・澁澤(しぶさわ) 太郎(たろう)=内閣総理大臣。
・岩崎(いわさき)=内閣官房長官。温和。
・天草(あまくさ) 治郎(しろう)=JAXA理事長。
・ジョーンズ=アメリカ合衆国海兵隊司令官。中将。
・ロイド=英国連邦極東派遣艦隊司令官。少将。
・ミッチェル=アメリカ合衆国駐日大使。
地球暦2019年1月3日午前3時【東京都千代田区永田町 首相官邸地下 総合会議室】
日本列島消滅前の国際情勢に関係なく、お互いが生き延びる為に、情報を共有、協力する事で合意が取れた国のみ参加する、合同対策会議が開催された。
会議室には澁澤首相を始めとする内閣の全閣僚と、各省庁の事務次官、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ロシアの駐日大使と駐在武官、各国軍の司令官が円卓の形で席に着いた。
会議は、進行役である内閣官房長官の岩崎が音頭をとって始まった。
「現在、日本列島とその周辺を取り巻く異常事態について、一定の分析結果が出たので報告いたします。」
「信じがたい事ですが、私達は北海道から沖縄までの日本列島ごと―――周囲100km、高度2000kmの空間ごと、太陽系第4惑星である火星に転移したものとみられます。これは、米英海軍、ロシア海軍による海上、海中調査と航空自衛隊偵察機による高高度からの宇宙撮影映像と各種データ解析の結果として導き出されました。」
と詳しく報告すると会議参加者からどよめきの声が上がった。
「クレイジーだ!火星は人類の生存に適さないとNASAが言っていたのではないのか?」
沖縄海兵隊司令官のジョーンズ中将が声を張り上げた。
「ミスターアマクサ、周囲100kmと貴方は言われたが、その先はどうなっているのですか?」
英国極東派遣艦隊司令官のロイド少将が質問した。
「サー、ロイド閣下。100km先は発生源不明の電磁フィールドに
「ジョーンズ中将が仰るとおり、火星本来の環境にさらされたのであれば、私達は既に即死しています。」
「現に、日本列島高空を飛行した多くの国際線旅客機で、乗員乗客が多数、有害宇宙線による急性放射線被曝をしております。我が国の偵察機パイロットも致死量に近い宇宙線を浴びて被曝し、意識不明の重体です。」天草が答えた。
「ミスターアマクサ、取り乱して申し訳ない。被爆した方々にお見舞い申し上げる。」
ジョーンズ中将が神妙な顔で天草に目礼した。
天草は
「しかし、私達はまだ、"生きている"これは、私達の生存環境が電磁フィールドで維持されているからだと推測されます。」
「今の私達は、1つのバイオスフィア(独立した生態系)の中で生きているのです。原因はオーバーテクノロジー過ぎて不明ですが。」
会議参加者達は絶句するしかなかった。
JAXAの天草を
しかし、1億1000万人を超える国民と、在日米軍を始めとする各国の駐留軍、訪日旅行者、外交官やその家族など、百数十万人規模の居留者が日本列島には存在している。
現実逃避する暇など無かった。
内閣総理大臣の澁澤太郎が、重みのある声音で会議参加者に呼び掛けた。
「日本国首相として、無策でこの異常事態に身を委ねる事などあり得ません!我が国は座して死を待つことを断固拒否いたします!
我が国は、いかなる
我が国が核の惨禍で消滅する寸前まで日本列島に踏みとどまった各国の皆様に応えるためにも、我が国の国民と同等の安全と権利を保証する為に、国家が持つ資源を提供する用意があります。
各国の皆様には是非とも我が国の方針をご理解頂き、共に生き延びる為、各国の
米国のミッチェル大使が立ち上がり、澁澤首相に敬意を込めて拍手した。各国の会議参加者も次々とスタンディングオベーションを澁澤首相に贈った。
一息つく間もない、場の流れに違和感を覚えた参加者も多くいたが、大半の国家代表は『日本国との密約』を結んでいたのでこの流れを当然のものとして振る舞った。
その後の対策と各国との協力体制を構築する話し合いは円滑に進み、午前5時前に当面の対応が決定された。
そして、午前6時に全閣僚と各国大使が出席した上で、全てのマスコミを首相官邸に集めて国家非常事態宣言と合同記者会見が行われる事となった。
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