国家の選択

ガルディア暦2年(西暦2019年)10月13日【地球衛星軌道上 宇宙国家『アース・ガルディア』コア・サテライト】

 

「ソーンダイク代議員、アレクセイエフ代議員、君達の発見は我々に希望を与えるものだ」

アース・ガルディア総代表のイゴール・アッシュルベルンが()(たた)えた。

 

「今度の火星最接近は来年10月、つまり1年後になります。総代表、我々は火星も宇宙国家の領土にすべきではないでしょうか?」

アレクセイエフ防衛担当代議員が進言した。

 

同志(どうし)アレクセイエフ、我々は地球を守るのが第一の使命であって、侵略ではない。

まず『火星に(うば)われた』日本国を『火星から取り戻さねばならない』。これは宇宙から地球を守る我らの崇高(すうこう)な使命なのだよ」

 

「現在の地球は審判(しんぱん)を受けて(きよ)めの儀式(ぎしき)の最中だ。出来るだけ早めに火星の、"日本列島"と連絡を取りたい。

消滅前のデータを見ると、我々の文明とは違う何者かの手で転移させられたのは明らかだ」

イゴール総代表が言った。

 

「今はまだ、地上からの避難民を受け入れなければならん。その為のコロニーを間に合わせでも良いから作らねば。

その後は『火星の日本国』と連絡を取り、状況を把握する事だ。あの国には強力な在日米軍がいたはずだ。異星文明が介入していたら厄介(やっかい)だが、出来れば戦闘は避けて長期休息用のコロニーと食料供給基地として一時的な入植(にゅうしょく)が行えるように交渉をしてみたい、が、」

イゴールは少し言葉を切って、

 

「衛星軌道上の通信衛星でコントロール可能なものをコア・サテライトに集めて火星に通信が送れる強力な通信基地を作ろう」

ソーンダイク内政担当代議員がうなずいた。

 

「万一に備えて旧アメリカと旧ロシアの使える宇宙兵器をリストアップしてもらいたい」

「それと火星まで到達可能な軍艦の研究を始めなければならんな」

アレクセイエフ防衛担当代議員へ矢継(やつ)ぎ早に方針を伝えた。

 

イゴール総代表がコア・サテライトの窓から、今や青い海の大半が噴煙(ふんえん)に包まれた修羅(しゅら)の地球を背景に、サテライトにドッキングしている旧米国宇宙軍のX-37B軍事シャトルやSR92高空(こうくう) 宇宙戦闘機、ミサイルランチャーや化学レーザー砲を(そな)えた旧ロシア宇宙軍の軍事衛星を(なが)めながら言った。

「我々アース・ガルディアは、地球を護るための宇宙国家だ。どのような手段を選ぼうとも、それは変わらんのだ」




ここまで読んで頂き、大変ありがとうございましたm(__)m
次話(じわ)から『第五章 新天地(しんてんち)』となります。
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